2025年6月5日木曜日

ガザ食料配給所「死のわな」に イスラエル軍 集まる人々に発砲

 ガザでは、米国が主導しイスラエルも容認した少数の配給所に集まったガザの住民がイスラエル軍に銃撃され殺されています。食料配給所が「死のわな」になっていると言われる所以です。極悪非道な行いというしかありません。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は1日、「支援物資の配給は死のわなと化している」と強く非難しました。
 ガザ南部のラフア市で1日、食料配給を受け取ろうと集まっていたパレスチナ住民に対してイスラエル軍が発砲し、ガザ保健当局によると、少なくとも31人が死亡、169人が負傷する惨事が発生しました。現場は、米国が支援するガザ人道財団が運営する食料配給所の近くで、多くの住民が食料を求めて集まっていました.。
 同じ惨劇は3日にも起き、少なくとも27人が死亡し多数が負傷しました。
 1日の銃撃で死亡したホッサム・ワフイさん(37)の兄弟のアリさんは、「米国とイスラエルは、配絵所に行って、食料、水を受け取れと言った。援助が届いたら、彼らは私たちを攻撃した」と語りました
 南米チリのボリッチ大統領は1日、議会で行われた年次教書演説の中で、ガザ地区に対するイスラエルの攻撃を「民族浄化」と厳しく非難し、「イスラエル政府がパレスチナ人民に対して行っているジェノサイド(集団殺害)と民族浄化」に反対するのは、民主主義のルールと人権尊重と同じ原則に基づいていると述べました。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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ガザ食料配給所「死のわな」に イスラエル軍 集まる人々に発砲
                        しんぶん赤旗 2025年6月3日
31人死亡
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区南部ラフア市で1日、食料配給を受け取ろうと集まっていたパレスチナ住民に対してイスラエル軍が発砲し、ガザ保健当局によると、少なくとも31が死亡、169が負傷する惨事が発生しました。この事件について、イスラエルが食料配給所を死のわなにしているとの批判が強まっています。現地の関係者に聞きました。
「配給が開始された後、突然ドローンが集まっていた人々に向けて発砲し始めました。兵士による銃撃と戦車の砲撃がそれに銃きました」-現地を取材中のフリージャーナリスト、モネエブ・サアダさん(40)はそう証言します。
 現場は、米国が支援するガザ人道財団(GHF)が運営する食料配給所の近くで、飢えに苦しむ多くの住民が食料を求めて集まっていました。
 現在、イスラエル当局が認めている支援物資の配給所は、かつて約400ヵ所あったものがわずか4ヵ所にまで減らされています。そのうち3ヵ所はガザ南部に集中し、住民が食料を受け取るためには南部へ移動せざるを得ない状況が意図的につくり出されています。それだけに、配給所へ集まった人々への発砲は悪質です。
 現場にいたムハンマド・アワドさん(26)は、サアダさんを通じた取材で次のように証しました。
「私は何も持たず、小麦粉をもらいに来ただけでした。突然、銃声が響き、皆が叫びながら逃げ始めました。隣にいた青年が倒れ、首から血を流していました。助けようとしましたが、一人ひとりを狙い撃ちするような銃撃で、身動きが取れません。まさに虐殺だ」

危険にさらされながら救命
医師・国連機関 強く非難
 ガザ地区南部ラファ市の食料配給所の銃撃の当時、現場に居た人々は衝撃を受けています。
 孫のために食料を調達しに来たというウンム・アーヘドさん(52)は次のように語ります。
「銃撃されても、どこへ逃げればよいのかわかりません。皆が一斉に逃げ回りました。誰かが『息子が死んだ』と泣き叫んでいたので、私はその子を抱いて走りました。血が胸いっぱいに広がっていきました」
 救急活動をする人たちも人命の危険にさらされています。
 ガザ地区救急救命サービス総局長のイヤド・ザクート医師は本紙に、次のように語りました。
負傷者を医療機関に搬送する手段がなく、家畜が引く荷車で代用せざるを得ない非人道的な状況です。イスラエル軍は救急車を標的にし、その運行を妨害しています。救急隊員たちは銃撃の危険にさらされながら、命がけで任務にあたっています
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は1日、X(旧ツイッター)で「支援物資の配給は、死のわなと化している」と強く非難しました。
 同氏は「支援物資の運搬と配給は、大規模かつ安全に実施されなければならない。ガザでは、UNRWAなど国連を通じてのみ、その実現が可能」と表明。「イスラエルは封鎖を解き、国連が安全かつ妨げられることなく運搬・配給できるようにしなければならない」と訴えました。
                               (カイロ=米沢博史)


