2025年2月13日木曜日

13- イスラエルのために欧米諸国全体で公民権が破壊されている

 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
 これは西側において特にイスラエルの蛮行に対し、如何に報道の自由が失われているかの具体的な例を示すものです。
 後世の歴史において呆れられ笑われるような現象が、いま目の前で現実に起きているということを一体どう理解すればいいのでしょうか。

 併せて櫻井ジャーナルの記事「米国やイスラエルが約束を守らないことを知った世界を彼らは『交渉』で騙せない」を紹介します。
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イスラエルのために欧米諸国全体で公民権が破壊されている
              マスコミに載らない海外記事 2025年2月11日
  イギリス人ジャーナリスト、リチャード・メドハーストは、今度はオーストリアで、イ
  スラエルとその欧米諸国の人権侵害に関する報道を理由に、またもや欧米諸国の連邦法
  執行機関から迫害を受けている。 ケイトリン・ジョンストン 2025年2月8日

 イギリス人ジャーナリストのリチャード・メドハーストは、イスラエルとその欧米支援者による人権侵害を報道したため、またしても欧米諸国で連邦法執行機関から迫害を受けている。今度はオーストリアだ。オーストリア警察と諜報機関は月曜日、ウィーンでメドハーストを拘束し、その後自宅を捜索し電子機器を押収したと報じられている。ハマスと関係がある嫌疑があるという。
 8月にメドハーストは、 2000年英国テロ対策法第12条に基づきイギリス対テロ警察に逮捕され24時間拘留された。報道によると、逮捕理由は、禁止されているテロ集団に過度に同情的とみなされる政治的意見を表明したためだという。
 言い換えれば、欧米諸国のジャーナリストがイスラエルを批判する発言をしたため、複数欧米諸国法執行機関の標的となり迫害されているのだ。

 これは、ジャーナリストのアリ・アブニマがイスラエルについて誤った考えを表明したとしてスイス警察に2晩拘留されてから数日後のことで、ガザでの虐殺が始まって以来エスカレート傾向が続いている
 中東の大量虐殺アパルトヘイト国家の情報権益を守る名目で欧米世界全体で公民権が組織的に解体されているのが、いかに不気味で恐ろしいことかじっくり考えてほしい

 トランプ大統領の命令により、学校や大学における反ユダヤ主義と闘うことを公式目的とし、親パレスチナ活動家を標的にすることを非公式目的とした複数機関からなるタスクフォースがアメリカで発足した
 オーストラリアでも状況は悪化している。先日、イスラエルの虐待に関する事実をリツイートしたためにスポーツ記者が解雇された。解雇理由は、彼のリツイートのせいでメルボルンのユダヤ人がラジオで彼の声を聞いて「不安を感じた」ためだと告げられた。ガザにおけるイスラエルの犯罪行為に関する事実をリツイートしたため解雇されたジャーナリスト、アントワネット・ラトゥフの解雇を正当化するため「パレスチナの不法占領」という表現を使うのは反ユダヤ的だとオーストラリア国営放送局ABCのトップは述べた。

 最近、オーストラリア・シオニスト連盟代表が私をツイッターでフォロー/監視しているとに気付いた。同連盟は、イスラエル批判を抑圧し、わが国のジャーナリストを標的にする上で主導的役割を果たしてきたこうした変人連中が自分を監視していると気づくと、不快な気持ちになる。

 10月7日にイスラエル国防軍がイスラエル人への発砲を開始した際に起きた多くの死傷者と破壊は、イスラエル人が人質に取られるのを防ぐためイスラエルの悪名高いハンニバル指令施行により、イスラエル国防軍が引き起こしたのだという既に確立された事実をイスラエルの元国防大臣ヨアブ・ギャラントが認めた。
 そう、子供たち、10月7日を決して忘れないで。イスラエルの銃弾や戦車やヘリコプターや、ハマスによって1000人のイスラエル人が虐殺されたあの恐ろしい日だ。

 ガザとヨルダン川西岸で我々が目にしてきたこと全てが、パレスチナ人を全員死なせたり、強制退去させたりしてパレスチナから追い出そうとする計画の結果だ。全て。テロと戦うためではなかった。破壊された飛び地からパレスチナ人を救出するためではなかった。自衛のためでも人質のためでもない。パレスチナ人領土をユダヤ系イスラエル人が完全に所有できるよう、パレスチナ人のパレスチナでの存在を終わらせるためだった

 これは、2023年10月以降のイスラエルのあらゆる虐待行為に当てはまり、また2023年10月以前のイスラエルのあらゆる虐待行為にも当てはまる。これがパレスチナ人が抵抗していることで、そもそも10月7日が起きた理由だ。地球全体に広がる帝国が支援する彼らの故郷での民族としての存在を終わらせようとする計画に反対する先住民の闘いを我々は目の当たりにしているのだ。

