2015年12月13日日曜日

国連人権理「表現の自由」担当のデイビッド・ケイ氏にインタビュー

 国連人権理事会「表現の自由」担当のデイビッド・ケイ特別報告者(米カリフォルニア大教授)は、特定秘密保護法施行や自民党が昨年の衆院選を前に在京テレビ局関係者を呼びつけた問題など、日本の表現の自由をめぐる状況について、12月上旬に訪日して政府関係者らに面談して調査することになっていました。それを日本政府は一旦は了承したものの、直前の11月になって予算編成作業があるなどを理由に1年ほども延期しました。
 
 予算編成作業があることは10月の時点で分かっていることなのでそれが本当の理由なのか不明です。直前になって1年ほどもの延期を申し出るのは異例且つ非礼なことであり、また不可解な対応です
※ 11月21日 国連人権理の「表現の自由」調査、政府がドタキャン 非常識
 
 特定秘密保護法の施行に当たる10日、東京新聞がビッド・ケイ氏にインタビューしました。
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秘密法施行1年「多くの人々が懸念」 国連「表現の自由」調査担当者が本紙に
東京新聞 2015年12月10日
 「表現の自由」を担当する国連の特別報告者デイビッド・ケイ氏(米国)は、十日の特定秘密保護法の施行一年に合わせた本紙の取材に答えた。秘密保護法が国民の「知る権利」を侵す恐れがあると指摘されていることに関し「日本の多くの人々が情報へのアクセスやメディアのあり方を懸念していることを知っている。政府がどのように対応しようとしているかが大変重要だ」と述べた。日本政府から延期の申し出があった訪日調査を来年早々に行いたい意向も示した。 
 
 ケイ氏は訪日調査が実現した場合、特に政府に確認したい項目として(1)どのようにメディアの自由と独立性を保障しているか(2)市民の知る権利をどう確保しているか(3)個人は公共の場やインターネット上で自由に発言できる機会を享受できているか-を挙げた。
 
 ケイ氏は「これらは表現の自由の根底をなす基本的な質問だ。政府と細部にわたって深く議論したい」と強調。秘密保護法に懸念を持つ市民団体からの聞き取りにも「彼らの見方や考え方を学びたい」と意欲を示した。表現の自由に関する日本の法体系全体は「基本的原理に忠実であり、総じて称賛されるものだ」と評価した。
 
 特別報告者は国連の人権理事会が任命した専門家で、特定の人権テーマを調査し理事会に報告するのが役割。ケイ氏は今月一~八日の日程で訪日し、政府担当者への面接や市民団体への調査を行う考えだったが、直前の十一月に日本政府から要請があり延期した。「失望するとともに、引き続き調査できるよう希望した」というが、まだ具体的な日程は決まっていない。
 
 ケイ氏へ情報提供を予定していた非政府組織(NGO)など九団体は、早期の調査受け入れを求める文書を外務省に提出。外務省幹部は「訪日を拒否したわけではない。万全の受け入れ態勢を整えるための調整だ」と説明する。 (石川智規)
 
<デービッド・ケイ> 米カリフォルニア大アーバイン校法科大学院教授。専攻は国際人権法と国際人道支援法。ハーグの国際刑事裁判所や他大学でも講義を持ったほか、人権に関する著書や論文多数。