2025年1月29日水曜日

学術会議の法人化 法案 提出許さない 日本民主法律家協会が声明

 内開府の有識者懇談会は昨年末、外部者でつくる会員選考「助言委員会」などの新設を柱とする最終報告書を公表し、政府はこれに沿って法制化を急いでいます。

 日本民主法律家協会は24日、政府に対し抗議する緊急声明を発表しました。
 声明は、「学術会議を徹頭徹尾、政府と産業界に従属する組織に改変しようとする意図が明白」だと指摘し、「法案の国会提出は、市民社命が総力を挙げて絶対に阻止しなければならない」と強調しています。
 声明は全文5960字と長文ですが、「これまでの経過」に始まり 提出される学術会議法人化の法案がどれほど政府・経済界の要求に則って「学術会議」を形骸化させるものであるかを、克明に説明しています。
 しんぶん赤旗の記事と声明の全文を紹介します。
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学術会議の法人化 法案提出許さない 日本民主法律家協会が声明
                       しんぶん赤旗 2025年1月26日
 日本民主法律家協会24日、日本学術会議の独立性を奪う法人化法案の国会提出を狙っている政府・自民党に対し抗議する緊急声明を発表しました。
 学術会議の法人化を検討していた内開府の有識者懇談会は昨年末政府が任命する「監事」や、外部者でくる会員選考「助言委員会」などの新設を柱とする最終報告書を公表。政府はこれに沿って法制化を急いでいます。
 報告書の内容について緊急声明は「学術会議を徹頭徹尾、政府と産業界に従属する組織に改変しようとする意図が明白と指摘。学術会議が独立して活動できなくなれば、政府や社会への科学的で客観的な提言や勧告が不可能になり、市民社会に重大な影響を及ぼすと警告しています。
 声明は「法律案の国会提出は、市民社命が総力を挙げて絶対に阻止しなければならない」と強調。昨年末の学術会議総会は、法人化への反対意見が多く出たものの、「十分な審議なしの決議を避けて、結論を持ち越したまま閉会した」もので、学術会議が法人化を容認したかのような報道は「ミスリード」だと指摘した上で、市民と学術会議会員が連帯し、法人化反対の広範な世論を形成する必要があると訴えています。


日本学術会議の独立性を奪う「法人化」に反対する緊急声明
―学術会議への政治介入を導入する法案の提出を許さない―
                               2025年1月24日
                                日本民主法律家協会

1 重大な岐路
 いま、日本学術会議(以下、「学術会議」)は重大な岐路に立たされている。
 それは、日本の市民社会が重大な岐路に立たされていることを意味する。
 法律家(法学者・弁護士など)の団体である日本民主法律家協会は、学術会議の独立性を奪う法律案を政府・自民党が通常国会に提出しようとする企てに対し、強い危機感を表明し、多くの市民とともに上記法案の提出を阻み、政府から独立し、政府に忖度せずに科学的助言をする任務を有する学術会議の独立性を守りたいと考え、この緊急声明を発表する。

2 何が起こっているのか?―これまでの経過
 2020年10月1日、菅義偉内閣総理大臣(当時)は、学術会議が推薦した105名の会員候補者のうち6名の任命を、理由も明らかにしないまま拒否した。学術会議の長い歴史の中で初めての事件であり、1200を超える学会や諸団体が抗議声明を発出し、国会でも野党議員が連日のように政府を追及した。
 このような国民多数の批判をすり替えるように、同年12月自民党PTが公表したのが、学術会議を国の機関から切り離して別法人にしようという案である。「国の機関だから首相に任命権がある。国と別法人にすれば任命拒否は起こらない」という本末転倒の論理であったが、それだけでなく、学術会議を「法人化」した上で政府が学術会議をコントロールできる制度にしようとの企みであった。
 上記自民党PTの企みは、2022年12月、内閣府総合政策推進室が唐突に公表した「学術会議の在り方について(具体化検討案)」において、政府の方針として顕在化した。同「方針」は、学術会議に対し、政府と「問題意識や時間軸を共有」することを求め、学術会議会員選考のルールや選考過程に「第三者委員会」を関与させようとするものであり、あたかも任命拒否の正当化・制度化であった。この政府方針に対しては、多数の市民、ノーベル賞受賞者8名、歴代学術会議会長5名、G7各国のアカデミー代表者ら、日本弁護士連合会等が強く抗議するという経緯を経て、2023年4月18日、学術会議総会は毅然として政府に対し法案提出を見送るようにとの「勧告」を出した。これによって、政府は法案提出を断念した

 しかし政府は、学術会議を根本的に変質させる企ては断念しなかった。同年6月の閣議決定で学術会議の「法人化」案について早期に理解を得るとし、同年8月29日、内閣府に「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」(以下、「有識者懇談会」)を設置し、官僚のリードの下、「法人化」の結論ありきで議論を積み重ねさせた。なお学術会議会長は「オブザーバー」としてのみ参加が要請された。有識者懇談会は、約1年4か月の議論を経て、2024年12月20日、「世界最高のナショナルアカデミーを目指して」と題する最終報告書を公表し、2020年の自民党PT案と同様、「学術会議の法人化」を打ち出し、学術会議に対する政府のコントロールを法制化すべきだとの提案をしたのである。
 そして政府は2025年1月24日開会の通常国会で、最終報告書の内容に沿った学術会議法改正法を成立させようとしている。これが現在の状況である。

