2017年1月29日日曜日

アメリカの利益が日本国民の生活よりも重要なのか

 安倍首相は、彼が熱望してやまない日米首脳会談で、「米国第一主義を尊重し理解する」と伝えるということです。バカみたいな話です。
 なるほどトランプ大統領は就任演説で「米国第一主義」を明言しましたが、同時に、「すべての国には自国の利益を優先させる権利があることを理解した上で、そうします」と述べています。
 従ってトランプ氏の「米国第一主義」をひれ伏して受け入れるというのは愚の骨頂であり、一国の首相たる者の取るべき態度ではありません。
 ブログ:「村野瀬玲奈の秘書課広報室」が、「アメリカの利益が日本国民の生活よりも重要だというのか」と嚙みつきました。当然のことです。
 
 そもそもそんな国辱的なおべんちゃらを言っているときではありません。
 トランプ大統領安倍首相との会談で、TPP協定に代わる二国間の貿易協定(FTA)締結に向け速やかな進展を求める意向を明らかにしています。安倍首相はあれだけTPP協定の成立に血道を上げていたのだから、当然FTAにも応じる筈だと考えているわけです。
 安倍首相は以前に確か二国間協定には応じないと明言していましたが、内弁慶の安倍氏がトランプ氏の要求をキチンと断れるのでしょうか。とてもそんな風には思えません。
 
 天木直人氏も、「日米二国間交渉という悪夢の再来が現実になった」として、首脳会談で新たな要求を突き付けられれば、全く逆らえずに丸呑みさせられてしまうのは明らかだと述べましたそして安倍首相がその事実を日本国民には隠しておきたくても、いまはトランプがすべてツイッターで公表すので、ベタ降りが国民の目の前にさらされるとしました
 
 安倍首相は、何の戦略的な思考も持たないままでTPP批准のバカ騒ぎを演じたことが、日米FTAの締結に向けてどんな悪影響を及ぼすことになるのかを、今度こそ身に染みて自覚する必要があります。もっともそういう事態であるということが理解出来なければ無理でしょうが・・・
 
 FTA交渉の中でも当然「非関税障壁の撤廃」と「ISD条項の導入」が要求されます。
 せめてそれだけは自分自身の責任上政治生命を懸けて阻止して欲しいものです。
 
追記)
 これまでの国会答弁を聞いていると安倍首相も石原担当大臣も、TPPやFTAのISD条項の恐ろしさについては全く無知です。アメリカで行われている仲裁裁定の実態を知りません。それでは米韓FTAの二の舞を演じることになります。
 仲裁は事実上多国籍企業の顧問弁護士が行い、彼らは仲裁裁定で莫大な収入を得ています。そんな彼らが雇い主である多国籍企業に不利な裁定をする筈がありません。アメリカがこれまでのすべての訴訟で全勝し、無敗であるというのは当然の話です。
 米韓FTAを結んだ韓国は、その訴訟費用自体に耐えきれずに数十の国内法を改正しましたが、それでもなおかつ巨額の賠償請求に苛まれ慄いています。韓国の当初の意図とは裏腹に、今や多国籍企業の恰好の餌食になっているわけです。
 
 仲裁裁定の経費とそれに関与する弁護士の収入に関するデータを紹介します。
    原典:「不当な行為で金儲け Profiting from Injustice」  Pia Eberhardt と Cecilia Olivet 著 2012年11月出版 (マスコミに載らない海外記事より転載) 
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(前  略)
仲裁業界が、国際投資法の受動的な受益者とは程遠いことを明らかにする。そうではなく、彼らはきわめて活動的な当事者、多くが、多国籍企業に対して強力な個人的、事業的なつながりを持ち
 
1. 投資仲裁裁判の数も、かかわる金額も過去二十年間で急増し、1996年に、38件(そのような紛争を管理する世界銀行の機関ICSIDに登録されたもの)だったものが、2011年には、450件の投資家-国家訴訟が知られている。訴訟にまつわる金額も劇的に増大した。2009年/2010年、151件の投資仲裁裁判で、大企業は国に少なくとも1億ドル115億円要求した。
 
