12日に発表された国際ジャーナリスト組織の報告書で、日本における報道の自由度(政権との距離)は昨年の世界53位からさらに59位に後退しました。この一年間で日本には評価すべき改善は何もなかったということです。
また5段階に分けた分類では、上から2番目の「満足できる状況」から3番目の「顕著な問題」のある国に転落しました。そういう評価を受けたのは主要先進国では日本だけで、台湾や韓国を下回るレベルです。
日本では、メディアに対する権力からの弾圧や「目に見える干渉」はありません。逆にメディアの幹部たちは官邸から度々食事会などの「もてなし」を受けています。それ以下のレベルでも、それぞれの分に応じた政府側との交流があるといわれています。
その結果が、メディアの方から権力に擦り寄る報道姿勢になっています。世界に類例のない「記者クラブ」制度も、メディアと権力との癒着を促す仕組みになっています。
自由主義社会にいながらにしてこの体たらくでは、もはや北朝鮮の報道を批判する資格などありません。
では海外からも批判されている原発事故における報道姿勢はどうだったのでしょうか。
福島第一原発の事故の後、政府や御用学者たちは盛んに「放射能は心配ない。大丈夫だ」と繰り返しました。そのときもメディア側はいち早く福島の支社や支所から記者たちを引き揚げさせたにもかかわらず、国民に向かっては政府が言う通りに、ひたすら「安全だ。大丈夫だ」と伝え続けました。
また自分たちは「年間被曝限度1ミリシーベルト」を安全基準にしていたからこそ、記者たちを福島から退避させたにもかかわらず、国民には年間被曝限度が1ミリシーベルトであることも碌に報じませんでした。
そして何から何まで政府や東電の言うとおりに報道しました。
それはメディアが立脚すべき社会正義とは無縁のもので、そうしたことが海外からも見透かされていたのでした。
日本のマスメディアは大いに愧じるべきです。もういい加減に権力との癒着を解消して、もう一度ジャーナリズムの本分に立ち帰るべきです。
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報道の自由、日本後退59位 福島事故と秘密法響く
東京新聞 2014年2月12日
【パリ共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が12日発表した、世界各国の報道の自由度を順位付けした報告書で日本は昨年の53位から59位に後退した。東京電力福島第1原発事故の影響を取材しようとするとさまざまな圧力を受けるとされたほか、特定秘密保護法の成立が響いた。
日本は、各国を5段階に分けた分類で上から2番目の「満足できる状況」から、主要先進国で唯一、3番目の「顕著な問題」のある国に転落。東アジアでは台湾や韓国を下回る自由度とされた。
日本は昨年も福島の事故について情報の透明性が欠けるとして大きく順位を落としていた。