2025年4月10日木曜日

10- 大阪万博会場の高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符

 6日、大阪・関西万博の会場で、メタンガスが「着火すると爆発するおそれがある」とされる基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしていました。
 試験公開で万博会場を訪れていた来場者が検知器を持ち込んで調べたところ、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスが基準値を超えているのが分かり消防に通報したということです。
 この問題は以前からしんぶん赤旗などで度々指摘されていました。当局は問い合わせ等に対してその都度「対策を取るから」と回答して来ましたが、開会の直前でもこの有様です。本当に大丈夫なのでしょうか、
 NHK、日刊ゲンダイ、FRIDAYの記事を紹介します。
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大阪・関西万博会場で基準値超えのメタンガス検出 対策を強化
                      NHK NEWS WEB 2025年4月7日
6日に大阪・関西万博の会場で、メタンガスが基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしています。
博覧会協会によりますと、4月6日、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスの濃度が、着火すると爆発するおそれがあるとされる基準値を超えているのが見つかりました。
試験公開で万博会場を訪れていた来場者が、検知器を持ち込んで調べ、消防に通報したということで、30分ほどの換気でメタンガスは検出されなくなりました。
同じ区画では去年3月、地中から出たメタンガスに工事の火花が引火する爆発事故が起きていて、博覧会協会は、この区画で、
▽建物の地下にファンを設置して強制的にガスを排気するとか
▽屋外の地下空間では、定期的に測定や換気をする
といった再発防止策をとってきました。
ガスが検出された場所も対象になっていて、博覧会協会は、
▽1日1回だった測定を3回に
▽測定場所を2か所から7か所に増やすことにしています。
博覧会協会の高科淳副事務総長は「メタンガスは地下で検出され、地上に出ると霧散して危険性はなくなるので、直ちに危険ではないが、来場者の安全のため、念には念を入れて対策していく」と述べました。
 
林官房長官「一時的な濃度上昇 開幕までに万全期す」
林官房長官は午後の記者会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる。会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている。開幕までの間にさらに的確な対応策を講じ万全を期していきたい」と述べました。
 
 
大阪万博会場の“爆発”リスクはやっぱりヤバい…高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符
                         日刊ゲンダイ 2025/04/09
 開幕まであと4日の大阪・関西万博。先週末に行われたテストランでは、高濃度のメタンガスが会場内で検知され、消防が出動する事態にまで発展した。
 異変に気付き通報した大阪府守口市の寺本健太市議(共産党)が8日に記者会見を開き、経緯を説明した。元消防士の寺本市議は今月6日のテストランを視察した際、ガス検知器を持参。昨年3月に爆発事故が起きたトイレ付近のマンホールを測定したところ、引火すれば爆発しうる最低濃度(5vol%)を超えるメタンガスが検知されたという。
 開幕直前になってもなお、メタンガス対策の不備が露呈したわけで、寺本市議は「『いのち輝く未来社会のデザイン』と言っておきながら、いのちが吹き飛ぶ危険がある」と、安全管理体制を批判するのだった。
 騒動を受け、大阪府の吉村洋文知事は同日、メディアの取材に応じ「メタンガスは空気より軽いので自然換気すれば対応できる」とコメント。政府も林芳正官房長官が会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる」「会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている」などと述べ、安全性の問題を否定した。万博協会は今後の対策として、ガス濃度のモニタリングの頻度を上げるほか、換気を強化するためマンホールのふたを常に開け、人が立ち入らないよう柵を設けるという
 
■対策には限界
 しかし、こんな取ってつけたような処置で、本当に十分な安全対策と言えるのか。以前から万博会場のメタンガス問題について警鐘を鳴らしてきた、建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「仮に野原など何もないところでは、『自然換気すれば対応できる』という説明は正しいと思います。しかし、万博会場にはさまざまな建造物があり、場所によってはガスが空気中に出ていくのを阻まれてしまう。また、会場は構造上、地下空間が存在するため、やはりどこかでメタンガスが滞留してしまう。確かにマンホールを開けての換気は効果がありますが、それだけでは不十分と言わざるを得ません。すでに工事が完了しているパビリオンも多く、ガス滞留への抜本的な追加対策には、限界があるのではないでしょうか」
 万博の成功しか頭にない府や国が必死に否定しても、爆発のリスクはやはり残るようだ。「空飛ぶクルマ」ならぬ、「空飛ぶマンホール」は見たくない。
 
 
大阪万博はメタンガス、大混雑、熱中症と問題山積みも…テレビ局がネガティブ報道を控える「意外理由」
                              FRIDAY2025/4/8
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
大阪万博を必死にPRする石破茂首相だが……
大阪・関西万博の開幕まで1週間を切った。
“維新色”が非常に強いが万博は国家事業だ。

