2015年12月26日土曜日

慰安婦問題 新基金の創設を提案へ

 政府は28日日韓外相会談で、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡る打開に向けて新たな基金の創設を提案することにしていますが、基金の規模を巡って韓国側と大きな隔たりがあります。
 この問題について天木直人氏は、慰安婦問題に対する正しい歴史認識を欠落したままの、韓国を見下した傲慢な解決案を韓国が受け入れるようでは、これまでの慰安婦問題をめぐる騒動は一体何だったのかということになると述べています。
 きわめて的確な批判です。
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慰安婦問題 新基金の創設提案へ 妥結目指し調整 
NHK NEWS WEB 2015年12月26日
政府は28日にソウルで行われる日韓外相会談で、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡る打開策の柱の1つとして、新たな基金の創設を提案することにしています。しかし、基金の規模を巡って韓国側と大きな隔たりがあり、最終的な妥結を目指して引き続き調整を行うことにしています。
 
岸田外務大臣は慰安婦問題の早期妥結を目指す安倍総理大臣の指示を受けて、28日、韓国・ソウルでユン・ビョンセ(尹炳世) 外相との会談に臨むことにしています。
会談で岸田大臣は、財産・請求権の問題は完全かつ最終的に解決済みだという日本の立場を維持しながらも、元慰安婦を支援するための、過去に支給した償い金のような形での新たな基金の創設を、打開策の柱の1つとして提案することにしています。
しかし、関係者によりますと、これまでの調整では、基金の規模を巡って韓国側が数十億円程度の規模を求め、日本側と大きな隔たりがあるということです。
また、日本側は、二度とこの問題を蒸し返さないという韓国政府の確約や、ソウルの日本大使館の前に設置された慰安婦を象徴する少女像の撤去なども求めることにしています。
日韓両政府は、外相会談の前日の27日にソウルで外務省の局長協議を開くなど、最終的な妥結を目指して引き続き調整を行うことにしています。 
 
 
政府、合意文書を提案へ 日韓外相会談で
毎日新聞2015年12月25日
 政府は25日、ソウルで28日に開かれる岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相による日韓外相会談で、慰安婦問題については最終決着したとの趣旨の合意文書を作成するよう提案する方針を固めた。さらに韓国側が受け入れた場合の元慰安婦に対する支援策として、新たに1億円超の基金を創設する検討に入った。 
 
 外相会談の日程は25日、日韓両政府が発表した。27日にソウルで日韓外務省局長協議を開催し、外相会談に向けて最終調整する。日本側は今回の外相会談で最終決着の見通しが立った場合、年明けに安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領による首脳会談を開催することも検討している。 
 
 岸田外相は25日夕、外務省で記者団に「慰安婦問題は非常に難しい問題だ」とした上で、外相会談について「何ができるか、自分としてもぎりぎりの調整を行いたいと考えている」と述べた。また、今年が日韓国交正常化50年であることを踏まえ「50年の年末にあたり、日韓関係を前進させるべく、全力を尽くしたい」と述べ、年内の妥結に意欲を示した。 
 
 慰安婦問題について、日本側は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場だが、韓国側が「蒸し返す」ことを避けるため、両国間で最終決着を確約する文書を作成することを求める構えだ。日本政府関係者は「韓国側が政治的に『蒸し返さない』と宣言しなければならない」と指摘しており、文書の形式としては両外相による宣言文や共同声明などを念頭に置いている。 
 
 元慰安婦を支援するための新たな基金は、2007年に解散したアジア女性基金と同様の制度を検討している。アジア女性基金では、日本政府は解散後も医療・福祉などで支援するフォローアップ事業を続けており、15年度は約1500万円、16年度予算案でも約1300万円を計上した。この支出を1億円超増額し、新基金に充てる案で調整している。 
 
 両首脳は11月2日にソウルで初めて首脳会談を行い、慰安婦問題の「早期妥結」を目指し、局長協議を加速化することで一致。両国で1回ずつ局長協議を開催した上で、谷内正太郎国家安全保障局長が今月22〜23日に訪韓、韓国政府関係者と協議し、外相会談開催にこぎつけた。外務省幹部は「我々としては『これが最後』ということで合意できなければならない。二度と繰り返さないということを目指してやるべきだ」と強調した。【小田中大】 
 
 
こんな解決案を受け入れるようでは韓国の負けだ
天木直人のブログ 2015年12月26日
 突然の発表から一夜明けて、今度の慰安婦問題解決の内容が伝わって来た。
 きょう12月26日の各紙が報じる内容をひとことで言えばこうだ。
 日本政府による個人補償や責任問題には一切応じないが、慰安婦問題の不可逆的な解決(つまり二度と蒸し返さないこと)と日本大使館前の慰安婦像撤去に韓国側が応じるなら、日本政府は人道的観点から償い金の拠出に応じ、その額も増額する。場合によっては安倍首相の謝罪の言葉も伝える。
 
 これはまさしく安倍首相の考える解決案である。
 そこには、慰安婦問題に対する正しい歴史認識を欠落したままの、韓国を見下した傲慢な考えが見事に反映されている。
 こんな解決案で合意が成立するなら、これまでの慰安婦問題をめぐる騒動は、一体何だったのかという事になる。
 こんな安倍首相の身勝手な解決案を朴大統領が受け入れるとすれば、朴大統領の負けだ。
 こんな安倍首相の解決案を認める朴大統領を、もし韓国国民が許すなら、韓国国民は、永久に日本国民を超えることは出来ない。
 今度の日韓外相会談で試されるのは、慰安婦問題についての韓国側の本気度である(了)