2015年12月10日木曜日

秘密保護法は会計検査にも支障 憲法90条違反

 特定秘密保護法によって、安全保障に著しい支障を及ぼす場合、秘密を含む文書の開示を拒否できることについて、「会計検査院が国の収入決算の全てを検査する」という憲法90条の規定に触れ、検査業務に支障をきたす恐れがあると、検査院が同法成立前、内閣官房に条文の修正を求めていたことが分かりました。
 
 検査院は「憲法上問題である」として、法案成立前に内閣官房に計3回申し入れましたが、内閣官房はそれを拒否し、最終的に秘密保護法の条文は変えないが、検査に支障がないよう「秘密事項でも検査上必要があれば、提供する取り扱いに変更を加えない」とする通達を、内閣官房が各省庁に出すことで合意しました。
 しかしその通達が法成立後2年たっても出されていないということです
 
 特定秘密保護法は問題が山積の法律ですが、この面でも憲法違反の代物であることが明らかになりました。
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秘密保護法「業務に支障」=憲法上問題と指摘-検査院
時事通信 2015年12月8日
 特定秘密保護法が「会計検査院が国の収入決算の全てを検査する」という憲法90条の規定に触れ、検査業務に支障をきたす恐れがあるとして、検査院が同法成立前、内閣官房に条文の修正を求めていたことが8日、分かった。内閣官房は条文を修正しない代わりに、検査に関する情報提供には変更を加えないという通達を出すとしていたが、成立から2年たっても出されていないという。
 
 検査院などによると、2013年9月に同法の政府原案を示された検査院は、安全保障に著しい支障を及ぼす場合、秘密を含む文書の開示を拒否できるとする規定について、会計検査に必要な資料が提供されなくなる恐れがあると指摘。「憲法上問題だ」として、条文の修正を求めた。
 内閣官房は「関係省庁の調整で対応可能」と修正を拒否。検査院は同年10月上旬まで計3回、文書で申し入れたが結論は出なかった。
 同月10日には双方の幹部が協議し、条文は変えないが、検査に支障がないよう「秘密事項でも検査上必要があれば、提供する取り扱いに変更を加えない」とする通達を、内閣官房が各省庁に出すことで合意したという。
 
 検査院法規課は「これまでに特定秘密を理由に検査に支障が出た事例はない」とした上で、13年12月の同法成立から2年がたっても通達が出されていないことについて、「公正な検査の妨げにならないよう、早期の通達を求めたい」としている。
 内閣官房内閣情報調査室は「憲法上問題とは考えていないが、検査院の懸念に対し、各省庁の認識を統一するため通達を出すことにした。法律の運用を見つつ、適切な時期に出す」としている。