パレスチナのガザ地区での停戦延長に向けた協議が続く中、イスラエルは1か月前からガザへの物資の供給を禁止し、軍事作戦を拡大しました。
3月23日にはガザの病院を空爆し、また救急車5台、消防車1台、国連車両1台を攻撃しました。パレスチナ赤新月社は危険で困難な中 30日 現場に到着し、諸団体の救急隊員ら15人の遺体を回収しました。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の事務総長は30日、「救急隊員は、負傷者に献身的に対応していた人道支援者だった。赤新月社の記章を身に着けていたし、救急車もはっきりとマークを付けていた」と述べ、「国際人遵法のルールはこれ以上ないほど明確だ。民間人、人道支援、医療サービスは保護されなければならない」と強調しました。
しんぶん赤旗が報じました。
併せてNHKの記事を紹介します。
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イスラエル軍攻撃 重大な国際法違反 救急隊15人の遺体発見 ガザ南部ラファ
しんぶん赤旗 2025年4月2日
パレスチナ赤新月社は3月30日、パレスチナのガザ地区南部ラファで、救急活動中にイスラエル軍の攻撃によって殺された諸団体の救急隊員ら15人の遺体が回収されたと発表しました。赤新月社8人、ガザ民間防衛局6人と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)1人です。さらに赤新月社の救急隊員1人が行方不明となっています。
国連ニュース(31日付)などによると23日、救急車5台、消防車1台、国連車両1台がイスラエル軍の攻撃を受け、消息不明となりました。イスラエル軍が現場への立ち入りを許さないなか、救助隊員が30日、ようやく現場に到着。放置された遺体を発見したといいます。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は30日、「世界中の赤十字・赤新月社職員に対する攻撃の中で2017年以降最多の死者」と非難。ジャガン・チャパゲインIFRC事務総長は「胸が張り裂けそうだ。救急隊員は、負傷者に献身的に対応していた人道支援者だった。保護されるよう(赤新月社の)記章を身に着けていたし、救急車もはっきりとマークを付けていた」と指摘。「最も複雑な紛争地域であっても、ルールは存在する。国際人遵法のルールはこれ以上ないほど明確だ。民間人、人道支援、医療サービスは保護されなければならない」と強調しました。
パレスチナ赤新月社は30日、「世界はこれまで、医療従事者や人道支援従事者に対するイスラエル占領軍の国際法・国際条約の相次ぐ重大な違反を防ぐ真剣な措置を講じていない」「この戦争犯罪の加害者が責任を問われ、この虐殺の犠牲者に正義がもたらされるよう、即時かつ緊急の調査が行われるよう要求する」との声明を発表しました。
ガザ地区では、イスラエル軍による病院や救急車への軍事攻撃が相次いで報告されています。IFRCによると、2023年10月の戦闘開始以来、赤新月社職員の死者は30入、パレスチナ当局によると医療従事者の死者は1402人、民間防衛隊はIII人に上ります。
(米沢博吉)
イスラエル国防相 ガザ停戦延長の協議中に軍事作戦拡大を発表
NHK NEWS WEB 2025年4月2日
パレスチナのガザ地区での停戦延長に向けた協議が続く中、イスラエルのカッツ国防相はガザでの軍事作戦を拡大すると発表し、協議への影響や犠牲者の増加が懸念されています。
ガザ地区では、イスラエルとイスラム組織ハマスが、第1段階として合意した停戦期間が過ぎてから1か月がたち、停戦を延長するための協議が続いていますが、双方の意見の隔たりが埋まらない状態が続いています。
こうした中、イスラエルのカッツ国防相は2日、ガザ地区での軍事作戦を拡大すると発表しました。
カッツ国防相は、ガザの広い範囲を制圧し、イスラエルにとっての「安全地帯」を拡大するとしていて、ガザ地区の住民に対しては「ハマスを排除し、人質全員を解放せよ。これが戦争を終わらせる唯一の方法だ」としています。
中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」は2日、医療関係者の話として、中部や南部でイスラエル軍の攻撃により20人以上が死亡したと伝えています。
ガザ地区の保健当局によりますと、3月18日にガザ地区への攻撃が再開されてから、これまでの死者の数は1000人を超えていて、停戦延長に向けた協議への影響や、さらなる犠牲者の増加が懸念されています。
ガザ地区 支援物資の搬入停止から1か月 人道状況の悪化続く
NHK NEWS WEB 2025年4月3日
パレスチナのガザ地区の停戦をめぐり、イスラエルがイスラム組織ハマスに対する圧力の一環としてガザへの支援物資の搬入を停止してから1か月が経過し、人道状況の悪化が続いています。
ガザ地区の停戦の延長に向けた協議は、イスラエルとハマスの意見の隔たりが埋まらない状態が続いていて、イスラエルはガザ地区での軍事作戦を拡大しています。
パレスチナのメディアは2日、北部ジャバリアで、住民が身を寄せる国連の施設に攻撃があり、20人以上が死亡したと伝えています。
イスラエル側はハマスへの圧力の一環として、先月2日からガザ地区への食料など支援物資の搬入を停止しています。
こうした中、WFP=世界食糧計画は1日、ガザ地区内で支援するすべてのパンの販売店、25か所が小麦粉や燃料の不足により営業できない状態になったと発表しました。
NHKガザ事務所が1日の昼前に南部ハンユニスで撮影した映像では、WFPの支援を受けているパンの販売店は入り口が閉まった状態になっていました。
パンを探しているという35歳の男性は「子どもたちにパンを食べさせてあげることができるか分からないです」と話していました。
また、現地で活動する国境なき医師団も医薬品の不足を訴えていて、人道状況の悪化が続いています。