2025年1月27日月曜日

中居・フジテレビ問題に海外メディアは厳しい指摘 「性加害問題」と

 「中居・フジテレビ問題」は、有力タレントへの「女性上納」という長年続けられてきた「犯罪」の顕れですが、日本のメディアは取り上げようとはしませんでした。中でもテレビ界の姿勢は、そうしたシステムを温存しようとしていたと見做されても仕方がないものでした。

 先年、外圧を受けてようやく「ジャニーズ」問題が明らかにされた際には 日本のメディアのだらしなさが厳しく指摘され、メディアも反省の弁を口にしていましたが、実際には何も改められてはいなかったのでした。
 AERAが「中居・フジテレビ問題」について海外メディアがどう取り上げているかについて報じたので紹介します。
 CIAの掣肘下に置かれている西側の報道が正確だなどとは思っていませんが、少なくとも米国の面子に関わらない事柄に関しては正確に報じています。
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中居・フジテレビ問題に海外メディアは厳しい指摘 「沈黙の掟」と「日本の芸能界の報い」とは
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 中居正広さんの「性加害問題」とフジテレビの対応が、海外メディアでも報じられている。2年前に故ジャニー喜多川氏による性加害が明るみに出た後も、「日本の芸能界の体質は変わっていなかった」と厳しい目が向けられている。
 【実際の報道】「性加害問題」「性的暴行疑惑」と踏み込んで報じる海外メディア

海外メディアは「性加害問題」として取り上げ
 海外メディアは、国内メディアよりも踏み込んだ表現で強い調子で、トラブルという表現は使わず、「性加害問題(sexual assault)」として今回の事案を取り上げている。
<中居正広は性的暴行疑惑と、それをフジテレビが隠ぺいしてきたと報道されたことによって引退した。このスキャンダルは、日本の芸能界で繰り返されてきた性的暴行事件の一部である>(欧州euro news1月23日)
 香港South China Morning Post21日付次のように伝えた。
<中居とフジテレビはこの件を必死で隠そうとしたが、失敗した>

「沈黙」する体質変わらず
 海外メディアの多くは、旧ジャニーズ問題と、「中居トラブル」との間には2つの類似点があるとみている。1つ目は、性的暴行疑惑についてテレビ局が口を閉ざしてきた「沈黙の掟」(The Guardian)だ。
 ジャニー喜多川氏の性加害問題を世に知らしめたのは、日本メディアではなくBBCだった。BBCのドキュメンタリー「Predator: The Secret Scandal of J-Pop(J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」が23年3月に放映されると、世界に衝撃を与えた。事態が大きく動き出したのは、ドキュメンタリーの報道後だ。
<同年6月、フジテレビは中居氏の事件を初めて知ったが、問題を公表しないことを決めたと、同局の港浩一社長は記者会見で述べた>(Financial Times
 つまり、フジテレビは中居さんの女性トラブルを旧ジャニーズ問題で揺れるさなかに把握したが、その後も番組で中居さんを起用し続けた。
「セックススキャンダルで日本の芸能界を揺るがし、スターTV司会者が引退」(BBC
週刊文春の記事を引用
 同局スタッフが関与した可能性について、「週刊文春」の記事を、「フジテレビは中居のようなスターをよろこばせるために、長年、同局の女性アナウンサーを利用してきた」(ABC)などと引用した海外メディアも複数あった。
 1月17日の会見を受け、フジテレビの内部調査への批判も少なくない。
<あまりにも透明性を欠いていた。フジテレビは中居問題への不適切な対応と内部不正の疑惑で激しい批判に直面している>(Times of India)。
<中居のスキャンダルは日本の芸能界とテレビ業界の共謀と沈黙の体質に改めて疑問を投げかけた>(The Economic Times
 2つ目の類似点は「外圧」だ。

扉をこじ開けた外圧
 喜多川氏による性加害問題も中居正広の問題も、週刊誌報道が出てから、当事者やテレビ局は前述のとおり、「沈黙」していた。その後、方針を転換して記者会見を開いた背景には、「海外からの圧力があったから」だと海外メディアは報じる。
 Financial Timesは、フジテレビの「控えめ」な反応が変わったのは、フジテレビの親会社フジメディア・ホールディングス(HD)の株式を約7%以上保有する米ヘッジファンド、ダルトン・インベストメンツ傘下のライジングサン・マネジメント(RSM)の代表の「憤慨」があったと指摘している。

 RSMは1月14日、フジメディアHDの取締役会に「第三者委員会の設立と信頼回復を要請」する書簡を送った。
<この問題への対処の遅れやあいまいさは、視聴者の評価の低下やスポンサーの離脱を招き、株主価値をさらに損なう可能性があります<(RMSの書簡)
 The Independentは、記者会見が「火に油を注ぐ結果」と報じた。
<「広告危機」が勃発し、山火事のように燃え広がった>(Times of India)
 1月21日、RMSは再度、フジメディアHDに次のような書簡を送っている。
<前回の警告が現実のものとなり、私たちは驚いています。このような曖昧模糊(あいまいもこ)とした対応は、フジメディアHDの隠蔽体質を露呈しているとしか思えません>
「中居正広、セックススキャンダルで芸能界引退」(Southe China Morning Post

芸能界は「報い」に直面
 RMSは2回目の書簡で4つの要求を出した。
①すべてのメディアが参加できる記者会見を開くこと ②日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会を設置すること ③調査は中居氏に限らず、範囲を広げること ④遅くとも今年6月に開催されるフジメディアHDの株主総会の1カ月前までに最終報告書を提出すること。
 フジテレビとフジメディアHDは23日、臨時の取締役会を開き、日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置を決定した。1月27日にオープンな記者会見を開く。

 今後の対応次第では、CMスポンサーの撤退だけでなく、SDGs投資の観点からも深刻な影響が出るとRMSは懸念する。
 BBCは、「日本の芸能界は、長らく語られることのなかった性的暴行事件の報いに直面している」と見る。
 記者会見のゆくえを全世界が注視している
                      (AERA dot.編集部・米倉昭仁)