2025年4月10日木曜日

10- 大阪万博会場の高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符

 6日、大阪・関西万博の会場で、メタンガスが「着火すると爆発するおそれがある」とされる基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしていました。
 試験公開で万博会場を訪れていた来場者が検知器を持ち込んで調べたところ、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスが基準値を超えているのが分かり消防に通報したということです。
 この問題は以前からしんぶん赤旗などで度々指摘されていました。当局は問い合わせ等に対してその都度「対策を取るから」と回答して来ましたが、開会の直前でもこの有様です。本当に大丈夫なのでしょうか、
 NHK、日刊ゲンダイ、FRIDAYの記事を紹介します。
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大阪・関西万博会場で基準値超えのメタンガス検出 対策を強化
                      NHK NEWS WEB 2025年4月7日
6日に大阪・関西万博の会場で、メタンガスが基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしています。
博覧会協会によりますと、4月6日、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスの濃度が、着火すると爆発するおそれがあるとされる基準値を超えているのが見つかりました。
試験公開で万博会場を訪れていた来場者が、検知器を持ち込んで調べ、消防に通報したということで、30分ほどの換気でメタンガスは検出されなくなりました。
同じ区画では去年3月、地中から出たメタンガスに工事の火花が引火する爆発事故が起きていて、博覧会協会は、この区画で、
▽建物の地下にファンを設置して強制的にガスを排気するとか
▽屋外の地下空間では、定期的に測定や換気をする
といった再発防止策をとってきました。
ガスが検出された場所も対象になっていて、博覧会協会は、
▽1日1回だった測定を3回に
▽測定場所を2か所から7か所に増やすことにしています。
博覧会協会の高科淳副事務総長は「メタンガスは地下で検出され、地上に出ると霧散して危険性はなくなるので、直ちに危険ではないが、来場者の安全のため、念には念を入れて対策していく」と述べました。
 
林官房長官「一時的な濃度上昇 開幕までに万全期す」
林官房長官は午後の記者会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる。会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている。開幕までの間にさらに的確な対応策を講じ万全を期していきたい」と述べました。
 
 
大阪万博会場の“爆発”リスクはやっぱりヤバい…高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符
                         日刊ゲンダイ 2025/04/09
 開幕まであと4日の大阪・関西万博。先週末に行われたテストランでは、高濃度のメタンガスが会場内で検知され、消防が出動する事態にまで発展した。
 異変に気付き通報した大阪府守口市の寺本健太市議(共産党)が8日に記者会見を開き、経緯を説明した。元消防士の寺本市議は今月6日のテストランを視察した際、ガス検知器を持参。昨年3月に爆発事故が起きたトイレ付近のマンホールを測定したところ、引火すれば爆発しうる最低濃度(5vol%)を超えるメタンガスが検知されたという。
 開幕直前になってもなお、メタンガス対策の不備が露呈したわけで、寺本市議は「『いのち輝く未来社会のデザイン』と言っておきながら、いのちが吹き飛ぶ危険がある」と、安全管理体制を批判するのだった。
 騒動を受け、大阪府の吉村洋文知事は同日、メディアの取材に応じ「メタンガスは空気より軽いので自然換気すれば対応できる」とコメント。政府も林芳正官房長官が会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる」「会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている」などと述べ、安全性の問題を否定した。万博協会は今後の対策として、ガス濃度のモニタリングの頻度を上げるほか、換気を強化するためマンホールのふたを常に開け、人が立ち入らないよう柵を設けるという
 
■対策には限界
 しかし、こんな取ってつけたような処置で、本当に十分な安全対策と言えるのか。以前から万博会場のメタンガス問題について警鐘を鳴らしてきた、建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「仮に野原など何もないところでは、『自然換気すれば対応できる』という説明は正しいと思います。しかし、万博会場にはさまざまな建造物があり、場所によってはガスが空気中に出ていくのを阻まれてしまう。また、会場は構造上、地下空間が存在するため、やはりどこかでメタンガスが滞留してしまう。確かにマンホールを開けての換気は効果がありますが、それだけでは不十分と言わざるを得ません。すでに工事が完了しているパビリオンも多く、ガス滞留への抜本的な追加対策には、限界があるのではないでしょうか」
 万博の成功しか頭にない府や国が必死に否定しても、爆発のリスクはやはり残るようだ。「空飛ぶクルマ」ならぬ、「空飛ぶマンホール」は見たくない。
 
