2022年7月2日土曜日

日本の命運定める75%市民の行動(植草一秀氏)

  植草一秀氏が、改めて「日本の命運定める75%市民の行動」とする記事を出しました。

 その論理は明快で、日本では選挙制度の欠陥によって、絶対投票率で25%いる自公支持者によって自公で絶対多数の議席を占められる様になっているため、支配勢力側は投票率が上がらないように画策し且つ野党側が統一しないように分裂工作を実行しているとして、日本の命運は残る75%の市民がどういう投票行動を取るかにかかっているというものです。
 体制側は25%の有権者を車で送迎までして選挙に動員する一方で、選挙のたびに著名人の薬物事件表面化させそれに関心を集中させるなどの作戦を採るほか、国民党に加えて立民党まで、いまや反共の組織となった「連合」に服従させることで野党の分断を図りそれに成功している(その結果立民党は昨年10月の衆院総選挙で惨敗)と述べています
 植草一秀氏は、参院選後に待っている「憲法・原発・消費税による地獄に堕ちたくない人は日本共産党、れいわ新選組、社会民主党に投票するのが適正だと述べています
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日本の命運定める75%市民の行動
                植草一秀の「知られざる真実」 2022年7月 1日
2022年も後半に突入した。
光陰矢の如し。月日の過ぎゆく速さに驚かされる。
7月10日には参院選が投票日を迎える。
国政選挙が近づくと著名人の薬物事件が表ざたにされる。
日本政治を支配し続ける三つの戦術は 動員・妨害・分断 だ。
政権支持者を確実に選挙に動員する。日本の主権者の25%が利権複合体に組み込まれている。
利権を軸に政権は構築されており、25%の人々は何らかのかたちで利権のおこぼれを頂戴する。日本政治支配勢力は25%の有権者を車で送迎までして選挙に動員する

他方、これ以外の有権者が政治に関心を持つことは彼らにとって望ましいことでない。
残余の75%の人々が政治に関心を寄せることを妨害する。選挙直前に著名人の薬物事件を表面化させるのも、この目的を達成するためだ。
人々の関心が政治から遠ざかるように仕向ける。
選挙のたびに薬物事件が表面化してきたことは歴史の事実が証明している。

第三が戦術の核心で、反政権票を分断することに最大の努力が注がれる。
日本政治支配勢力の基本戦術は野党勢力を「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」に分断すること。
このミッションを負っているのが現在の「連合六産別」。かつての「同盟」だ。
「同盟」は民社党の支持母体として創設された。
その民社党は1960年にCIAが資金を拠出して創設した政党。
野党勢力のなかに日本政治支配勢力の手先政党が創設された。

同盟の系譜を引く連合六産別は連合を仕切るとともに、国民民主党と立憲民主党に手を入れた。
国民民主党は連合六産別と表裏一体の組織だが、勢力が小さく、弱いため、連合六産別は立憲民主党にも手を入れた。その結果、立憲民主党があっさりと連合六産別の軍門に下った。
立憲民主党の枝野幸男氏が共産党との共闘を否定した。
そのため、日本政治刷新を求める主権者が一斉に立憲民主党支持をやめた
結果として順当に、立憲民主党は昨年10月の衆院総選挙で惨敗した。
この構図が今回参戦戦でそのまま引き継がれている。したがって、立憲民主党の苦戦は避けられない。

連合六産別は国民民主党からの擁立では当選できないと考えて、組織内候補の1人を立憲民主党から擁立した。
日本政治刷新を求める主権者は連合6産別議員誕生に加担したくないし、加担すべきでない。
したがって、比例代表選挙で立憲民主党に投票することはできない。投票するべきでない
与党を追い込む中核野党が不在になった。そのために選挙が盛り上がりを欠いている。

しかしながら、この参院選の後に地獄が控えている。
私は2013年7月参院選の直前に『アベノリスク -日本を融解させる7つの大罪-』(講談社) https://amzn.to/3A7yf1k を上梓し、本の帯に「緊急出版 日本の本当の地獄は参院選後に始まる」と記した。
今回参院選は立憲民主党退潮のなかで実施されるが、参院選の後に新たな地獄が待ち構えている。憲法・原発・消費税 の地獄が控えている。
地獄を回避するためには必ず選挙に足を運ばねばならない。
憲法・原発・消費税で地獄に堕ちたくない人は
日本共産党、れいわ新選組、社会民主党に投票するのが適正だ。

『日本経済の黒い霧 ウクライナ戦乱と資源価格インフレ 修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))https://amzn.to/3tI34WK 
ぜひご高覧ください。Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
             (以下は有料ブログのため非公開)

02- ウクライナはアルカイダやISISと同じテロ組織(マスコミに載らない海外記事)

 ブログ:「マスコミに載らない海外記事」に、「ウクライナはアルカイダやISISと同じテロ組織」という記事が載りました。西側の論調に慣れ親しんでいる我々には違和感があるかも知れませんが、これはロシアのウクライナ侵攻が起きるまでは、米国を含めて西側でも広く受け入れられていた認識でした。

