植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
この秋口 日本は円安・インフレによる猛烈な物価高に直面しています。これまで高市内閣は日銀の利上げ政策を敵視してきましたが、米国のベッセント財務長官が日銀の利上げ政策を明確に求めると、瞬時にして姿勢を変えて日銀の利上げを容認する姿勢に転じました。これによっていまや地に落ちた円の価値がようやく円高に向かうことになります。
最初の記事で植草氏は、長期金利上昇を回避するため日銀が利上げすべきではないというのは正しくなく、長期金利に強い影響を与えるのは「将来のインフレ見通し」であり、日銀がインフレ抑止のスタンスを明示すれば「長期のインフレ予想は低下する」ので、利上げしてインフレ抑止の姿勢を示すことが長期金利上昇を抑制する要因になると述べます。
高市内閣が米国の圧力に屈して利上げの方針を転換したのは、周回遅れのながら日銀総裁が植田和男氏に交代してようやく日銀の政策対応の適正化が始動したということだと評価しています。
2番目の記事では、円高⇒輸出製造業の業績が急激に悪化⇒株価下落⇒訪日外国人激減⇒インバウンド縮小など の連鎖反応が生じますが、より重大な障害は高市氏がこれまで「日中関係悪化」を放置してきたことで、「(レアメタル問題で)ボディーブローを浴びていたものがノックアウトのカウンターパンチになる可能性がある」と述べます。
高市首相の責任は重大です。
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健全なインフレ抑止金融政策
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月15日
9月15日、16日に米国の金融政策決定会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。FRBが利上げを決定するかどうかが焦点。
金融市場の予想では0・25%の利上げを決定するとの見方が93・5%に達している(「CMEのFed Watch ツール」)。
これを受けるかたちで日銀の金融政策決定会合が9月17日、18日に開催される。
日本銀行は短期政策金利を0・25%引き上げて1・25%にする見通し。
9月10日にはECB(欧州中央銀行)が主要政策金利である中銀預入金利を0・25%引き上げて2・50%とした。
米国のFFレートは0・25%引き上げられると3・75~4・0%水準になる。
9月10日付ブログ記事「日米欧協調利上げの可能性」 https://x.gd/G5JG8
で予測したように日米欧で「協調」利上げが実施される可能性が高い。
利上げの背景は世界的なインフレ圧力の強まり。イラン戦争の影響で原油価格が再騰している。代表油種であるWTI先物価格が再び1バレル100ドルを突破した。
インフレ圧力が再び強まっている。日本のインフレ率は足元で2%弱の水準に抑制されているが、日銀の短期政策金利の水準は1%。インフレ率と比較して短期政策金利の水準が低すぎると判定できる。
日銀の利上げ政策を高市内閣は敵視してきた。トランプ大統領と類似した姿勢を高市首相が示してきた。ところが状況に変化が生じた。米国のベッセント財務長官が日銀の利上げ政策を明確に求め始めたのである。すると、瞬時にして高市内閣の対応が変化。日銀の利上げを容認する姿勢に転じた。
高市内閣は米国の命令に隷従する。これが高市内閣の基本である。米国に隷従するのが高市内閣。これが「メディアが高市内閣を支援する主因」である。
内外で長期金利も上昇している。日本の10年国債利回りも3%に到達した。
米国の10年国債利回りは2023年10月以来となる5%を記録した。長期金利上昇に対する警戒感が強まっている。
日本では長期金利上昇を回避するために日銀が利上げすべきではないとの論も聞かれる。
しかし、これは正しくない。長期金利に強い影響を与えるのは将来のインフレ見通しだ。
日銀がインフレ抑止のスタンスを明示すれば長期のインフレ予想は低下する。
逆に、日銀がインフレ抑止のスタンスを示さなければ長期のインフレ予想が上昇する。
前者では長期金利が低下しやすくなり、後者では長期金利が上昇しやすくなる。