3 「最終報告書」にいう「法人化」とは、学術会議の政府・産業界への従属
 有識者懇談会の「最終報告書」(以下、「最終報告書」)には、「学術会議を法人化する場合には、独立性・自律性が現在以上に確保されるべきことは言うまでもない」といった美辞麗句が述べられているが、その内容は、これとは正反対に、学術会議の独立性・自律性を奪おうとするものに他ならない
 すなわち最終報告書の骨子は、現在の学術会議が ①国の機関でありつつ ②科学者の集団として政治権力から独立・自律して政府に対する科学的助言・勧告等を行う組織であるのに対し、これを根本的に変質させ、①学術会議を国から切り離して国が設立する「法人」とした上で、 ②これまでになかった政府や産業界による監視・介入の多くの制度を法定化しようとするものである。
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 最終報告書が新たに法定すべきとする主な制度は、具体的には以下のとおりである。
 (1)「選考助言委員会」
 学術会議会員以外の委員で構成され、会員選考の方針や手続について意見を述べる委員会。「各会員の個別の選考について意見を言うことは想定されていない」とされるが、その保証はない。また、「新たな学術会議の発足時の会員」は、「新たな会員をオープンに選考する」とされており、結局のところ、会員の選考権を学術会議から奪うものに他ならない。学術会議会長が委員を任命するとされるが、だからといって学術会議の会員選考の自律性が保たれるものではない。
 (2)「運営助言委員会」
 この委員会も、会員以外の委員で構成され、学術会議の中期的な活動方針、予算案の策定、組織の管理・運営などについて、産業界その他の「ステークホルダー」や、経営、会計、広報の専門家などが学術会議を「サポート」するという。これも会長が委員を任命するとされるが、このような委員会を設置すること自体、学術会議の自律性を損なうものである。
 (3)「レビュー委員会(評価委員会)」
 主務大臣(内閣府の首長である内閣総理大臣)が委員を任命する委員会である。学術会議の活動や運営が、使命・目的・中期的活動の方針に沿って行われているかなどについて、「ステークホルダーとコミュニケーションをとっているのか」等々を「チェックポイント」として評価するとされている。これは、学術会議の活動や運営に学術の理念以外の要素を持ち込むことになるものである。
 (4)「監事」
 主務大臣(内閣府の首長である内閣総理大臣)が任命し、「組織が適正に活動しているか、必要なプロセスが踏まれているか、予算執行や財務の状況はどうかなどを見ていく」とされる。これは、会計検査院の会計検査では足りないとして、政府による業務監査まで制度化し、学術会議を政府の統制下に置こうとするものである。
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 そして最終報告書は、学術会議に「政策のための科学」への寄与を求め、国の財政支援を行うとしつつ産業界その他による「財政基盤の多様化」も求め、かつ国が予算を出す以上、活動を年度計画に位置付け、その意義・コンセプト・方針・プロセス等を「ステークホルダー」に説明できるようにするよう求めており、学術会議を徹頭徹尾、政府と産業界に従属する組織に改変しようとする意図が明白である。
 さらに会員選考に関しては、「会員が仲間内だけで選ばれる組織だと思われないために」との文言をくどいほど繰り返しているが、現在の学術会議が厳格な選考過程を経て会員候補者を選考・推薦し、その過程も公表している事実を完全に無視するものである。また最終報告書は、会員選考の「透明化」が必要であるとも繰り返しているが、新制度はこれを一層不透明にするものである。加えて言えば、いまだに任命拒否の理由すら明らかにしない政府には会員選考の「透明化」を言い立てる資格などない

4 現行の学術会議法を変える必要はどこにもない
 学術会議は、1948年制定の「日本学術会議法」(以下、「法」)に基づいて設立され、1949年に活動を開始した国の「特別の機関」である。
 学術会議は、「わが国の科学者の内外に対する代表機関」(法2条1項)として、科学に関する重要事項を審議し、その実現を図るなどの職務を「独立して」行うと法文に明記されている(法3条)。「独立」とは、政治権力から干渉を受けないことを意味し、独立した立場から、政府からの諮問に答え(法4条)、政府に勧告する(5条)などの科学的助言を行う権限を持つ。このように、学術会議は学術の立場から対等に政府に意見を述べることを任務とする。
 学術会議は、内閣総理大臣の「所轄」とされている(法1条2項)。「所轄」とは、人事院や公正取引委員会など独立性を保障された組織に用いられる用語であり、内閣や大臣からの直接の指揮監督を受けないことを意味する。この一点をもってしても、現行の学術会議が政府からの独立性を強く保障されていることが明らかである。
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 学術会議にこのような強い独立性が認められたのは、学術会議が日本の科学者が戦争に協力したことの反省から生まれたことに基づく。そのことは、1949年1月22日の学術会議第1回総会が発した声明が、「われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたった態度について深く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓う」と述べられていることによく表れている。科学者が政治権力に従属することなく、必要な科学的助言を行うことこそが、平和と人類社会の福祉に貢献する(法前文)という考え方が、学術会議設立の出発点にある。
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 学術会議という組織の独立性の根幹は、会員人事の自律性である。法は、学術会議法が「優れた研究又は業績がある」科学者のうちから候補者を選考して内閣総理大臣に推薦し(法17条)、内閣総理大臣はその推薦に「基づいて」会員を任命する(法7条2項)と定める。「基づいて」とは、かなり強い拘束力をもつ法文上の表現である。内閣府令は学術会議が会員を推薦する際、候補者の氏名だけの名簿を提出すると定め、内閣総理大臣に会員選考の裁量の余地を与えていないが、これは学術会議法の趣旨を正確に反映したものである。そして現在の任命方法を定めた1983年の国会では、当時の中曽根康弘首相をはじめ政府側から「内閣総理大臣の任命は形式的」との答弁が繰り返され、これが学術会議法の有権解釈として、会員は学術会議の推薦のとおりに選ばれてきた。このように「会員が会員を選ぶ」方式は「コ・オプテーション方式」と呼ばれ、海外のナショナルアカデミーでは常識とされている。こうした会員選考方式による不都合が問題とされたことは一度もない。それにもかかわらず、2020年菅首相は初めて6名の任命を拒否したが、この任命拒否こそが異常だったのである。
 かつて政府に設置された「日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議」の2015年3月20付報告書も、「国の機関でありつつ法律上独立性が担保され…政府に対して勧告を行う権限を有している現行の制度…を変える積極的な理由は見出しにくい」と述べている。