 しかしウクライナ戦争がはじまると、まず米国政府はホームぺージ等で公表していた「それに類する記述」を削除し、日本もそれに従って外務省のホームぺージから関連個所を削除しました。
 勿論国連の人権関連機関や一般人権団体の報告書には、ウクライナ政権の蛮行として残っています。
 以下に紹介します。
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ウクライナはアルカイダやISISと同じテロ組織
                 マスコミに載らない海外記事 2022年7月 1日
                     ワレリー・クリコフ 2022年6月23日
                         New Eastern Outlook
 現在のキエフ政権は、多少留保付きでさえ、到底「国」とは呼べない。ロシアや世界中の多くの国々で活動を禁止されているアルカイダや、イラクとシリアのイスラム国ISISなどの悪名高いテロ集団と全く同じだ。
 キエフ当局の行動は典型的なテロリストだ。一般人に対するテロ、一般人や都市の社会機構を隠れ蓑にした戦い、人質拘束、脅迫、恐喝、ウクライナ領空でのマレーシア・ボーイング機撃墜、好ましからぬ反体制派の大量殺人。ところが、2014年以来、ネオ・ナチ当局が東ウクライナで一般人を威嚇するのを、国際社会は、じっと見ているのだ。

 2019年、ドイツの通信社Dpaによる調査に応えて、キエフの国連人権監視ミッションが、2014年4月から2018年12月までに、12,800人から13,000人の人々がドンバスでの紛争で既に亡くなったことを指摘しているのを想起すべきだ。
 だが欧米では他の計算もされており、結果は上記上のものとはかなり違う。例えば、2015年、ドイツ諜報機関が東ウクライナにおける合計50,000人の死を推計した。それでも、ドイツでは、公表数が「あまりにも少なく信用できない」という評価があった。
 ドネツク人民共和国(DPR)人権オンブズマンによる年次報告書によれば、ほとんどの民間人犠牲者は紛争最初の2年、2014年(2,546人の人々が殺された)と2015年(1,395人が殺された)で起きた。キエフ当局のテロ行為によって殺害された民間人の同数は、ルガンスク人民共和国(LPR)からも来ている
 同時に、2014年以来、現在のキエフ当局の攻撃的行動に起因する民間人死者に対して引用された数字は、到底状況の客観的反映ではないそれらはPTSDの犠牲者、この期間に東ウクライナで多くの高齢者や一般人が、救急車が彼らを収容できないため亡くなった犠牲者や、キエフ過激派戦士による民間の町への砲撃中、心臓発作でなくなった被害者の人数を考慮していない。唯一既に明確になったのは、避難所に走る時間がないため、砲撃中、老人がより多く亡くなるのだ。