この意味で、日銀がしっかりインフレ抑止のスタンスを示すことが長期金利上昇を抑制する要因になる。
金利上昇という言葉に条件反射のように警戒する向きがあるが、長い目で見れば中央銀行がインフレリスクに対して予防的に対応することは健全である。
欧米の金融当局は22年から25年にかけてのインフレに適切に対応した。利上げを敢行してインフレリスクに対応した。その後、利下げに転じたあとで今回の利上げに移行した。
日銀だけが22年から25年のインフレリスクへの対応が遅れて、今回周回遅れの利上げ対応を示している。
この日銀の対応遅れが日本円暴落という副作用をもたらした。
日銀総裁が植田和男氏に交代して、ようやく日銀の政策対応の適正化が始動したということ。日銀の利上げ対応を敵対視することは正しいことでない。
(中 略)
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円高転換で起こること
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月16日
日本円の暴落は日本の国力低下を意味する。
日本円の実力推移を示しているのが実質実効為替レート。
2020年を100とする指数で見ると最高値は1995年4月の194・2。
これが2026年7月に65・04に暴落した。円の価値は3分の1以下に暴落した。
2020年以降の日本円暴落の責任は日本銀行にある。コロナ融資が激増して過剰流動性が生じた。この過剰流動性が世界的にインフレを引き起こした。
このインフレに対して主要国は利上げ政策で対応した。中央銀行の責務は通貨価値の維持。
インフレ抑止である。ところが、日本銀行だけが無策を決め込んだ
日本銀行の黒田東彦氏が日本のインフレと円暴落を推進した。
結果として日本でも深刻なインフレが発生するとともに日本円が暴落した。
円暴落は外資に日本を格安値で売り渡すために推進されたと考えられる。究極の「売国政策」だった。
日本国民は円暴落で所得と資産の国際標準での価値を3分の1に減価させられた。
米国のベッセント財務長官が円高誘導を明言しているのは外資の出口戦略に基づくものと考えられる。
外資ファンドは日本資産を暴落値で買い占めた。売却によって利益を確定する際には円高が望ましい。このことからベッセント財務長官が円高誘導を指向していると見られる。
2012年11月に日銀の政策転換が予想されて為替市場のトレンドが円安に転換した。
私は2012年11月の『金利・為替・株価特報』に円安基調への転換予測を明記した。
実際に日本円は急落した。2012年11月の1ドル80円が2014年末に1ドル120円に円が急落した。為替レート変動のトレンドが転換すると予想を超える値幅で為替レートが変動する。その後、日本円は1ドル164円まで下落した。
この円安の円高への潮流転換をもたらしつつあるのがベッセント発言。ベッセント財務長官は円高が望ましいと発言しドル売り介入を実行。
日米の実質短期金利差も3%を大幅に割り込む水準に縮小している。日米実質短期金利差が3%以上ある局面では円高転換は実現しない。だが、この条件は崩れている。
日本円が大幅に上昇する可能性がある。このとき、日本経済に何が起こるのかを考えておく必要がある。
円安が進行したときとは逆の反応が生まれる可能性が高い。
2012年11月から日本株価の上昇が始まった。2012年11月13日の日経平均株価が8661円。これが2026年6月22日に72831円に上昇した。13年半の時間をかけて日経平均株価が8・4倍の水準に暴騰した。円安が進行して日本株価が上昇。
円高に振れるときに最初に出てくる反応は輸出製造業の業績が急激に悪化することだ。
企業業績悪化は株価下落の主因になる。
もう一つ、見落とせない問題がある。訪日外国人激増の主因は円安だった。
円暴落が訪日外国人を急増させた。これが減少に転じる。「インバウンド」が縮小する。
このとき、重大な問題としてのしかかるのが日中悪化。
これまでのボディーブローがノックアウトのカウンターパンチになる可能性がある。
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グラフを用いて解説します。
(後 略)