日刊ゲンダイが辛口批評の浜矩子・同志社大教授の新春インタビューを掲載しました。
米国はトランプ政権になるとさらに利上げを行うのに対して、日本は金利を上げられる状況にはないので、結果として日本から最も勢いよくカネが流出して、日本経済は資本不足=「日本経済のミイラ化現象」に陥るとしています。
非常に要約された表現になっているので、具体的にどんなことが起きるか良くわかりませんが・・・
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浜矩子氏が警鐘 トランプ就任で日本経済は“ミイラ化現象”
日刊ゲンダイ 2017年1月6日
今月20日、いよいよ米国の新大統領にドナルド・トランプが就任する。日本経済の先行きは。トランプ政権にどう立ち向かうのか。辛口批評が定評の浜矩子・同志社大教授の新春インタビュー第1弾。
■日本からマネー大量流出の可能性
米国はトランプ政権で財政大盤振る舞い体制に入ります。ゼロ金利の出口から強制的に引っ張り出される格好で、昨年12月、既に利上げに踏み切りました。今年はさらに利上げの方向にグッと動くことになる。この金融環境の大きな変化に日本が対応できるのか。これは大問題です。
日本はとてもじゃないが、金利を上げられる状況ではない。日銀は昨年9月、あのヘンテコな「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」なる屋上屋を架したばかりです。あまり金利は上がらないけれど、さりとてマイナスにはならないように維持し、でも国債はそこそこ買うと。ものすごく難しい“お手玉”ですが、それを何とか実現できるフレームを死に物狂いでつくった途端、米国の金利が上がり始めた。
これで世界中の資金が米国に吸い寄せられることになりますが、世界を見回すと、日本が最も金利面で動きにくい状況なので、日本から最も勢いよくカネが流れ出していく可能性がある。日本経済は資本不足で干上がってしまいかねません。「日本経済のミイラ化現象」が起こり得るのです。
トランプ氏については、「大統領になれば変わるだろう」と良識的な論者は言いますが、希望的観測に過ぎないと思います。閣僚選びは過激派と金持ちばかり。TPPからは離脱で2国間貿易協定主義に切り替えるという主張も飛び出してきました。メキシコ国境の壁も、素材は変えるかもしれないが、つくると明言しています。変化の兆候は一切ありません。「何か裏があるんじゃないか」「あれは建前だよね」と何の根拠もなく考えるのではなく、「発言通りのことをやってくるのだろう」と覚悟しておいた方がいいのではないでしょうか。
ただ、それでも私はトランプ氏より安倍首相の方が危険人物だと思っています。トランプ氏は「引きこもり型排外主義」ですが、“妖怪アホノミクス”は「拡張型排外主義」で、世界一になりたい。TPPにしても、米国がいなくなって日本主導でバージョン2をつくれればラッキーという発想じゃないですか。大東亜共栄圏づくりを目指すという感性も見えるし、発言にもそうした野望が出ている。トランプ氏は「世界のために頑張らない」と言っているので、まだ相対的には害がない。まあ、どっちも勝るとも劣らずおぞましいんですけどね。