 ロシアがウクライナを非ナチ化する特別作戦を開始する9日前の2月15日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、欧米メディアに「ドンバスで起きているのは大量虐殺だ」と強調した。後に、3月初旬、ロシア大統領は「8年間、ドンバス共和国住民に対してキエフ政権に行われた大量虐殺を欧米のパートナー諸国は見て見ぬ振りをした」と指摘し、再び「大量虐殺」について語った。
 キエフの現政権は(分離主義者がソビエト社会主義共和国連邦を維持する住民投票で投票する行為の文字通り何カ月も前に)住民の圧倒的多数の意志に反して、テロリスト集団による庁舎乗っ取りを通して出現した。2014年以来、ウクライナを非ナチ化するロシアの特別作戦がまだ始まっていない時(共にロシアで禁止されている)ISISとアルカイダ・テロリストが最近中東でしたのと全く同様に、キエフの過激派戦士は、ドンバス市民軍の軍兵舎でなく、平和な町、病院、学校、幼稚園や社会インフラを頻繁に砲撃した。れらはキエフ政権によるテロ行為ではないのだろうか?
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によって発表された報告で、2021年2月1日から7月31日の期間、ウクライナにおける国連人権監視ミッション団長マチルダ・ボグナーは、ウクライナ軍が破壊と死に対して、一番多く責任があると認めた。彼女は、紛争の間に発射された全ての砲弾の80%がドンバス人民共和国領土で爆発したので、被害者の77%がドネツクとルガンスク人民共和国の人たちだったと指摘した。誰も国連報告を「ロシアのプロパガンダ」と呼ぶことはできず、国際社会は、そのデータをウクライナ側の有罪を記録する客観的情報として扱うから、M・ボグナーによるこの結論は重要だ。
 しかも、ウクライナ・ナチは隠れさえせず、テロ行為を自慢し、ウクライナ・メディアやソーシャル・ネットワークで、東ウクライナの種々の都市における彼らのテロ行為の結果を発表し、自身の犯罪行動を証言している。
 「砲弾不足」環境でさえ、最近、キエフ政権のテロ活動はウクライナに隣接するブリャンスクとクルスク地域に位置する平和なロシアの町に移り、ロシア領で、再び、軍ではなく、一般人の死をもたらした! キエフによるそうしたものの特に印象的なテロ活動が、オデッサから数十キロのオデッサ油田チェルノモルネフトガス掘削プラットフォームに対する最近の攻撃だった。周知の通り、軍隊はおらず、サイト自身は純粋に民間だ。
 チェルノモルネフトガス・掘削プラットフォームに対するこの攻撃がイギリスかアメリカから持ち込まれたミサイルによって実行された事実は注目に値する。
 だがアメリカと西洋の「支援」はテロリスト・キエフ政権だけに止まらない。攻撃直前に、アメリカ商業衛星のワールドビュー-1、ワールドビュー-2とワールドビュー-3が、6月11日、13日と14日、それぞれ掘削プラットフォーム地域を撮影し、チェルノモルネフトガス試掘プラットフォームの黒海地域を測量し、この民間施設に対する攻撃を計画し開始すべく集めた全情報をキエフのテロリストに送ったことが知られるようになった。
 キエフ自身、以前はロシア民間インフラ攻撃をためらっていたので、このような措置は、アメリカ「管理者」がキエフ当局に促した可能性はあり得る。さらにアメリカは、2010年のメキシコ湾ディープウォーター・ホライズン石油掘削施設爆発後の自身の「経験」から、チェルノモルネフトガスに対するこのような攻撃の壊滅的結果を予知することができたはずだ。
 注意を引くのは、ソビエト社会主義共和国連邦/ロシアに対抗すべく、最初にアフガニスタン、次に中東の至る所で、アルカイダ・テロ集団を創設し強化し、ISISに対しても類似政策をとった最近の過去に似た、ワシントンのキエフ・テロ「支援」の反復だ。同時に、ワシントンは、キエフ・テロリストを、数十億ドルの兵器で支援することもためらわず、NATO同盟国に同じことをするよう強い、キエフ・テロリストの政治支援キャンペーン、欧州連合への加入承認の動きさえ始めた!
 ウクライナを非ナチ化し、キエフ政権からテロの脅威排除が特別作戦実行の目的だが、アメリカとその共犯者によって多数の制裁がロシアに課されたことは注目すべきだ。ナチ、キエフのテロ当局を支援し、彼らに益々多くの武器を与えることに対し、なぜ誰もアメリカと同盟諸国に制裁を課さないのだろう? もしロシアが類似の策略で、アルスターと戦わせるためにアイルランドを武装したら、アメリカと「西側諸国全体」の反応は一体どうだろう あるいはもしロシアが、DPRやLPRのように占拠されているテキサスを奪還する取り組みでメキシコを支援したら?

 キエフ当局のテロへの「熱情」は多くのロシアの標的に対してあり得る未来の攻撃に関するキエフの最近の「構想」から明らかに見られる。特に、これは、またしても純粋な民間施設クリミア橋を爆破するというウクライナのドミトロ・マルチェンコ少将の恫喝で見ることができる。しかも、このようなキエフによるテロ計画に「西側諸国全体」の反応はなかった!
 あらゆる国際基準からして、現在のキエフ当局の政策は、アルカイダやISISのように、完全にテロであり、国際社会に支持されないが、なぜ国連や他の国際組織のいずれも、このような非難をしないのだろう
 更に、現在のキエフ政権のみならず、それを政治的、軍事的に支持する、あらゆる軍隊や国家は、国際的ルールの下で、テロの共犯者として国際制裁に値する!

 ワレリー・クリコフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/06/23/ukraine-is-a-terrorist-entity-like-al-qaeda-and-isis/ 

2022年7月1日金曜日

ウクライナ侵攻5カ月目「戦争報道のインチキさ」今こそ検証を(窪田順生氏)

 ロシアのウクライナ侵攻事件について日本のマスコミは当初、「西側の報道」をベースに「ロシア=人類の敵」の蛮行をこれでもかとばかりに凄惨な映像付きで報じましたが、さすがにそうした過熱状態はクールダウンの段階に移行しました。

