2017年1月12日木曜日

12- 日本の体制側とマスメディアは「第3極」をどう活用して来たか

 米大統領選の結果は体制側から見ると「大番狂わせ」でしたが、その大きな要因の一つとして、国民がメディアの宣伝をそのまま受け取らずに(バンドワゴン効果=行進先導車効果 に流されずに)自分たちの意志を貫いたことが挙げられています
 そうした判断力は「メディア・リテラシー」と呼ばれますが、国民がメディアの意図に操られて投票行動をするほど愚かなことはありません。その点ではアメリカ国民には骨があったと言えます。
 
 では日本ではどうでしょうか。2012年以降、選挙になる度にメディアは自分たちがイメージングした「第3極」を大宣伝し、その「第3極」が躍進しさえすれば日本の政治は好転するという雰囲気を醸成しました。
 残念ながら日本人はメディアのそうした世論操作に対する免疫性が欠如しているようで、いいように操られるところがあります。メディア・リテラシーが大いに劣っているということです。
 その結果「第3極」の政党は躍進しましたが、政治の好転などは起きずに、時間が経過すると「第3極」は実は自民党の補完勢力に他ならないことが明らかになりました。
 
 植草一秀氏が、日本の体制側がメディアを利用しながらこれまで「第3極」をどのように活用して来たのか、そして今後何をしようとしているのかを明らかにしています。
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主権者は反核・反戦・反格差の旗の下に集結しよう
植草一秀の「知られざる真実」 2017年1月11日
2014年12月総選挙と2016年7月総選挙の間には重要な変化が観察される。
比例代表選挙の得票率を見てみよう。
2014年12月総選挙では
    自民  17.4
    公明    7.2
    自公  24.7
    民主    9.6
    野党計 28.0
だった(いずれも%、全有権者数に対する得票率)。
これが2016年7月参院選では大きく変化した。
自民  19.6
公明    7.4
お維新   5.0
こころ     0.7
与党系 32.8
民進   11.5
共産     5.9
野党計 19.9
つまり、2016年7月参院選では、与党系政党の得票率が上昇しているのである。
最大の要因は維新が野党系から与党系に鞍替えしたことである。
維新は2014年12月の選挙で8.3%の得票率を得ているが、民主との一部合流などの紆余曲折を経て、現在の維新は完全に与党サイドの政党に変質し、この新・維新が2016年7月参院選で5.0%の得票を得た。
 
何が目論まれ、何が起きているのかを洞察することが重要である。
人為的に「第三極」を創設し、この「第三極」を「準与党化」することが目論まれているのである。
この「第三極」創設にもっとも尽力してきたのは、日本のマスメディアである。
2008年夏にフジテレビが「CHANGE」と題する政治ドラマを放映した。人為的に「第三極」政党を創設するために作られたドラマであったと思われる。このドラマの延長上に「みんなの党」が創設された。
 
しかし、2009年8月総選挙での政権交代を阻止できなかった。「みんなの党」は、政権交代を阻止する防波堤に成り得なかったのである。
そこで、日本の支配者は、次の一手として、「橋下維新」の熱烈宣伝を始めた。日本のマスメディアが一知事の動向をトップニュースとして伝え続けることはあり得ない。
ところが、日本のマスメディアは橋下徹氏に関する過剰報道を展開し続けて、2012年12月総選挙に際して「日本維新の会」所属議員は13名に過ぎなかったが、メディアがこの勢力を「第三極」として大宣伝し続けた結果、54議席を獲得し、「第三極」を実現してしまったのである。
 
2012年12月総選挙の際に、現実の「第三極」であったのは「国民の生活が第一」(=「未来の党」)で、議員数は46だった。
メディアは「国民の生活が第一」の結党パーティーも選挙公約もまったく報道しなかった。
これに対して、「維新の会」については、連日連夜、大宣伝に次ぐ大宣伝を繰り返した。
つまり、「日本の支配者」は、本当の意味の革新政党をせん滅するために、「準与党」である「第三極」をマスメディア総動員の「大宣伝活動」によって急拡張を推進しているのである。
 
日本政治を、「与党と準与党だけで仕切る体制」が目指されている。
いま、この動きに動員されているのが、小池百合子氏と野田佳彦氏(=蓮舫氏)である。
与党と準与党で、政界を占有してしまう。その目的は、真の革新政党をせん滅することである。
この「敵」の策謀を見抜き、根底からの巻き返しを図らなければならない。
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