2015年12月24日木曜日

安田純平氏 6月シリアで拘束 官邸は情報を把握するも隠蔽  

 フリージャーナリスト安田純平さん(41)6月下旬頃にシリアで身柄を拘束されました。
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は23日までに、シリアの武装勢力が安田純平さんを拘束し、身代金を要求しているとの見解をホームページで明らかにし「安田さんの今後の安否を強く懸念している。日本政府に救出に尽力するよう求める」と訴えました。
 
 この件について、LITERAは24日の記事で、政府は7月にはその情報を把握していたものの安保法案の成立の阻害要因になるとして、隠蔽したのではないかとしています。
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シリアで安田純平さん「拘束」 国境なき記者団が救出要請
共同通信 2015年12月23日 
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)は23日までに、シリアの武装勢力がフリージャーナリスト安田純平さん(41)を拘束し、身代金を要求しているとの見解をホームページで明らかにした。「安田さんの今後の安否を強く懸念している。日本政府に救出に尽力するよう求める」としている。
 
 安田さんは6月下旬、泥沼化するシリア内戦を取材するためトルコ南部ハタイ県からシリア北西部に越境。予定していた7月中旬を過ぎても帰国しなかった。
 政府高官は23日、取材に「日本政府はしっかり対応している」と述べた。拘束の確認も含めて情報収集を強化する考えだ。(共同)
 
 
安田純平氏のシリア拘束で「国境なき記者団」が声明!
安倍官邸は7月に拘束情報を把握するも隠蔽していた
LITERA 2015年12月24日
 今年6月から7月にかけて、シリアで消息を絶ったとみられていたジャーナリストの安田純平氏に関して、昨日23日、新たな情報があった。
 
 パリに本部を置く非政府ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が22日、ホームページで、安田氏がシリアで武装勢力に拘束されているとして、早急な解放を求める声明を掲載したのだ。
 
〈「国境なき記者団」は日本政府に対し、安田純平さんの解放のためにあらゆる手段をとるよう求めた。彼は日本のフリージャーナリストで、7月にシリアで誘拐され、今も武装勢力の人質となっている。
 国境なき記者団が昨日入手した情報によると、安田さんを捕まえている武装勢力は身代金の支払いの期限をカウントダウンし始め、もし支払いが遅れれば、彼を処刑するか他のテロリストたちに彼を売ると脅している。
 安田さんは7月のはじめ、シリアの国境に入ってから数時間後に、アル=ヌスラ戦線の支配する地域で武装勢力に誘拐された。安田さんが取材しようとしていた情報には、1月にISISに処刑された彼の友人であるジャーナリスト・後藤健二さんの情報を含む〉(声明より、編集部訳)
 
 共同通信によれば、政府高官は「日本政府はしっかり対応している」と述べ、拘束の確認も含めて情報収集を強化する考えだという。
 しかし、これまでの安田氏をめぐる対応を見ていると、残念ながら日本政府には期待できないだろう。
 というのも、本サイトは今年7月13日、安田氏がシリアで拘束されているとの情報を記事にしていたが、当時取材したところ、官邸担当記者はこのような証言をしていたからだ。
「政府も7月はじめには拘束の事実を把握していたようです」
 7月の時点で安田氏拘束の事実を把握していながら、しかし菅義偉官房長官ら政府は救出に向け動くどころか、むしろ拘束情報を隠蔽しようと躍起になっていたのである。
 
 菅官房長官は、7月9日の会見で、この情報について質問されると、「拘束されたとの情報には接していない」と否定。同様に、岸田文雄外相も「少なくとも現在、邦人が拘束されたとの情報は入っていません」「(安田氏がシリアに入ってることも)確認していない」と、完全にシラを切っていた。また、7月31日の会見でも、菅官房長官は「政府としては、ありとあらゆる情報網を関係方面に駆使しながら情報収集に努めている」としつつも、「拘束されたことについては、政府として確認していない」と、一貫して拘束を認めてこなかった。
 
 一体なぜ拘束情報を隠蔽したのか。当時、その理由を官邸記者担当記者はこのように語っていた。
もちろん安保法制の国会論議への影響を考えてのことです。今の段階で下手に情報が出れば、強行採決がふっとびかねない。だから、隠せるだけ隠そうということでしょう。今後も、政府は後藤さんのときと同じで人質交渉をする気なんてないでしょうね。そのまま放置して、もし発覚したら、逆に『だからこそ安保法制が必要だ』という論議にすりかえる構えでしょう」(官邸担当記者)
 そう考えると、政府高官が、今回の「国境なき記者団」の声明を受けて、「日本政府はしっかり対応している」と微妙にコメントのニュアンスを変えているのも、うなずける。
 
 安倍政権は、国民に情報を伝えるため、海外の危険地域で報道に携わる邦人の命よりも、自分たちの法案、政局のほうが重要なのだ。今後、安倍官邸がどのような手段で安田氏救出に動くかは依然不透明だが、少なくとも、拘束から半年が経とうとしている安田氏の状況は一刻を争う事態であることも考えられる。
 拘束情報を把握しながら半年にわたって隠蔽してきた政府の対応も冷酷だが、政権幹部に否定されたことで今回海外メディアに報じられるまでまったく報じなかった新聞、テレビの姿勢もおおいに疑問だ。(編集部)