植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
植草氏は、12日の衆院憲法審査会の幹事会に 自、公、維、国民、有志の5会派が、緊急時の国会議員の任期延長に関する憲法改正の骨子案を提示したと報じられていることについて、「国の基本法を取り扱う憲法審査会が重大なルール違反を犯している」と断じました。
日本国憲法は硬性憲法でありその改正には高いハードルを置いているとして、そもそも「幹事会」は憲法審査会の運営を協議するのが目的であって、「改正原案の骨子」などを論じる場ではないのに、そこに改正案を提示することが間違いであるし、まして検討するのは誤りであるとした上に、憲法審査会規定の成立時に課されていた、CM規制、資金規正、SNS等の適正利用等についての細目の決定がまったく進んでいない状態であると指摘しています。
このことは植草氏が3日付のブログ(⇒当ブログでは5日付 「憲法審査会という砂上の楼閣)」)で、「憲法制定権も改正権も保持しているのは主権者国民。憲法論議は主権者である国民の「不断の監視と批判の下」に置くことが必要不可欠。主権者国民の「監視と批判」が届かない幹事会や幹事懇談会で憲法改正の具体案を論議するのは言語道断」と述べましたが、一向に改まらないので再度指摘したものです。
何にもまして「憲法改定に関する事項」は、全て公開の上で厳格に進めて欲しいものです。
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幹事会で憲法審議は規定違反
植草一秀の「知られざる真実」 2025年6月14日
6月12日の衆院憲法審査会の幹事会に自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」の5会派が、緊急時の国会議員の任期延長に関する憲法改正の骨子案を提示したと報じられている。
国の基本法を取り扱う憲法審査会が重大なルール違反を犯している。
憲法審査会規定は次のように定めている。
(幹事)
第六条 憲法審査会に数人の幹事を置き、委員がこれを互選する。
2 会長は、憲法審査会の運営に関し協議するため、幹事会を開くことができる。
(会議の公開及び傍聴)
第二十二条 憲法審査会の会議は、公開とする。ただし、憲法審査会の決議により非公開とすることができる。
(会議録)
第二十三条 憲法審査会は、会議録を作成し、会長及び幹事がこれに署名し、議院に保存する。
2 会議録は、電磁的記録の提供その他の適当な方法により各議員に提供する。ただし、第十九条の規定により会長が取り消させた発言については、この限りでない。
「憲法審査会の会議は公開とする」と定めている。
また、「憲法審査会は、会議録を作成し、会長及び幹事がこれに署名し、議院に保存する。」
と定めている。
それはそうだろう。権力が暴走しないように権力を縛るのが憲法。改正には高いハードルを置いている。簡単には変えられない意味を含めて〈硬性憲法〉と呼ばれている。
その憲法改正にかかる審議については厳正な手続きが採用されなければならない。
公開の場で審議を行うのは、憲法改正論議を「主権者である国民の不断の監視と批判の下に置くため」である。審査を行うのはあくまでも憲法審査会の場でなければならない。
ところが、記事が伝えているのは一体何か。
自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」の5会派が、緊急時の国会議員の任期延長に関する憲法改正の骨子案を
〈衆院憲法審査会の幹事会に〉提示したというのだ。
上記の憲法審査会規定には、
「会長は、「憲法審査会の運営に関し協議するため、」幹事会を開くことができる」としている。
幹事会は憲法審査に係る審議を行う場ではない。「公開」でもなく「議事録」も作成されない。
あくまでも「憲法審査会の運営」を協議するのが〈幹事会〉であって、「改正原案の骨子」などを論じる場ではない。
こんなルールさえ守れない者が憲法改正の論議をしてよいわけがない。
さらに重大な問題が二つある。
一つは、現時点では憲法改正の内容の議論を行う前にやるべき〈準備〉の作業が積み残しになっていること。
国民投票に際してのCM規制、資金規正、SNS等の適正利用等について細目を定めることが期限を区切って法律に明記されている。
この手順も踏まずに憲法改正の骨子案など議論されてよいわけがない。
もう一つの問題は、今回提示された議員任期延長が基本的人権を侵害するものであること。
憲法改正の枠を超えている。憲法改正案ではなく憲法破壊案である。
毎週木曜日朝に国会横=首相官邸前で「改憲発議阻止デモ」が開催されている。
2015年の戦争法制制定時の主権者運動を踏まえてこの「憲法改正発議阻止デモ」に十万単位の市民が足を運ぶ必要が生まれている。
次回6/19改憲発議阻止デモ
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『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄をさらに深堀りする新著の公刊迫る。6月19日刊行予定。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
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