櫻井ジャーナルに掲題の2つの記事が載りました(タイトルは略記です)。
米国のオバマ政権が仕掛けた2014年2月のクーデターを経てウクライナは内戦状態に陥りました。
内戦では政府軍(クーデター軍)が不利になると独・仏が仲介して、2014年9月のミンスク1と翌年2月にミンスク2の停戦協定を結びました。しかしこのふたつの停戦合意がキエフ政権の戦力を回復させるための時間稼ぎだったことは後にメルケル独首相とオランド仏大統領(役職はいずれも当時)が認めています。
そして政府軍が内戦相手のドンバス地方の境界近くまで舞台を進めた時点(22年2月)で、ロシア軍の侵攻が開始されて現在に至っています。
当初は簡単にロシア軍を壊滅できるというのが米欧の見通しでしたが、全く逆の展開となりいまや米国は手を引くべく画策中であり、EUは大いに疲弊し混乱状態に陥っています。
ウクライナ戦争で大儲けをした米国はともかく、EUはもはや自分たちだけでは費用的にも戦力的にもウクライナを支えきれない状態にあるのですが、ウクライナの豊富な地下資源に利権を持っている関係で、ロシアに有利な終戦は認められないという 進むも退くも出来ないという状態にあります。
ただ一国で西側諸国を相手に優位に戦っているロシアにすれば,
なお更安易な「妥協」は考えられません。
問題は高市首相が「中露 憎さ」でEUの後を追おうとして点です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウクライナでロシアに負けたNATO諸国が混乱状態に陥っている
櫻井ジャーナル 2026.01.22
1991年12月(⇒ソ連邦の崩壊)に「唯一の超大国」になったと言われたアメリカは窮地に陥っている。それ以上に厳しい状況になっているのは、そのアメリカに従属していたNATO諸国であり、その後を日本が追いかけている。
そうした中、ドナルド・トランプ米大統領は自国の特殊部隊を使ってベネズエラの大統領を拉致したものの、体制を転覆させることには失敗し、グリーンランドを欲しがってEU諸国を脅したが、反発を受けている。またイランの体制転覆を目指し、イラン国内で反体制デモを仕掛けたが、イラン政府がスターリンク(⇒通信環境が整っていない地域に適した通信網の一つ)を遮断したことでデモは沈静化、軍事攻撃は中止したようだ。
トランプ大統領は中国に対して経済戦争を仕掛けたが、レアアースの輸出停止という逆襲にあい、和解した。その後、日本の高市早苗首相も中国に喧嘩を売り、同じように逆襲されたが、和解する気配はない。このまま進めば日本の製造業は壊滅的なダメージを受ける。
日米欧は混乱状態だが、そういう状況をもたらした原因はウクライナにおけるロシアの勝利だろう。ロシアが戦っている相手は表面上、ウクライナなのだが、戦争の原因になった2014年2月のクーデターを仕掛けたのはアメリカのバラク・オバマ政権であり、2022年2月にロシアがウクライナを軍事攻撃し始めてからNATOとの戦いという色彩が強まり、現在、戦場ではNATO軍が敗走していると言える。ここにきてロシア軍はNATO軍将校を容赦なく攻撃しているようだ。
アメリカやヨーロッパ諸国は話し合いできる相手でない、つまり約束を守る相手ではないと気づいたロシアは問題を戦場で解決することにした。
シーモア・ハーシュによると、ロシアのウラジミル・プーチン大統領がウクライナとの戦争終結を検討しようとしないと怒っている人がアメリカの情報機関内にはいるようだ が、戦争終結の条件をロシア政府はすでに公表している。勝者であるロシアが妥協することはありえない。
ハーシュの記事を読むと、CIAの内部には今でもロシア経済が壊滅的な状況にあると主張している人がいるようで、それに基づいてハーシュは書いている。アメリカがロシアと戦争を始めた当時、そうしたシナリオを作成していたのだろうが、そうした展開にならなかった。これは早い段階から判明している。
西側諸国による「制裁」がロシア社会に変化をもたらさずビジネスは好調であり、店舗の閉鎖も見られない。ロシアは鎖国していないので西側から少なからぬ人が訪れているが、ロシア経済が壊滅的な状況にあることを示す情報は出てこない。勿論、携帯電話やインターネットは利用できている。プーチン大統領の支持率が85%という高率であるのも経済が好調だからだ
2024年2月にタッカー・カールソンはモスクワでプーチン大統領をインタビューしたが、その際、モスクワ市内を紹介している。当時、少なからぬアメリカ人がロシアでの生活をレポートしていたが、いずれも商品が溢れ、多くの人が行交う様子を報告していた。
生産力の向上は軍事部門を見てもわかる。ロシア軍による攻撃は激しさを増し、最新鋭のミサイルやドローンも投入されている。砲弾、ミサイル、ドローンが枯渇する兆候は見られない。ロシアの製造力や技術力はNATO諸国を圧倒している。現実が自分たちのシナリオ通りに進まないことにCIAは焦りを感じ、苛立っているのだろう。
ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は12月下旬から自国軍が昨年、334の集落と6400平方キロメートル以上を解放したと報告、軍がウクライナ/NATO軍の防衛線深くまで進軍していると述べている。他の情報源と照らし合わせてもゲラシモフ参謀総長の主張は事実で、ロシア軍はオデッサを含む南部地域を制圧すると推測する人が少なくない。ロシアに戦争を仕掛けた西側諸国の勢力は敗北の確定を先へ伸ばし、その間に何とかしようとしているのかもしれないが、状況は悪くなるばかりだ。
