2026年8月20日木曜日

戦後81年の終戦の日 - 昨年放送された報道1930(日本人と軍隊)の異様

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 書き出しでは高市首相が終戦記念日の靖国参拝を中止したのは、9月に習近平訪米を控えて彼を無用に刺激しないように トランプが靖国参拝を禁じたためと推測しています。
 そして昨年の終戦記念日には石破首相が式辞で「反省」の言葉を述べ、その後「戦後80年所感」を発表したのもつかの間、わずか1年で恐ろしい反動の嵐が吹き荒れ、日本の政治は令和のファシズムと呼べる暗黒状況となっていると述べます。
 さらに昨年8月31日夜のTBS報道1930の特別番組『日本人と軍隊』において、日本では国民の自衛隊に対する敬意が足りなさすぎると言い、国のために戦って命を捧げてくれる自衛隊の兵士に尊敬を持てと強調した反動性に言及します。
 靖国問題とはまさに憲法9条の問題であり、日本国憲法の平和主義に関わる政治的な問題であるのに、この30年、靖国を支持する者が増え続け、消極的支持を加えれば、靖国反対派よりも物理的に多いのではないかと思われると述べ、
今の悠長な左翼リベラルの常識では、私の危機感は過剰で神経質すぎるもので、狼少年的な狂言あるいは杞憂として一蹴される対象かもしれない。けれども、今年前半の、スマホ農場、国家情報局、国旗損壊罪、国民投票法改悪、個人情報保護法改悪、皇室典範改悪、等々の疾風怒涛のファシズム政治の猛威を見ると、そして抵抗の絶無を見ると、徴兵制も靖国国有化もあっと言う間ではないかと思えてくる」と結びます
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戦後81年の終戦の日 - 昨年放送された報道1930(日本人と軍隊)の異様
                       世に倦む日々 2026年8月19日
81回目の終戦の日を迎えた。今年も大勢の人間が靖国参拝に殺到し、午前中は拝殿まで1時間かかる長い待ち行列になった。防衛相の小泉進次郎を始め4閣僚が参拝、自民党執行部の4役が参拝、超党派国会議員89人が大挙して参拝した。高市早苗は参拝せず遥拝で代用して姑息な帳尻合わせを行っている。おそらくアメリカに打診して、参拝はやめとけという指示を受けたのだろう。公約どおりに参拝を強行すると中国と韓国が反発して外交問題となる。昨年11月に高市が「台湾有事は存立危機事態」と発言した後、中国が猛反発し、北京訪問を控えていたトランプが収拾に追われた。その挙句、中国からのレアアース禁輸を招き、武器生産のための部品調達が逼迫し、日米同盟にとって重大な打撃を蒙った。来月9月は習近平のDC訪問の日程があり、トランプの中間選挙戦略にとって重要な外交宣伝材料だ。アメリカはここで高市に再び波風を立てさせるわけにはいかなかったのだろう。

1年前の8月15日。石破茂は全国戦没者追悼式の式辞で「反省」の言葉を述べた。13年ぶりに復活させた。それなりに有意味な歴史認識を提示しようと「戦後80年所感」も出した。そこから1年。わずか1年で恐ろしい反動の嵐が吹き荒れ、日本の政治は令和のファシズムと呼べる暗黒状況となっている。12月には尾上定正の核保有発言の事件があり、4月に安保3文書改定の有識者会議が発足すると同時に非核三原則を見直す方向性が予告された。同じ4月には武器輸出三原則の改定が閣議決定となり、「5類型」の歯止めが撤廃され、殺傷能力のある完成品を含む武器の輸出が原則解禁された。7月には国家情報局が新設された。同じ7月には、国民の個人情報を本人同意なく業者が吸い上げる「個人情報保護法の改正案」が無風で成立した。さらに同じ7月には国旗損壊処罰法(国旗損壊罪)が、何の議論もなく、マスコミで法案が紹介されて専門家に討論されることもなく、一瞬で国会で可決成立され8月に施行となった

