2026年4月16日木曜日

米国とイラン 合意至らず 核巡り溝 情勢は再び緊迫

 米国とイランの代表団は11日~12日、仲介国パキスタンの首都イスラマバードで、戦闘終結に向けた直接協議を行い、約21時間に及ぶ断続的な交渉を重ねました。しかし原油輸送の要衝ホルムズ海峡の開放やイランの核開発計画を巡り、双方の主張は平行線をたどり、合意に至りませんでした。それで米国の交渉団は引き揚げるかと思われたのですが、15日 トランプから「待った」がかかり現地に留まっているようなので、再び協議が行われるものと思われます。
 そもそも米国の突然のイラン攻撃は、ネタニヤフに唆されたトランプが米政権内の合意もないまま始めたものでした。そして国際的な協議経験が殆どないバンス副大統領が米代表団を率い、トランプの娘婿であるクシュナー(イスラエル人)が何故か特使として交渉団に加わっているなど、米国側に交渉をまとめようという意思があったのか疑わしかったのでした(イスラエル=ネタニヤフは停戦に強く反対)。
 イラン外務省報道官は、一部の課題で理解に達したものの決裂の責任は米側の「過大な要求」にあると表明しました。
 日本共産党の小池晃書記局長は13日、国会内で記者会見し、米国とイランの協議が合意に至らず、トランプが米海軍によるホルムズ海峡の封鎖開始を表明し、攻撃再開も辞さないとの考えを示したのは「言語道断だ」と批判し、「戦争終結に向けた交渉を続けるべきだ。そのために、イランを再び攻撃しないことを保証すべきだ」と主張しました。

 今回の協議で示されたのは、一方的にイラン攻撃を始めた米国が、開戦の理由をまともに説明できず、短期的な軍事的「勝利」も見通せない行き詰まりの中、戦争終結へのまともな戦略を描けず、外交力も低下させているということです。
 核問題でのイランの主張は、原子力の平和利用の権利は核不拡散条約(NPT)で認められており、ウラン濃縮の全面停止は受け入れられないという点で一貫しています。
 2015年10月のイラン核合意では、制裁の大幅緩和と引き換えに、3・67%までのウラン濃縮と濃縮ウラン300キロまでの貯蔵を認め、余剰分の国外搬出などで一致したのですが、第1期トランプ政権は突然18年に核合意を破棄しました。
 トランプ政権は2期目になってから、①イランに「濃縮活動ゼロ」を要求 ②交渉が一定の進展を見せる ③米国の要求が100%受け入れられていないとして軍事攻撃をするーというパターンを、昨年6月にも、今回も繰り返してきました。
 イランのアラグチ外相は12日、合意へ「数インチ」まで来ていたが、米国による「最大限要求、ゴールポストの移動」があって失敗したと発言し、「教訓を全く学んでいない」と米国の姿勢を批判しました。新たな協議でなんとか合意に至って欲しいものです。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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米国とイラン 合意至らず 核巡り溝 情勢は再び緊迫
                       しんぶん赤旗 2026年4月14日
【カイロ=米沢博史】米国とイランの代表団は11日~12日、仲介国パキスタンの首都イスラマバードで、戦闘終結に向けた直接協議を行いました。21時間に及ぶ断続的な交渉の結果、合意に至りませんでした。原油輸送の要衝ホルムズ海峡の開放やイランの核開発計画を巡り、双方の主張は平行線をたどりました。7日に合意した2週間の暫定停戦は継続中ですが、情勢は再び緊迫しています。

 米代表団を率いたバンス副大統領12日の記者会見で、「合意に至らなかったのは悪い知らせだ」と述べました。ロイター通信によると、バンス氏はトランプ大統領が掲げる「核兵器を追求せず、迅速な開発を可能にする手段も求めないという確約」をイラン側が示さなかったと非難。「われわれのレッドラインは明確にした。最終かつ最善の提案を残してきた」と語り、イラン側に決断を迫っています。
 米代表団にはウィトコフ中東特使、トランプ氏の娘婿クシュナー特使も加わり、協議中もトランプ大統領と頻繁に連絡を取り合ったと報じられています。
 イラン側はいガリバフ国会議長やアラグチ外相らが出席しました。ガリバフ氏は12日、「米国がイランの信頼を得られなかった」と主張。外務道官は、一部の課題で理解に達したものの決裂の責任は米側の「過大な要求」にあると表明しました。イランは、核開発の権利維持や制裁解除に加え、交戦に伴う賠償などを求めています。
 トランプ大統領は12日、米フォックス・ニュースのインタビューで「イランのエネルギーインフラは一日で壊滅可能」と述べ、再び軍事圧力を強める姿勢を鮮明にしました。これに対し、イラン側も革命防衛隊は「(ホルムズ海峡に)接近する艦船には厳しく対処する」と警告しています。
 仲介役を務めたパキスタンのダール副首相兼外相は「双方が停戦順守を維持することが不可欠だ」と訴え、対話継続を呼び掛けました。現在の暫定停戦は21日(日本時間22日)に期限を迎える予定です。


