国民の主食であるコメの価格は1年前の8割高(乃至は7割高)になっています。たった1年間で、しかも主食の食品がそれほど高騰するとは以前であれば「コメ騒動」が勃発してもおかしくない話です。
これは昨年コメ不足でコメの価格が高騰した際に、政府が桁外れに大量な備蓄米があったにもかかわらず、「新米が出れば価格は収まる」からという見立てのもとに放置した結果であり、全ては政府の責任です(価格の高騰を狙って大量のコメを隠蔽している悪徳業者らの存在も含めて)。
現在の物価上昇で最も激しいのがいわゆる生鮮食品ですが、「生鮮食品は価格の変動が激しい」からという理由で平均物価算出の対象から除外されています。それは長年の慣習なので了承するとしても、庶民が現実に苦しんでいる原因は、他ならぬコメの高騰であり生鮮食品を中心とする食品の高騰です。
植草一秀氏が怒りの記事を出しました。
植草氏は大企業は大いに利益を増大させたものの庶民の暮らしは良くなるどころか悪くなり続けているとし、その最大の理由は政府が庶民の暮らしを良くしようと考えていないからだと断じます。
そして22年以降の日本はインフレに直面しているので、「インフレ抑止」を金融政策の根幹に据える必要があったのに、黒田東彦日銀総裁は任期満了までインフレ誘導の旗を振り続けたと指摘します。これは自分の面子を保つのためとしか考えられません。
そして昨年12月の消費者物価総合指数の前年同月比上昇率は3・6%、生鮮食品とエネルギーを除く総合でも前年同月比上昇率は2・4%で、日銀の目標値の2%をこれをはるかに超えていてインフレは鮮明であると述べています。
生鮮食品は昨年12月に前年同月比17・3%上昇し、ハイパーインフレに近いと述べ、金融政策はインフレ抑止に基軸を置き引き締め政策を断行するとともに、財政政策では消費税率を5%に引き下げて、生存権を守るとともに、景気浮揚を図るのが正しい経済政策対応と断じています。
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激しいインフレ容認する不正義
植草一秀の「知られざる真実」 2025年2月17日
日本国民は日本経済停滞の影響を受けてあえいでいる。
庶民の暮らしは一向に良くならない。良くなるどころか、悪くなり続けている。
その最大の理由は政府が庶民の暮らしを良くしようと考えていないからだ。
2012年12月に発足した第2次安倍内閣。〈アベノミクス〉なる経済政策を提示した。
金融緩和 財政出動 成長戦略 で日本経済を良くすると宣言した。
しかし、結果は悲惨なものだった。日本経済の停滞は何ひとつ変わらなかった。
労働者実質賃金は減少し続けた。他方、大企業利益だけは増大した。
〈成長戦略〉とは〈大企業利益の成長〉=〈庶民不利益の成長〉を目指すものだった。
一次産業自由化、医療自由化、労働規制撤廃、特区創設、法人税減税が実施された。
弱肉強食が強まり、中間層は下流へと押し流された。
現在の日本経済はこの延長線上に位置する。庶民の生活は一向に良くならない。
自公は2024年10月総選挙で過半数割れに追い込まれた。
政治刷新が本来なら現実味を帯びる局面。ところが、政治刷新の気配は広がらない。
中核野党が政治刷新ではなく、自公政治への参画を目指している。
堕落した野党=ゆ党では政治刷新は実現されない。
経済政策の論点は以下の三つ。
第一は積極財政の活用
第二はインフレの抑止
第三は消費税減税
ところが、現実は真逆だ。石破内閣は緊縮財政の方針を示す。「財政規律が重要」と唱える。
2022年以降の日本はインフレに直面。「インフレ誘導」の金融政策運営を排除して、「インフレ抑止」を金融政策運営の根幹に据える必要があった。
ところが、黒田東彦日銀総裁は任期満了までインフレ誘導の旗を振り続けた。
この過ちを糾弾せずにインフレ誘導政策は正しいと主張する在野の自称専門家が多数存在する。
いま、何よりも重要な経済政策対応は〈消費税減税・廃止〉。
野党は10月31日の総選挙に際して消費税減税を公約として掲げた。
ところが、選挙後は態度を変えた。
国民民主党も消費税減税を公約に掲げたが、衆院総選挙後は一切口にしていない。
立憲民主党の野田佳彦氏は「減税は未来世代からの搾取」だと言い放った。これまで掲げていた消費税減税の旗を奥深くにしまい込んだ。
日本のインフレは鮮明だ。最新のデータである昨年12月の消費者物価指数統計。
総合指数の前年同月比上昇率は3.6%。
生鮮食品とエネルギーを除く総合でも前年同月比上昇率は2.4%。
日銀の目標値は前年同月比2%。これをはるかに超えている。
生鮮食品は昨年12月に前年同月比17.3%上昇した。ハイパーインフレに近い。
金融政策はインフレ抑止に基軸を置き、引き締め政策を断行する。
財政政策では消費税率を5%に引き下げて、生存権を守るとともに景気浮揚を図る。
これが正しい経済政策対応だが、正しい政策運営が行われていない。
在野の自称専門家の多くが間違った政策提言を示していることを認識する必要がある。
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