5 学術会議法「改正」は憲法23条を踏みにじる市民社会への攻撃である
 学術会議の独立性・自律性は、憲法23条の「学問の自由」によって支えられ、かつ、これを実現するものである。学問の自由は、単に個々の学者の研究の自由だけを保障するものではなく、大学や学術会議などの科学者集団が、政治や産業界などの外部の干渉を受けず、科学者集団自身が決めたルールによって真理を探究し、研究者の業績を評価するといった独立性・自律性・自治を制度的に保障するものである。こうした保障がなければ、学問が学問たり得なくなるからである。
 科学者集団である学術会議が、政府や産業界その他の「ステークホルダー」から独立して活動することができなければ、政府や社会に対し、科学的で客観的な提言や勧告を行うことは不可能になる。これは憲法23条を踏みにじるものである。
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 このように最終報告書は、何らの立法事実がないにもかかわらず、学術会議から独立性・自律性を奪い、政府と産業界に従属させようとする憲法違反の企みであるが、学術会議が独立性・自律性を奪われることは、学者の世界だけの問題ではなく、日本の市民社会に重大な影響を及ぼす問題である。
 政府が誤った道、たとえば無謀な戦争への道を進もうとした時に、科学者が政府に忖度せず反対勧告を行い、市民がその意見を受け止めて、世論形成するといったことができなくなる。学術会議設立の出発点が葬り去られるのである。
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 従って、最終報告書を法制化する法律案の国会提出は、市民社会が総力を挙げて絶対に阻止しなければならない。
 一部では、昨年12月22日の学術会議総会において、学術会議が「法人化」を容認したかのような報道がなされたが、これはミスリードである。上記総会は、「最終報告」公表の僅か2日後に開かれ、「任命拒否問題を解決しないまま法人化などあり得ない」などの多くの反対意見が出され、十分な審議なしの決議を避けて、結論を持ち越したまま閉会したのである。

 政府が学術会議の意見を聴くこともせず法案を作成し、提出することも想定しなければならない。しかし、問題の重大性・深刻さを多数の市民が理解し、学術会議会員と連帯して、「法人化」反対の広範な世論を形成するならば、少数与党の下、政府はこのような法案の提出を強行できるであろうか。法案を提出しても、多数の横暴など通用しないであろう
 現在、学術会議会員の任命拒否理由のわかる文書の情報公開請求に関し、不開示決定の取消と国家賠償を請求する行政訴訟が行われているが、被告国は、そのような文書など作成も取得もしていないとの主張を繰り返すばかりである。いまだに任命拒否の理由も明らかにせず、6人の任命を履行することもしない「不透明」そのものの政府に、学術会議を変質させる介入など決して許してはならない。
 私たち日本民主法律家協会は、広範な市民や諸団体とともに、学術会議の独立性を奪う「法人化」阻止に全力を尽くす決意である                 以上

独裁者トランプの大統領就任式 - 力による現状変更と新しい世界

 ブログ「世に倦む日日」に掲題の記事が載りました。
 トランプ大統領が『陰の政府』に屈服しない人物であることは大いに評価できますが、このところの発言はハメを外し過ぎるところがあります。

 これまで『力による現状の変更』は 中国を批判する際のキーワードで、日本のトップが海外のリーダーと対話するときに決まり文句として常用されてきました。ところがいまではそれはトランプが目指しているものであり、イスラエルのネタニヤフが米国の援助の下で現実に中東において行っている事柄です。
 世に倦む日々氏は、「ガザについて ブログでも でも何も書けなくなった。関心が薄れたわけではない。悲惨な情報を目で追いながら、ただ祈るしかなくなっている。貧しく弱く小さな者にとっての宗教や信仰とはこういうものかと、最近よく分かるようになった。今はそういう時代だ。そういう時代に老いて遭遇した(要旨)」と述べています。悲痛に です。
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独裁者トランプの大統領就任式 - 力による現状変更と新しい世界
                       世に倦む日日 2025年1月24日
日本時間の 1/21、DCでトランプの大統領就任式があり、日本のマスコミ報道は現地映像と話題で埋まった。招待客の配置とか、支持者を前にしての大統領令署名のイベントとか、異例づくめの演出のショーが進行した一日だった。世界中が注目し、テレビでその始終を放送したに違いない。アメリカ人の、特にトランプ支持者は、さぞかし気分がいいだろう。78歳のトランプは元気そのものだ。報道を見ながら思う点は多い。まず何より感じるのは、国境がなくなっていて、自分が住む日本がアメリカ社会の一部になっている事実だ。客観的に言えば、植民地と宗主国の関係であり、従属国の人間が嬉しそうに支配国の首都の皇帝の戴冠式を見ている図だけれど、その概念と説明ではどうも古典的すぎてリアリティがないというか、そうした緊張感なり対峙性の契機がまるでない。同じ空間で生きている感覚がする。日本人もアメリカ人の一部になっている。