4月5日にはテストランに石破茂首相(68)が訪れ、会場内の様子や海外パビリオンの準備状況を視察した。石破首相は視察をしたうえで、
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
と太鼓判を押した。
盛り上がり具合をニュースでは報道し、“機運醸成はばっちり”と言いたいところだが現状はネガティブ要素が山積みしている。
まず5日のテストランで判明したのは、抽選で選ばれた大阪府民ら計約3万人という限られた人数が来場しただけでも、会場に入るまでに1時間半以上かかったということ。期間中は1日最大22万7000人の来場者を想定している。
「駅から入場口までの距離が短すぎて、逃げ場がない。駅の階段などでパンクを起こし“雑踏事故の危険性があるのではないか”という声が上がったようです。入場口で手荷物検査などがあるため、予約していてもスムーズには入れず、テストランの状態でもパビリオンの予約時間に間に合わなかったケースが発生していましたね」(全国紙記者)
そんなグダグダなテストランをしている真っただ中の6日、爆発する恐れのあるメタンガスが検知されたと万博協会が発表。午後4時ごろ会場の西側「グリーンワールド」工区で、着火すれば爆発の可能性があるとされる濃度の基準値を超えるメタンガスが検知された
SNSで消防隊員が作業に当たっている映像が拡散されたが、警告音のようなブザーが鳴り響いていた。自然換気を行い、約1時間後に基準値を下回ったことを確認し規制を解除したようだ。

◆局内の万博担当から「そろそろネガティブな報道はやめて」
「少し前の3月10日には、万博会場となる目玉の大屋根リングの土台部分の盛り土が海水で浸食されていると発表されました。『つながりの海』と『ウォータープラザ』の護岸あわせて約1100メートルのうち、半分以上の約600メートルの護岸が海水に浸食されてしまったのです」(前出・全国紙記者)
写真を見ても土台のすぐ近くの砂が侵食されている。なぜこのようなことが予測できなかったのか理解に苦しむ。“棒倒し”のように大屋根リングが崩壊しなければいいが。
しかし、在阪のテレビ局スタッフからは
「ネガティブ要素は山ほどあるが、報道しづらくなってきている」
と複雑な心境を明かす
「テレビ局はこれまで万博のニュースを扱ううえで、パビリオンの遅れやチケットの売れ行きが悪いなどネガティブ要素もしっかり報道してきました。しかし来週からは万博本番。実はテレビ各局は万博に協賛・参画しているため、局内に担当の事務局のような部署が存在する。本番になれば、どんどん現場から中継したりロケしたりして盛り上げなければならない。局内の万博担当からは“そろそろネガティブな報道はやめて盛り上げるほうへ切り替えてもらえると助かる”とお願いされていますよ。メタンガスなどはストレートニュースで短めに扱っていますが、大々的には扱いにくい雰囲気ですね」
バラエティーや情報番組などは、キー局から独自のクルーを出して取材する場合もあるが、基本的には関西のニュースは在阪局が取材したものをキー局が全国へ放送する。大阪のテレビ局がネガティブな情報を出さなければ、おのずと全国に向け放送される機会も少なくなる。
大屋根リングの一番上は1周ぐるっと歩けるようになっているのですが、名前に反して“屋根がない”。夏になれば入場口、パビリオンの行列、大屋根リング上などで熱中症が続出するでしょう。おまけにメタンガスがいつ、どこから発生するかわからない。もしルールを守らない人がその辺でタバコに火をつけたら爆発する危険性もあります。万博には大阪府内の小学生などもたくさん招待でやってくる。大きな事故が起こらなければいいのですが……」(同・在阪テレビ局スタッフ)
真実を報じるはずのテレビ局が、協賛しているため、ポジティブな報道を恣意的に報じなければならないとは何とも皮肉なものだ。

2025年4月7日月曜日

兵庫 百条委・第三者委が報告書 斎藤氏知事失格 パワハラ認めるも「告発者捜しは適切」!?

 しんぶん赤旗日曜版に掲題の記事が載りました。
 第3者委員会は「告発文書」は公益通報に当たり、斎藤知事が「告発音探索」を命じるなどしたことは公益通報者保護法違反であり「違法の程度は極めて大きい」と断じ、直ちに処分を取り消すべきだとしたのに対して、知事は「保護法違反の認定についていろいろな考え方がある」「見解が異なるところがある」と拒否し、県の対応は適切であったと主張しています。
 朝日新聞3月29日付社説は知事は、「もはや独善と言っても過言ではない。斎藤氏こそが『知事として失格』と言うほかない」と述べました。
 党兵庫県委員会と党県議団は3月24日、連名で「百条委・第三者委報告を踏まえ、告発者の処分撤回と名誉回復、斎藤知事の辞職を求める」声明を発表しました。
 百条委員を務めた庄本悦子県議団長は「告発者を探索し処分した自身の行動をいまなお正当化する知事の態度は、県職員の権利を認めず、萎縮させ、ひいては県民に不利益を及ぼすもの。直ちに辞職すべきです」と語ります
 百条委や第三者委の結論を無視する斎藤知事の態度は「前代未聞」というべきで、到底「県政を前に進める」態度には見えません。
「斎藤マダム」連が毎回県議会の傍聴席に陣取って、知事の入場時などに「ガンバッテー」と奇声をあげたり拍手したりする在り方も異常そのものです。
 併せて3日付の東京新聞の社説 「斎藤兵庫県知事 自ら進退決するべきだ」を紹介します。

