2014年2月26日水曜日

籾井NHK会長は明らかに不適任

 籾井会長の就任会見での発言:
 「政府が右ということを左というわけにはいかない」、 (特定秘密保護法) 「通っちゃったんで、言ってもしょうがない。あまりカッカする必要はない」、 (慰安婦問題)「戦時だからどこの国にもあったことですよね?韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言っている。補償は日韓条約ですべて解決されている」
などは、同氏の政治的中立性と歴史認識を疑わせるもので問題になりました。
 
 国会では結局発言のすべてを撤回したようですが、12日に開かれたNHK経営委員会で、何んと「私は大変な失言をしたのでしょうか」と述べて、発言自体には問題がないとの認識を示していました。
 
 25日には、衆院総務委福田昭夫氏(民主)の質問NHKの理事10からの辞表を、籾井会長が着任の日に要求して預かっていることが明らかにされました。
 福田氏は「人事権を振りかざす行為」と批判し辞任を要求しましたが、籾井氏は「公共放送の使命を果たし、引き続き会長の責任を全うしたい」と述べ、辞任する考えがないことを強調しまし
 
 朝日新聞は26日の社説で、「あらかじめ辞表を書かせる。それは、自分に従わなければいつでもクビにできると宣言し、異議を唱えられないように理事らを縛ることを意味する。メディアのトップとして、最も慎むべき行いだろう」と述べました。そしてあからさまには罷免を要求しませんでしたが、「その責任をどう考えるのか。公共放送を率いる資質はあるのか。籾井氏は胸に手を当てて考えるべきだ」と結んでいます
 つくづくと籾井氏はNHK会長には欠格の人間に思われますが、首相筋の意向だからとして無批判に彼を会長に選んだ経営委員会にも責任があります。
 
 以下に朝日新聞の社説、時事通信、FNNの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(社説)NHK会長―報道トップの資質疑う
朝日新聞 2014年2月26日  
 報道機関の長が、現場を上から黙らせようとすることが、どれほど致命的なことか。
 報道人としてのイロハのイの認識が、NHKの籾井勝人会長には欠けているのではないか。
 そう疑わざるをえない。
 籾井氏は就任直後に、理事10人全員に日付を空欄にした辞表を提出させていた。理事全員が国会でその事実を認めた。
 あらかじめ辞表を書かせる。それは、自分に従わなければいつでもクビにできると宣言し、異議を唱えられないように理事らを縛ることを意味する。
 メディアのトップとして、最も慎むべき行いだろう。
 
 放送法は「放送の不偏不党」と「健全な民主主義の発達に資する」ことを目的に掲げる。その実現に一番大切なのは、異論を封じないことである。
 まして視聴者の受信料で営む公共放送には、多様な声を尊重する姿勢がとりわけ求められよう。組織内の異論に耳を傾けられない人が、世の中の少数意見に目配りなどできまい。
 NHKの理事会は、番組内容が放送法や番組基準に照らして適切かどうか報告を受け、検討を行う。理事は報道や制作、経営企画などに携わってきた生え抜き幹部で、一般企業の執行役員のような存在だ。
 その首を会長が好き勝手にすげ替えられるとなれば、報道や番組作りの現場をどれだけ萎縮させるか。計り知れない。
 
 だからこそ放送法は、会長による理事の罷免(ひめん)は「職務上の義務違反その他」の非行があるときなどと制約を課している。
 籾井氏は自分への絶対服従が理事の義務と考えているのか。理事が自ら辞めた形にすれば、法の制約は受けないと考えたのか。どのみち見すごせない。
 籾井氏は就任会見で、特定秘密保護法や領土問題、靖国神社参拝などについて政府に寄り添うような発言をし、のちに撤回した。ところが経営委員会でただされると「私は大変な失言をしたのか」と開き直った。
 批判をかわすためだけに撤回し、真意と違うことを報道されたと責任転嫁する。見事なまでに失言政治家そっくりだ。
 経営委員会はきのう籾井氏に言動を慎むよう求めて2度目の注意に踏み切った。強い危機感の表れだろう。
 籾井氏や経営委員ら、外部から登用された上層部の言動が、現場の築いてきた信頼を危うくしている。職員らには迷惑このうえあるまい。その責任をどう考えるのか。公共放送を率いる資質はあるのか。籾井氏は胸に手を当てて考えるべきだ。
 
 
会長、全理事の辞表集める=理由は明言せず―NHK
時事通信 2月25日
 NHKの全理事10人が、籾井勝人会長に日付の入っていない辞表を提出していることが25日、分かった。同日の衆院総務委員会で福田昭夫氏(民主)の質問に対し、塚田祐之専務理事ら10人の理事が明らかにした。辞表は籾井会長が預かっているとみられる。
 
 放送法では、NHKの副会長と理事は経営委員会(浜田健一郎委員長)の同意の下、会長が任免できると規定している。福田氏は辞表を提出させた理由を尋ねたが、籾井会長は「人事上の問題。コメントは控えたい」と明言を避けた。
 
 籾井会長は各理事の答弁後、「各理事は事実をそのまま述べたと思う。それはそれで結構ではないか」と話し、理事全員の辞表提出を認めた。福田氏は「人事権を振りかざす行為」と批判し、辞任を要求。これに対し、同会長は「公共放送の使命を果たし、引き続き会長の責任を全うしたい」と述べ、辞任する考えがないことを改めて強調した。
 今月12日付で就任した堂元光副会長は「辞表は出していない」と語った。 
 
 
NHK理事全員が日付空欄の辞表を籾井会長に提出 衆院総務委
FNN(フジ)2014年2月25日 
言動が波紋を呼んでいるNHKの籾井勝人会長をめぐり、驚きの事実が新たに発覚した。籾井会長の就任直後、NHKの理事10人全員が辞表を提出していたという。
 
民主党の福田昭夫議員は、衆院総務委員会で「1月25日の就任初日、臨時役員会を開いて、理事全員に辞表を求めたと報道にありますが、本当ですか、会長」とただした。
これに対し、籾井会長は「人事のことでございますので、私としては、コメントを控えさせていただきたい」と語った。
 
当初、籾井会長は、人事に関することでコメントを控えるとしたが、委員会に出席したNHKの塚田祐之専務理事は、「わたしは、辞任届には日付を空欄のまま、記入せずに、署名なつ印し、提出いたしました」と、辞表を提出したと明言した。
するとその後、発言する理事たちもそろって「日付が空欄の辞任届を提出した」などと、結局、10人の理事全員が日付を空欄にした辞表を籾井会長に提出していたことが判明した。
 
福田議員は「辞表を提出させて、人事権を行使するということは、おれの考えに従った放送をしろと(いうこと)。いつでも、お前を首にできるんだぞと」と述べた。
これに対し籾井会長は、「各理事は、事実をそのまま述べたと思います。それはそれで、結構ではないかというふうに思います。わたしがどう思うかについては、これはまた別問題でございまして」と語った。
籾井会長をめぐっては、就任直後の会見での「慰安婦」や「特定秘密保護法」をめぐる発言が私見にあたるとして、後に撤回をしている。