ガザ配給所 また銃撃 27人死亡
                        しんぶん赤旗 2025年6月4日
27人死亡
 パレスチナ・ガザ地区南部ラファで「ガザ人道財団」が開設した食料配給所で3日、食料を受け取りに来たパレスチナ人にイスラエル軍が発砲し、地元保健当局によると少なくとも27人が死亡、多数が負傷しました。ロイター通信が報じました
 米国とイスラエルの支援を受けた同財団の食料配給には、人道支援遮断によって飢餓に追い込まれた人々が殺到し、イスラエル軍の相次ぐ実弾射撃で多数の死者が出ています
 パレスチナや国際機関の当局者によると、1日に31、2日に3人がイスラエル軍の発砲で死亡。ロイター通信によると、ラファで仮設病院を運営する国際赤十字委員会は、184人の死傷者を受け入れ、うち19人が病院到着時に死亡していたと述べました。
 国連のグテレス事務総長は1日、食料配絵所付近での銃撃で住民多数が死亡したとの報道を受けて、「がく然としている。パレスチナ人が食料のために命を危険にさらしていることは容認できない」と非難しました
 グテレス氏は、独立した調査と責任者の処罰を要求。イスラエルは国際人道法上の義務を負っており、「ガザの巨大な必要性を満たせる規模の援助の持込みが、妨害を受けずに、直ちに再開されなければならない」と指摘しました
 同財団の食料配布を巡っては、これまでガザで活動してきた国連や人道援助団体が、人道援助の原則に反する取り組みだと厳しく批判してきました。食料配給所では、イスラム組織ハマスの関係者を排除するため顔認証を行っているとも報じられています。
 3日の銃撃について、イスラエル軍は、配給所から1キロほどの地点で「数人の容疑者が(軍に)接近するのを予防するため」警告射撃したと説明しました。
 ガザ南部ハンユニスのナセル病院では、1日の銃撃で死亡したホッサム・ワフイさん(37)の葬儀のために親戚が集まりました。ホッサムさんの兄弟のアリさんは、ロイタ通信に対し、「米国とイスラエルは、(配絵所に)行って、食料、水を受け取れと言った。援助が届いたら、彼らは私たちを攻撃した。これは公正なのか」と語りました。


グレタさんらガザヘ NGO人道支援船 シチリアを出発
                        しんぶん赤旗 2025年6月3日
【カターニア(イタリア・シチリア島)=ロイター】国際的なNGO「フリダム・フロティラ連合(FFC)は1日、パレスチナ・ガザ地区に向けた人道支援船「マドリーン号」がイタリアのシチリア島東部カ夕ニアの港から出航したと明らかにしました。
 出航したマドリーン号には、気候変動活動家のグレタ・トゥンベリさんやアイルランド人俳優のリアム・カニンガムさんらがボランティアで乗船。FFCは限られた量だが、象徴的な人道支援物資が積まれているとしています。
 5月上旬にFFCは別の支援船「良心号」をガザに派遣しましたが、同船はマルタ領海を出たところでドローン2機に攻撃され、ガザに到着することはできませんでした。FFCは、イスラエルによる攻撃だと非難しています。
 トゥンベリさんは、出航前の記者会見で「どんな困難があろうと出発し、試みを続けなければならない。それをやめれば、われわれは人間性を失う」と語りました。「今回の任務がいかに危険であっても、人命がジェノサイド(集団殺害)されるなか、全世界が沈黙することほど危険なものはない」と付け加えました。
 FFCは、今回の出航は「慈善活動ではない」とし、「イスラエルによる違法な(ガザ)包囲と戦争犯罪の激化に異議を申し立てる非暴力の直接行動だ」と説明しています。


ガザ攻撃「民族浄化」 チリ大統領「占領地物品輸入禁止へ法案」
                        しんぶん赤旗 2025年6月3日
 南米チリのボリッチ大統領は1日、議会で行われた年次教書演説の中で、パレスチナ・ザ地区に対するイスラエルの攻撃を「民族浄化」と厳しく非難し、同国が違法に占領している地域で生産された物品の輸入を禁止する法案を議会に提出すると表明ました。
 ボリッチ氏は、「イスラエル政府がパレスチナ人民に対して行っているジェノサイド(集団殺害)と民族浄化」に反対するのは、民主主義のルールと人権尊重と同じ原則に基づいていると指摘。違法な占領地で生産されたイスラエル製品の輸入禁止法案の議会への提出とともに、防衛分野でのイスラエル企業への依存をなくす計画の策定を国防相に指示したことを明らかにしました。
 ボリッチ氏は、イスラエルヘの抗議の意志を示すため、の間、駐イスラエル大使を本国に召還し、国際航空宇宙見本市へのイスラエルの参加をとりやめたことを説明。パレスチナとチリは地理的には遠く離れているが、「私たちはその痛みを忘れないし、痛みを感じることをやめない」と述べました。同時に、イスラム組織ハマスについては「ハマスのテロを断固糾弾する」と表明し、人質の解放を要求しました。