 ところで「第三者」委員会は他に2つあり、報告書は既に上がっているようなのですが、県は不可解な理由を挙げて、その公開は3ヶ月先になるとかということでまさに兵庫県政の異常さを示しています。
 まるこ姫が「兵庫県知事自身が作った3つの第三者委員会の②番目の委員会のヤバさ」とする記事をだしましたので併せて紹介します。
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兵庫 百条委・第三者委が報告書 斎藤知事失格 パワハラ認めるも「告発者捜しは適切」!?
                    しんぶん赤旗日曜版 2025年4月6日号
 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラや告発者つぷしなどの疑惑を調査してきた県議会百条委員会と第三者調査委員会が3月にそれぞれ知事を厳しく断罪する調査報告書を出しました。県政を続けることが許されるのか知事の責任が改めて厳しく問われる事態となっています。
                               兵庫県・喜田光洋記者
    『告発文書問題』
      元西播磨県民局長が昨年3月にパワハラなど斎藤知事の疑惑の告発文書を報
     機関などに送付。知事らが告発者を探索・特定して知事が会見で「うそ八百」
     「公務員失格」と非難しました。元局長は5月に停職3ヵ月の懲戒処分となり、
     7月に「一死をもって抗議する」とメッセージを残して自死。告発文書と知事ら
     の対応を調査するために県議でつくる百条委員会が6月に、元裁判官などでつく
     る第三者委員会が9月に発足しました。

 3月4日に発表された百条委員会報告書は、斎藤知事のパワハラについて、七つの事例を「パワハラ行為といっても過言ではない」と指摘。告発者捜しや懲戒処分など一連の対応を「公益通報音保護法違反の可能性が高い」「告発者潰(つぶ)しだ」と強く批判しました。
 同19日発表の第三者委員会報告書はさらに踏み込み、▽会場の20手前で公用車を降りた際、迎えた職員を激しく叱責 ▽ドンと机を叩(たた)いて職員を叱責し、隣の部屋まで聞こえた-など10の事例を「パワハラに当たる」と認定しました。
 告発文書は公益通報に当たると認めました。告発された当事者である知事が告発音探索を命じ、発した元局長を事情聴取しパソコンを押収したことなどは通報者探索を禁じた公益通報者保護法違反であり、「違法の程度は極めて大きい」と断じました

 告発を理由とした元局長への懲戒処分も違法で無効と認定。会見で元局長を「うそ八百」などと述べたのはパワハラであり「極めて不適切」としました。
 ところが斎藤知事はこれらの指摘をほとんど受け入れません。
 百条委報告書を「一つの見解」と無視。第三者委報告書に対しては「真摯(しんし)に受け止める」と何度も言いながら、保護法違反の認定について「いろいろな考え方がある」「見解が異なるところがある」と拒否「(告発)文書は誹膀(ひぼう)中傷性が高い」「対応は適切だった」と従来の見解をくり返しました
 パワハラについては「指摘を認めていきたい」と認めざるをえませんでしたが、自身の処分は否定しました
 違法性を認めず、自ら設置した第三者委の認定も認めない知事への批判が拡大しています。昨年9月に不信任決議で失職(知事選で再選)しましたが、再び進退を問う声が大きくなっています
 朝日新聞3月29日付社説は報告書を拒否する姿勢を批判し、「もはや独善と言っても過言ではない。斎藤氏こそが『知事として失格』と言うほかない」と書きました
 さらに、▽知事は公選法違反疑いで捜査中 ▽誹膀中傷を浴びた元百条委員の竹内英明元県議が死去 ▽維新県議が非公開情報を立花孝志氏に渡す-など重大問題が連続発生しています。

共産党「告発者者の名誉回復と知事辞職を」
 日本共産党は疑惑解明をはじめ県政正常化へ重要な役割を果たしてきました。
 ▽党県議団は2024年5月、客観性のある調査へ第三者機関設置を知事に申し入れ、知事は設置 元局長の懲戒処分直後に知事に撤回を申し入れるなど処分撤回、名誉回復を一貫して主張し、百条委報告書に反映 25年2月の衆院総務委員会で辰巳孝太郎議員が引き出した、「(今回のような外部への通報も)事実に関係する者を調査に関与させないことが望ましい」との政府答弁が百条委報告書に掲載-など貢献しています。

 党県委員会と党県議団は3月24日、連名で「百条委・第三者委報告を踏まえ、告発者の処分撤回と名誉回復、斎藤知事の辞職を求める」声明を発表。政党・会派でいち早く知事辞職を要求しました。二つの報告書を受け共産党の追及や主張の正しさが浮き彫りとなっています。
 百条委員を務めた庄本悦子県議団長は「告発者を探索し処分した自身の行動をいまなお正当化する知事の態度は、県職員の権利を認めず、萎縮させ、ひいては県民に不利益を及ぼすもの。直ちに辞職すべきです」と語ります。
 
 
<社説> 斎藤兵庫県知事 自ら進退決するべきだ
                          東京新聞 2025年4月3日
 兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題で、県の第三者委員会は知事らの対応を「違法」と認定したが、知事は受け入れない考えを示した。
 自らが設けた第三者委にもかかわらず、結論が意に沿わないからと認定を拒むとは独善すぎる。公人としての資質を疑わざるを得ない。進退を自ら決するべきだ。
 一連の問題で県議会は調査特別委員会(百条委)を設置。これに対して知事は、中立性が高く、元裁判官3人を含む弁護士6人で構成する第三者委を設けた。
 先月19日に公表された第三者委の報告書は、元県民局長(故人)が告発文書を作成、外部に流したことを外部公益通報と認定。
 知事らが告発者を捜し出し、文書の「作成・配布」を理由に元局長を懲戒処分したことは、公益通報者保護法に違反すると指摘し、処分は無効と断じた。
 知事のパワハラ疑惑も、調査した16件中、10件を認定した。先に出された百条委の報告書よりも一段と踏み込んだ内容だ。
 県の懲戒処分指針は職員のパワハラについて停職、減給、戒告などを定める。知事は記者会見でパワハラを認めて謝罪したが、自らの処分への言及は避けた
 元県民局長への対応が違法との指摘も、知事は受け入れを拒み、「見解が違う」「対応は適切」として姿勢を変えなかった。