2. 仲裁ブームは、投資弁護士にとって、納税者の支払いによる大儲けをもたらした。訴訟・仲裁費用は投資家-国家紛争一件につき、平均800万9・2億円ドル以上で、場合によっては、3000万(34・5億円ドルを越える。エリート弁護士事務所は、弁護士一人、一時間、1,00011・5万円ドルも請求する  - しかもチーム丸ごとで訴訟を扱うのだ。仲裁人は、ある報告されている例では、約100万ドル1・15億円にものぼる高給も享受している。こうした費用は、国民が基本的サービスの利用さえできない国を含め、納税者が支払っているのだ。例えば、フィリピン政府は、ドイツの空港運用業者フラポートの二件の訴訟の被告として、5800万ドル66・7億円もついやした。この金額は、12,500人の教師を一年間雇える給料で、あるいは380万人の子供に、結核、ジフテリア、破傷風やポリオなどの病気に対するワクチンが打てたはずなのだ(以上 1ドル115円で換算)
(後  略)
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トランプ大統領 日米首脳会談で2国間協定締結を要求か
NHK NEWS WEB 2017年1月27日
ロイター通信は、アメリカのトランプ大統領が来月、ホワイトハウスで安倍総理大臣と会談する際に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わる2国間の貿易協定締結に向けた、速やかな進展を求める意向だと伝えました。
これはロイター通信が26日、トランプ政権の高官の話として伝えたものです。
 
それによりますと、来月行う方向で調整している日米首脳会談について、この高官は「安倍総理大臣の訪問を通じて、TPPに代わるものを探るつもりだ」と述べたということで、トランプ大統領が、会談の際に、TPP協定に代わる2国間の貿易協定締結に向けた速やかな進展を求める意向だと伝えました。
また、AP通信はトランプ大統領が近く、TPP協定の大半の参加国と2国間の貿易交渉を始めるための措置を取ると伝えています。
 
TPP協定はトランプ大統領が23日に、離脱するための大統領令に署名し、発効のめどが立たなくなりました。
トランプ大統領は26日の演説でも、「われわれはTPP協定から離脱し、アメリカの労働者を守る新たな1対1の貿易協定への道を開く」と述べていて、今後は、アメリカにとってより有利なかたちの2国間の貿易協定に向けた交渉を進めたい考えです。
 
 
アメリカの利益が日本国民の生活よりも重要だ
というのが自民党の政策だということ。
村野瀬玲奈の秘書課広報室 2017/01/27
あまりにも異常な安倍自民党政府の政治方針
「米国第一主義を尊重」し、それをわざわざ首脳会談で言いに行くのだそうです。
 
たとえば、ポーランドとドイツの首脳会談で、ポーランド首脳が「ドイツ第一主義を尊重する」とわざわざ言うものかどうか。
たとえば、イギリスとアイルランドの首脳会談で、アイルランド首脳が「イギリス第一主義を尊重する」とわざわざ言うものかどうか。
たとえば、インドとスリランカの首脳会談で、スリランカ首脳が「インド第一主義を尊重する」とわざわざ言うのかどうか。
たとえば、カナダとアメリカの首脳会談で、カナダ首脳が「アメリカ第一主義を尊重する」とわざわざ言うのかどうか。
たとえば、メキシコとアメリカの首脳会談で、メキシコ首脳が「アメリカ第一主義を尊重する」とわざわざ言うのかどうか。
 
メキシコ大統領に関して言えば、支持率が現在12%にまで下落しているという報道があります。
 
メキシコ大統領支持率12%に低下 地元紙調査 
日経新聞 2017/1/19 18:52
【メキシコシティ=丸山修一】メキシコのペニャニエト大統領の人気低下に歯止めがかからない。地元有力紙レフォルマが18日付で発表した世論調査によると、支持率は12%と同紙の調査による自身の最低支持率を更新した。景気減速や汚職・犯罪問題に有効な手立てを打てず、年明けのガソリンの値上げも重なり、支持をさらに失った。
 
