2026年10月17日土曜日

栃木県足利市、緊急の生活保護申請に応ぜず 困窮者保護は最優先 市民団体が意見書「責務果ニたさなかった」

 しんぶん赤旗の掲題の記事を紹介します。
 栃木県足利市で昨年9月に緊急の対応を求めた生活困窮者の生活保護申請に市が応じなかったことをめぐり、生活保護行政の重大問題だとして、「最優先の責務を果たさなかった」と同市を批判する意見書を、市民団体が発表しました。

 生活保護制度は憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基くもので 政府の義務であり国民の権利です。
 しかし日本では本来生活保護を受けるべき人たちの僅かに2割(捕捉率)しか受給しておらず、生活保護受給世帯の比率は僅かに1・6%*に過ぎません(海外ではドイツ9・7%、イギリス9・3%、フランス5・7%などとなっています)。(* 2017年ベース)
 この異常な低さは各地方自治体の福祉担当部署が行っている「生活保護の水際作戦」(=生活保護の申請に来た市民に対し申請書を交付せず追い返す)によるもので、地方自治体が憲法25条を平然と無視するというこの暴挙は、新自由主義路線を敷いた小泉・竹中政権の時に生れ、現在もそれが貫かれているということです。
 関連記事
  (24.6.26)生活保護申請を3回拒まれ 女性は身を寄せた先で暴行死
  (24.3.14)生活保護「水際作戦」は桐生市だけじゃなかった(東京新聞)
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
栃木県足利市、緊急の生活保護申請に応ぜず
困窮者保護は最優先 市民団体が意見書「責務果たさなかった」
                      しんぶん赤旗 2026年10月16日
 栃木県足利市で昨年9月に緊急の対応を求めた生活困窮者の生活保護申請に市が応じなかったことをめぐり、生活保護行政の重大問題だとして、「最優先の責務を果たさなかった」と同市を批判する意見書を、市民団体が発表しました。発表したのは、生活保護制度の改善などを求める「生活保護問題対策全国会議」(代表幹事・尾藤庸喜弁護士)と、生活困窮者支援に取り組む「つくろい東京ファンド」(代表理事・稲葉剛)です。
                                 (日隈広志)
 同市は昨年、生活に困窮して体調悪化を訴えた男性への生活保護の緊急対応を行いませんでした。他方、この男性の生活保護申請に同行した日本共産党の尾関栄子、鳥井康子両市議に対して、「不当要求事案」だとして市は市議会に報告しました。市議会は今年6月、市議会議長による注意処分を尾関、鳥井両市議に行いました。
 この市と市議会の対応をめぐり、全国会議とつくろいファンドは同月19日、市と市議会に抗議を表明した公開質問状を提出。早川尚秀同市長と斎藤昌之同市議会議長は7月29日、それぞれ回答しました。
 市に対しては、急迫状態にある生活困窮者への即日または数日での生活保護の開始を決定したことはあるかと質問。生活困窮者への住居支援といった生活困窮者自立支援法にもとづく「一時生活支援事業」の実施状況を問いました。
 一方、市議会に対しては、尾関、鳥井両市議に対する注意処分の検討時に、困窮した男性に緊急の対応をしなかった「市の対応の適切性を検討したか」とただしました。
 意見書によると、早川市長は回答で、市が過去3年間で「即日または数日での(生活)保護開始をした実績はない」としました。「一時生活支援事業は行っていない」とも答えました。
 斎藤市議会議長は回答で、「政治倫理基準に違反する行為(公正な職務執行の妨げ)があったと認定したものです」と繰り返すだけでした。意見書は「(市の対応の適切性を)考慮したか否かに答えていない」と批判しています。
 意見書は、生活保護法のもと、急迫した状況にある人に対して行政は速やかな保護開始に向けて動かねばならないと指摘。生活保護の申請権の保障や生活困窮者の速やかな保護という「最優先の責務」を、市が果たしていなかったと批判しました。急迫時の支援体制を直ちに改めるべきだと強調しています。
 また市議会に対しては、尾関、鳥井両市議への処分を撤回し、市の生活保護行政を検証すべきだと主張しています。
          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 【足利市の生活保護同行処分】
   昨年9月、栃木県足利市で脳梗塞の既往歴があり車中泊をしていた男性相談者から
  栃木県足利市体調悪化の連絡を受け、日本共産党の尾関栄子、鳥井康子両市議が男性
  に同行し、生活保護の緊急措置である「急迫保護」を市にくり返し要求。市は急迫保
  護をせず、市議会議長に、両市議の行動が勤務時間外に男性に同行し「無言の圧力」
  をかけた「不当要求事案」だと主張しました。自民党市議らが「職員へのハラスメン
  トだ」などと訴え、今年3月から同市議会政治倫理審査会(政倫審)での審査が行わ
  れました。政倫審は5月、両市議に市の政治倫理条例違反を認定し、議場での議会議
  長による注意処分を議決しました。