しんぶん赤旗に掲題の2つの記事が載りました。
2つ目の記事の原題は「自民関係者も認める財源論」なのですが、(共産党の)を入れた方が分かりやすいので事務局の方で追記しました。
1つ目の記事は、共産党の小池晃書記局長が26日、東京都板橋区で街頭演説し、「いよいよ消費税が政治の中心課題になってきた」と歓迎し、共産党の「暮らしを守る緊急提案」の消費税減税の4つの特長を示したことを紹介しています。
共産党の減税案は食料品だけでなく一律の5%に減税するもので、消費税減税とインボイスの廃止を一体に提案(消費税を5%に減税すれば複数税率もなくなり、インボイスを導入した口実もなくなる)しています。そして年限を切った一時的な減税でなく、消費税5%へ緊急減税の後は廃止をめざしていると述べました。
逆進性を持つ最悪の大衆課税を廃止させることで、大企業・富裕層への減税・優遇をただし、それによって消費税廃止に向けた恒久財源をつくるものだと訴えました。
2つ目の記事:「自民関係者も認める財源論」は、中祖寅一・赤旗政治部長による解説記事で、自民党議員某氏をはじめとする各党の要人らの消費税減税(れいわは諸費税廃止)に対する意向が掴める内容になっています。ご一読ください。
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国民利益に最もかなう 消費税減税 共産党の提案
しんぶん赤旗 2025年4月27日
日本共産党の小池晃書記局長は26日、東京都板橋区で街頭演説し、与野党から消費税減税を巡る議論が相次いで出ていることについて「いよいよ消費税が政治の中心課題になってきた」と歓迎を表明しました。共産党が発表した「暮らしを守る緊急提案」の消費税減税の四つの特長を示し、「これが国民の利益に最もかなった提案だ」と強調しました。
四つの特長 小池書記局長訴え
小池氏は、第一の特長として、5%への一律減税であることを挙げ、「食料品だけでなくあらゆる物が値上がりしている。だから全て5%に減税する。実務的にもこれが一番だ」と強調しました。
第二の特長は消費税減税と、インボイスの廃止を一体に提案していることです。小池氏は「インボイス発行のために課税事業者になると、身銭を切って消費税を納めなければならなくなる」と指摘し、昨年は3カ月分で2万9000円だったのが今年は約12万円を納税しなければならないとの事業者の声を紹介。インボイスに登録しない事業者は取引打ち切りやダンピングにもあうとして「行くも地獄、行かぬも地獄。消費税を5%に減税すれば複数税率もなくなり、インボイスを導入した口実もなくなる」と主張しました。
三つ目の特長は、一時的な減税でなく消費税5%へ緊急減税の後は廃止をめざすことです。小池氏は「1年限り、1回こっきりの減税ではなく、5%に減税したら次は廃止に向かう。最悪の大衆課税は廃止すべきだ」と力を込めました。
四つ目の特長は、共産党が大企業・富裕層への減税・優遇をただし、恒久的な財源をつくる道を示していることです。小池氏は「共産党は『借金』ではなく、大企業や富裕層の応分の負担で財源をつくり消費税を減税する」と強調。「本気で消費税減税を実行するならば借金に頼らず恒久財源をつくるのが最も責任ある立場だ」と訴えました。
自民関係者も認める財源論
しんぶん赤旗 2025年4月27日
「4月はじめの参院選情勢調査の結果は厳しいものだった。目玉となる物価高対策が必要だ。給付金は有権者の評判が悪い。効果が薄いうえ選挙目当てのバラマキとみられる。消費税減税論が改選組を中心に噴出している」-自民党議員の一人はこう語ります。参院自民党では、7月の参院選に向け公約に盛り込む政策について所属議員への聞き取りを行い、消費税率引き下げを求める声が8割にのぼりました(25日)。昨年の総選挙で日本共産党などが求めた消費税減税に対して「社会保障の財源だ」などとしてー顧だにしなかった自民党が様変わりです。
21日の参院予算委員会では自民党の宮本周司議員が、食料価格上昇に対し「わが党からも消費税の減税を求める声が最近上がっているが、私も正直、地元から多くの声が寄せられている」と強調。減税のリスクを検討しなければならないとしつつ「国民に安心の光を届けるこの対応は、政府として絶対不可欠だ」と石破茂首相に迫りました。宮本氏は財務政務宮も歴任し、同党の財務金融部会長を務めます。
政治状況は変化
自民党と同様に、消費税減税に反対してきた公明党も、消費税減税を夏の参院選政策に盛り込むことを決めました(25日)。
政治状況は大きく変化しています。何より物価高騰に歯止めがかからず、賃金も上がらない経済無策に国民の怒りが渦巻いています。「朝日」26日付は1面に「消費税減税 参院選焦点に」と大見出しを掲げました。
世論調査ではFNN(19、20日実施)で消費税減税に「賛成」が68%で「反対」の28%を大きく上回りました。ANNの調査(同前)でも一時的な消費税の減税に「賛成」が60%、「反対」が30%でした。町の中華料理店の店主や個人タクシーーの運転手さんからも「給付金なんか要らないよ。消費税を下げてほしい」という声が聞かれます。
野田佳彦氏が昨年9月に代表に就任以来、減税論を封印した立憲民主党はどうか。党内外の減税論の強まりに押され25日に消費税の食料品非課税(1年間)にかじを切りました。野田氏が2012年に首相として自公民3党合意で増税をすすめた経過があります。