例えば、Xの ホーム のタイムライン。どういうロジックとアルゴリズムで編集されているのか知らないが、イーロン・マスクのポストが必ずトップに現れる。トランプ支持勢力のメッセージが流れる。ワクチンとか、移民とか、ウクライナ戦争とか、明らかにマスクの主張や思想に沿って編集されたと思われるポストが多い。英語ポストがそのまま無遠慮に無神経にだらだら流れる。新自由主義の主張ばかりだ。国民民主党と玉木雄一郎を支持するものが多い(この点はマスコミと同じだが)。クルド人叩きの扇動が目につく。私のアカウントは0フォローなので、偏りのないデフォルトの素のタイムラインに近いだろうと想像するが、日本人のXユーザーはこんなものを毎日見せられて情報生活を送っている1/21 のXトレンド欄から引っ張られるポストは、ネオリベ右翼の日本人が、トランプ新大統領就任を奉祝し歓喜し、左翼叩きして愉悦し咆哮する声で溢れていた。

われわれは、アメリカの一部になっていると同時に、もっと狭い、E.マスクやJ.ベゾスの支配する小宇宙に住む羊のような群衆になった。市民としての主体性と独立性と可能性が失われ、本来、地に足を着けて立つ共同体(日本)の一員の属性を剝ぎ取られ、X や Amazon の資本主義の小空間で生息して収奪される奴隷になっている。PCのネット画面やスマホに繋がれた矮小で愚弱で卑屈な奴隷だ。彼らに貢いで消費するだけで毎日暮らしている。わずかに自由を持っているのは、マーケットで株を転がして億単位の資産を持っている富裕層だけだ。山上憶良の貧窮問答歌の一節に、「天地は広しといへど 吾が為は 狭くやなりぬる」という悲嘆があるけれど、まさにこのとおりで、新自由主義が改造して成った世界と私とはこの関係が当て嵌る。おそらく、地上の何十億という人々の心境が同じだろう。その意味は、一握りの圧倒的な富裕者と膨大な貧困者が分かれたという現実である

トランプは「就任初日は独裁者になる」と言ったらしいが、まさに独裁者のイベントだった。トランプはDCで育った政治家ではなく、議会や地方での政治経験もない。生涯ずっとワンマン経営者のみ。78歳で敵なしのトランプの持論は、もともとアメリカを独裁国家にすることで、民主主義のルールやシステムは邪魔な障害物なのだ。息が合う指導者はプーチンや金正恩のような独裁者だけであり、民主主義政治の模範的リーダーであるメルケルと最も仲が悪かった。トランプが安倍晋三と昵懇だったのも、安倍晋三が愚昧で我儘な独裁者だったからである。この点について日本のマスコミは正確な分析をせず、安倍晋三への美化礼賛に徹しまくっている。どれほど間抜けだろう。安倍晋三の資質が民主主義政治の理念とは乖離していて、似た者同士で、知性や教養のない幼稚な世襲小僧だったからこそ、トランプはかわいがったのだ

昨年の国際政治を振り返って総括しようと考えつつ、中居正広の醜聞などに脇見してもたもたしていたら、急にトランプが舞台に出て来て、グリーンランドやらパナマ運河への野心を言い出し、新年の国際政治の注目を一気にかっさらう幕となった。トランプ20の始動に世界の関心を集中させるための戦略と演出だとしたら、非常に有効な発信だったと言える。グリーンランドとパナマ運河の領有について、私はそれをトランプの思いつきの冗談だとは思っていない。本当に実行する可能性が十分あるし、4年後は実現していておかしくない。トランプは、現在の合衆国の民主政治を機能させているアメリカ憲法を、解釈と運用で改憲して独裁国家にするべく意図しているが、それだけでなく、戦後の世界秩序をも破壊して新世界(ニューワールド)を実現しようと目論んでいる。国連憲章を踏み躙ってUNを壊すことや、WHOやWTOを破壊することがそうである。トランプとE.マスクはまさに革命を起こしている

トランプの眼中に「武力による威嚇又は武力の行使」を禁じた国連憲章の条文はない。一方、トランプによるグリーンランドおよびパナマ運河の領有宣言に対して、あるいはWHO脱退に対して、どうやら国連は何も文句を言っていない。ネットを検索してもグテレスからの批判の反撃はなく、黙過して容認したままだ。存在感がまるでない。デンマーク首相の反論も腰が引けていて、グリーンランドをアメリカに売り渡す取引に応じる気配を滲ませている。いずれ、アメリカとグリーンランド自治領政府とデンマークとの三者で協定が結ばれ、アメリカの属州に移行する方向性が浮上するだろう。EUは反対だろうが、そのEU自体が動揺し今後変化する可能性が高く、独も英も仏も、揃ってトランプと親和性の高い極右勢力が政権を握りそうな状況になっている。今年に入って、E.マスクによるに対する内政干は凄まじく、トランプの片腕として、欧州全体を極右化する外交攻勢を臆面なく露骨に仕掛けている。遠慮がない