また7月には、憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法成立している。懸念事項であったネット広告の規制や資金制限、偽情報対策は盛り込まれず、野党側の要求は反映されない結果となった。改憲が発議された暁には、再びスマホ農場が活躍する詐欺政治となるらしい。同じ7月、男系皇統を維持する典範改定もブルドーザー的に成立し、上皇上皇后が懸命に形作って理念的な統治機構を成した象徴天皇制が破壊された。野党は沈黙し、政局にもならなかった。2月の選挙で高市が大勝して後の半年は、まるで右翼クーデター政権の峻烈な日々であり、何が何やら分からぬまま、永田町で恐ろしい法案と制度が成立し、戦争に向けて進撃する新体制が構築されている。来年にはいよいよスパイ防止法の国会上程が予定され、秋の臨時国会では改憲発議に向けて緊急事態条項の条文化が固められると報道されている。自衛隊では国内各地への長射程ミサイルの配備が本格化し、新たに原子力潜水艦の導入が安保3文書で盛り込まれるのではないかと予想されている

今年度中には、先島諸島の住民ら12万人を九州・山口各県に避難させる実働訓練も予定されていて、1日2万人を6日間かけて移送する計画が進行中だ。先島諸島が台湾有事の戦場となる青写真であり、自衛隊が中国軍と交戦する有事が明確に想定されている。さて、今回の稿で注目したいのは、昨年の 8/31 に放送された報道1930の特別番組『日本人と軍隊』である。戦後80年の特別編だったので、平日ではなく日曜夜に番組が組まれていた。特に話題にはならなかったが、まさに背筋が寒くなる内容だった。一年ぶりにネット動画を見返したが、やはりぞっとする。戦後のドイツ軍が「制服を着た市民」を理念にして再建されたという点を強調、日本では国民の自衛隊に対する敬意が足りなさすぎると言い、国のために戦って命を捧げてくれる自衛隊の兵士に尊敬を持てと言い、そのための措置や制度が必要だと訴える番組趣旨だ。それを阻害した(している)のが憲法9条であり、9条の影響下にある日本人の政治思想だと言い、早くそれを払拭せよと言っている

番組に登場したのは、スタジオに中西寛、折木良一、小泉悠、M・メントライン。映像に火箱芳文と井上寿一。番組では、現役の自衛隊幹部たちが靖国神社に参拝している事実も紹介されたが、松原耕二はそれを肯定的に伝え、全く批判しなかった。番組のメッセージを総括すれば、早く自衛隊を憲法に位置づけ、国民が自衛隊を尊敬する環境にせよであり、そうすればもっと自衛隊に志願し応募する若者が増え、隊員の充足率が上がるに違いないという主張だ。これが戦後80年を記念して制作されたTBSの特集報道である。その一方で、この番組は、保坂正康などを頻回に出演させ、戦争反対と9条の積極的意義を言わせている。松原耕二の態度と手法の欺瞞性に卒倒させられる。だが、それを知ってか知らずか、見てか見ないでか、左翼方面から松原耕二を批判する声は上がらず、欺瞞と矛盾を衝く声もない。サンデーモーニングのコメントを評価し、松原耕二を「リベラルの代弁者」のように信頼している者が多い。その現実に眩暈を覚え、怒りの果てに絶望させられる

リベラルの皮を被ったM・メントラインは強烈な反共反ロの論者で、ウクライナ戦争開始以降、日本のテレビで出演機会を増やし、精力的にプロパガンダを吐き、日本のリベラル系視聴者を反共反ロの方向に影響づけてきた。日本の戦後の(ケインズ福祉国家型の)経済政策と社会モデルを否定し、無意味化し、日本人を自信喪失に導きつつ、改革(新自由主義化)せよと言い散らしてきた点も怪しい。NED(CIA)の関係者ではないかと私は疑っている。この特集の企画には、松原耕二と小泉悠とメントラインが入っているに違いないが、果たして、番組が言うようにドイツ軍の兵士が「制服を着た市民」で、個人の良心に基づいて上官の命令を拒否できるのかどうか、戦場の任務でその実効性が担保されるのかどうか、大いに疑わしい。ドイツ軍はアフガニスタンに20年間で15万人派遣し、タリバンと熾烈な戦闘を演じたが、その作戦任務の遂行そのものが、どこまで人道上妥当で正義の武力行使だったと言えるのか。国連軍の一部でもない。客観的にはまさに侵略戦争だ

