ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約第2回締約国会議は1日、核抑止論について不拡散や核軍縮に反するとして厳しく批判し、禁止条約未参加国に署名や批准を呼び掛ける政治宣言を採択して閉幕しました。
政治宣言は最近の核保有国による核兵器使用の威嚇などに触れ「核兵器は平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張激化の政策手段として使われている」と批判し、「核抑止の永続化と実践は不拡散をむしばみ、矛盾するだけでなく、核軍縮への前進を妨げる」と非難しました。
会議には69ある締約国のうち59カ国、オブザーバー国35カ国の計94カ国が参加しました。
共産党の志位委員長は2日、第2回締約国会議が閉幕したのを受けて、会議の成功を「心から歓迎する」との談話を発表しました。
その中で政治宣言で核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっているとして「核抑止論」を痛烈に批判したことを指摘し、禁止条約が核使用の手を縛るうえでも「核抑止力」論を打ち破るうえでも大きな規範力を発揮することを示すものだと述べました。
また日本政府の不在が失望と批判を広げていることを指摘し、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことを「恥ずべき態度」ときびしく批判し、日本政府が禁止条約に参加するよう強く求めました。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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実効性・規範力を高める核禁条約 第2回締約国会議が閉幕 政治宣言を採択
しんぶん赤旗 2023年12月3日
【ニューヨーク=島田峰隆】米ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約第2回締約国会議は1日、核抑止論について不拡散や核軍縮に反するとして厳しく批判し、禁止条約未参加国に署名や批准を呼び掛ける政治宣言を採択して閉幕しました。
フアン・デラフエンテ議長(メキシコ)は閉幕演説で「政治宣言は今の時期に切望されている強力なメッセージになる」「より安全な世界を実現する唯一の方法は核兵器の禁止だ」と強調。「会議での意見交換は私たちの確信を強化し、禁止条約の実践に向けて前進することを可能にした」と述べました。
政治宣言は最近の核保有国による核兵器使用の威嚇などに触れ「核兵器は平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張激化の政策手段として使われている」と批判。「核抑止の永続化と実践は不拡散をむしばみ、矛盾するだけでなく、核軍縮への前進を妨げる」と非難しました。
また「締約国は核のリスクと核抑止の危険な永続化の傍観者にはならない」とし、核抑止論に対抗してたたかう姿勢を強調しました。
宣言は昨年の第1回締約国会議以降に参加国が増えたことを歓迎し、未参加の国々に「遅滞なく署名、批准する」よう改めて呼び掛けました。
宣言は「核兵器使用の破滅的な人道的結果への深刻な懸念」を再確認。核兵器の非人道性が「核軍縮と核兵器のない世界の達成・維持の道徳的、倫理的な責務の土台だ」とし、非人道性の議論を深める姿勢を示しました。
会議には69ある締約国のうち59カ国、ドイツなど米国の同盟国を含むオブザーバー国35カ国の計94カ国が参加。市民社会も交えて条約の具体化や課題を議論しました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表が被爆証言を行ったほか、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表も発言。日本共産党からは笠井亮衆院議員が参加し、議長や各国政府代表に要請文を渡しました。
第3回締約国会議は2025年3月3日~7日、ニューヨークの国連本部でカザフスタンを議長国として開くことを決めました。
核禁条約第2回締約国会議が閉幕 会議の成功を歓迎する 志位委員長が談話
しんぶん赤旗 2023年12月3日
日本共産党の志位和夫委員長は2日、第2回締約国会議が閉幕したのを受けて、「核兵器問題での重大な逆行が起こっているもとで、核兵器禁止条約の国際法としての実効性・規範力をいっそう強化し」たとして、会議の成功を「心から歓迎する」との談話を発表しました。