 その中で改めて確認できたことは戦争報道は政治的思惑に基づいたプロパガンダだということで、「西側の報道だけでは真実は見えてこない」という当たり前のことでした。「西側の報道」とは、米国の意向に沿った報道そのものであり、それこそは米国が第二次大戦後以降、営々と築いてきた体制でした。
 戦争報道については日本は80年程前にもリアルに体験していました。そうした報道姿勢は敗戦を契機に厳しく総括された筈でしたが、実際はそうなってはいませんでした。
 今度のウクライナ侵攻事件の報道を見ると、一朝、重大事変が発生すれば当時の状況がそのまま再現されそうな予感がします。
 ノンフィクションライター窪田順生氏が「ウクライナ侵攻5カ月目…日本人は『戦争報道のインチキさ』今こそ検証を」という記事を出しました。
 それは太平洋戦争中の日本の状況に触れているので、いま米国がそれを誘導し、日本を参戦させようとしている「台湾有事」の際に、日本の国内がどうなるかを想定させるものでもあります。
 ウクライナ問題では政府による議論の規制はありませんでしたが、日本特有の同調圧力によって、本来自由であるべき議論に対して見事な「自主規制」が行われました。注意すべきは、その自主規制は簡単に「国防の一点で団結しなければ」という自主規制に変わり得る点です。
 決してそんなことにならないように、この際十分な中間総括が行われるべきです
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ウクライナ侵攻5カ月目…日本人は「戦争報道のインチキさ」今こそ検証を
                 窪田順生 ダイヤモンドオンライン 2022.6.30
                     ノンフィクションライター
マスコミも「ウクライナ侵攻」報道にお疲れ?
 ロシアによるウクライナ侵攻が5カ月目に突入した。
 欧米諸国では「支援疲れ」が見えてきたという。当初は「国際社会で経済制裁をしてプーチンを追いつめろ!」と威勢のいいことを言っていたが、思っていたほど効果が出ていない。むしろ、これまで散々世話になっていたロシアの天然資源が入らなくなって、自分たちの首を締めることになっている。
 そんな長期化による「疲れ」は日本のマスコミにも見て取れる。
 侵攻直後は「ウクライナと共に!」と芸能人たちが呼びかけ、ワイドショーも毎日のように戦況を紹介し、スタジオで「どうすればロシア国民を目覚めさせられるか」なんて激論を交わしていた。今はニュースで触れる程度で、猛暑だ!値上げだ!という話に多くの時間を費やしている。
 作り手側が飽きてしまったのか、それとも視聴者が飽きて数字が稼げなくなったのかは定かではないが、「打倒プーチン!」と大騒ぎをしていたことがうそだったかのように、ウクライナ問題を扱うテンションが露骨に落ちてきているのだ。
 そこでマスコミの皆さんに提案だが、今のクールダウンした世論にピッタリな、日本にとっても非常に意義のある企画をされてみてはいかがだろうか。
 それは、戦争報道」の検証である。
「戦場の霧」という言葉があるように、世界では戦争中に飛び交うニュースというのは、さまざまな政治的思惑がのっけられたプロパガンダだということが常識だ。それは今回のウクライナ戦争も然り。この4カ月を振り返ってみると、うさんくさいニュースが山ほどあった。それを総ざらいして、なぜあんな眉唾な話に乗っかってしまったのかということをしっかり自己検証すれば、「マスゴミ」などと何かと批判されることの多いみなさんの株もグーンと上がるのではないか。

この4カ月の間にどんなプロパガンダが流れていたか
 では、どんなニュースをマスコミが総ざらいすれば、いいだろうか。
 例えばわかりやすいのは、侵攻直後に耳にタコができるほど報じられ、今も盛んに叫ばれている「ロシアは国際社会で孤立してもうおしまいだ!」という方向のニュースなんてどうだろう。実際、こんなニュース記事もあった。
 ●国連非難決議 ロシアの孤立が明白になった(読売新聞3月4日)
 ●結束強めれば孤立も ロシアと国際社会の間で揺れ動く中国の苦悩(毎日新聞3月11日)
 このニュースを真に受けたピュアな日本国民は狂喜乱舞した。ロシアは国際社会から追放され、ズブズブの関係だった中国も距離を置き始めている。あとは、ロシア国民が「洗脳」から目覚めて、プーチンの首を取ってくれれば世界に平和が訪れる――。
 だが、残念ながら、これは典型的な戦争プロパガンダだ。西側諸国と西側にくっついた日本の立場的に「こうだったらうれしいな」という願望が多分に盛り込まれた、かなりバイアスのかかった偏向報道なのだ。
 それがうかえるのが、6月15日から18日にかけて、ロシアのサンクトペテルブルクで開催された、第25回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムである。
 これは例年140カ国ほどの国が参加しているが、今年は欧米諸国の政府要人は軒並み欠席しており、米国政府などは他国にボイコットを呼びかけている。今やロシアは世界中の人々から批判される「悪の帝国」であり、国際社会で孤立無縁の状態なのだから当然だと思われるだろうが、なんと今年も127カ国が出席した。
 また、その最中にプーチン大統領は今のG7(イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、カナダ、日本、ドイツ)を中心とした古い世界秩序は崩壊寸前だと主張し、新興国と発展途上国同士の連携を呼びかけている。ロシアが唱えている「新しいG8」(中国、インド、ロシア、インドネシア、ブラジル、トルコ、メキシコ、イラン)のことを指しているのは明らかであり、そのスピーチの場では盟友・習近平氏のビデオメッセージが公開されていた。
 ちなみに6月28日、ロシアが入っているBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の枠組みにイランが正式に加盟を申請した。また、ロシア外務省によれば、アルゼンチンも加盟を申請しているという。
 3カ月前、マスコミが「国際社会で孤立している」と報じていたロシアに、なぜ127もの国が集っているのか。なぜイランやアルゼンチンのように経済的連携を強化しようという国まで現れているのか。ここにきて何かロシアの国際的なイメージが急速にアップするようなことがあったのか――。
 いや、そんなイメージアップもダウンもない。そもそも3月から実は国際社会でのロシアの評価はこんなものなのだ。
 つまり、あの当時、マスコミが大騒ぎしていた「国際社会で孤立」や「中国とギクシャク」という話の方がインチキで、アメリカやEUの視点に基づいた「こうなったらいいのに」という願望を多分に含んだ戦争プロパガンダだったのだ。

