2026年8月20日木曜日

20- 対イラン戦争:6か月後 アメリカ敗北の驚くべき規模/米空母乗組員の危機的な状態

  掲題の2つの記事を紹介します。

 1番目の記事では、1月28日に米国はイランを威嚇するため空母部隊を派遣し、多数の広範な要求を突きつけましたが 8月15日イランの対抗措置により空母の任務はほぼ失敗に終わり中東を離脱することになりました
 イランによる反撃は、米国とイスラエルによるテヘラン攻撃への報復で基地の大部分を破壊し、米海軍が数十年にわたり頼りにしてきた主要兵站拠点も消滅しまし
 今 懸念されているのは9ヶ月にわたりペルシャ湾に留まっている空母リンカーン5000人の食事の貧困さと精神衛生上の危機です。
 空母は別空母に置き換えられる予定ですが、戦時下で交代するには何と6隻(全保有数は10隻)が海峡付近に待機することになるので、残りの1隻だけ世界防衛に当たることになるという大問題が生じます
 トランプにとって最早対イラン要求は消え去って、今や政治的生き残り最優先事項になっています(そんな中で9月には習近平氏を国賓として迎えることになります)。

 もう一つの記事の正しいタイトルは「米海軍の艦船で乗組員の精神衛生が危機的な状態」です。
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対イラン戦争:6か月後 - アメリカ敗北の驚くべき規模
             マスコミに載らない海外記事 2026年8月17日
                   Moon of Alabama 2026年8月15日
 2026年1月28日:アメリカはイランを威嚇するため空母部隊を派遣し、多数の広範な要求を突きつけた。  

トランプ大統領、イランに「大艦隊」を派遣すると脅迫し一連の要求を突きつける(アーカイブ)–ニューヨーク・タイムズ
 トランプが、8カ月ぶりに米軍による2度目の対イラン直接攻撃をちらつかせたのは、空母エイブラハム・リンカーンが他の海軍艦艇、爆撃機、戦闘機とともに、イランを攻撃できる範囲の地域に陣取った時だった。

 要求している合意について、トランプは具体的なことは何も述べず「巨大艦隊」がイランに向かっており、イランは合意すべきだと述べるにとどまった。しかし、アメリカと欧州の当局者によると、協議の中でイランに三つの要求を突きつけたという。すなわち、
ウラン濃縮の永久停止と現在の備蓄の処分
弾道ミサイルの射程と数の制限、そして
ハマス、ヒズボラ、イエメンで活動するフーシ派を含む中東代理勢力支援停止だ。

 2026年8月15日:イランの対抗措置により空母の任務はほぼ失敗に終わり中東を離脱
 米海軍空母が抱える問題は開戦初期の米軍基地攻撃と関連している(アーカイブ) ?ニューヨーク・タイムズ
 空母エイブラハム・リンカーンの補給問題は、開戦初日直後、イランのミサイルと攻撃ドローンがバーレーンの海軍基地に着弾したことから始まった。
 イランによる攻撃は、アメリカとイスラエルによるテヘラン攻撃への報復で、基地の大部分を破壊した。そして基地が炎上すると同時に、海軍が数十年にわたり頼りにしてきた主要兵站拠点も消滅した。

…  バーレーン拠点の喪失は、対イラン作戦を支援する空母で報告されている数々の問題の一因になっており、民主党上院議員らは、空母リンカーンに乗艦する5000人の乗組員と、彼らの約9ヶ月に及ぶ配備に懸念を表明している。
 空母は別空母に置き換えられる予定だ。だが、アメリカは空母を10隻しか保有しておらず、隻を配備するには、更に隻を改修と訓練用に必要だ。そのため、10隻中6隻は海峡付近に待機することになり、残りの隻だけが世界防衛に当たることになる

 彼らは北京でハイタッチをしている。
 対イラン要求は消え去った。トランプにとって今や最優先事項は政治的生き残りだ  

イラン戦争における「最優先目標」は原油価格の下落だとバンスは述べ、アメリカは新たな経済的圧力をかけると恫喝している– NBCニュース( MSN経由)
 対イラン戦争では、ガソリン価格を低く抑えることがアメリカの「最優先目標」だと、JD・バンス副大統領は述べた。ワシントンは無期限海上封鎖をちらつかせ、テヘランに対する経済的圧力を間もなく強化する意向を示した。
 この発言は、イランの核開発計画を二番目に重要視するなど、紛争の公的根拠における最新の変化を示しているようだ。

 国際原油価格の指標、ブレント原油は1バレル87ドルを僅かに上回り、1月より45%上昇している。アメリカのガソリン1ガロンあたりの平均価格は現在4ドルを超えているが、紛争前は3ドル以下だった。

 アメリカの敗北の巨大さに私は今なお驚嘆し続けている。
 長期的に見れば、イランから他の国々が学ぶことになるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/08/war-on-iran-six-months-later-the-astonishing-size-of-the-u-s-defeat.html


米海軍の艦船で乗組員の精神衛生が危機的な状態
                        櫻井ジャーナル 2026.08.16
 アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で兵士の処遇が問題になっている。ガーディアン紙によると、250日間連続で海上で活動しているこの空母の艦内は劣悪な状態で、シャワーはカビだらけ、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ、食事は悲惨な状態。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。乗組員5000人の精神衛生の状態が悪化、乗組員の海への飛び込みが少なくない。同じ問題はほかの艦船でも引き起こされ、乗組員によって告発されているのだが、ピート・ヘグセス国防/戦争長官は「フェイクニュースだ」として無視している。兵士の精神状態をケアする役割のある従軍牧師が排除されているという現実もあるようだ。




 エイブラハム・リンカーンは11月21日にサンディエゴを出港、当初は太平洋に向かう予定だったが、イランとの軍事的な緊張激化にともない、西アジアへ向かった。配備は5月に終了する予定だったが、延長されている。
 アメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃。両国は問題を話し合いで解決するとイラン政府に信じ込ませ、要人を地上の1箇所に集めた上での騙し討ちだった。その攻撃で最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人が殺害された。
 この攻撃でイスラエル軍はミナブ女子小学校も攻撃、168名から180名を殺している。その大半は7歳から12歳の少女。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。いわゆる「ダブルタップ攻撃」だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。
 この「斬首作戦」でイランの体制は崩壊するとアメリカやイスラエルは想定していたようだが、そうした展開にはならず、激しい反撃でアメリカが西アジアで使用していたカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが攻撃された。イスラエルではテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃され、破壊された。イスラエルもアメリカもミサイルは迎撃用も攻撃用も枯渇状態だ。
 イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が3月1日に発表したところによると、エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、IRGSが発射した4発の弾道ミサイルによる攻撃を受けたという。
 アメリカ国防総省は否定しているが、IRGCはその後もドローン攻撃や巡航ミサイル「カデル」で空母を攻撃したと発表。エイブラハム・リンカーンはイランから1100キロメートル離れたオマーン沖へ移動せざるをえなくなった。
 やはり西アジアへ派遣されていた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理のためにクレタ島へ向かったと伝えられている。修理に1年以上かかるという。そのかわり、空母ジョージ・H・W・ブッシュが派遣された。
 館内がこうした状態になっている最大の理由はドナルド・トランプ政権の判断ミスにある。ウクライナでの戦争でも言えることだが、アメリカは簡単に勝てると信じて戦争へ突入、泥沼から抜け出せないでいる。