2026年6月22日月曜日

旧宮家男子養子案が狙いの典範改正ーそれを賛成多数と報じるマスコミ世論調査の面妖(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏が掲題の記事を載せました。
 衆参両院の副議長が10日、皇族数確保の具体策について「立法府の総意」を高市首相に報告したことを受け、高市内閣は「皇室典範改正案を今月下旬に国会に提出しすぐさま成立させることを狙っているということです
「立法府の総意」の内容は、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を持つ案と ②旧宮家の男系男子を養子として迎える案の二つの併記ですが、真の狙いは②の実現であるとされ「養子となった男性に男の子が生まれれば、その子には皇位継承権を持つ資格がある」というものです。
 要するに悠仁親王の皇位継承を固めて愛子天皇の可能性を消し、悠仁親王に男子がない場合、養子で皇族となった旧宮家男子の子(男子)が皇位につくというものです。
 マスコミはそれまで高市官邸に配慮して旧宮家養子案について大きく報道せず、衆参院の正副議長らが何をやっているのか 詳しく説明して来ませんでした。
 ところが11日、徳仁天皇がオランダ・ベルギー訪問前の会見に臨んだ席で、「皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、こうした皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と発言され、婉曲に「立法府の総意」を否定し 拒絶するメッセージを発信された後は、世論は旧宮家養子案に対する反対論一色となりました。
 御厨貴、林真理子、北岡伸一、小林よしのり氏らが強く反対を表明し、朝日、毎日、読売、日経、東京新聞の5紙も反対し、全国紙の社説で賛成しているのは産経だけでした。

 天皇のご発言以前には、朝日新聞5月17日、「旧宮家養子案に賛成47%、反対36という世論調査結果を報道し、NHKは6月8日、「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」について賛成45%、反対36%という世論調査結果を発表しました。
 世に倦む日々氏は、「NHKや朝日間違った数字になっているのは信じられないし、どう評論すればいいか分からない」と述べ、これらが「立法府の総意」アリバイ・データになっているとして、マスコミは高市官邸とグルで動いていたと指摘します。(NHKが常に高市政権の意向を忖度していることは明らかですが)「天皇の拒否意向が明白となった今、NHKや朝日はどうする気なのだろう」と述べます。

 世に倦む日々氏は、「この議論は小泉政権時の2005年に政府有識者会議によって作成された『皇室典範に関する報告書』で決着がついていた問題であり、そこでは女性女系天皇を認めるべしという結論になっている。このとき右翼側から『Y染色体』論を持ち出しての珍妙な男系皇統護守論が叫ばれていたが、世論に浸透する勢いはなかった」と述べ、「その後20年も経っていったい何をやっているのかという憤怒と絶望の気分を拭えない」と記します
 そして「私の立場は、日本国憲法の原理原則からの女系女性天皇容認論で、男系皇統の原理と主張は日本国憲法の男女平等と相容れず、また象徴天皇制の理念とも相容れないから、これを排除すべしというもの」であり、「ジェンダー主義からの女性女系容認ではなく、戦後民主主義の思想からの純粋な演繹である」として、「国民の支持と理解と信頼があってこその皇室というのが象徴天皇制の理念」の下で、「今の多数世論は、愛子内親王を正式に皇太子に据え、秋篠宮の後嗣を廃嫡する皇位継承であり、その改変を成文にした典範改正ということになる筈(要旨)」であると述べます。

 最早このまま放置することは出来ない課題ですが、少なくとも虚偽、虚飾、虚栄に塗れた高市政権が「勝手に取り扱って良い」ものではありません。
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旧宮家男子養子案が狙いの典範改正 - それを賛成多数と報じるマスコミ世論調査の面妖
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6/10、衆参両院の副議長が、皇族数確保の具体策について「立法府の総意」を決定、同日夕、高市に報告した。この「総意」の要請を受け、政府は皇室典範改正に着手、今月下旬に国会に提出、すぐさま成立という計画と日程で動いている。その内容は、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を持つ案と、②旧宮家の男系男子を養子として迎える案の二つの併記だ。①の案は女性女系天皇を容認するものでもそこに道を開くものでもなく、単に世論を宥めゴマカすための装飾にすぎない。「総意」の狙いは②の実現であり、6/8 に森英介が会見で正直に吐露したとおり、「養子となった男性に男の子が生まれれば、その子には皇位継承権を持つ資格がある」というのが眼目である。すなわち今回の「立法府の総意」には具体的な構想と路線があり、悠仁親王の皇位継承を固めて愛子天皇の可能性を消し、悠仁親王に男子がない場合、養子で皇族となった旧宮家男子の子(男子)が皇位につくというシナリオ