 判断が不満でも受け入れなければ、第三者の調査は意味を成さない。知事は自らの振る舞いが「法の支配」をも揺るがしかねないとの自覚を欠くのではないか。
 百条委の報告を受け、知事が元県民局長のパソコンに「わいせつな文書」があったと公表した点も第三者委は「人を傷つける発言は慎むべきだ」と戒めた。知事に元局長の処分撤回と謝罪を求める
 知事のかたくなさを支える一因は昨秋の出直し選挙で再選したことだろう。だが、選挙は百条委や第三者委による報告書公表前だ。知事側のPR会社は公選法違反容疑で強制捜査も受けている。
 一連の問題では元県民局長と元百条委委員が自殺とみられる形で亡くなった。自らの振る舞いと関わる形で人命が失われた重みを理解できないなら、県民の代表たる資格があるとは到底言えない
 
 
兵庫県知事自身が作った3つの第三者委員会の②番目の委員会のヤバさ
                        まるこ姫の独り言 2025.04.06
先日、斎藤県知事が設置した3つの委員会の中の1番目、県民局長は公益通報者か否か、斎藤県知事にパワハラがあったのか否かを弁護士と元裁判官が調査した結果を公表していたが、概ね、斎藤県知事のパワハラもあり公益通報者保護法違反であると報告された。

それがこの下の図では1番目にあたる。
真摯で誠実で、ほとんどの人が納得できる報告書だった。
それを否定し続けているのが第三者委員会を設置した当の斎藤県知事で。

今、話題になっている、元県民局長の私的情報漏えい問題が話題になっている「第三者委員会」とはこの図で行くと2番にあたる。Gjqutgyakaardtl

この第三者委員会は、「元県民局長の私的情報とされる内容がネット上に漏えいした問題で、県が第三者委員会を設置する際、報道機関の情報源も調査するよう依頼していたことが分かった」と報道されていた。
「県が第三者委員会を設置する際」という事は、斎藤知事が第三者委員会を設置したわけだから、斎藤知事が報道機関の情報源の調査を指示したという事だろうか。
それとも勝手に県の幹部が暴走して報道機関の情報源も調査しようと判断したのだろうか。

県の幹部が暴走したとしても、斎藤知事にどんな調査をするという報告が行くのではないか?
知事が調査内容を知らないではシャレにもならない。

政治家や芸能人たちの不祥事やスキャンダル発覚はほとんどと言って週刊文春から始まると言って過言ではない。
だからか、県が週刊文春を県の調査対象にしていたという事は。

文春がどのような記事を書くか、情報源は誰かなど、すごく気になっていたのだろうと想像がつくが、肝心なところは答えず秘密裏にしてしまうとか、情報を隠蔽するような県の対応は、さすが斎藤知事が率いる兵庫県だ。

パワハラや、公益通報者保護法違反を平気でやる兵庫県は、どこから県の情報が漏れたのか議会にも内緒で報道機関にまで食指を伸ばして情報源特定までしようとしている。

ここまで必死になる県を見たら、怖くて公益通報しようとは誰も思わなくなる
それが狙いなのかもしれないが。。

トランプ関税暗雲は霧消するか(植草一秀氏)/金融知識が欠如しているホワイトハウス

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
「トランプ関税」は当然ながら世界中に大混乱を巻き起こしました。関税率を引き上げて他国からの輸入を抑制することで米国の製造業を再興させるのが目的のようなのですが、それ以前に米国が再びインフレに見舞われることになるので、簡単に達成できるという見込みはありません。
 22年から23年にかけて米国FRB(日本銀行に相当)は驚異的なペースで利上げを断行し、米国はハイパーインフレへの突入を免れた後、24年に入って金融政策を「引き締め」から「緩和」に転換しました。。
 FRBは常に情勢を的確に判断し適正な金融政策運営を目指しますが、トランプは常に利下げを指向するのでFRBと対立する局面が到来するかも知れません。

 植草氏は適正な金融政策運営という基盤が崩壊すれば、米国経済は極めて不安定な状況に置かれるので、来年の中間選挙で敗北しトランプが失脚する恐れがあると述べます。
 そして関税率の引き上げは奏功しない可能性が高いので、トランプが路線転換を示すのは遠い未来でない可能性が高いと述べています。
 
 併せて〝マスコミに載らない海外記事″ の「金融知識が欠如しているホワイトハウス ー 関税がそれを示している」を紹介します。
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トランプ関税暗雲は霧消するか
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年4月 3日
トランプ2.0が本格的に始動しつつあるが、連動して世界に暗雲が広がり始めている
トランプ大統領がウクライナ戦争を終結させる意思を有することは正しい。
そもそもトランプ大統領はウクライナ戦争を勃発させるべきでなかったとの判断を持つ。
米国大統領がバイデンだったから戦争が勃発した。トランプ大統領はこう判断している。

トランプ2.0が始動したら、早期に戦争を終結に持ち込む。この意思に沿って動いていると思われる。だが、さまざまな利害が絡み、簡単に着地はしない模様
トランプ大統領のアキレス腱になるのは経済政策である。とりわけ懸念されるのがFRB(⇒米国の日本銀行に当たる組織)との摩擦。
2022年から23年にトランプが大統領でなかったことは幸運だった。22年から23年にかけてFRBは驚異的なペースで利上げを断行した。この利上げによって米国はハイパーインフレへの突入を免れた