「日本が世界の中心」という考えが日本人の認識をゆがめる
 というと、「そりゃ世界には親ロシアの国もあるだろうが、国際社会で主導権があるのはやはりアメリカやEUなんだからロシアが孤立していることは間違いない」と口を尖らせて反論する人もいるだろう。しかし、実はそういう「国際社会」の認識こそが、西側諸国のプロパガンダの賜物である。
「国際社会」の代表みたいな顔をしている西側諸国は、実は世界の人口の15%しか占めていない。一方、ロシアと中国を含めたBRICSは5カ国だけで人口30億人以上(世界人口の38%以上)を擁して、経済規模も世界のGDPの約24%を占めている。

 つまり、ロシアはウクライナ侵攻によって、人類の1割強に満たない西側諸国と対立を深めて、これらの国の集まりの中で孤立をしているだけだ。それ以外の大多数の国とは今までも、そしてこれからも普通に「連帯」をしているのだ。
 今年3月の段階でも、ちょっと真剣に調べれば、こういう客観的な事実がすぐに把握できる。しかし、我々日本国内にニュースで伝えられる時は、なぜか「ロシアは国際社会で孤立してギブアップ寸前」という話に置き換わる。
 なぜこうなってしまうのかというと、我々が日本人だからだ。
 日本人が働く日本のマスコミは、どうしても「日本が世界の中心」という考えに基づいた自国ファーストの情報を流す。そして、「数字」が欲しいので、日本人の読者や視聴者が「いい気分」になる話を扱いがちになる。西側についた日本が世界の中心だと視聴者や読者に知らしめるには、ロシアという国がいかに狂っていて、非人道的な連中なのか、とおとしめるのが手っ取り早い。ナショナリズムが報道の客観性をゆがめてしまっているのだ。

ビジネスでプロパガンダを流したことを反省すべき
 今回、ロシアとウクライナという遠く離れた異国同士の戦いではあるが、ロシアの延長戦上には中国の存在があるので、日本人のナショナリズムが強烈に刺激された。これがさらに事態を悪化させた。
 テレビや新聞は、恐怖や憎悪をあおった方が視聴率や部数が上がることがわかっている。つまり、ロシアと中国をセットにして、「北方領土が危ない」「台湾有事の恐れもあるぞ」なんて騒げば騒ぐほど、チャリンチャリンとカネの入るサイクルがマスコミの中にでき上がってしまったのである。
 かくして、日本ではこの4カ月、「ロシア=人類の敵」というかなり一方的なバイアスのかかった戦争プロパガンダ報道が流れていたというワケだ。

 このあたりの構造的、組織的な問題を、マスコミの皆さんがその卓越した取材力をもって検証してくれたら、「なんだよ、記者クラブとか軽減税率とか自分たちに都合の悪い話はいつもスルーなのに、今回はちゃんとしているじゃん」とアンチの人々からも再評価されるのではないか。
 もちろん、この検証企画は、そんなイメージアップ以外に「社会の公器」として意義もある。
 このような形で「戦争のどさくさに紛れて流される報道はインチキばかり」というリテラシーを、日本国民に身に付けさせることは、「国防」や「国民の命を守る」という観点からも非常に大切なことだからだ。
 もし台湾有事が勃発して、中国と日本を含めた周辺国の間に武力衝突が起きてしまった場合、日本国内ではさまざまな「戦争報道」がなされるだろう。それは当然、中国をおとしめるプロパガンダになるので、国民がそれをノーリテラシーで鵜呑みにしてしまったら、目もあてられないひどい事態が起きてしまうのだ。
 例えば、ロシアのプーチン大統領に関して散々報道されたように、「習近平氏は病気で正常な判断ができない」なんてフェイクニュースや、中国軍の戦力についてかなり偏った報道が連日のように流れたらどうか。真珠湾攻撃をした時、日本ではお祭り騒ぎだったというような、調子に乗りやすい国民性を考えると、「中国も大したことはないぞ、日本もアメリカと協力して徹底的に打ちのめせ」なんて好戦ムードが一気に高まるはずだ。
 これが戦争プロパガンダの最も恐ろしいところだ。

