2015年12月4日金曜日

安倍政権下で大企業の内部留保は急増

 政治経済学者の植草一秀氏は、「アベノミクスの不都合な真実」の中で、「アベノミクス第三の矢とされる成長戦略は大企業利益の成長であって、国民所得や国民生活の『成長』ではないGDPが減っているのに企業収益が拡大しているということは、労働者の所得が大幅に減っているということを意味している」と述べています。
⇒  12月3日 アベノミクスの不都合な真実 (植草一秀氏) 
 
 同じく経済学者の野口悠紀雄氏は、安倍政権が法人税減税で企業の賃上げを誘導しようとしていることについて、「そもそも、法人税は人件費などの経費を支払った後に残る利益に対して課されるものだ。だから、法人税率を変えたところで、企業の行動が変わるはずはない。法人税率を下げれば、内部留保が増えるだけのこと」と批判しています。
⇒    政府の賃上げ要請や法人税減税で賃金は上がらない
野口悠紀雄 ダイヤモンドオンライン 2015年12月3日 
 
 実際に、安倍政権が誕生してから大企業の内部留保は急激に上昇し、資本金10億円以上の企業の内部留保が初めて300兆円を超えました。
 具体的には2012年末に安倍政権が発足する直前の263・2兆円から3年足らずで301・6兆円と38・4兆円も増加しました。
 植草氏が言う通り、アベノミクスによってもたらされたものは株価の上昇とGDPの停滞で、大企業は成長したもののその分国民は貧困化しました。
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内部留保 300兆円突破 財務省統計 安倍政権で38兆円増
土地や工場は減
しんぶん赤旗 2015年12月3日
 大企業の内部留保が初めて300兆円を突破したことがわかりました。財務省が1日発表した7~9月期の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業がため込んだ内部留保は301・6兆円でした。安倍政権が発足する直前、2012年7~9月期の263・2兆円から38・4兆円もの増加です。
 
 内部留保は「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざす安倍晋三政権下で急増しています。
 内部留保が急増する一方、大企業が保有する土地や工場など有形固定資産は減少しました。同じ3年間に有形固定資産は135・8兆円から130・6兆円へと5・2兆円もの減少です。同じ期間に現金・預金と取り崩し可能な有価証券(流動資産分)を合わせた手元資金は5・8兆円も増えました
 
 内部留保 企業があげた利益から配当や税金を払った後、ため込んだ部分。利益の残りである利益剰余金、企業の資本取引から生じた資本剰余金、引当金から成ります。
 
図