2024年に入ってFRB金融政策は「引き締め」から「緩和」に転換。
このなかでトランプが大統領への返り咲きを果たした。トランプは利下げを好む。利上げを嫌う。しかし、適正な金融政策運営には的確な情勢判断が必要不可欠。常に利下げを指向するトランプ大統領とFRBが対立する局面が到来するかも知れない

パウエル議長の任期満了は来年2月。次期FRB議長をどうするかの議論が早晩始動する。
FRBが経済運営の要。FRBの適正な金融政策運営という基盤が崩壊すれば米国経済は極めて不安定な状況に置かれることになる。
トランプ大統領はFRB対応に失敗して失脚する恐れがある。最大の警戒要因である。

足元では世界経済が不透明感に包まれている。
トランプ大統領の高率関税政策が始動したからだ。トランプ氏は4月5日に、すべての国からの輸入品に一律10%の関税を発動すると発表。
さらに、トップの座を奪われつつある中国からの製品に34%、欧州連合(EU)に20%、日本に24%の追加関税を課す措置を4月9日に発動するとしている。
米国の消費者がどう動くか。関税率引き上げ分が米国の小売価格に転嫁されると米国の消費者が高率関税を負担することになる

トランプ大統領の政策方針の基軸はMAGA(⇒右記)。米国を再び偉大な国にする。
大統領選では選挙のたびに勝敗が入れ替わる激戦州(swing state)が鍵を握る。
ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアの中西部がかつての工業地帯。工業地帯の衰退が進行し、この地域の製造業再興が大統領選挙戦術上、重要な意味を持った
日本製鐵によるUSスチール買収に米国大統領が難色を示すのはUSスチールが最激戦州ペンシルバニアを地盤とする企業であることが強く影響している。
しかし、米国が関税率を引き上げて米国の製造業が本格的に再興するのかどうか

世界は分業体制で成り立っている。それぞれの産業の比較優位は時代の変遷に連動して変化する。
食料は生存のために不可欠な財であり、国家は食料の自給を実現するために農業を中心とする一次産業を手厚く保護する。これは国民の生命と命を守るために正当な対応。日本はこの点をおろそかにしており、道を間違えている。

他方、製造業の立地は比較優位を元に変遷する。関税率の引き上げは奏功しない可能性が高い
株式市場はトランプ関税政策の負の影響を読み込み始めている。
トランプ大統領は2026年中間選挙で大敗すれば完全にレームダック化する。
トランプ大統領が路線転換を示すのは遠い未来でない可能性が高い。
           (後 略)
 
 
金融知識が欠如しているホワイトハウス - 「関税」がそれを示している
                マスコミに載らない海外記事 2025年4月 5日
                    Moon of Alabama  2025年4月3日

2025年全国金融リテラシー月間に関する大統領メッセージ- ホワイトハウス、2025年4月1日
 アメリカの経済的繁栄の基盤は、アメリカン・ドリームを実現するためう、情報に基づいた財務上の決定を下すための知識と手段を備えた社会だ......

 このメッセージを私は歓迎する。
 金融知識教育は上層部から始めなければならない。トランプ政権閣僚には、十分な情報に基づいた金融上の決定を下すための知識と手段が明らかに欠如している。
 彼らがどのようにしてこれら数字を導き出したのか、これが唯一の説明だ。


 中国はアメリカ製品に67%の関税を課していない(73%だ)。EUはアメリカ製品に39%の関税を課していない(52%だ)。数字はでたらめだ。
 すると、それらは一体どこから来たのだろう? アメリカ通商代表部による公式説明はここにある。これはでたらめだ。

James Surowiecki @JamesSurowiecki - 2025年4月3日 0:22 UTC·
これらの偽関税率がどこから来ているのか分かった。彼らは、実際に関税率と非関税障壁を計算したと主張しているが、そうではない。その代わりに、各国について、その国との貿易赤字を、その国のアメリカへの輸出で割っただけだ
 つまり、インドネシアとの貿易赤字は179億ドル。インドネシアからアメリカへの輸出は280億ドル。17.9ドル÷28ドル=64% で、トランプはこれがインドネシアがアメリカに課している関税率だと主張している。これはとてつもないデタラメだ。
…  トランプにしても、彼らが「貿易赤字を輸入で割り、それが関税率だと国民に伝える」と言ったのが信じられない。そして、その完全にでっち上げた税率を半分に減らして、関税を設定すると決めたのだ。これは実に愚かで欺瞞的だ。
…  実際は私が思っていたより酷い。関税率を計算する際に、トランプ側近は物品の貿易赤字のみを使用した。つまり、アメリカが世界とのサービス貿易で黒字を出しているにもかかわらず、トランプにとって、それら輸出は計算されないのだ。