このままではこの案で皇室典範が改正される。旧宮家養子案が通り、実行に移され、皇室制度が根本的に変わってしまう。先週(6/7-13)以降、ネットではこの動きに対する反発が猛然と起こり、Xタイムラインを占領する状況となった。特に 6/11、徳仁天皇がオランダ・ベルギー訪問前の会見に臨んだ席で、「皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、こうした皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」発言した後は、旧宮家養子案に対する反対論が怒涛の勢いとなり、6/14 のサンデーモーニングでも批判報道が放送された。この天皇の言葉は、婉曲的ながら「立法府の総意」を否定し拒絶するメッセージの発信であり、それ以外に意味を受け取りようがない旧宮家養子案が国民の理解を得られるものではないという認識を示していて、皇族として迷惑な案だと言外に言っている

この徳仁天皇の発言の後、NHKを除いてマスコミでは旧宮家養子案に批判的な報道が続いている。「立法府の総意」が決定されるまで、マスコミは旧宮家養子案について大きく報道せず、衆参院の正副議長らが何をやっているのか、13党派による「皇位継承に関する全体会議」が何を議論していたのか、詳しく説明してこなかった。マスコミは高市官邸に配慮して、この政治の内実を隠していたと言える。ここで指摘したいのは、NHKが 6/8 に発表した世論調査結果で、「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」について、賛成45%、反対36%になっている事実だ。この数字を見て、何かの間違いではないかと思った人間は多いだろう。信じられない賛否の比率になっている。ネットの反応を見るかぎり、賛成論は一部の匿名右翼以外ほとんどない。反対論一色と言っていい。反対論一色なのは当然で、御厨貴が文藝春秋誌上で反対している。林真理子も同誌上で反対している。北岡伸一も反対している。小林よしのりも猛反発している

朝日毎日読売日経の4紙も反対している。当然、東京新聞も批判していて、全国の新聞社説で賛成しているのは産経しかない。このような案が、どうしてNHKの世論調査で賛成多数となるのだろう。考えられない。が、あり得ない数字を出しているのはNHKだけではないのだ。朝日新聞の 5/17 の世論調査報道でも、旧宮家養子案に賛成47%、反対36%の結果になっている。朝日でこんな数字になっている。信じられないし、どう評論すればいいか分からない。どうしてこんな間違った世論調査統計を出したのだろう。これが出たのが 5/17 だから、この朝日の数字をアリバイ・データにして、正当性のエビデンスに確保して、衆参正副議長は旧宮家養子案を本命とした「立法府の総意」を決定したと裏読みすることができる。世論でも多数だと言い張ることができる。つまり、スコミは高市官邸とグルで動いていたのだ。しかし、旧宮家養子案の正体が明らかとなり、天皇の拒否意向が明白となった今、NHKや朝日はどうする気なのだろう

のような既成事実を作ってどう責任をとるのだろう。次の世論調査で賛否を逆転させるのだろうか。「立法府の総意」もそうだが、NHKと朝日の世論調査の捏造工作には、徳仁天皇は腹立たしさを押さえられないに違いない。右翼週刊誌の新潮は、百地章や八木秀次のコメントを載せながら、愛子内親王と旧宮家男子を結婚させ、男児をもうけさせて直系男子の皇位継承者を出したいという右翼の強引で卑劣な願望を記事にしている。賀陽家・久邇家・東久邇家・竹田家の4家の中に、皇籍復帰に前向きな男系男子が4人ほどいるなどと書き、賀陽家の一人が最適候補だなどと書いている。こんな記事を見た天皇一家は腸が煮えくり返る思いだろう。人権を無視した侮辱と愚弄にもほどがある。しかし、こんな具合に右翼が一方的に風評を作り、既成事実を固めているのだ。そして百地章や八木秀次の持論では、皇族には人権はなく、木偶人形として生きるのが当然なのだ。先の選挙結果が右翼のこの横暴と放逸を許している。右翼のやりたい放題に歯止めをかけない

NHKは、6/11 の天皇の会見での発言の肝心な部分を放送しなかった。皇室典範についてのコメントだけを編集でカットした。天皇の発言が「旧宮家養子案」への批判だと認識し、政権にとって都合の悪い内容だと判断したからマスクしたのだ。皇室を蔑ろにした恐ろしい政治工作の暴挙をやっている。今のNHKがどれほど高市官邸と一体化し、極右の報道方針で貫徹させた運営になっているかがよく分かる。不気味と言うしかない。6/12、国会で長妻昭の質疑に対して宮内庁次長が答弁し、「誕生時に皇族でなかった方が、皇族の養子になって皇族となった事例はないものと承知している」と言う場面があった。皇族でない者が養子で皇族になった例はない。長い長い皇統の歴史において、このような正規を逸脱した皇位継承の例はない。旧宮家養子策は、女系天皇以上に制度の根幹を揺るがす改変であり、皇室血統の連続性を重視する保守的観点からも不自然で面妖な選択に違いない。宮内庁は反対だろう。右翼による皇室乗っ取りそのものであり、到底承服できないだろう

