2024年6月26日水曜日

生活保護申請を3回拒まれ 女性は身を寄せた先で暴行死

 水際作戦と呼ばれる生活保護申請自体を受け付けないとする憲法違反のやり口は実に1981(昭和56)年に出された厚生省課長通知(123号通知)に端を発しています。水際作戦が目立ち出したのは小泉(・竹中)政権時で第2次安倍政権になってからは更に強化されました。
 全国で初めて さいたま地裁が「生活保護申請拒否は違法として埼玉県三郷市に賠償命令」を出したのは13年2月20日でした。しかしその後も埼玉県桐生市などでは日常的に行われていることが明らかにされています。
  13.2.20)生活保護:申請拒否は違法の判決
    23.12.30)5人がかりで怒鳴られ 生活保護の水際作戦 常態化 桐生市
 桐生市でのケースはその後も繰り返し報道されているところですが、しんぶん赤旗が今回、新自由主義を標榜する「維新市政」下の大阪市で、夫の暴力(DV)から逃れ生活困難に陥った女性(当時22)が、市の福祉事務所に再三 生活保護の申請したのに拒否されたために、身を寄せた知人男性から暴行され死亡した事件を報じました。
 新自由主義の本質と言ってしまえばそれまでですが、何故 窓口担当者や担当部署はここまで冷酷になれるのでしょうか。
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生活保護申請を3回拒まれ 娘は身を寄せた先で暴行死 母「命左右する自覚を」
                        しんぶん赤旗 2024年6月24日
 夫の暴力(DV)から逃れ生活困難に陥った女性(当時22)が、大阪市の福祉事務所に再三、生活保護の申請を拒否された末に、身を寄せた知人男性から暴行され死亡する事件が起きました。女性の母親は「真剣に話を聞いてれたなら、娘は生きて笑顔でいたのではと無念を語ります。  (速水大地)

 2019年、夫のDVから逃れた女性はうつ状態になって徐々に働けくなり、身長155cmに対し体重は30kgまで激減。心療内科に通院していましたが、コロナ禍で入院できませんでした。

番号票投げつけ
 2021年、母親に支えられて区役所を訪れるも回目は「給与明細、賃貸契約書が必要と言われ、2回目は母のみで訪れましたが「申請は本人がして」と帰されました。22年、最初の相談から8ヶ月後、女性は書類をそろえ母親と3回目の申請に訪れます。女性の所持金はわずか600円ほどでした。
 女性がパック障害・摂食障害で入院が必要なこと、料金滞納で電気・水道・ガスが止
まっており、夫はDVで接見禁止令が出ていることを確認しながら、職員は「夫と連絡し扶養を求めよ」「離婚届を出さないと生活保護はできない」などと発言したといいます。
 職員の発言を記録したいとメモ用紙を求める母親に、職員は受付番号票を投げつけ「生活保護に例外はない申請用紙は出さない」と発言。女性は「もういいです。私みたいな人間の屑が生活保護を受けるなんて,みなさんの税金で申し訳ない」と泣き崩れました。

 離れて住む母親も家の状況からすぐに娘と住むことができず、困り果てていたところに女性の知人男性が声をかけ、女性は男性のもとに身を寄せますが、数日後に金属製のもので数十回草市回殴打され失血死。母親は事件の詳細を大阪市に通報しましが、市側は「(女性が)申請を拒否したと記録にあり、最終的に申請に至っていない」と回答。本紙の取材に「回答の通り。正当な対応だった」と答えました。
 生活保護法では、申請を望む人に早急に援助するよう定められ、口頭での申請も可能です。母親は「大阪市はが申請を拒否たというが、申請の意思があるから相談に行くんです。面談記録では『所持金1000円』とされ、娘にとって400円の重みを理解せず追い返した」と怒り正式な謝罪を求めています

維新市政の下で
 全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉部会長は「DVで接見禁止になっている夫に扶養を求める職員の発言は、命にかかわる問題であり違法だ」と強調。「大阪市は維新市政のもとで保護世帯への締め付けが加速し、一部の職員の対応も変質。独自のガイドラインで『助言指導』と称して求職活動を事実上強要、稼働年齢層(1564歳)を違法に生活保護から排除しでいる。そんな行政のもとで生まれた最悪の事件と言わなければなりません」と指摘します。
 母親は「大阪市の職員には人の命を左右する自覚を持って、困っている市民を救ってほしい」と語りま