この最後の点は中国にとって、そして特にEUにとって重要な点だ。

EUとアメリカ間の物品およびサービスの貿易は、2023年に1.6兆ユーロという驚異的な額に達した。これは毎日44億ユーロ相当の物品およびサービスがEUとアメリカの間で大西洋を渡っていることを意味する。
...  2023年の二国間物品貿易総額は8,510億ユーロに達した。EUはアメリカ市場に5,030億ユーロの物品を輸出し、3,470億ユーロを輸入した。これによりEUの物品貿易黒字は1,570億ユーロとなった。
 2023年のEUとアメリカ間の二国間サービス貿易総額は7,460億ユーロだ。EUはアメリカに3,190億ユーロのサービスを輸出し、アメリカから4,270億ユーロ輸入した。この結果、EUのサービス貿易赤字は1,090億ユーロとなった。
...  EUとアメリカの物品とサービスの貿易は均衡しており、2023年のEUのアメリカへの輸出とアメリカのEUへの輸出の差は480億ユーロで、EUとアメリカの総貿易額の僅か3%に相当する。

 それにもかかわらず、トランプ大統領はEUからの全商品に20%関税を課すよう命じた。EUの当然の対抗措置は、アメリカの全てのサービス輸入に20%以上の関税を課すことだろう。
 またトランプ大統領は、全ての国からの輸入品に最低10%の関税を課すよう命じた。南極の無人島ハード島とマクドナルド島のペンギンが作った製品には、今後10%の追加料金が課されることになる。
 これらの数字の背後には経済的根拠は皆無だ。

 

アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand -·2025年4月3日 午前4:16
これらk関税計算がいかに無意味かを示すために、年間GDPが僅か24億ドルのアフリカ最貧国の一つ、レソトの例を挙げてみよう。トランプ計画により、レソトはリストに載っている全ての国の中で最も高い50%の関税率を課せられる。
…  実際のところ、レソトは南部アフリカ関税同盟(SACU)メンバーとして、この地域の貿易ブロックが確立した共通の対外関税構造を適用している。
…  従って、これら5か国がアメリカ製品に課している関税が全く同じなため、アメリカはこれら全ての国に50%の関税を課さなければならない、そうだろう? いや、そうではない。南アフリカは30%、ナミビアは21%、ボツワナは37%、エスワティニはわずか10%で、これは全ての国の中で可能な限り低い税率だ。
 レソトについて具体的に見ると、毎年レソトからアメリカは約2億3,600万ドル相当の商品(主にダイヤモンド、繊維、アパレル)を輸入している一方、レソトに輸出している商品は約700万ドル相当に過ぎない(https://wits.worldbank.org/CountryProfile/en/Country/LSO/Year/2022/TradeFlow/EXPIMP/Partner/by-country )。
 なぜ輸出が少ないのか? 繰り返すが、これは極貧国で、国民の56.2%が1日3.65ドル未満 ( https://databankfiles.worldbank.org/public/... )、つまり年間1,300ドル未満で暮らしているのだ。彼らにはアメリカ製品を買う余裕が全くなく、そのような収入では誰も iPhoneやTeslaを買うつもりはない...
 関税の実際の計算方法は、単純で経済的に意味のない計算式に基づいているようだ。アメリカとある国との貿易赤字を、その国のアメリカへの輸出で割り、これを「アメリカに課せられる関税」と偽って宣言しているのだ。
 そして、昨夜の演説でトランプが行ったように、あなた方は寛大にも、彼らにその「関税」の半分を課すことでのみ「報復」すると宣言するのだ。
 従って、レソトの場合、計算は次のようになる。(2億3,600万ドル - 700万ドル)÷2億3,500万ドル=97%。これがレソトがアメリカに課すとみなされる「関税」で、その半分、つまり約50%がアメリカが「報復」するものだ。
 これが全く意味をなさない理由は非常に簡単にわかる。

 

 レソトはダイヤモンドを採掘し販売できるため、アメリカより比較優位がある。しかし、アメリカ製品やサービスを購入する購買力が欠けている。トランプ政権の計算は、こうした基本的な事実を無視している。
 ちなみに、ベラルーシ、ロシア、北朝鮮に対して、関税は導入されていない。これは制裁措置のためで、アメリカはこれらの国々とは貿易関係がないと言われている。(原子力発電所用に濃縮ウランを購入する以外は?)
 この愚かな行為が自分の顔の前で爆発するのをトランプ政権は予想していたのだろうか?
 これはスムート・ホーリー関税法の拡大版だ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/04/white-house-lacks-financial-literacy-tariffs-show.html 

「二次情報だらけの社会になると民主主義は危うい!」~オールドメディアの衰退とネット記事の功罪

 JBpressに掲題の記事が載りました。
 昨秋、斎藤元彦を兵庫県知事に再選した選挙はおよそ不正常なもので、オールドメディアが公平な選挙を目指すあまり「沈黙」を貫いたのに対して、SNS界は、事実と全く異なる「誹謗中傷」の嵐が吹きまくる異常な空間と化しました。
 端的にいえばSNS界の情報は「二次情報」が大半なので、一つひとつに「その真実性の判断(リテラシー)」が要求されることは、そもそもの当初からいわれていたことでした。
 それにもかかわらず、住民の代表を選ぶ選挙という重大な局面において、意図的に情緒・感情に訴える全くデタラメな言説があそこまで完全に「幅を利かせた」のは恐ろしい現象でした。

註.文中に「エモい」という言葉が出てきますが、検索すると「なんとも言い表せない素敵な」というような意味です。
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「二次情報だらけの社会になると民主主義は危うい!」新聞記者が痛感したオールドメディアの衰退とネット記事の功罪
                       砂田 明子 JBpress 2025.4.4
 記者歴16年、デスク9年のベテラン新聞記者がぶつかったデジタルという壁。「何かの間違いではないか」と目を疑うほど、ネットで記事が読まれない現実に直面し、文章の書き方をゼロから見直していく。Z世代へのフィールドワークなどを通して分かったのは、デジタルは「感情」の世界であること。ゆえに、アナログの紙面とはまったく異なる書き方が求められることだった──。

