櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
内容はいわゆるウクライナ戦争「前史」と呼ぶべきもので、櫻井ジャーナルはこの種の記事をこれまでも数回載せてきました(当ブログでもほぼ毎回紹介して来ました)。
記事の趣旨は、「西側が、『ウクライナ戦争は22年月24日にロシアが侵攻を始めたことが発端』とする姿勢を貫いているのは正しくない」と指摘することにあると思われます。
ウクライナでは2014年2月に米国の主導でクーデターが起こされました。通常、クーデターは時の政権を打倒することを目的としますが、不思議なことにクーデター政権軍部は体制を整えると、直ちにロシア文化圏の東部(ドンバス地方)に向かったため内戦になりました。内戦には旧ウクラナイナ軍の多くが装備(兵器)を持ったままドンバス地方住民側に加わったため、クーデター軍よりも住民側が優勢のまま推移しました。
それでNATO側は一旦ミンスク停戦合意を結ばせ、約7年間余を掛けて政府軍を増強し。地下基地を構築した後に22年にドンバス地方に侵攻すべく、境界近くに政府軍を集結させた段階で、ロシア軍がドンバスの住民を保護するための「特別軍事作戦」に踏み切った、という経緯でした。
NATO側は当初の目論見に反して劣勢に陥っているのですが、ウクライナには多大な利権があるために終戦に反対し、ゼレンスキーも保身のために終戦に反対しているために、いまやウクライナ兵士とロシア兵士が、いたずらに命を散らしているという状況にあるわけです。
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ウクライナにおける露国との代理戦争で敗北した欧州諸国は軍事予算増大を目指す
櫻井ジャーナル2026.02.17
ヨーロッパの主要国はウクライナでの戦争を継続しようと必死だ。特にイギリス、フランス、ドイツの政治家や軍人がロシアとの戦争に積極的な姿勢を見せている。イギリスのリチャード・ナイトン参謀総長とドイツのカーステン・ブロイアー連邦軍総監はミュンヘンでの会議後、軍事予算の大幅な増額を国民に理解させる義務があると述べた。
イギリスで実施された世論調査では、軍事費増額のための増税や歳出削減を支持する人は少数派。ドイツやフランスでは軍事予算の増額を支持する人の比率は昨年より低下している。ウクライナでの戦争でNATOはロシアに敗北、ヨーロッパ諸国の経済は破綻、社会が崩壊していることを一般の人びとは理解しているのだ。
ウクライナでの戦争はイギリスが19世紀に始めたロシア征服戦略の一環である。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、その基本はドイツとロシア/ソ連を戦わせることにある。第1次世界大戦、第2次世界大戦、そして冷戦はひとつの舞台の場面にすぎない。
1991年12月にソ連が消滅した時、西側諸国の少なからぬ人は冷戦でアメリカが勝ったと認識、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考えた。1992年2月に作成されたアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」もそうした考え方に基づいている。
このドクトリンによると、最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐこと。またドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということが謳われている。ソ連が消滅してロシアはアメリカの属国になり、中国は新自由主義にどっぷり浸かっているという前提に基づくドクトリンだ。
しかし、21世紀に入ってロシアが再独立に成功、状況は大きく変化する。そこでネオコンをはじめとする好戦派は再びロシアを属国にしようとした。バラク・オバマ政権が2014年2月にキエフでネオ・ナチを使ったクーデターを実施、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した理由もそこにある。
1941年6月にも似た状況があった。約300万人のドイツ軍がウクライナやベラルーシを通ってソ連は軍事侵攻したのだ。バルバロッサ作戦である。その時、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人にすぎなかった。この兵力配分はアドルフ・ヒトラーが決めたのだが、まるで西から攻めてこないことを知っていたかのようだ。1990年代からのNATO拡大はロシアから見ると新たなバルバロッサ作戦にほかならない。
2014年のクーデターによってロシアは非常に危険な状態になったわけだが、ロシア政府は動かない。クーデター直後、西側の大手メディアはロシア軍がウクライナへ軍事侵攻したと宣伝していた。おそらくアメリカ政府のそのように推測、メディアへそのようにレクチャーしていたのだろうが、ロシアは動かなかった。
ヤヌコビッチの支持基盤でロシア文化圏の東部や南部では住民がクーデターを拒否、南部のクリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まり、内戦になった。キエフが送り込んだ部隊は占領軍にすぎず、しかもクーデター後に軍や治安部隊のメンバーが合流していた反クーデター軍は優勢だった。そこでNATOはクーデター政権の戦力を増強するための時間を稼がねばならなかった。2014年9月と15年2月の停戦合意、いわゆるミンスク1とミンスク2はそのために締結されたわけだ。
2022年に入るとキエフはドンバスに対する攻撃を激化、大規模な軍事侵攻が噂されていた。そこでドンバスから子どもや女性を中心にロシアへ疎開しているのだが、それを西側諸国は誘拐だと主張した。
2022年2月24日にロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃しはじめた。ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書にはウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した秘密命令が含まれていた。
ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。
NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。
グレイゾーンによると、イギリス国防省の監督下、「代々続く海賊や海賊の血筋」だと自認するチャーリー・スティックランド中将が2022年2月26日に「プロジェクト・アルケミー(錬金術計画)」なる対ロシア計画を遂行するためのグループを組織した。
そして同年4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令( ココ や ココ )する。イギリスを含む西側諸国はロシアを過小評価していた。
2023年にウクライナは「反転攻勢」で戦況を逆転させると宣伝されていたが、この計画を策定したのはアメリカの国防総省だったと言われている。その計画はロシア軍に打ち砕かれた。その軍事的な敗北をヨーロッパの支配層は理解できていなかったという。
しかし、ウクライナ軍が壊滅状態にある現在、イギリスやフランスは特殊部隊だけでなく一般の部隊もウクライナへ派兵、少なからぬ死傷者が出ている。戦死者の中には将軍も含まれていると伝えられている。
戦争を仕掛けた西側諸国は「劣等なスラブ民族」を簡単に打ち破れると考え、短期間に資源や穀倉地帯を奪えると計算していたのだろうが、ロシアの勝利は確定的。これまで戦争を継続するために偽情報を広めただけでなく、生物兵器の研究開発、マネーロンダリング、人身売買、臓器取引なども行ってきた。戦争に勝利すれば隠蔽できただろうが、敗北が決定した場合、こうしたことを表面化する可能性が高い。そうしたことからも、西側諸国は戦争をやめることができない。戦争が長引けばロシア軍はそれだけ厳しく対応する。
ヨーロッパ諸国の支配層は自分たちを優秀な人間であり、ロシア人は劣っていると信じ、破滅へ向かうことになった。同じように日本では自分たちは優秀であり、中国人は劣等であると信じ、戦争になれば簡単位勝てると思っている人もいるようだ。明治維新以降、日本人はそのように刷り込まれてきた。アメリカの思惑通り、日本と中国が戦争になれば日本は軍事的にも経済的にもヨーロッパより酷いことになりそうだ。
日本の現状を考えるためには米英金融資本との関係のほか、明治維新について理解しなければならない。また日本の歴代天皇がイギリスのガーター勲章を授与されている意味も考えるべきだろう。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。