米、ホルムズ封鎖表明 イラン港湾との接続認めず
                        しんぶん赤旗 2026年4月14日
【ワシントン=口昇幸】トランプ米大統領は12日、イランとの協議が合意に至らなかったことを受け、米海軍がホルムズ海峡の封鎖を開始すると表明しました。米軍は同日、SNSで、米東部時間13日午前10時(日本時間同日午後11時)からイランの港湾への出入りを封鎖すると発表しました。ペルシャ湾やオマーン湾に面するイランの港湾などが封鎖対象で、イラン以外への航行は妨げないといいます。
 トランプ氏はSNSの投稿で、パキスタンの首都イスラマバードで行われた米国とイランの両代表団の協議を振り返り、「イランは核開発の野望を捨てようとしていない」「会談自体はうまくいき、多くの点合意に達した。しかし本当に重要だった唯一の項目、核については合意できなかった」と指摘しました。
 その上で、「世界最強の米海軍はホルムズ海峡に出入りしようとするあらゆる船舶を封鎖するプロセス開始する」イランに通航料を支払った全ての船舶を公海上で捜索し、拿捕するよう海軍に指示した。違法な通航料を支払う者は、公海上で安全に通航できない」と述べました。
 トランプ氏はまた、イランが同海峡に敷設したとする機雷の除去を開始することや、「われわれや平和的な船舶に発砲するいかなるイラン人も、地獄に吹き飛ばされる」と言及。詳細は述べませんでしたが「他の国々もこの封鎖に関与する」と記しました。
 同氏は投稿の最後に、「適切な時が来れば、われわれは完全に戦闘準備を完了し、米軍はイランに残されたわずかなものを片づけるだろう」と述べ、軍事攻撃再開を辞さない構えを示しました。


ホルムズ海峡封鎖は言語道断 戦争終結へ交渉続けよ 小池書記局長が会見
                       しんぶん赤旗 2026年4月14日
 日本共産党の小池晃書記局長は13日、国会内で記者会見し、米国とイランの協議が合意に至らず、トランプ米大統領が米海軍によるホルムズ海峡の封鎖開始を表明し、攻撃再開も辞さないとの考えを示したのは「言語道断だ」と批判し、「戦争終結に向けた交渉を続けるべきだ。そのために、イランを再び攻撃しないことを保証すべきだ」と主張しました。
 小池氏は、トランプ氏の表明に対し、「無法な戦争を始めたのはアメリカであり、そんなことを言える立場ではない」と批判。対イラン攻撃反対の国際的な世論を広げることが求められるとして、日本政府に「米国、イラン双方に戦争終結に向けた協議が前進するように働きかけることを強く求める」と述べました。


戦争結描描けない 米国外交力低下 米・イラン停戦交渉
                       しんぶん赤旗 2026年4月14日
 米国とイランによる協議は、戦闘終結への成果なく終わりました。
 今回の交渉で示されたのは、一方的にイラン攻撃を始めた米国が、開戦の理由をまともに説明できず、短期的な軍事的「勝利」も見通せない行き詰まりの中、戦争終結へのまともな戦略を描けず、外交力も低下させているということです。
 米国の代表団長、バンス副大統領は、「核兵器および核獲得手段を追求しないと積極的に制約する必要がある」と求めたがイランが応じなかったことを決裂の理由に挙げました。しかしトランプ米大統領は、ホルムズ海峡の米国による封鎖を発表。こに論理的整合性はありませ
ん。
 核問題でのイランの主張は、原子力の平和利用の権利は核不拡散条約(NPT)で認められており、ウラン濃の全面停止は受け入れられないという点で一貫しています。だからこそ201510月のイラン核合意では、制裁の大幅緩和と引き換えに、3・67%までのウラン濃縮と濃縮ウラン300キロまでの貯蔵を認め、余剰分の国外搬出などで一致できたのです。
 第1期トランプ政権は18年に核合意を破棄しました。トランプ政権は2期目になってから①イランに「濃縮活動ゼロ」を要求 ②交渉が一定の進展を見せる ③米国の要求が00%受け入れられていないとして軍事攻撃をするというパターンを、昨年6月にも、今回も繰り返してきました。今年2月に始まった米・イラン交渉では、加えて弾道ミサイルの保有制限や、地域の武装組織への支援停止も要求していました。
 イランのアラグチ外相12日、(旧ツイッター)への投稿で、イスラマバードでの合意へ「数インチ」まで来ていたが、米国による「最大限要求、ゴールポストの移動」があって失敗したと発言。「教訓を全く学んでいない」と米国の姿勢を批判しました。

 米国の「外交力」の低下は、代表団の布陣表れています。団長のバンス氏は就任前で外交経験はなく、「外交デビュー」となった昨年2月のミンヘン安保会議では、「米国第一」イデオロギーに基づいて欧州を激しく非難し、米欧関係に深刻な亀裂を生みました
 側近のウィトコフ特使やトンプ氏の親族クシュナー氏なイラン交渉を担当してきた政幹部は、交渉途中で2度も攻撃をしてきた経緯もありイランから不信の目で見られています。
 保守的な英誌エコノミス(電子版)は9日に社説「ドナド・トランプは戦争最大の敗者を発表。この中で「トランプ政の一部は、米国が国際法やジネーブ条約(民間人保護など戦争のルール)に拘束されないかのように行動している。(・・・)しかしこの戦争は『力こそ正義は数十年にわたる外交の冒瀆(ぼうとく)であるだけでなく妄だということを示した」と国の国際法無視、外交軽視を厳しく指摘しました。(伊藤寿庸