あと1か月後にドイツ総選挙があるが、その結果が世界の分岐点になるだろう。1/21 の日経の記事ではAfDが支持率2位となっていて、トランプに重ねたAfDのスローガンに若者が熱狂していると言う。トランプの1期目にはメルケルがいて、穏健と良識のシンボルとして欧州を束ねていたが、今はそうした有能なリーダーがなく、欧州全体の政治意識が極右色に染まっている。マスコミの一般的論調では、トランプがプーチンとボス交政治を演じ、ウクライナ戦争を停戦に向かわせるという見方が多いが、私は悲観的で、ロシアとNATOとの本格的な戦争(第三次世界大戦)に転ぶのではないかという不吉な予感を抱く。トランプもマスクも外交を知らず、他者の価値観や生存権に配慮がない。CIA的な認識からすれば、疲弊しきったロシアはあと一歩で崩壊に追い込める末期段階にあり、その誘惑にかられているに違いない。AfDとドイツ極右も同じで、この機にカリーニングラード(ケーニヒスベルク⇒旧ドイツ領土)を取り戻せという衝動に疼いている

イスラエルとハマスの停戦にトランプの影響力があったのは事実で、トランプの指導にネタニヤフが従った点は事実だろう。だが、この問題についても私は悲観的で、停戦が恒久化するとは思えない。人質をある程度取り返した時点で、イスラエルは再び「ハマスが約束を破った」と口実をつけ、パレスチナ人の虐殺を再開すると予想する。ネタニヤフが停戦に応じたのは、ゴラン高原領有の承認や米大使館のエルサレム移転で世話になったトランプへの恩返しと、大統領就任式にご祝儀を贈る意味の政治だったのだろう。一昨年10月以来、トランプはずっとイスラエルのガザ攻撃を支持し、大量虐殺を容認し正当化する発言を繰り返してきたし、トランプ支持層のコアはいわゆる宗教右派で、最も強硬なイスラエル寄りのタカ派である。イスラエルのガザ問題解決のプログラムは、とにかく殺せるだけ殺しまくって住民の人数を減らし、残りをエジプト国境外の砂漠に追い出すという目標と計画しかない。ガザを再建するとか一緒に共存するという考え方がない。

今年、おそらくイスラエルが本格的にイラン攻撃を仕掛けるだろう。米軍も支援するだろう。ハマスとヒズボラを殲滅したのと同程度に、イラン革命防衛隊を叩き潰すと思われる。昨年は、バイデン政権の勧告を容れてイラン核施設への攻撃は思い止まっていた。が、そのときも、トランプは核施設攻撃をやれとイスラエルを煽っていた。一般には「戦争が嫌いなトランプ」という表象が独り歩きしているけれど、イランに関してはこの想定は当て嵌まらない。1期目の2020年1月、イランの国民的英雄である革命防衛隊司令官ソレイマニを、あっさり空爆で暗殺した衝撃は記憶に新しい。CIAはイランがアメリカに報復する可能性はないと判断したのだろうが、戦争に消極的なはずのトランプがよく裁可したものだと当時は驚いた。ロシアや中国は大国で核保有国だから軍事攻撃には出ないが、相手がイランだと平気なのである。また、イスラム教の国に対しては容赦がないのだ。ネタニヤフも、戦争を続けてない限り首相の地位を保持できないという事情がある

中東(西アジア)の地図はすっかり塗り替わった。中東諸国に住む人々にとっての世界は大きく変わり、軍事大国イスラエルの恣意と暴力と欲望が支配する世界となり、ただそれに恐れ慄き、イスラエルを怒らせぬよう機嫌をとって黙って俯いて生きるだけの日常となった。誰も抵抗する者がなく、そこに何の歯止めもない。近代世界の達成前提に思えた人権もなく、国際法の秩序と保護もない。そして、彼らにとってのイスラエルが我々にとってのアメリカだ。それは、第二次大戦前の欧州での、ナチスと一般市民との関係に似ている。ガザについて note でも Xでも何も書けなくなった。関心が薄れたわけではない。悲惨な情報を目で追いながら、ただ祈っている。大魔神の埴輪石像の前で手を合わせて救済を懇願した少年のように。神様、どうかパレスチナをお救い下さいと。小説『クォ・ヴァディス』に登場する、古代ローマの地下のカタコンベで迫害時代のキリスト教徒が密かに祈りを捧げるように

貧しく弱く小さな者にとっての宗教や信仰とはこういうものかと、最近よく分かるようになった。今はそういう時代だ。そういう時代に老いて遭遇した。審判の日が来ること、奇跡と逆転と救済の日が来ることを信じて守護神(デーモン)に祈っている 