緊急提案を発表
一貫して消費税の廃止・減税を主張してきた日本共産党は、今国会の予算審議でも消費税減税を主張し政府を追及しています。16日には「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」を発表。消費税廃止を目指し緊急に5%への引き下げ、平均的勤労者世帯で年12万円の減税とインボイスの廃止を提起しました。恒久財源が年15兆円必要となるのに対し、年11兆円にものぼる法人税減税と富裕層・大株主への優遇税制の見直しで財源を生み出すと提案しました。
減税が現実の焦点課題となっているとき、どうやって実現するか-財源論の提起は極めて重要です。自民党関係者の1人は「国債発行で借金を増やすやり方は国民の理解を得られない。導入以来、共産党はずっと法人税減税との対比で消費増税に反対してきた」と認めます。
消費税減税 焦点は財源論 税財政の見直し必要
与野党を超えた減税論の広がりのなか、国民民主党も短期的措置として消費税の5%への減税を提起(10日)。日本維新の会もトランプ関税に伴う物価高対策として2年間の食料品課税廃止を打ち出しました(11日)。れいわ新選組も消費税ゼロの主張です。
ただ、財源論はどうなっているか。
国民民主の玉木雄一郎代表は、時限的措置なので「赤字国債を堂々と発行してやる」とし、れいわ新選組も国債発行論です。維新は「議員定数削減」などをいうだけで財源を明確にしていません。立民も財源の検討はこれからです。
しかし、国債=借金で賄うことになれば将来にわたって毎年、数十兆円規模で借金を増やし続け、急激なインフレヘのリスクも高めます。本気で消費税減税を実行するには、恒久財源を責任をもって示すことが必要です。
行き詰まり深刻
少数与党としての自民党が、消費税減税論に包囲されるなか自民党議員の1人は「石破さんはもともと消費税減税をやりたかった。公明党も減税論にコミットし反対論の外堀が埋められて、やれる状況ができたと思っているだろう」と述べます。「しかし参院自民党の減税の流れも、しょせんは選挙目当て。財務省は反対を崩さない。党税調も固い。一度下げれば再び上げるのは極めて難しい。減税は簡単ではない」と慎重論を崩しません。しかし、これでは参院選を前に進退両難です。参院選で大敗すれば政権も吹き飛びます。
自民党閣僚経験者の1人は厳しい状況を吐露します。「今、減税を自民党が言い出せば選挙目当てと言われるだけだ。それより重要なことは、アベノミクスの弊害、円安による輸入物価の上昇をしっかり総括することだ。景気がどんどん悪化し、自民党の岩盤支持層が崩れていることが根本問題だが、立て直しのリーダーになれる人がいない」。自民党の行き詰まりは深刻です。
これに対し日本共産党は、始まった「新しい政治プロセス」で消費税減税にむけての根本的な税財政論を繰り広げてきました。
田村智子委員長・衆院議員は、予算委や財務金融委員会で、消費税の割合が拡大するもと、その強い逆進性のため全体として税の累進性が失われ、応能負担の原則が崩れ、社会的再配分という税本来の機能が発揮できないことを解明。また、所得税の控除は生存権保障のための「生計費非課税」原則の表れだが、貧困者が買うおにぎり1個にも課税される消費税は同原則に反すると指摘し、消費税の根本的見直しを迫りました。
小池晃書記局長・参院議員は予算委などで、消費税増税と一体に進められた大企業優遇税制のゆがみを追及しました。法人税減税が賃上げにも設備投資にも、下請け支援にもつながらず内部留保を積み上げただけだとし「大義なきバラマキであり、見直しが必要だ」と主張。所得が1億を超えると税の負担率が下がる金融所得課税における「1億円の壁」への抜本的切り込みを求め、「法人税や所得税のあり方全体を見直す中で財源をつくって消費税減税を実現することが必要だ」と迫りました。法人税減税が効果を上げていないことに石破首相は「深い反省のうえに法人税改革に取り組む」と発言(3月27日)しメディアも注目しました。
前出の閣僚経験者は「自民党と共産党はひとつの円周の端で背中合わせ(表裏一体)のような関係だ。共産党は消費税減税と法人税増税をずっと言ってきた。そのことが知られていない。ほかの政治勢力の手柄にされる」と〝リスペクト″も。
社会保障は削減
ー方で、維新や国民民主らが消費税減税と同時に、社会保障の削減推進を示していることには警戒が必要です。
維新の前原誠司共同代表は「朝日・電子版」(20日)のインタビューで「まずは着実に『骨太の方針』(政府が6月にもまとめる『経済財政連営と改革の基本方針』)に党の政策を入れていかなければいけない」と強調。医療費4兆円削減の3党合意が念頭にあることは明らかです。25年度予算に賛成したうえ、来年度予算の土台になる「骨太方針」へのコミットを宣言する-もはや補完勢力というより与党そのものとさえ言いうる動きです。
国民民主も、社会保険料の引き下げと同時に、後期高齢者医療の3割負担の拡大や石破政権が破たんを喫した高額療養費制度の見直しなどを昨年の総選挙向け政策で掲げていました。
「消費税は社会保障財源」という論理を口実に、「右派連合」による大規模な社会保障削減の危険があります。 (中祖寅一)