米国に踊らされて露国と戦争を始めて壊滅的な状況になったEUの後を追う日本
櫻井ジャーナル 2026.01.21
イギリスをはじめとする一部のヨーロッパ諸国はロシアとの戦争継続に執着しているが、ウクライナ軍は壊滅状態。NATO諸国は将校や情報機関員だけでなく一般の兵士もウクライナへ送り込んでいるようだが、戦況を変えられる状態ではない。
ロシア軍はドンバスでの戦闘へ投入した第1軍に続き、オデッサを含む南部を制圧するための第2軍をすでに投入しているようだが、さらにNATO軍との全面戦争に備えるため、第3軍を編成していると言われている。それに対し、NATO諸国ではCIAやMI 6がテロ攻撃を続けているが、戦況を逆転させられるとは思えない。
戦争の流れは昨年12月28日から29日にかけてのロシア大統領公邸に対する91機のドローンによる攻撃で変化したようだ。西側諸国はウクライナ軍が大統領公邸を攻撃していないと主張したが、GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)のイゴール・コスチュコフ長官はドローンの残骸からマイクロチップを回収、大統領公邸をターゲットにしていたことを突き止めた。そのチップをロシア政府はモスクワ駐在アメリカ大使館の武官へ引き渡している。その後、アメリカ政府からマイクロチップに関するコメントはなく、ロシア側の主張が正しかったと推測できる。
ドローンを飛ばしたのはウクライナ軍かもしれないが、その計画を作成したのはCIAやMI6である可能性が高く、ウラジミル・プーチン露大統領の暗殺をドナルド・トランプ米大統領が承認したと見られても仕方がなく、アメリカ政府はロシア政府と話し合う姿勢を見せていたが、それはロシアを騙すための演出だったということになる。
イスラエルは昨年6月10日にアメリカから空対地ミサイルのヘルファイアを約300機受け取ったが、その3日後にイランを攻撃した。イラン領内からドローンやミサイルを発射したと言われているが、その際、8時間から10時間にわたって防空システムが麻痺、軍の幹部や核科学者らが殺害された。イランに対するサイバー攻撃があったともいう。攻撃の前、イラン政府はイスラエルからの攻撃を警戒していたとは思えない。
昨年9月9日、アメリカ政府が提案した新たな停戦案について協議するためにカタールへ入ったハリル・アルハヤ議長率いるハマスの代表団をイスラエル軍は爆撃しているが、これはトランプ政権とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権が連携して行われた可能性が高い。要するに騙し討ちだった。
アメリカと問題を話し合いで解決することはできないとロシア政府が考えるのは当然。戦場で決着をつけるしかないということだ。実際、その後ロシア軍の攻撃は激しくなり、NATO軍の司令部が狙われているとも言われている。EUの内部からロシア政府と話し合う必要があるとする声が聞こえるようになったのは、そのためだろう。
その前にNATO諸国はウクライナでロシアを騙している。アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてキエフでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を排除しているが、シナリオ通りに事態は進まなかった。
歴史的にロシアとの関係が深くヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の住民はクーデターを拒否したのだ。南部のクリミアはいち早くロシアと一体化、東部のドンバスでは武装抵抗が始まり、キエフのクーデター政権は劣勢になる。
そこで欧米諸国はキエフ政権の軍事力を増強する必要が生じ、時間稼ぎのため、ロシアに停戦を持ちかけた。それが2014年9月のミンスク1と15年2月のミンスク2だ。このふたつの停戦合意がキエフ政権の戦力を回復させるための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相 や フランソワ・オランド元仏大統領が認めている。
オバマ政権のネオコンは2014年のクーデターでロシアとEUを分断、ロシアとEUを結びつけていたロシア産天然ガスを止めようとした。ロシアからEUという巨大なマーケットを奪い、EUからロシアという安価な天然ガス供給源を奪うことでロシアとEUを弱体化させられると考えたと言われている。
その当時、EU諸国はロシアを簡単に屈服させられると考え、ロシアの利権を手に入れられると信じていたのだろうが、EU諸国の経済は壊滅的なダメージを受け、社会は崩壊、EUは近い将来、消滅すると言われる状況になった。そのEUと同じ道を驀進しているのが日本だ。
日本は中国だけでなくロシアを敵にし、軍事力を増強、戦争の準備をしている。かつての日本と同じように、中国へ攻め込んで財宝を奪うつもりなのだろうか?