2017年1月16日月曜日

16- 軍隊も動き出した トランプ氏への包囲網

 アメリカの軍隊もトランプ氏がロシアと融和するのを阻止する行動を開始したということです。
 それは勿論CIAのようなトランプ氏への「口撃」という方法ではなく、ロシア国境に向けて2700人の軍隊を動かすことで緊張関係を生み出して、トランプ氏がロシアとの関係を正常化するのを極力困難にするというものです。さすがは軍隊なのでまことに分かりやすい行動です。
 
 米情報機関の幹部はイスラエル政府に、トランプ氏は情報をロシアとイランに漏洩するので、諜報情報をトランプ政権とは共有しないよう警告したということです必要な情報を遮断されればその政権はうまく機能しなくなることでしょう。
 それだけではなくトランプ氏が指名した次期国務長官と国防長官の承認のための公聴会では、議会は両者に「ロシアは脅威で、軍事的対決に備える必要がある」と宣言しなくてはならないように仕向けました。それはトランプ氏を孤立させることになるとともに、ロシアが抱いている関係正常化への希望をくす上で有効でした。
 これが「ロシアは悪」とする国是を改めようとする大統領の意向を阻止するために、米国体制派・米国支配体制が行っていることの実態です。
 
 かつてそういうものと対決しようとしたケネディ大統領は暗殺され、その手先になった人たちやそうしたメンバーと接触した十数人の人たちはみんな謎の死を遂げました。トランプ氏もそうしたことは重々承知していて私設のSP組織を準備しているようなのですが、国家組織が相手では果たしてどうなのでしょうか。
 
 Paul Craig Roberts氏の記事を紹介します。
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トランプから大統領の座を盗み取ろうとしている支配体制
マスコミに載らない海外記事 2017年1月15日
Paul Craig Roberts 2017年1月13日
戦車をともなった2,700人のアメリカ軍兵士が、ポーランドを横切り、ロシア国境に向かっているとロイターが報じた。第3機甲旅団戦闘部隊司令官クリストファー・ノリー大佐は“我々の任務の主目的は、脅威の抑止と予防だ。”と宣言した。どうやら大佐は、彼が率いている部隊が、脅威を防ぐどころか、脅威になるのを理解するほどの頭もないようだ。しかも、それも、誰あろうロシアの軍事力に対して。
 
このちっぽけな軍隊に何の意味があるだろう? 100倍大きくとも、おそらくは千倍大きくとも、ロシアに対する脅威にはなるまい。ヒトラーは、準備のできていないスターリンに対し、人類史上最大の軍事作戦で、最大最高の軍隊でロシアに侵略したことを想起願いたい。ドイツ侵略軍は、3,800,000人の兵士、600,000台のオートバイ、3,350輌の戦車、7,200門の大砲と、2,770機の航空機で編成されていた。スターリンにより、将校団が粛清されていたにもかかわらず、赤軍はこの壮大な軍勢を潰し、対ドイツ戦争に勝利した。
 
スターリンのロシアと比較すると、プーチンのロシアは準備ができている。NATOは、ロシアを侵略するのに十分大きな軍隊を編成することはできない。2,700人のアメリカ軍兵士が、ポーランドを横切り、ロシアに向かっていることに一体何の意味があるのだろう?
 
その答えは、ロシアは脅威だという欧米プロパガンダを生かし続けることと、トランプにとって、ロシアとの関係を正常化するのを極力困難にするためだ。アメリカ軍が、次期大統領の政策と矛盾する、この挑発的演習を行っているのは異常なことだ。アメリカ軍、CIAと、連中のアメリカ売女マスコミは、次期大統領の政策とは独自に、連中自身の計画を、非民主的に遂行しているのだ。イスラエルの新聞ハアレツによれば、アメリカ諜報機関幹部は、イスラエル政府に、プーチンには、トランプに対して“圧力をかける手段があり” 、トランプは、情報をロシアとイランに漏洩するので、諜報情報をトランプ政権とは共有しないよう警告までした。
 
軍安保複合体によるトランプ政策妨害がどのように機能するのかを、我々はみることができる。絶えざる非難によって、ロシアや、他のだれもしてもいない、決しておきなかったハッキングに、ロシアが関与した可能性があると、トランプに発言するよう強いることができたのだ。トランプの国務長官被指名者ティラーソンは、指名承認公聴会で、承認されるために、ロシアは脅威だと宣言しなければならなかった。トランプの国防長官被指名者マティスは、指名承認公聴会で、アメリカはロシアとの軍事的対決に備えておく必要があると言わざるを得ず、更に、NATOを潰そうとしていると彼が言ったロシアと、協力できるいくつかの分野があるとも述べた。
 
トランプが認めたのは、CIAに口実を与え、連中の言い分が立証されたと感じられるようして、彼への干渉を止めさせるためだと片づけることができようし、ティラーソンとマティスの発言も、承認されるために、言わざるを得ないものだったと片づけることは可能だ。それでも、トランプの最高閣僚としての被任命者のこうした発言が、トランプを除く全員、トランプ自身の閣僚さえもが、ロシアが脅威であると認識していると確認したものとして利用されている。オバマ政権が必死で働きかけたロシア・プロパガンダの構図は、今や、トランプの国務長官と国防長官被指名者によって受け入れられたという後光をもたらした。ティラーソンとマティスに、そういうつもりであるか否かにかかわらず、軍安保複合体の選挙運動献金に支配されているアメリカ議会は、明らかに、ロシアが脅威と見なされるよう、断固決意しているのだ。
 
こうした物事を見つめているロシアは、あっと言う間に、関係正常化への希望を無くすだろう。アメリカ支配体制が、ロシア政府内で、希望を消し、疑念を増大させ、トランプの、より良い関係という政策に対するロシア国内における障壁を高めている。
権力と利益に固執するため、進んでロシアとの紛争のリスクをおかすというアメリカ支配体制の野放図な悪以上に、はっきりと語るものはない。
リベラル左翼の良心は、一体どこにいったのだろう? 軍安保複合体が、トランプの権威を失墜させ、彼を封じ込め、彼の計画を就任と同時に潰れさせ、熱核戦争を残された選択肢にするのを、リベラル左翼は、一体なぜ支援するのだろう?
 
Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。