29- 緊急質問 ロサンゼルス市の消防予算削減とイスラエルとウクライナへの数十億ドルの支援

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 山火事が街を襲う数ヶ月前、ロスアンゼルス市長は消防局への予算を1750万ドル削減しました。それはイスラエルへの拠出金を捻出するためで、同市の消防局長はこの削減は緊急対応能力を妨げると警告しました。
 米議会は24年4月、ウクライナに600億ドル、イスラエルに140億ドルを充てた740億ドルの支援を決めました。人権侵害の疑いが濃厚な国への軍事援助の移転を禁じる「リーヒー法」提案したパトリック・リーヒー元上院議員は、法をイスラエルにも適用すべきだと主張しました。
 24年10月、バイデンはウクライナとイスラエルに1000億ドルの支援パッケージを提案しました。それは後にロサンゼルスを襲った壊滅的な山火事への対策と同額でした。
 ロサンゼルスではホームレス問題が深刻化していて、専門家は、イスラエルが1年間に受け取った支援額とほぼ同額の220億ドルを投入すれば、10年をかけてロサンゼルスのホームレス問題を解消できると試算しています。そのイスラエルは国際法に違反してシリア南部の6つの主要水源の支配を拡大しています。
追記)かつて米国がイラクに侵攻した際、すべてのダムを破壊した上に消毒剤の次亜塩素酸ソーダを禁輸品に指定したため、幼児を中心に百万人以上のイラク国民が病死しました。
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緊急の質問:ロサンゼルス市の消防予算削減とイスラエルとウクライナへの数十億ドルの支援
                  耕助のブログNo. 2407  2025年1月29日
  The Burning Questions: LA Fire Cuts vs. Billions for Israel and Ukraine
                        by Robert Inlakesh
ロサンゼルス市が歴史的な山火事と闘っている中、市民は、なぜ市の消防局の予算が削減された一方で、より大きな災害への備えは見過ごされたのか、その説明責任を求めている。こうした不満がイスラエルとウクライナへの支援の優先順位付けに関する疑問を煽っている。

山火事が街を襲う数ヶ月前、LA市長のカレン・バースは、消防局への予算を1750万ドル削減する次年度予算案を承認した。 消防局の予算は8億1964万ドルにまで削減され、クリスティン・クロウリー消防局長はこの削減は緊急対応能力を妨げていると警告した。
こうした動きの背景には、カリフォルニア州が約6億1000万ドルの税金をイスラエルに拠出しており、米国でイスラエル支援に最も多額の資金を提供している州であることが明らかになったことがある。この格差は、共和党下院議長のマイク・ジョンソンがロサンゼルスへの連邦災害救援に条件を課すことを提案したことで、オンライン上で注目を集めた。
米下院議長のマイク・ジョンソンは、イスラエルへの無条件援助の強力な支持者であり、資金援助を削減するよう求める世論や議会からの圧力が高まっていたにもかかわらず、特に2024年4月には、ウクライナに600億ドル、イスラエルに140億ドルを充てた740億ドルの支援パッケージを推進した。特に、人権侵害の疑いが濃厚な国への軍事援助の移転を禁じる「リーヒー法」は、その提案者であるパトリック・リーヒー元上院議員にちなんで名付けられた。リーヒーは最近のワシントン・ポスト紙の論説で、同法をイスラエルにも適用すべきだと主張し、現在も続く人権侵害には説明責任と米国の法的基準の順守が求められると論じた。

2024年10月、ジョー・バイデン米大統領はウクライナとイスラエルに1000億ドルの支援パッケージを提案した。偶然にもこれはロサンゼルスを襲った壊滅的な山火事への対策として現在提案されている額と同じである。 政権による山火事の被害者一人当たり770ドルの一時金の発表には、さまざまな反応があった。必要な措置であるとの声も聞かれたが、一方で、あまりにも不十分であるとの意見もあった。またこの発表はホワイトハウスがイスラエルに80億ドルの軍事援助を追加することを議会に通知したわずか数日後のことだった。
80億ドルという援助はイスラエル国民への現金支給ではないが、軍事援助の費用はイスラエル国民一人当たり820ドルに相当する。イスラエルは米国史上最大の援助受給国であり、その額は米国の納税者負担で総額2500億ドルを超え、ガザ地区での戦争開始以来、少なくとも250億ドルが送られたことが公表されている。米国の国内危機が緊急の対応を必要としているこの時期に、イスラエルへの外国援助に対する政府の揺るぎない献身は衰えることなく続いている

懸念は金銭的な数字だけにとどまらない。米国の都市部では安全な飲料水の供給に苦慮し、退役軍人は医療へのアクセス不足から自殺者が増え、ロサンゼルスではホームレス問題が深刻化している。専門家は、イスラエルが1年間に受け取った支援額とほぼ同額の220億ドルを投入すれば、10年をかけてロサンゼルスのホームレス問題を解消できると試算している。一方、イスラエル人は1年中清潔な飲料水を享受しており、国際法に違反してシリア南部の6つの主要水源の支配を拡大さえしている。
https://www.mintpressnews.com/the-burning-questions-la-fire-cuts-vs-billions-for-israel-and-ukraine/288934/ 

2025年1月27日月曜日

イスラエル軍攻撃激化 ヨルダン川西岸各地で(しんぶん赤旗)

 イスラエル軍は(ガザではなく)占領下のヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプに対し、21日以来5日連続して攻撃しています。イスラエルのカッツ国防相は「ガザで繰り返し実施した攻撃の手法から得た最初の教訓」を適用したと公言しています。
 国連人権高等弁務官事務所のアルキータン報道官は24日「不必要で不釣り合いな武力行使への重大な懸念を生じさせる非武装の住民に対する複数の空爆や明らかに無差別な銃撃」があったと指摘し、こうした「殺害に関して独立した全面的な調査を行うべきだ」と述べ「不法な殺害に責任のある治安部隊員の責任を長年にわたり不問にしてきたことで、イスラエルは国際法違反だけでなく、殺害の再発を奨励する危険を冒している」と非難しました。
 イスラエルが適当な口実を付けてパレスチナ人を殺害することはこれまで米国をはじめとする西側諸国が容認してきたものです。なぜこの鬼畜の所業を止められないのでしょうか。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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イスラエル軍攻撃激化 ヨルダン川西岸各地で
                       しんぶん赤旗 2025年1月26日
 イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸のジニンに対するイスラエル軍の攻撃は、25で5日に入りました。24日には、ジニン近隣のカバティヤではイスラエル軍の無人機攻撃で2人が死亡し、作戦開始以来の死者は少なくとも14人に達しました。イスラエル軍は、西岸の他の場所でも攻撃を激化させています。

