2026年1月5日月曜日

米国の侵略は非難しないのか/米軍特殊部隊がマドゥロ大統領夫妻を拉致

 米国3日南米ベネズエラ首都カラカスのほか、ミランダ、アラグア、ラグアイラの各州に大規模攻撃を行い、同国のマドゥロ大統領とその妻を拘束して米国に行しました。ベネズエラ政府は声明で、米国による攻撃について「目標はベネズエラの原油と鉱物の獲得にある」と非難し、国全体でこの帝国主義的侵略を打ち負かさねばならないと表明しました4日付しんぶん赤旗ー要旨)。
 トランプは世界一の原油埋蔵量を有する(ただし生産量は劣る)ベネズエラに軍隊を差し向け、今後は同国の石油生産を管理すると公言しました。まさに前代未聞の覇権国家による帝国主義的侵略であり国連憲章の蹂躙です。人命の損傷規模こそ異なるもののその蛮行は、イスラエルがガザで行っているジェノサイドに匹敵するものです。
 そもそも暴力によって「他国の元首を逮捕する」などはあり得ないことで、「世界の時計」はー瞬時のうちに何百年も逆行したのでしょうか?

 かえりみればトランプはこれまでベネズエラへの地上攻撃を「まもなく開始する」と繰り返し主張し、マドゥロ大統領の退陣を要求してきました。米軍は昨年9月以降、ベネズエラ沖のカリブ海などで「麻薬密輸船」と断定した船舶を一方的に攻撃し、すでに100人以上を殺害し、11月からはカリブ海に空母を展開しました。
 こうした行為に対しては、国連憲章や国際法に違反するとして米国内外から厳しい批判の声が上がっていましたが、トランプは全てを承知の上で周到に準備してきて、最終的にその目的を達したのでした。
 ベネズエラは「米国による違法な武力行使」だとして国連安全保障理事会の緊急会合を要請しました。審議の過程で国連の権威が問われることになります。

 「植草一秀の知られざる真実」、「櫻井ジャーナル」、「マスコミに載らない海外記事」の3つのブログを紹介します。

(たまたま昨夜、5チャンネルのTVを見ているとコメンテータは決してトランプを批判しませんでした。これほど明確な事案が起きてもです。日本のTVは終わっています)
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高市首相の見識が問われる
                 植草一秀の「知られざる真実」2026年1月 4日
米国のベネズエラ侵略戦争に対して高市首相は見解を表明すべきだ。
高市首相は米国の一方的な武力行使を容認するのか。武力攻撃によって他国の大統領を拘束することを容認するのか。
法の支配、自由、民主主義、基本的人権、市場経済などの価値観を重視する外交を行うとしてきたのではないのか。

他国に対して、正当な事由なしに武力を行使する、武力による威嚇に訴えることは明白な国際法違反。国際法違反行為でも主体が米国なら許容するということなのか
米国の行動は国際法違反であり日本政府は米国の国際法違反行為を非難すると表明するのか。
何も言わないということはあり得ない。首相としての存在意義が問われる。
邦人の安全確保に努めることは当然として、米国の行為をどう評価するのかを説明する必要がある。

「何も言わない」ことは「判断力の欠落」を意味する。ものごとについての判断を示すことができない者が行政権の長であることは許されない。
ロシアがウクライナでの特別軍事作戦を始動させたとき、ロシアは行動の正当性を担保するプロセスを踏んでいる
ウクライナで内戦が発生したのは2014年のこと。内戦を終結させるために「ミンスク合意」が制定された。
ウクライナ内戦はウクライナ政府と東部2地域(ドネツク、ルガンスク)との間で繰り広げられた武力衝突。ウクライナ、ドネツク、ルガンスクにオブザーバーとしてロシア、ドイツ、フランスが関与して合意が成立した。

ドネツク、ルガンスクの東部2地域に高度の自治権を付与することで戦争を終結させることで合意した。ところが、ウクライナ政府はミンスク合意を履行しなかった。2019年春に大統領に就任したゼレンスキーはミンスク合意履行による和平確立を公約に掲げた
大統領就任後、ミンスク合意履行に向けての動きを示したが単なるポーズだった。
ウクライナ極右勢力が強く反発するとゼレンスキーは転向した。