プロパガンダに乗せられやすい日本人は自ら窮地に陥る
 リテラシーがないと日本人は、戦争プロガンダに乗せられて相手の戦力を過小に見積もったり、自国の軍事力を過大評価してしまう。そして、世論が暴走する。好戦的な国民の顔色をうかがう政治や自衛隊が誤った判断をして、国防の最前線にいる自衛官の皆さんに危機をもたらす恐れもあるのだ。
「そんなバカなことあるわけがないだろ」と言う人もいるが、実は80年前も同じようなことを言いながら、プロパガンダに乗せられた世論が暴走して、すさまじい数の人々が犠牲になっている
 例えば、太平洋戦争中のマスコミは盛んに、「アメリカ人は個人主義で、国に対して命を捧げる気がないのですぐに厭世ムードが漂う」と根拠ゼロの戦争プロパガンダを流していた。アメリカ軍の戦力を過小に見積もり、日本兵の強さをひたすら説いた。
 当時の日本人はピュアだったので、新聞やテレビで繰り返しそんなニュースを聞かされているうちに、「そうか、日本人の根性を見せれば、アメリカなど恐るるに足らんのだな」と刷り込まれ、現代人からみると狂気の沙汰としか思えない精神論が広まった。
 例えば、欧米の兵士たちが当たり前のようにした「投降」を、日本の兵士はしなかった。これは上官から命じられていたということもあるが、何よりも投降をすると、その情報が故郷にも届き、「あそこの家の息子は、アメリカに命乞いをした売国奴だ」などと家族までバッシングに遭うことを恐れたことも大きい。民間人も米軍から投降を呼びかけられると、集団自決した。
 現代の「マスク社会」がウイルスよりも「周囲の目」を恐れた同調圧力によるもののように、戦時中の人々も「周囲の目」に非国民として映ることを恐れた同調圧力で、玉砕や自決をしていたのだ。
 このほかにも、日本のマスコミは太平洋戦争中、正しい情報を伝えず、国威発揚のためのプロパガンダばかりを流して、多くの国民を死にいたらしめたケースは枚挙にいとまがない。
 …という話をすると、マスコミのみなさんは決まって「軍部が怖くて逆らえなかった」みたいな被害者ヅラをする。しかし、厳しい言論弾圧をされたのは敗色濃厚になった1944年くらいからの話で、それまでは軍から命令されるまでもなく、自ら率先して、愛国美談をあおりまくっていた動かし難い事実がある。
 現代のオリンピック報道と同じく、「日本人スゴイ」「世界が賞賛」みたいな話を盛れば盛るほど、新聞の部数が増えていった。当時を覚えている人間の多くが鬼籍に入っているので、自己正当化をして歴史を修正しているだけで、戦時中のマスコミがビジネス的なメリットから、率先して戦争に「協賛」していた事実は消すことはできないのだ。

 ウクライナの「戦争報道」をしっかりと検証していけば当然、自国の戦争報道とも地続きなので、そのような過去の過ちとも向き合うことができる。
 2016年、NHKスペシャルで、「そしてテレビは“戦争”を煽った」が放送された。これは、2014年のクリミア併合時、ロシアとウクライナ双方のメディアが根も葉もない報道をして、国民の憎悪をあおっていたのかということに迫った、非常に良質なドキュメンタリー番組だった。
 今回もあのような形でやってみたらどうか。題して、「そして日本のマスコミはウクライナ戦争を煽った」――。賞賛間違いなしだと思うのだが、どうだろうか。
              (ノンフィクションライター 窪田順生)

参院選の争点は「アベノミクスの罪」だ 政府も日銀も死に体(金子勝氏)

 世界各国の中央銀行が一斉に利上げに転じた中で、日銀だけはそれが出来ません。「しない」のではなく「出来ない」のです。それは国債残高1000兆円に対して金利を1%上げれば利息分(国債費)は年額10兆円になるので財政的にとても賄い切れないし、日銀は526兆円を保有しているので、利上げをすれば債務超過(破綻)に陥ります。中央銀行を破綻させれば文字通り破綻国家となります。