志位氏は談話で、政治宣言で核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっていると、核抑止を痛烈に批判したことを指摘。次回会合までに「抑止力」論からの脱却を訴える報告書を作成することを決めたことなどをあげ、禁止条約が核使用の手を縛るうえでも「核抑止力」論を打ち破るうえでも大きな規範力を発揮することを示すものだとのべました。
また、条文にもとづく、被害者支援や環境修復の計画づくり、そのための「国際信託基金」の設立に向けたガイドライン策定など、国際法としての実効性、規範力を高めていることの重要性を指摘しました。
志位氏は日本政府の不在が失望と批判を広げていることを指摘し、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことを「恥ずべき態度」ときびしく批判。日本政府が禁止条約に参加するよう強く求めました。(談話全文下掲)
実効性・規範力を高める核兵器禁止条約――第2回締約国会議の成功を歓迎する
しんぶん赤旗 2023年12月3日
2023年12月2日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
一、核兵器禁止条約第2回締約国会議は、ロシアやイスラエルによって核使用の脅迫が行われ、他の核保有国も核戦力の維持・強化をはかるなど、核兵器問題での重大な逆行が起こっているもとで、核兵器禁止条約の国際法としての実効性・規範力をいっそう強化し、その具体的運用を前進させ、「核兵器のない世界」への大きな希望を示す会議として大きく成功した。日本共産党は、笠井亮国際委員会副責任者・衆院議員を派遣し、会議成功のため奮闘した。締約国会議の大きな成功と核兵器禁止条約の前進を、心から歓迎する。
一、政治宣言は、「核の危険が高まっている」ことに警鐘をならし、「核兵器のいかなる使用も、また使用の威嚇も国連憲章を含む国際法違反」であり、「明示的であれ暗黙的であれ、いかなる状況であれ、核兵器によるあらゆる脅威を明確に非難」した。
また、政治宣言は核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっていると、これまでにもまして核抑止を痛烈に批判した。締約国会議は、次回会議までに、核兵器の人道的影響とリスクに関する新たな科学的証拠に基づき、「核抑止に基づく安全保障概念に挑戦」し、「核抑止力」論からの脱却を訴える報告書を作成することも決めたことは重要である。
これらは、核兵器禁止条約が、核保有国による核使用の手をきつく縛るうえでも、核兵器固執の最悪のよりどころとなっている「核抑止力」論を打ち破るうえでも、大きな規範力を発揮していることを示すものである。
一、政治宣言は、核軍備縮小・撤廃について定めたNPT第6条の義務や核兵器廃絶の「明確な約束」について、どの核保有国も「法的拘束力のある第6条の義務を果たしていない」とつよく批判する一方、核兵器禁止条約の発効によって、NPT第6条の履行を前進させ条約を拒否する核保有国の非難がまったく成り立たないことを浮き彫りにするものである。
一、前回会議後、条文にもとづく活動が着実にすすめられた。なかでも被害者支援、環境修復、国際協力と援助に関する第6条と第7条に関して、被爆者の苦しみが続き、多くの人が救済されないままになっていることが改めて明らかにされ、締約国が次回会議に向け、被害者支援や環境修復の計画をつくり、実行すること、そのための国際協力をすすめることなどが確認された。被害者を支援し、環境修復を財政的に援助する「国際信託基金」の設立にむけたガイドラインの策定も決定された。条約が実際に運用され、ここでも、国際法としての実効性、規範力を高めていることは重要である。
一、会議には35カ国がオブザーバーとして出席し、NATO加盟国など米国の同盟国からのオブザーバー参加国の出席と発言は歓迎された。
一方、日本政府の不在に対して、「日本がいないのはおかしい。不思議な国」との失望が広がっている。赤道ギニアは「日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会には核保有国と足並みをそろえて投票している」と、日本政府の態度をただした。
日本政府が「橋渡し」といいながら、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことは、恥ずべき態度である。
日本共産党は、唯一の戦争被爆国で活動する政党として、日本政府が「核抑止力」論からの呪縛を断ち切り、禁止条約に参加することを強く求める。