 共同通信社が配信するウェブ「47NEWS」でオンライン記事を作成し、これまで300万以上のPV(ページビュー⇒アタック数)を叩き出してきた斉藤友彦氏。『新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと』(集英社新書)で、デジタル時代の文章術を指南するとともに、オールドメディアと言われる新聞の厳しい未来を考察した。文章の変化は、社会の変化の表れでもある。なぜ「共感」がこれほど求められるようになったのか。斉藤氏に話を聞いた。

 斉藤友彦(さいとう・ともひこ)】
 共同通信社デジタル事業部担当部長。1972年生まれ。名古屋大学文学部卒業後、1996年共同通信社入社。社会部記者、福岡編集部次長(デスク)を経て2016年から社会部次長、2021年からデジタルコンテンツ部担当部長として「47NEWS」の長文記事「47リポーターズ」を配信。2024年5月から現職。著書に『和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか』(講談社)がある。

Yahoo!ニュースもYouTubeも見ない」Z世代

──斉藤さんは2021年に共同通信社の「デジタルコンテンツ部」に配属され、きちんと取材をした良質な記事が、ネットでまったく読まれないという事態にショックを受けます。PVがとれているのは取材ゼロの「こたつ記事」ばかり……。こうした状況にむなしさを感じながらも、斉藤さんは静かに立ち向かっていく。文章術の指南本であると同時に、新しいフィールドで自分をアップデートしていくための奮闘記としても読みました。デジタル部署への異動は斉藤さんにとってどのようなものでしたか?

斉藤友彦氏(以下敬称略) 異動するずっと前からデジタル向けに記事を出す仕事をやりたいと思っていたんです。紙だけやっていても未来はないと思っていたので、デジタルをやらなければと。遅まきながら共同通信にそういった部署ができたので、希望して移りました。
 ところが、丹念に取材した良い記事が、ネットでなかなか読まれない。つまりPVがとれない。対してYahoo!ニュースでランキング上位の記事を見ると、「これってニュースなの?」という記事だったりするので、愕然としました。
 
──そこからさまざまな試行錯誤を始めますが、その 一つが、Z世代をはじめとする幅広い年代へのリサーチ。記事を読んでもらって感想を聞くという地道な活動を始めます。若い世代の生の声は容赦なく、それだけに貴重です
 
斉藤 たまたま別の業務で、Z世代からニュースについての意見や感想を聞き取る仕事をしていたのです。それで、よく行く飲み屋やカフェのマスターに紹介してもらって、記事についてもヒアリングを始めました。
 そうしたら驚きの連続で……。そもそも「忙しいのに、なぜニュースを読まないといけないのか」とか、「Yahoo!ニュースもYouTubeも見ない」と言われる。その後、さらに幅広い年齢層の人にも話を聞くようになったのですが、インタビューするときは必ず、スマホで最もよく使うアプリを尋ねるようにしています。年齢層がきれいに表れるんですね。若い人はTikTokやインスタグラムが主流で、動画も短尺なものへと移っていることがよく分かります。
 
反射的な認知システム「システム1」を刺激し続けるネット空間
 
──リサーチを経て斉藤さんがたどり着いたのは、〈デジタル記事と新聞記事は、読む目的も読者の感覚もまったく異なる「別物」〉という認識。新聞の読者が能動的なら、デジタルの読者は受動的。新聞記事が左脳的なら、デジタル記事は右脳的。隙間時間に無料で読まれるデジタル記事には、「共感」「ストーリー」「自分事」が求められる。つまり「デジタルは感情の世界」だと書かれています

斉藤 言うまでもなくデジタルはテクノロジーでできている情報空間なので、論理的整合性であったり、前向きさが求められる世界なのかと思っていたのですが、入ってみたら全然違った。正直、ショックではありましたが、新聞の発行部数が20年でほぼ半減している時代において、デジタルと縁を切ることができないとも思いました。
 
──「感情」の世界にあわせて、記事の書き換えをすると、ぐんぐん読まれるようになっていく。客観的な新聞記事を、「主人公」を立てたデジタル記事に書き換えるなど、新聞→デジタルの成功事例が紹介されており、「書き方」によって文書はこうも変わるのかと驚かされました。ただ、「共感」や「分かりやすいストーリー」に傾き過ぎる弊害もネット空間では問題になっています。なぜデジタルでは「感情」がこれほど重視されると思いますか?
 
斉藤 この点に関して私自身は明確な答えを持ち合わせていませんが、計算社会科学者の鳥海不二夫さん(東京大学大学院教授)の新書を読んで、自分の感覚に近いことが書かれていると思いました。『デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現をめざして』(日経プレミア)という、憲法学者の山本龍彦さんとの共著です。