この議論は、小泉政権時2005年に政府有識者会議によって作成された「皇室典範に関する報告書」で決着がついていた問題であり、そこでは女性女系天皇を認めるべしという結論になっている。会議の座長は吉川弘之で、緒方貞子・奥田碩・佐々木毅らが委員を構成している。政府の結論は出ていたはずだった。このとき、右翼側から「Y染色体」論を持ち出しての珍妙な男系皇統護守論が叫ばれていたが、アナクロでカルト的であり、世論に浸透する勢いはなかった。現在は「愛子天皇実現」を咆哮している小林よしのりが、邪悪な極右の男系護持派の急先鋒だった事実も指摘しておきたい。20年前、私もブログで9本記事を書いた。読み返しながら、もう20年も経ったのだなと感慨に耽る。我ながら筆致がエネルギッシュで生気に満ちていて、老いた今より考察が鋭い。この論議と報告があった当時も、世論は71%が女系天皇容認だったのだ。20年前も書いたが、このとき政府を動かす原動力となったのは、雅子妃を案じる当時の天皇皇后両陛下の意向だった

20年経って、いったい何をやっているのかという憤怒と絶望の気分を拭えない。と同時に、自分の人生の時間も短いし、戦争や言論弾圧も近いし、経済破局の大洪水も来るだろうし、この国の未来に希望を持つこともないから、若い世代が好き勝手にすればいいという無関心な気分もある。立憲民主の福山哲郎が、この「立法府の総意」に同意した裏切りにも渾身の怒りを覚える。私の立場は、日本国憲法の原理原則からの女系女性天皇容認論で、男系皇統の原理と主張は日本国憲法の男女平等と相容れず、また象徴天皇制の理念とも相容れないから、これを排除すべしというものだ。ジェンダー主義からの女性女系容認ではない。戦後民主主義の思想からの純粋な演繹であり、上皇上皇后と同じ動機と発想のものだ。とまれ、積極的関心のない私の目から見ても、今、女性女系を認めるか、旧宮家養子案を認めるか、どちらかを選んで決めないと、いわば物理的生物学的に皇室の存続は難しいだろうと思われる

先延ばしできない問題だ。右翼は、戦後民主主義の日本国憲法も変えて、破棄して、右翼憲法にするのだから、皇室も戦前日本らしい仕様にしようという思惑なのだろう。国民の支持と理解と信頼があってこその皇室という、今の象徴天皇制の理念を右翼は認めておらず、その価値と意義を認めていない。右翼にとって都合のいい政治の道具(お飾り)にしたいだけだ。普通に考えて、ネットで伝わるかぎりの世論状況では、およそ旧宮家養子案の法制化と実行など無理筋なのだが、70%の高支持率という安定的政治環境を梃子にして、高市はこの典範改定を強行するのだろうか。今の多数世論は、愛子内親王を正式に皇太子に据え、秋篠宮の後嗣を廃嫡する皇位継承であり、その改変を成文にした典範改正ということになる。今、右翼も左翼もごちゃまぜでそれを推している感があり、愛子天皇支持派の右翼は、上皇后陛下がそれを阻止すべく策謀しているなどと誹謗中傷のデマを飛ばし、紀子妃と川島家を口汚く貶めている。左翼のジェンダー派は、盲目的熱狂的に愛子天皇実現へ一本道の気勢だ

ただ、愛子内親王を皇太子にする典範改正が成ったとしても、愛子内親王がよく条件を満たした結婚相手を見つけ、女子でも男子でも無事に出産を果たせるかというと、簡単な道筋ではないように思われる。それは悠仁親王や彼の結婚相手にとっても同様であり、女子であれ男子であれ、子どもを産むことへの強迫圧力と心理的負荷は半端なものではないだろう。天皇制というスキームが(貴族制も含めて)側室制度によって物質的・生理的に支えられ、平安期の源氏物語的な脱倫理の性的放縦を前提として健全に維持されるのだというパラドクシカルな本質を窺い知り、上皇上皇后が生き生きと気高く理念を具現化した象徴天皇制が、きわめて偶然的で奇跡的な歴史の瞬間だったのではないかという問題を考えさせられる。そして、こうした複雑で面倒な状況を虎視眈々と睨み、隙を衝いて入ろうとする怪しい方面の出現や、新潮が書いているような右翼が準備する旧宮家男子の佞意と蠢動が、どうにも不安を掻き立てさせる