1年前、このような放送がされ、石破茂が引きずり降ろされ、高市早苗が総理総裁の座を奪った。その空気と情勢のまま、2月の選挙で高市が大勝した。靖国神社について、最近のテレビは討論や論争をしなくなった。それはほとんど20年前に終わった感がする。今から6年前のNHK-NW9で、和久田真由子が8・15の靖国参拝の風景をトップに持ってきて、それを正月の初詣に擬え、日本人がお盆の季節に普通に、出征し戦死した先祖や先人を弔う風習であると説明した放送があった。2020年だから首相は安倍晋三(8年目)。振り返って、かなりエポックメイキングな出来事だったと思う。あの時点で、靖国についてのマスコミの基本的評価が定まった。従来の、政治的に険悪に賛否両論が衝突して物議を醸す問題ではなく、逆に、論争してはいけない、争点にしてはいけない、外交問題にしてはいけない問題となり、靖国が恰も政治的正統性を確立させた存在となった。そして、永田町は靖国支持の政治家が圧倒的多数を占める世界となり、靖国拒否派は少数異端となった

靖国問題とはまさに憲法9条の問題であり、日本国憲法の平和主義に関わる政治的な問題である。この30年、右翼の攻勢により国民の中で靖国を支持する者が増え続けた。現状、消極的支持を加えれば、靖国反対派よりも物理的に多いのではないかと思われる比率感になった。日本人が変化して行ったのだ。右翼が増えたという言い方をするけれど、真実は、同じ個人が、世間の潮流を眺めながら、徐々に政治の認識と判断を変え、価値観と立場を動かし、支持政党を変えてきたのだ。嘗ての自身の思想信条を覆し、大勢である反共・親米・新自由主義の波に乗り、それを自らの思想信条に定置させたのである。そして座標軸全体の平均的標準的位置が変わり、現代日本人の政治思想のデフォルトが反共・反中・反9条に固まったのだ。いま60代で自民党に投票している者も、嘗ては社会党や共産党に投票していただろう。具体名は挙げないが、同じ人間が転向して左翼から右翼に変わった例は無数にある。右翼まで一足飛びで行かなくても、大半は途中のプールである脱構築リベラルの地平に逃げた

私と同じ世代が、小中学校で教育された平和主義に背き、9条を絶対的価値から相対的価値に落とし、今では否定的価値に貶めている。脱9条反9条を正当化し、信奉し、日本の軍国化を肯定する徒になり、ファシズム化した政治状況を前向きに納得して生息している。中国との戦争に決して否定的でない。私と同じ世代がこうだから、子の世代は当然影響されて育っていて、半世紀前の日本の支配的価値観を全否定している。而してこの先、中国との戦争以外に何があるのだろう。20年以上、日本は中国をひたすら敵視し、否定し、CPC⇒中華民国)・PRC⇒中華人民共和国)を崩壊させることに希望を託して生きてきた。他の前向きな努力は一切せず、経済も外交も技術も教育も放り出して、アメリカに媚び貢ぎながら、CPC・PRCを解体し消滅させる夢を追い続けてきた。軍事強国化を一直線で進めてきた。反中の信念を強固に言挙げし熱烈に扇動する者ほど、政治家として評論家として高い支持と人気を得、成功と商売繁盛が保証されてきた(どれほど知性と教養がなくても)。日本の国際的劣後と凋落は誰も真剣に顧みることなく

安保3文書改定では核の「持ち込ませず」が改廃されると言われている。日本の核武装が視野に入る事態になる。ドローン戦力の整備が目玉だとも言われている。が、松原耕二と小泉悠が焦って喚いていたところの、自衛隊の人員不足解消も大きなテーマになるだろう。士が足りない。新人兵士を大量補充して戦力増強しないといけない。ドイツに倣って徴兵制がアジェンダ⇒次期目標)となり、合わせて(右翼の悲願である)靖国国営化が重要な論点として正面から立ち上がるだろう。来年2027年以降が台湾有事のタイミングとして設定・宣告されている。戦争が始まれば自衛隊員は大量に戦死するのだ。軍国支配者たちは戦死者を英霊にしようと疼いている。今の悠長な左翼リベラルの常識では、私の危機感は過剰で神経質すぎるもので、狼少年的な狂言あるいは杞憂として一蹴される対象かもしれない。けれども今年前半の、スマホ農場、国家情報局、国旗損壊罪、国民投票法改悪、個人情報保護法改悪、皇室典範改悪、等々の疾風怒涛のファシズム政治の猛威を見ると、そして抵抗の絶無を見ると、徴兵制も靖国国有化もあっと言う間ではないかと思えてくる