2025年4月15日火曜日

15- 関税 - またもやひるんだトランプ大統領

 米紙Moon of Alabamaに掲題の記事が載りました。
 経済は生き物なので、「トランプ関税」が「魔法の杖」となってトランプが望む事態になるとは限りません。
 米国債利回りの高騰と高止まりはトランプが予期しなかったことのようで、急遽、中国以外について「高関税開始を90日間延期」せざるを得なくなりました。「朝令暮改」と揶揄される所以です。
 では中国に対して実際に125%の関税を課せるのかですが、そんなことが簡単に出来る筈がありません。トランプは引き続き11日、主に中国から供給されるスマートフォン、コンピューター、ノートパソコン、ディスク・ドライブ、自動データ処理装置、半導体デバイス、メモリー・チップ、フラット・パネルディスプレイなどへの関税を免除しました。
 これは無数の輸入業者を含む米国の大手ハイテク企業にとって歓迎すべき救済策となるし、米国民にとっても同様です。米国はいまや桁外れの経済覇権国ではなくなっているので、「トランプ関税」構想は元々無理だったように思われます。一個人による「制裁の意向」がそのまま実現しないことは当然であり正常な事態といえます。
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関税 - またもやひるんだトランプ大統領
                マスコミに載らない海外記事 2025年4月14日
                    Moon of Alabama 2025年4月12日
 木曜日、国債売りが深刻な経済的大惨事に発展する恐れがあるとして、トランプ大統領は関税を撤回した。
 中国を除くほとんどの国に対する関税は10%に引き下げられた。(10%は関税攻撃をトランプ大統領が開始する前と比べると依然かなり高い。)中国製品に対する関税は合計145%に引き上げられた。
 中国製品への高関税は、必然的にアメリカにおける家電製品価格の急騰につながるだろう。これら製品は、少なくとも一部は中国から輸入されている。これはアップルを始めとするアメリカ大企業にとって大きな損失をもたらしていたはずだ。
 それで、トランプはまたもやひるんだのだ。  

アメリカ、トランプ大統領の相互関税の対象からスマートフォンとパソコンを除外-ロイター、2025年4月12日
 トランプ政権は、主に中国から供給されるスマートフォン、コンピューター、その他の電子機器の輸入品に対し関税免除を認め、ドナルド・トランプ大統領が課す125%の高関税の大半を免除した。
 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は荷送り業者への通知の中で、関税の適用除外となる関税コード・リストを公表した。適用除外は4月5日午前0時1分に遡及する。
 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は、あらゆるコンピューター、ノートパソコン、ディスク・ドライブ、自動データ処理装置を対象とする非常に広範なコード8471を含む20の製品カテゴリーをリストアップした。また、半導体デバイス、機器、メモリー・チップ、フラット・パネルディスプレイも含まれていた。
 通知ではトランプ政権の措置について説明はなかったが、深夜の除外措置はアップル、デルテクノロジーズ、その他無数の輸入業者を含むアメリカの大手ハイテク企業にとって歓迎すべき救済策となる。

 新しい関税例外の全リストはここにある。
これは、1. アメリカの製造業を弱体化させ、2. 貿易不均衡を拡大させる奇妙な方法だ。
 高価格ハイテク製品は低関税で中国から輸入できる一方、アメリカ生産者が製品に必要な中国のローテク中間財には超高関税が課せられることになる。

 この状況が続けば、アメリカ内では中間財のローテク生産が更に増加し、ハイテク製品生産は中国に留まり拡大することになるだろう。
 アメリカの関税に対し、全てのアメリカ製品に125%の関税を課すことで中国は報復した。特定品目を免除する可能性は低い。関税率が100%を超えれば、米中間貿易は短期間で完全に停止するだろう。
 これまでの中国からの輸入品の約22%をアメリカは関税から免除したが、全てのアメリカ製品に対する高関税を中国は維持している。これにより両国間貿易は、これまで以上に不均衡になるだろう。
 アメリカは引き続き中国から従来の輸入量の22%を輸入する一方、対中輸出はゼロに縮小する。これにより、貿易不均衡の絶対値はトランプ大統領が関税戦争を開始する前より高くなるだろう。
 これら全て、戦争での敗北を認める奇妙な方法だ。明日から首切りが始まるだろう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/04/trump-blinks-again.html