 ロイター通信の報道によると、ジニン難民ギャンプでは、装甲ブルドーザーなどで住宅を破壊し、道路を掘り返しています。イスラエル軍は、武装勢力による道路わきに即席爆発装置を設置するなどの作戦に対応していると主張しています。
 イスラエルのカッツ国防相は、ジェニンでの軍事作戦について「ガザで繰り返し実施した攻撃の手法からた最初の教訓」を適用したと発言しており、「武装勢力掃討」を名目に住民への集団的懲罰を拡大する危険があります。
 ジェニン難民キャンプの住民は23日、無人に装着された拡声器からの避難命令を受けて、避難を開始。スーツケースを引きず肢、持ち物を詰めたポリ袋を持ちながら移動しているといいます。
 ロイタ-通信は「今日、奴らは無人橋を飛ばして、キャンプを出ろ、爆破する、と言った」と語るホッサム・サーディさん(16)の声を伝えました。同難民キャンプには、1948年の第1次中東戦争の際に住み家を追われて難民となった人々の子孫が住んでいます
 ジェニンでの攻撃激化について、国連人権高等弁務官事務所のアルキータン報道官24日のジュネーブでの記者会見で、「不必要で不釣り合いな武力行使への大な懸念を生じさせる」と批判しました。
 アルキータン氏は「非武装の住民に対する複数の空爆や明らかに無差別な銃撃」があった指摘。治安部隊による殺害に関して「独立した全面的な調査を行うべきだ」と述べたうえで、「不法な殺害に責任のある治安部隊員の責任を長年にわたり一貫して不問にしてきたことで、イスラエルは国際法違反だけでなく、殺害の再発を奨励する危険を冒している」と非難しました。

ハマス 人質4人解放 停戦合意発効後2回目
                       しんぶん赤旗 2025年1月26日
【カイロ=秋山豊」パレスチナのイスラム組織ハマスは25日、ガザ地区で、イスラエルの女性兵士4人を解放し、赤十字国際委員会に引き渡しました。イスラエルとハマスの停戦合意発効19日)後2回目の人質解放です。
 イスラエルメディアによると、ハマスが解放した女性兵士4人のうちひとりは19歳で、3人は20歳です。4人ともイスラエル南部にある基地の監視所にいましたが、ハマスが2023年10月7日にイスラエルを奇襲した際に拉致されました。
 停戦合意では第一段階の6週間で、ハマスが人質33人を解放し、イスラエルはパレスチナ人収監者を解放します。停戦合意が発効した19日には、ハマスは人質3人、イスラエルは収監者90人を解放していました。


期限後もレバノン駐留ヘ イスラエル撤退完了を先延ばし
                       しんぶん赤旗 2025年1月26日
 イスラエルの首相府は24日、レバノンとの停戦合意でイスラエル軍のレバノン南部からの撤退期限である26日以降も、駐留を続けると述べました。
 イスラエル軍は、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの壊滅を狙い、レバノンヘの大規模な侵攻を続けていましたが、昨年11月27日にレバノンと停戦で合意。60日以内にヒズボラが南部リタニ川以北に撤退し、レバノン軍の南部への配備が進むに伴ってイスラエル軍がレバノンから撤退するとしていました。
 イスラエルの声明は、「停戦合意がレバノン国家によって全面的に履行されていないことから、米国との全面的な調整の下に段階撤退のプロセス継続する」と述べ、撤退完了を先延ばししました
 中東カタールのテレビ局アルジャジーラによると、ヒズボラは声明で、イスラエルの全面撤退、レバノン軍の全レバノン鎖への配備、住民の速やかな帰還のために、合意を仲介した米仏に対し、圧力を掛けるよう求めました。
 アルジャジーラが報じたレバノン国営通信の報道によると、イスラエル軍は24日にも、国境地帯の町を攻撃し、アルタインでは住宅をブルドーザーで破壊し火を放ち、カンタラではモスクを破壊しました。
 イスラエル軍は、過去数間でヒズボラの武器貯蔵施設と監視所を破壊したとの声明を発表しました。


UNRWAに 退去求める イスラエル
                       しんぶん赤旗 2025年1月26日
【ニューヨーク=時事】イスラエルのダノン国連大使は24日、エルサレムでの国運パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の業務を停止し、30日までに退去するよう求める書簡をグテレス国連事務総長に送付しました。イスラエル国会で2024年10月に成立したUNRWAの国内活動を禁止する法律が、今月末までに施行されることを受けた措置。

 1949年に設立されたUNRWAは「パレスチナ難民支援の」(グテレス氏)とされ、活動禁止によりパレスチナ難民を取り巻く人道状況の層の悪化が懸念されています。UNRWAのラザリニ事務局長は24日、X(旧ツイッター)で「UNRWAの業務は継続されなくてはならない」と訴えました。 

