石破政権は25年度予算案に軍事費を約8・7兆円計上しました。22年度の約5・4兆円から、わずか3年間で3・3兆円も積み上げています。
日本では軍事費をGDPの1%以内に収めるというのが長年の不文律でしたが、第2次安倍政権は突如米国の意向に沿って5年間で2倍に上げることを約束しました。
それは5年後の27年以降は恒常的に年間10兆円以上の軍事費を計上するという異常なもので、当然民生費にしわ寄せが行くことになります、
政府が昨年末、高額療養費の自己負担上限額の大幅引上げを閣議決定し、国民の命を犠牲にして5300億円を浮かそうとしているのもその一環です。
⇒(2月3日)石破内閣の高額療養費予算修正(植草一秀氏)
個々の事例を挙げればキリがありませんが、政府は、巨額の軍拡財源を確保するため、財政民主主義を破壊するさまざまな〝禁じ手″を使っていることを、しんぶん赤旗が取り上げました。
その主な禁じ手は下記の通りです。
・その年の歳出をその年の歳入で賄う「単年度主義」の骨抜き
・軍事施設への建設国債の発行
・「防衛力強化資金」の創設(単年度主義違反)
・補正予算への軍事費計上の常態化(補正予算の主旨違反)
・「防衛特別所得税(仮称)」を導入(「復興財原」からの事実上の流用)
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石破政権、〝禁じ手″重ね大軍拡 民主主義破壊の暴挙
しんぶん赤旗 2025年2月3日
石破茂政権は2025年度予算案に軍事費(防衛省予算)を約8・7兆円計上しました。22年度の約5・4兆円から、わずか3年間で3・3兆円も積み上げています。他省庁の予算でこれだけ急激に伸びた例はありません。政府は他省庁分も含めた軍事費を国内総生産(GDP)比で22年度の1%から27年度までに2%へ倍加し、11兆円規模にする方針。巨額の軍拡財源を確保するため、財政民主主義を破壊する、さまざまな″禁じ手″を使っています。
後年度負担膨らむ
憲法83条は、国家財政は国民の代表である国会が決めるという財政民主主義を明記。これに基づき国の予算は、その年の歳出をその年の歳入で賄う「単年度主義」を原則としています。
軍事費を野放図に増やし、侵略戦争に突き進んだ戦前の反省から生まれたものですが、自公政権はこの原則を骨抜きにしています。
象徴的なのは軍事ローンの膨張です。高額兵器の購入費など複数年度に分割で支払う「後年度負担」の残高は25年度予算案で総額15兆6628億円に上り、本予算の1・8倍に達しています。岸田前政権の安保3文書改定(22年12月)以降の3年間で約3倍と、雪だるま式に膨らんでいます。
有償軍事援助の増加
背景には、米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)の増加があります。25年度予算案では1兆76億円に上り、円安の影響で輸入額も高騰しています。FMSは納期も価格も米側が一方的に決める制度です。最近も米国製F35ステルス戦闘機の価格が高騰した上、米側のソフトウエア開発の遅れが原因でF35A3機、F35B6機の納入が遅れる事態も起きています。
軍事国債発行進む
軍事国債の発行も進んでいます。歴代政権は、戦時中に国債発行を乱発した反省から国債を軍事目的に使わないとしてきましたが、岸田政権が軍事施設への建設国債発行を強行しました。25年度予算案でも7148億円が発行対象となり、23年度以降で総額2兆940億円に達しています。
「防衛力強化資金」
さらに、23年に成立した軍拡財源確保法に基づき創設した「防衛力強化資金」をつかい、暮らしに充てるべき予算を軍事に回しています。同資金は、さまざまな積立金や税外収入を無期限で蓄え、複数年度にわたって使える「防衛省のポケヅトマネー」といえるもので、「予算の単年度主義」に反します。
これまで国立病院機構の積立金422億円や、地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円といった国民の暮らしのために使うべき費目のほか、外国為替資金特別会計などの繰越金も流用。24年度末時点では3兆3756億円が積み上がっています。
補正予算も軍事費
補正予算への軍事費計上も常態化しています。補正予算は本来、財政法で災害対策や経済対策など「特に緊要な経費の支出」に限定していますが、この趣旨から逸脱し、24年度は8268億円もの軍事費を計上しました。
軍拡増税に踏み切る
これだけ〝禁じ手″を重ねても軍拡財源が確保できないため、増税に踏み切ります。
25年度の「税制改正大綱」では、26年度から法人税とたばこ税を増税し、9860億円の税収増を見込んでいます。27年1月からは所得税額に1%を付与する「防衛特別所得税(仮称)」を導入し、東日本大震災からの復興を目的にしている「復興特別所得税」を1%引き下げる方針。復興財源を軍事費に流用することになります。
違憲の敵基地攻撃
こうした大軍拡は、日本を対中軍事戦略の最前線に立たせるという米国の要求に応えるためです。
25年度予算案には、射程が1000キロを超える国産ミサイル4種の開発・取得や、標的の情報を収集する「衛星コンステレーション」の構築に予算を計上。歴代政権が「憲法の趣旨に反する」と判断してきた敵基地攻撃能力の保有につながるもので、計約9390億円をつぎ込みます。
違憲の大軍拡のために財政規律を次々と破壊する-。こんなことは許されません。
しかもトランプ米新政権は日本を含む同盟国に軍事費のさらなる増額を求めています。これに応えるとして、国債の大乱発や大増税、社会保障費や文教費などの本格的な削減など、危険な道がさらに開かれる恐れがあります。
禁じ手大軍拡 グラフ
https://drive.google.com/file/d/1zHoKMYLbD86pncbW67E3HH3c0HYo1775/view?usp=sharing
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。