 この民族浄化計画を、トランプ就任時にどこからともなく現れた動きとして民主党が位置づけるのは非常に不快だ。ガザが破壊された翌日、民族浄化は常に計画されていた。私自身、バイデン政権時代にこのことについて頻繁書いてきたし、他の多くの人もそうだ。イスラエルが10月7日を、もう一つの植民地主義的土地強奪の口実に利用していたのは最初から明白だったしイスラエルがガザにある人の生活に必要なもの全てを故意に破壊し組織的にガザを居住不可能な荒れ地に変えるにつれ益々明白になっていた

 これは全てバイデンが大統領だった時に起きたことだ。バイデンは殺人を犯し、トランプは死体処理を手伝いに現れただけの男だ。同じ犯罪の異なる部分でしかない。死体を処分する計画なしに殺人を犯すことはないし、殺人を犯さずに死体処分することはできない。川に死体を沈めているギャングを指差して叫び「見ろ! 彼は一人であの男を殺したんだ!」と民主党支持者は言っているが、まるで、もう一人のギャングが被害者の頭を撃つところを、我々全員ただ見ているだけでないかのようだ。
(中 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/08/civil-rights-are-being-destroyed-throughout-the-west-in-service-of-israel/


米国やイスラエルが約束を守らないことを知った世界を彼らは「交渉」で騙せない
                          櫻井ジャーナル 2025.02.12
 イスラエル軍による住民虐殺が続いていたガザでの停戦がイスラエルとハマスとの間で合意されたのは1月15日、1月19日には発効したが、その後もイスラエル軍による住民虐殺は続いていたと伝えられている。3週間足らずで110人が殺害されたという。
 6週間の停戦、ガザで拘束されている全イスラエル人の解放とイスラエルが拘束しているパレスチナ人の一部の解放、そこから恒久的な停戦へと進み、イスラエル軍のガザからの撤退、そして再建へということになっていた。
 しかしイスラエル軍による停戦違反が続き、ドナルド・トランプ米大統領は200万人と言われるガザの住民をヨルダンやエジプトへ移住させると宣言している。虐殺と追放で民族浄化を達成するということだ。イスラエルもアメリカもガザの人びとを騙そうとしたと言えるだろう。

 1997年7月25日付けのロサンゼルス・タイムズ紙に「イスラエルではカモになることは罪だ」というタイトルの記事が掲載された。イスラエル人は騙されることを恐れるとしている。合意した内容をイスラエルが守ると考えるのは罪だということなのだろう。
 停戦が発効した直後の1月21日と22日にイスラエル軍の作戦局を率いるオデッド・バシューク少将とその代表団が戦争犯罪による逮捕を免れるために外交免責を与えられた上でイギリスを訪れた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はワシントンを1週間にわたって訪問、停戦が第2段階に進むのを阻止しようと決意しているとイスラエルのメディアは報道している。イスラエル軍の兵士は休暇が取り消された。こうした展開を受け、ハマスは今回の合意で決められた次の段階へ進むことに興味がないと表明したが、当然だろう

 アメリカとイスラエルはガザにおける破壊と殺戮を再開しようとしている。そのため、両国のプロパガンダ機関である有力メディアはそうした行為を正当化するための宣伝をすることになる。アラブ諸国の支配層はイエメンを除き、そうしたパレスチナ人の大量虐殺を傍観することになると推測されている。
 ロサンゼルス・タイムズ紙の記事で、アメリカは約束を守るとしているのだが、そう信じている人は騙されやすい「お人好し」だ。アメリカやイギリスは約束を守らない。それを理解できなかったミハイル・ゴルバチョフはソ連を消滅させた上、NATOを東へ拡大させてロシアにとって安全保障上の重大な危機を招くことになった

 アメリカの支配層が約束を守らないことをウラジミル・プーチン大統領は認識しているだろう。長い時間を要したが、ロシアは西側諸国との交渉に応じないと見られている。プーチン大統領はウクライナを舞台としたアメリカやイギリスを含む西側諸国との戦闘で停戦や凍結することはせず、ウクライナからの独立を宣言した4をロシアの一部として承認し、ウクライナ軍を解体してNATOに加盟できないようにさせるつもりだと見られている。ネオ・ナチを壊滅させることもロシア側は譲れないはずだ。
 そうしたことをプーチンから言われたであろうドナルド・トランプは2月6日、イギリスに対してウクライナ防衛グループの議長を引き継ぐように要請したという