真実を追求した竹内英明元議員(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 先日、元兵庫県議の竹内英明氏が自死されました。斎藤兵庫県政下で3人目(4人目とも)の犠牲者です。竹内氏は百条委員会で斎藤知事の様々な問題についてキチンと調査して追及しました。
 そのことで先の兵庫県知事選では、立花氏を中心にした斎藤氏側の勢力から、SNSや電話そして自宅前での街宣などでデタラメ窮まる猛烈な中傷や脅迫を受けたため、家族を守るために知事選直後に県議を辞職しました。
 斎藤知事は記者会見でこの件についての見解を聞かれても、ひたすらSNSでの中傷は良くない」という一般論を口にするだけで、後は何を問われても例の調子で、壊れたレコードのように20回近くもそれを繰り返すだけです。
 彼は自尊心の塊りで、他者の不幸などは一切無関係。何を聞かれても自分には一切「非はない」で通し、事態の正常化や改善に対しては「不作為」に徹するという姿勢は、もはや常識の埒外というしかありません。
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真実を追求した竹内英明元議員
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年1月26日
TBSが報道特集で竹内英明元兵庫県議会議員死去に関する報道を行った。
竹内元議員は斎藤元彦兵庫県知事に対する元県民局長の告発を受けて、斎藤元彦知事の問題を議会で追及した人物である。百条委員会でも問題を追及した

これに対して斎藤元彦氏を擁護する陣営から激しい攻撃がなされた。
問題の発端は斎藤知事に対する告発が元県民局長から行われたこと。この告発は公益通報に該当する可能性のあるものだった。ところが、斎藤知事は元県民局長の告発について「嘘八百、公務員として失格」と断じて、元県民局長に対する懲戒処分を行った

この問題について兵庫県議会は斎藤知事の対応に問題があったのではないかとの視点から百条委を立ち上げた。竹内元県議は百条委委員として斎藤知事の諸問題を追及した。
県議会は百条委の結論が示される前に全会一致で斎藤知事に対する不信任決議を可決。
斎藤知事は知事を辞職せずに失職し、出直し知事選に出馬して当選した。
この当選に正統性があれば問題はこれで一件落着するはずだった。ところが、選挙に際して重大な問題が存在したことが明らかになった。

二つの重大問題がある。
第一は兵庫県が告発後に告発した「犯人捜し」を実行し、告発者が元県民局長であることを突き止めて元県民局長の公用PCを押収したことに関連する問題。
県はPCに保存されていた元県民局長の個人データを入手して、これをもとに県民局長に対する脅迫とも取れる行動を取った疑いがある。
また、当該個人データを不正に外部漏洩し、その個人データを元に元県民局長を貶める選挙活動を行った疑いがある。

個人データは告発とは無関係のものであり、個人データをPCに保存したことの過失について元県民局長が注意等を受けることは妨げられないが、当該個人データを用いた「脅迫」やデータの「外部漏洩等」は許されるものでない
出直し知事選ではこの外部漏洩データが不正に取り扱われ、さらに多くの虚偽情報が流布・拡散されて選挙結果に重大な影響を与えたことが推察される。

不正な情報の流布・拡散はSNSを中心に行われた一方、既存のマスメディアは選挙期間中であったことが影響して、当該情報の流布・拡散に対して真相解明、批判、ならびに注意喚起の報道をまったく行わなかった。このために、不正に流布・拡散された情報が有権者の投票行動に著しく大きな影響を与えた可能性がある

もう一つの問題は、知事選に際して斎藤元彦氏陣営が公選法違反の罪を犯した疑いが存在すること。
斎藤氏陣営は選挙戦のSNS戦略をmerchu社に業務委託した疑いがある。これが事実なら公選法違反に該当する。この問題が残存しており、兵庫県知事選問題はまったく解決していない。

この問題が重大で特異であるのは、すでに3名ないし4名の死者が出ていること。
県民局長の告発において、重大と見られているのがオリックス優勝パレードの寄附問題。
寄付額が不足し、金融機関に寄付増額を求める際に、県の補助金増額が行われた疑いがある。
この点を含め、元県民局長の告発には公益通報として保護されるべき「真実相当性」が存在したとの疑いが濃厚に存在する。

元県民局長は百条委で証言する予定になっていたが、その直前に死去した。
自死と見られている。不正に外部漏洩された個人データを元に「脅迫」を受けた疑いがある
竹内元議員については、県職員アンケート等を元に竹内元議員が追及した内容が「でっち上げ」であるとの批判が流布されてきたが、その詳細について「報道特集」が検証を行った。

ひとつは「ゆかた祭り」に関する竹内元議員の追及が「でっち上げ」だとするもの。
竹内元議員はブログに「知事は着付けを当日直前にキャンセル。他の来賓とは別に自分だけ着付けができる専門店に行って着付けした。公費で払うことになり、秘書課が負担することになった」と記述した。「報道特集」の取材は竹内元議員の指摘が真実であったことを裏付けた。

また、竹内元議員が元県民局長の妻に代わって百条委員会あてにメールを送った「でっち上げ」があったと批判されたが、「報道特集」は県議会議事課の職員に取材を行い、メールは元県民局長の妻の意思で送られたものであることが確認された。
この問題ですでに多くの死者が出ている。失われずに済んだ命が失われたことは極めて重大だ。
手間や費用がかかっても知事選の再選挙が必要となるなら、その手間や費用を惜しむべきではない。

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