 
大阪万博はメタンガス、大混雑、熱中症と問題山積みも…テレビ局がネガティブ報道を控える「意外理由」
                              FRIDAY2025/4/8
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
大阪万博を必死にPRする石破茂首相だが……
大阪・関西万博の開幕まで1週間を切った。
“維新色”が非常に強いが万博は国家事業だ。

4月5日にはテストランに石破茂首相(68)が訪れ、会場内の様子や海外パビリオンの準備状況を視察した。石破首相は視察をしたうえで、
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
と太鼓判を押した。
盛り上がり具合をニュースでは報道し、“機運醸成はばっちり”と言いたいところだが現状はネガティブ要素が山積みしている。
まず5日のテストランで判明したのは、抽選で選ばれた大阪府民ら計約3万人という限られた人数が来場しただけでも、会場に入るまでに1時間半以上かかったということ。期間中は1日最大22万7000人の来場者を想定している。
「駅から入場口までの距離が短すぎて、逃げ場がない。駅の階段などでパンクを起こし“雑踏事故の危険性があるのではないか”という声が上がったようです。入場口で手荷物検査などがあるため、予約していてもスムーズには入れず、テストランの状態でもパビリオンの予約時間に間に合わなかったケースが発生していましたね」(全国紙記者)
そんなグダグダなテストランをしている真っただ中の6日、爆発する恐れのあるメタンガスが検知されたと万博協会が発表。午後4時ごろ会場の西側「グリーンワールド」工区で、着火すれば爆発の可能性があるとされる濃度の基準値を超えるメタンガスが検知された
SNSで消防隊員が作業に当たっている映像が拡散されたが、警告音のようなブザーが鳴り響いていた。自然換気を行い、約1時間後に基準値を下回ったことを確認し規制を解除したようだ。

◆局内の万博担当から「そろそろネガティブな報道はやめて」
「少し前の3月10日には、万博会場となる目玉の大屋根リングの土台部分の盛り土が海水で浸食されていると発表されました。『つながりの海』と『ウォータープラザ』の護岸あわせて約1100メートルのうち、半分以上の約600メートルの護岸が海水に浸食されてしまったのです」(前出・全国紙記者)
写真を見ても土台のすぐ近くの砂が侵食されている。なぜこのようなことが予測できなかったのか理解に苦しむ。“棒倒し”のように大屋根リングが崩壊しなければいいが。
しかし、在阪のテレビ局スタッフからは
「ネガティブ要素は山ほどあるが、報道しづらくなってきている」
と複雑な心境を明かす
「テレビ局はこれまで万博のニュースを扱ううえで、パビリオンの遅れやチケットの売れ行きが悪いなどネガティブ要素もしっかり報道してきました。しかし来週からは万博本番。実はテレビ各局は万博に協賛・参画しているため、局内に担当の事務局のような部署が存在する。本番になれば、どんどん現場から中継したりロケしたりして盛り上げなければならない。局内の万博担当からは“そろそろネガティブな報道はやめて盛り上げるほうへ切り替えてもらえると助かる”とお願いされていますよ。メタンガスなどはストレートニュースで短めに扱っていますが、大々的には扱いにくい雰囲気ですね」
バラエティーや情報番組などは、キー局から独自のクルーを出して取材する場合もあるが、基本的には関西のニュースは在阪局が取材したものをキー局が全国へ放送する。大阪のテレビ局がネガティブな情報を出さなければ、おのずと全国に向け放送される機会も少なくなる。
大屋根リングの一番上は1周ぐるっと歩けるようになっているのですが、名前に反して“屋根がない”。夏になれば入場口、パビリオンの行列、大屋根リング上などで熱中症が続出するでしょう。おまけにメタンガスがいつ、どこから発生するかわからない。もしルールを守らない人がその辺でタバコに火をつけたら爆発する危険性もあります。万博には大阪府内の小学生などもたくさん招待でやってくる。大きな事故が起こらなければいいのですが……」(同・在阪テレビ局スタッフ)
真実を報じるはずのテレビ局が、協賛しているため、ポジティブな報道を恣意的に報じなければならないとは何とも皮肉なものだ。