 すべては10年近く続いたアベノミクスの放漫財政が招来したものです。
 異次元緩和をやめた途端に株価が暴落し日銀が債務超過になるので、アベノミクスを軟着陸させることが出来ないという指摘は当初からありました。それ以前の問題として既に抜き差しならない状態に陥っているのでした。
 このまま世界の趨勢に追随できない状態が続けば日本は猛烈なインフレに直面すると言われ、終戦直後のハイパーインフレに似た状態になるということです。
 つくづくアベノミクスは日本を滅茶苦茶にしました。このことは間違いなく歴史に残ることでしょう。
 日刊ゲンダイの記事:「金子勝の『天下の逆襲』ー参院選の争点は『アベノミクスの罪』だ 政府も日銀も死に体、絶対にだまされるな」を紹介します。
末尾で、金子教授が解説する動画(24分)が紹介されています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
金子勝の「天下の逆襲」
参院選の争点は「アベノミクスの罪」だ 政府も日銀も死に体、絶対にだまされるな
                         日刊ゲンダイ 2022/06/29
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 参院選(7月10日投開票)が公示され、円安物価高を前面に押し出す野党がようやくいい戦いをし始めた。10年近く続くアベノミクスがこの国の経済をどれほどむしばんできたか。この争点をしっかり問えるかが勝負の分かれ目になるだろう。岸田自民党は金利を引き上げたら中小企業や家計が苦しむと主張しているが、ちょっと待て。金利を見直せなくなるほど経済をおかしくしたのはアベノミクスなのではないか。
 2021年末の普通国債残高は1000兆円に迫る水準だ。金利が1%上昇すれば、単純計算で国債費は10兆円増える。防衛予算のおよそ2年分だ。この間、政府はマイナス金利の短期債と中期債を発行し、やりくりしてきた。平たく言えば、日銀が額面価格より高く買い取り、政府にカネを差し出すということ。政府は利払い不要で臨時収入を手にしてきたわけだ。日銀が金利を引き上げたら政府はその手を使えなくなる上、たちまち財政危機に陥ることになる。
 金利が上昇すれば、国債価格は下落する。ブルームバーグの計算によると、526兆円の国債を保有する日銀は金利引き上げで29兆円の含み損を抱えるという。日銀の自己資本は10兆円超だから、潜在的な債務超過状態になってしまう。だから日銀は国債を売り払えず、永久に抱えざるを得ない。身動きが取れない懐事情を見透かされ、それがまた円安を加速させる。 

 新型コロナ対策として中小企業などにバラまいた実質無利子・無担保融資は40兆円を突破した。金利上昇に耐えられず倒産が相次ぎ、住宅バブルが崩壊すれば、日銀は大量の不良債権を抱えることにもなる。中央銀行である日銀はすでに青息吐息の死に体。こうした事実を知っておかなければならない

 都合の悪い現実をヒタ隠す岸田政権と黒田日銀の逃げ切りを許せば、究極の日本売りを引き起こすだろう。主要国の中銀が次々に利上げを実施する中、日本だけ取り残され、円安は進行する一方だろう。
 1ドル=140円台に突入すれば、アジア通貨危機が再来するリスクも高まる。岸田自民は防衛費の「5年以内にGDP比2%以上」の実現に向けてシャカリキになり、安倍元首相は「財源は国債で対応していけばいい」なんて無責任なことを言っている。戦時財政でハイパーインフレを引き起こし、政府の借金をインフレで棒引きするつもりか。
 安全保障の不安をあおり、憲法改正を争点化し、国民が生活できなくなる危機を国家存続の危機にすり替えるのが岸田自民の路線。目くらましに絶対にだまされてはいけない。

*番外編を【動画】でご覧いただけます。

金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

アフリカ諸国はなぜウクライナを支援しようとしないのか

 別掲の窪田順生氏の記事には、
西側諸国は世界の人口の15%しか占めていない。一方、ロシアと中国を含めたBRICS
 は5カ国ながら世界人口の38%以上で世界のGDPの約24%を占めている。
6月15~18日に、ロシアで開催された第25回サンクトペテルブルク国際経済フォー
 ラムには、例年より13か国減ったものの127カ国が出席した。
ことなどが記載されています。
 日本では「国際社会」というと欧米諸国しか念頭になく、その他の大多数にはあまり関心がないようです。しかしそれは明治開国以来養われてきた固定観念のようです。

 その点、ロシアや中国は大いにアフリカ諸国に関心を持ち、援助もし、彼らから信頼を勝ち得ているようです。日本も従来の「米国一辺倒」や「欧米一辺倒」から早く脱するべきです。
 堀田 佳男氏による記事:「アフリカ諸国はなぜウクライナを支援しようとしないのか 簡単には忘れられない植民地支配の辛い記憶とロシアの援助」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アフリカ諸国はなぜウクライナを支援しようとしないのか
簡単には忘れられない植民地支配の辛い記憶とロシアの援助
                        堀田 佳男 JBpress 2022.6.30
 ロシアによるウクライナ侵攻からすでに4カ月以上が経った。
 ウクライナ東部での戦闘は収まるどころか、さらに激化するとの見通しが有力だ。首都キーウが3週間ぶりにロシア軍に攻撃されてもいる。
 それに対し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月25日のビデオ演説で、「すべての都市を奪い返す」と強気の発言をしており、ウクライナ戦争はほぼ間違いなく長期化しそうな情勢である。
 そんな中、同戦争に対する興味深い見方がワールドニュースのスポットライトを浴びた。
 アフリカ連合(AU)加盟国55カ国のうち、「被害国」であるはずのウクライナに加担する国がほとんどいないことが明らかになったのだ。