 昨年12月時点の前回調査で支持率は24%だったが、一段と落ち込んだ。「支持しない」も前回の73%から一気に86%に上昇。同紙は「他国と比べても歴史的な低さ」と指摘している。関連してメキシコの最も大きな問題を聞いたところ、経済が41%でトップ。前回は16%で、トランプ氏の米大統領就任を前に経済への不安が高まっている。
(後略)
 
日本では、自民党政府がアメリカに隷従すればするほど自民党内閣の支持率が上がり、マスコミもアメリカへの隷従を当然としているに等しい論調が主流なのとあまりに違いますね。「ほかに適当な人がいない」としか考えることができなくて現職を漫然と支持し続けることがないメキシコ国民の反応はまともだと思います。
かくして、安倍自民党の異常さの例がまた一つ積みあがったのでした。
 
安倍自民党は自らトランプのアメリカの奴隷になりに行くようなものです。というか、日本国民とその財産をトランプのアメリカに献上しに行くようなものです。
この自民党政府とこの隷属精神を屈辱だと思わない多数の日本人に対して、深い悲しみをおぼえます。
 
 
「日米二国間交渉という悪夢」の再来が現実になった衝撃
天木直人 2017年1月28日
 ついに来るべきものが来た。しかも、こんなに早く来るとは衝撃だ。日米二国間交渉という悪夢がそれだ。
 今日1月28日の各紙が一斉に大きく書いてる。TPPからの永久離脱を宣言したトランプ大統領が新たな日米二国間交渉を要求する見通しが強まったと。
 こうなることは当然の成り行きだったが、かくも早く、トランプ大統領が要求して来るとは、さすがの安倍首相も衝撃を受けているに違いない。
 
 米国との二国間通商交渉がどれほど理不尽なものか。それを一番よく知っているのが外務官僚だ。
 かつて日米経済摩擦が一大外交問題になっていた1980年の終わりから1990年のはじめの頃、対米交渉を総括的に担当していた外務省の北米局長が、我々中堅幹部たちを前にしてこう言った事があった。
 「もはや、米国をまともだと考えて仕事をしているものは外務省でだれひとりいない」と。
 対米従属の権化のような北米局長がそう言ったのだ。その時の驚きを私は昨日の事のように思い出している。まさしくこれが当時の外務省全体の正直な思いであった。それにもかかわらず、その局長は、そして外務省は、面従腹背のごとく日米同盟最優先を言い続けるしかなかった。
 
 それから30年ほどたって、日米二国間交渉という悪夢が再現されようとしている。しかもその悪夢は30年前の悪夢の比ではない。あの時は、官僚主導の交渉の余地はまだあった
 しかし、今度はトランプ大統領がそれを言い出し、自ら安倍首相に迫ってくる。丸呑みさせられてしまうのは明らかだ。
 あの時は、まだ日本経済、企業、国民には体力があった。しかし、いまは瀕死の状態だ。あの時は、交渉の舞台裏を国民の目から隠し、ごまかせた。
 しかし、いまはトランプ大統領がすべてツイッターで公表する。安倍首相のベタ降りが国民の目の前にさらされる
 
 もはやこの国の政治は、与野党が国会で政局に明け暮れている場合ではないのだ。挙国一致内閣でこの国難をどう乗り切るか、その対応策を考える時だ。
 いや、もはや政治家だけで決められる段階は通り越している。
 国民が政治に参加し、政治が国民と一体となって、トランプ大統領の米国に対する日本の外交を考える時だ。
 それを実践するのが新党憲法9条である。
 トランプ大統領の理不尽を跳ね返す事ができるのは憲法9条しかない(了)