元外交官の孫崎享氏が掲題の記事を出しました。
27日に公示される衆院選の最大の関心事は、高市政権という最悪の政権を退場させられるかどうかにあります。
「中道改革連合」の綱領や政策には確かに欠点も弱点もありますが、大同団結をするためにはそうせざるを得なかったという側面があったものと思われます。従ってその点だけを批判するのはややピント外れで、先ずは「最悪政権を退場させる」ことが決定的に大事です。
中道連合の欠点は 高市政権が継続されたときの害悪に比べればはるかに小さいものと言えます。
ところで「中道改革連合」の出現は自民党の議席を減じる上で非常に大きく作用します。
小選挙区での自民議員の減少数の予測は日刊ゲンダイが86議席、日本TVが72議席で、獲得議席数は日刊ゲンダイが46議席、日本TVが60議席になります。
朝日新聞は「もし前回衆院選で中道改革連合があったら」として各選挙区で公明党が獲得した比例区票のうち、自民党候補への投票から立憲候補への移転が5割のケース、7割のケース、10割のケースに分けて小選挙区の議席獲得数を算出しました。
その結果は、5割で 自民89議席、7割で同79議席、10割では同58議席でした。
孫崎氏は「とりあえず悪は断つ。それが中道改革連合に期待されていることだ」とまとめています。
併せて金子勝・慶応大学名誉教授の「衆院選で高市政権を信認すれば経済的破綻が起きかねない」を紹介します。
高市氏は極右政権であるだけでなく、その経済政策は「日本経済を破綻させる方向にしか作用しない」と指摘します。
そもそも破綻が証明された「アベノミクス」を基本的に踏襲した上で、それに「強い」とか「責任のある」などの形容句をつけてみたところで、「視野狭窄症的経済政策」ではどうにもなりません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本外交と政治の正体 孫崎享
中道改革連合は日本政治の大変動をもたらすか
日刊ゲンダイ 2026/1/22
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
1月16日、立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を設立した。
高市首相の解散を受けて行われる衆院選(27日公示、2月8日投開票予定)を見込んでの動きである。
大手新聞は社説で「政界再編への起爆剤となるか」(読売)、「政権の対抗軸示せるか」(朝日)、「政策と刷新感が試される」(日経)、「結集軸たり得る政策を」(毎日)などと指摘した。
この新党の意味合いは極めて明確だ。果たして衆院選でどれほどの旧公明党支持者が旧立憲民主党の候補者の名前を書くのか。その状況次第で日本政治の大変動が起きることになる。
この問題を真正面から取り上げてきたのが
日刊ゲンダイで、「立憲電撃タッグ公明、自民46人落選危機」「立憲公明新党衝撃データ
自民86議席減」などと報じてきた。
一般的に自民党寄りとみられている
日本テレビも、「公明党支持者が自民党に投票せず、立憲候補に投票したと仮定した場合、
自民党が小選挙区で勝利した132選挙区のうち、72選挙区で敗北する状況。
一方立憲は63選挙区で逆転勝利」と報じていた。
朝日新聞は 17日付の記事で、「もし前回衆院選で中道改革連合があったら?」として
3つの場合分けをしていた。
各選挙区で公明党が獲得した比例区票のうち、自民党候補への投票から立憲候
補への移転が起きたケースを5割、7割、10割に分け、小選挙区の獲得数を
算出した。
その結果は、5割で 自民89、中道改革149、7割で同79、同159。
10割では同58、同176だった。
現在の小選挙区(289議席)のうち、自民は132議席である。
つまり、今後の日本の政治の運命を決めるのが公明党員の動向ということだ。
政治評論家の田崎史郎氏は公明票が自民党に流れる可能性について、「創価学会本部の指令が来ているわけですから。それはちょっと厳しいかもしれない」との見方を示した一方、ネットでは「公明党支持者のアンチ立憲感情は根強い」との声もある。
中道改革連合が定着するのか。更なる政界再編成の起爆剤になるのか。はたまたその政策がどうなるかは不透明だ。
だが自民党は自分で裏金問題を処理できない。企業献金の問題も処理できない。消費税減税も処理できない。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との結びつきも処理できない。さらに対米隷属も断てない。
とりあえず悪は断つ。それが中道改革連合に期待されていることだ。
孫崎享 まごさきうける 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
金子勝の「天下の逆襲
衆院選で高市政権を信認すれば経済的破綻が起きかねない
2026/1/20 日刊ゲンダイ
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
27日に衆院選が公示されるが、高市首相の自己都合解散に批判が噴出。経済失策で円安インフレが続き長期国債の価格は下落するばかりだ。高市政権の「責任ある積極財政」はすでに破綻している。
問題はこの選挙で禊を済ませてしまうとその後4年間は選挙をしなくていい状況になることである。私が最も危惧するのは、このままだと取り返しのつかない経済的破綻が起こりかねない点だ。既に為替市場では一時1ドル=159円に達し、長期金利も2.2%を突破してしまった。
もし高市政権がこのまま防衛費を増大させれば、円と国債はさらに売り込まれ、インフレは深刻さを増すだろう。実際、15日の日米防衛相会談で日本側が防衛費拡大を約束した。3月に高市氏が訪米した際には、ベネズエラへの軍事介入を批判せず、トランプ大統領の言うがままに防衛費倍増を受け入れ「武器爆買い」の土産を手に朝貢外交を行うのだろう。
しかし、「責任ある積極財政」を掲げながらその実態はほぼ赤字国債依存。インフレ増税で財政赤字の対GDP比を減少させようとしているが、防衛費の財源が確保される見込みはない。復興特別所得税の1%を横流しするのが精いっぱいだが、それで済むような金額ではない。
なぜなら日本のGDPは2024年時点で609兆円、25年にはインフレで水増しされ630兆円を超えかねない。仮にトランプ氏の要求通りGDP比3.5%まで防衛費を増額するなら22兆円を超えて、財政的なゆとりはない。野党との駆け引きでバラマけば、円安インフレも止まらない。
インフレになれば、長期金利も上がる。国債の買い手もなくなり、長期金利が2.2%を超えている。2.5%に達すれば国債の利払い費は8兆円から16兆円へと倍増する。それがさらなる円安と日本国債の価格低下、長期金利の上昇を招く悪循環に陥る可能性が高い。
同時に、高市氏の不用意な台湾有事発言に対して、中国はレアアースの輸出規制に乗り出した。中国は高市政権が防衛費を増加させるたびに、レアアースの輸出規制と経済的圧力を強めていくだろう。
高市政権は26年に実質GDPが1.3%上昇しインフレも収まるという超楽観的な見通しを立てているが、楽観的な世界銀行でも26年の日本の経済成長率を0.8%と予測する。大和総研によれば、レアアースの輸出規制による実質経済成長率に与える打撃はマイナス1.3%程度だ。単純計算で日本のGDP成長率はマイナス0.5%に陥る。高市政権の防衛費増大政策はスタグフレーションを招く危険性が高いのだ。高市氏に4年間のフリーハンドを与えてはいけない。
金子勝 かねこまさる 慶大名誉教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。