 ロシアがウクライナに一方的に軍事侵攻したという事実は国際的に広く認知されているはずだが、それは世界中の国々で共有されている統一見解ではない。
 6月20日、ゼレンスキー氏はアフリカ諸国の代表たちとビデオ会議(Zoom call)を開こうと画策していた。
 ドイツとフランスも会議の開催を随分前からあと押ししたが、会議は失敗に終わる。
 というのも、55カ国の国家元首のうち、参加したのは4カ国だけだったからだ(セネガル、コートジボアール、リビア、コンゴ)。
 ウクライナ戦争はロシアによる不当な侵略から始まったはずだが、ほとんどのアフリカ元首はゼレンスキー氏の話に耳を傾けることを拒否しただけでなく、ウクライナが「犠牲者」であるとの捉え方もしてないのだ。
 外交関係者の共通する見方として、ウクライナはいま経済的に窮地に立たされているだけでなく、軍事的にも脆弱であるため、同国がアフリカ諸国に提供できるものはないという考え方がある。

 アフリカ諸国にしてみると、ウクライナを支援しても自分たちの利益にならないのなら、ロシアに追随した方がいいという思考回路である。
 そのロシアはアフリカの食糧安全保障の柱として、またアフリカ大陸のテロ活動に対する防護壁として支援する価値があると捉えられている。
 多くの元首たちにとって、ウクライナ戦争というのは欧米諸国とロシアによる代理戦争であり、51カ国の元首たちは、ことウクライナ戦争においては「中立を保つ」ことが賢明と判断したわけだ。
 フランスの「ル・モンド」紙は、ウクライナが4月から同会議を開こうと画策していた事実を指摘。
 さらにアフリカ元首の不参加については、「ゼレンスキー氏とアフリカ大陸の指導者たちの間には緊張関係があった。そのため、多くのリーダーたちは中立の立場を堅持したのだ」と記した。
 さらに欧州メディア「モダン・ディプロマシー」は次のように書いている。
「米国と欧州連合は、国際社会のために行動していると主張しているが、今回のウクライナ戦争では、ウクライナ側に加わっているのは米国、欧州連合、オーストラリア、ニュージランド、韓国、日本といった同盟国だけで、世界人口でいえば15%ほどでしかない
 そして中国、インド、パキスタン、ブラジル、エチオピア、メキシコ、ベトナムといった多くの人口を抱える国は中立を保っていると記した。
 逆に南アフリカ、イラン、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアなどは、ウクライナ戦争の根源的な原因は米国を含む北大西洋条約機構(NATO)にあるとする立場をとっている。
 ロシアがウクライナ侵攻の当事者であり、加害者であるにもかかわらず、ロシアへの批判が多数意見になっていないのだ。

 ウクライナへの支持が集まらない理由はほかにもある。
 多くのアフリカ諸国は第2次世界大戦後、植民地支配から解放された時、モスクワから支援の手を差し伸べられた
 アフリカでは、国によってはいまだに反帝国主義的な感情を抱いているところがあり、米国とロシアのどちらを選択するかと問われた時にはロシアを選ぶことが少なくない。
 アフリカ内部からの声を聞くと、「平和はもちろん追求したいが、戦争の原因はNATOによる東方への軍事的な拡張のため」との見方も依然として強い
 特に、南アフリカ、ジンバブエ、アンゴラ、モザンビークなどは植民地支配や白人至上主義からの解放の途上で、ロシアから支援を受けた経緯がある。
 その時にモスクワから恩恵を受けた政党がいまだに政権を保持していたりすると、あからさまなロシア批判はできない。
 さらにアフリカ諸国がロシアを明白に批判できない理由がある。
 それはロシアが世界有数の小麦生産国であり、アフリカ諸国の重要な食糧供給源になっていることだ。
 何世紀にもわたり、多くのアフリカ諸国は欧米の植民地主義によって荒廃し、食糧不安は風土病と呼べるほどにまでなっていた。
 プーチン大統領は6月3日、黒海に面した保養地ソチで、アフリカ連合の議長を務めるセネガルのサル大統領と会談している。
 そこでプーチン氏は、「アフリカ諸国による植民地主義の戦いで、ロシアは常にアフリカの味方だった」と自画自賛してみせた。そしてこうも発言している。
「ロシアとアフリカ諸国との関係は新たな発展段階の途上にあり、ロシアはその関係を重視している」
貿易額を眺めても、今年は年初からの数カ月間で34%も伸びた。人道的な関係を発展させもしている。今後は何でもするつもりだ」
 ロシアのラブロフ外相もアフリカ諸国との関係強化を強調している。
「この困難な時代において、アフリカとの戦略的パートナーシップはロシア外交の優先事項になっている」

 一方、こうしたロシアとアフリカ諸国の関係を、ゼレンスキー大統領は6月に行われたアフリカ連合での演説で、「ロシアはアフリカをウクライナ戦争の人質にしている」と糾弾した。
 それを受けるように、セネガルのサル大統領はゼレンスキー氏の演説を称賛。
「アフリカは国際法のルールを遵守し、紛争の平和的解決を図り、貿易の自由を尊重することに尽力する」とゼレンスキー氏の主張に同意した。
 単純な価値観でアフリカとロシア、さらに西側諸国との関係性は読み解けないが、少なくとも無差別でウクライナを爆撃するロシアの戦争の論理には「ノー」を突きつける必要があるはずだ。

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