 SNSのデータ分析をされている鳥海さんはこの本の中で、人間には2つの認知システムがあるといいます。一つが「システム1」と呼ばれる反射的に動くシステム。あまり難しく考えずに即座に行う直感的な行動には、この「システム1」が動いています。
 もう一つの「システム2」は、じっくり考えて反応するシステムです。新聞や本といったこれまでのメディアは主に「システム2」を働かせてきましたが、アテンション・エコノミー(情報の質よりも人々の関心や注目を集めた方が経済的利益が大きいことを指摘した経済学の概念)が支配するネット空間は、主に「システム1」を刺激し続けるという特徴があると。だからネット空間は危ないと、鳥海さんが警鐘を鳴らされているのを読んで、なるほどと思いました。
 とはいえ「システム1」を刺激すること自体が悪いわけではありません。ただ、デジタルはそうした情報空間であることを理解して使う必要があるだろうということです。ですから教育が非常に大切だと思います。私もこたつ記事を読むことはありますが、くだらないと思いながら楽しく読んでいれば、それはそれで大丈夫な気がしています。
 
「エモい」こと自体に良い悪いはない

──新聞とデジタルでは、「見出し」の作り方も異なります。ポイントや痛恨の失敗例、「~理由」「~のわけ」といったタイトルの記事が溢れているとの考察も参考になります。デジタルでは読者の「感情」をゆさぶる表現は重要なポイントではありますが、いわゆる「釣り見出し」にならないよう斉藤さんは細心の注意を払っているそうですね

斉藤 仕事柄、ネットニュースのヘビーユーザーでもあるので、たくさんの記事を見ていますが、うまいなあ、と感心する見出しもあれば、もうここのサイトの記事は読まない、と思うような強烈な見出しもあります。
 読者の目を引くことを第一目的にすると、長い目で見て信頼を失うと思います。ネット記事において見出しは確かに大事ですが、見出しだけに頼るべきではないと考えています。

──「共感」や「ストーリー性」を重視した新聞発のネット記事が増えていることを背景に、昨年は「エモい記事」論争が起きました。日本大学教授の西田亮介さんが、エモい記事を否定しないがこの手の記事が多すぎるのではないか、新聞の本来の役割とは何かを投げかけた記事が発端となった論争ですが、この問題をどう捉えていますか?
        『その「エモい記事』いりますか 苦悩する新聞への苦言と変化への提言』(朝日新聞
          デジタル、2024年3月29日)
 
斉藤 一連の記事を読んで、なるほどなと思うところはありましたが、エモいこと自体に良い悪いはない、というのが私の考えです。
 記事を書くときに一番大切なのは、「何を伝えたいか」です。記者が記事を書くときは、必ず伝えたいことがあります。それを伝える手段として「書き方」をどうしようかと考えるわけで、いわゆるエモい書き方をした方が、より多くの人に伝わる内容だと判断するのであれば、そうした方がいいだろうと思います。記者にとって、伝わらないのがいちばん悲しいことなので。
 もちろんひたすらエモいだけで、何を伝えたいかが分からない記事は、一時的なPVは稼げても、会社の信頼を損なうでしょう。ただ、結果的に記事がエモくなることはあるだろうと思います。
 
稼げているのは「二次情報」を発信している人ばかりに
 
──斉藤さんはデジタル記事を書くために、記者生活で身につけた「新聞スタイル」をいったん否定されました。新聞スタイルとは「逆三角形型」で、記事の前の方に大事な要素をもってきて、短い文字数で必要な情報を伝えるスタイル。この冒頭詰め込みスタイルが、ネットだと「疲れる」「重すぎる」と敬遠されたわけですが、これはこれで非常に優れた文章術です。「コスパ重視」の人にとっては、むしろこちらの方がコスパがいいのでは? と思ったりもしました。
 
斉藤 そうですね。今も私自身は、新聞スタイルの方が読みやすいんです。短時間で、まんべんなく情報が得られますから。でも、電車に乗っているときや、ぼーっとスマホを見ているときなどは、もう少し受動的に、感情に支配されながら記事を読んでいるので、一人の人間のなかにも、いろんな状況やニーズがあるのだろうと思います。
 そもそも新聞は買ってくれた人が読むわけです。一方デジタル記事は、何百、何千と並ぶ記事の中から見つけてもらい、読もうかなと思ってもらわなければいけない。新聞とは異なる、読まれるための努力が必要なのは、考えてみたら当然です。
 
──その新聞の部数は20年でほぼ半減しています。本書では「組織ジャーナリズム」がなくなる未来を見据え、そのとき何が起きるかを考察しています。一次情報を生む組織ジャーナリズムが衰退すると〈自由や民主主義と相いれない社会になる〉二次情報だらけの社会になると、陰謀論が広がり、社会の分断が進んでいく……。すでに現実になりつつあります
 
斉藤 ネットでインフルエンサーを名乗る人や、オンラインサロンなどで解説している人は増えていますが、彼らが基にしている情報のほとんどが、オールドメディアと呼ばれる新聞社や出版社が取材して出している「一次情報」です。
 しかし、今稼げているのは、他から引っ張ってきた一次情報をうまく加工した「二次情報」を発信している人たちで、汗をかいて一次情報をとるオールドメディアが衰退している。この状況をどうすればいいのかということを考えますね。
 オールドメディアが生き残れないと、一次情報がない世界が広がることになり、何が正しい情報か分からなくなるため民主主義は危うくなると思います。
 本にはアメリカやロシアの例を挙げましたが、日本でも、情報元を明らかにしないまま断言するユーチューバーが多くの再生回数を得ています。私は組織ジャーナリズムが生き残る必要があると考えていますが、オールドメディアがどうトランスフォーム⇒変換していけばいいのか。その答えを、まだどのメディアも持っていないのではないでしょうか。
 ただ、紙がなくなっても、ネットで読まれ、伝わる記事を書かなければいけないことは、間違いないと思っています。