21年に米国でバイデン政権が発足。バイデン政権はウクライナでの戦争創作を推進した
ドイツのメルケル首相は首相辞任後に2014年のミンスク合意はウクライナがロシア戦争への態勢を整えるための時間稼ぎのトリックであったことを告白した。
ドネツク、ルガンスク、ロシアはウクライナ、独、仏に騙されたのである。
背後で糸を引いたのが米国であったことは言うまでもない。

ロシアはウクライナのNATO加盟阻止を最重要課題とした。
冷戦終結時に東西ドイツの統一を協議した際、米国は旧ソ連にNATOは東方に1インチたりとも拡大しないことを確約した

東側の軍事同盟であるワルシャワ条約機構を解体した前提はNATOの解体だった。
NATOもワルシャワ条約機構と同様に解体されるべきものだった。
ところが、西側は旧ソ連との約束を踏みにじり、NATOの東方拡大を推進した
ロシアにとって最後の砦がウクライナとベラルーシのNATO非加盟だった。
ロシアと長大な国境線を有するベラルーシとウクライナが東西の最重要の緩衝地帯である。

ウクライナのNATO加盟だけは絶対に認められない。これがロシアの「核心的利益」である。
ウクライナが東部2地域に高度の自治権を付与すればウクライナのNATO加盟は消滅する。
これがミンスク合意成立の核心だった。ところが、ゼレンスキーはミンスク合意を踏みにじり、対ロシア戦争準備を加速させ、さらに、NATO加盟の方針を決定した

この事態を受けて東部2地域が共和国として独立を宣言。
ロシアが2共和国を国家承認した上で集団安全保障の条約を締結した上で、2共和国が集団的自衛権行使をロシアに要請してロシアが軍事作戦を始動させた。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4298号
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                (後 略)


米軍がベネズエラを空爆、特殊部隊がマドゥロ大統領夫妻を拉致との情報
                         櫻井ジャーナル 2026.01.04
 アメリカ軍は1月3日、ベネズエラを空爆した。首都カラカス周辺の軍事基地だけでなく民間人の居住地域などで爆発が報告されている。攻撃の最中、ドナルド・トランプ米大統領はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拉致したと発表、デルシー・ロドリゲス副大統領は大統領夫妻の所在を把握していないと語っている。同副大統領は「マドゥーロ大統領とフローレス夫人の生存を証明する証拠を直ちに提示する」ように求めた。アメリカの大手メディアによると、拉致したのはアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースだという。

 アメリカ政府は11月16日に空母ジェラルド・R・フォードを含む艦船をカリブ海へ派遣すると同時に、閉鎖されていたプエルトリコの海軍基地を修復して使えるようにしている。この基地へマドゥロ大統領夫妻を運んだとも言われているが、確かなことはわからない。
 艦隊がカリブ海へ入る前、10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラに飛来していた。何らかの軍事物資や傭兵会社ワグナーの戦闘員を運び込んだと言われた。すぐにでもベネズエラへ軍事侵攻すると言われていたアメリカ軍の動きが急速に弱まったのはそのためだと推測する人もいた。
 11月上旬には2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行したが、この時、B-52は陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ引き返した。ベネズエラはそのほか、中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備したとされている。
 本ブログでも書いたことだが、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員はトランプ大統領のベネズエラに対する軍事的な恫喝とイスラエルの関係を指摘している。ベネズエラへの軍事侵攻を求めている反体制活動家でノーベル平和賞受賞者、つまりアメリカ政府の手先であるマリア・コロナ・マチャドイスラエルのハマスに対する姿勢を支持しているが、これもそうした関係が反映されているのかもしれない。マチャドは12月中旬、ベネズエラに対するアメリカの戦略を全面的に支持するとCBSニュースに対して語っている

 トランプ政権の中でベネズエラ侵略を最も強く望んでいる人物は国務長官のマルコ・ルビオだと見られている。彼はネオコン、つまり親イスラエル派で、彼の両親は1956年にキューバからアメリカへ渡ってきた。ベネズエラの現体制を倒した後、キューバの体制も転覆させようとしている
 トランプ政権に限らず、アメリカ政府はベネズエラの体制転覆を目論んできた。その始まりは1998年。この年にベネズエラでは選挙が実施され、アメリカへの従属を拒否するウゴ・チャベスが勝利した。チャベスは1999年2月から大統領を務め、アメリカが支配する仕組みを壊してしまうが、その時代に副大統領を務めた人物がニコラス・マドゥロにほかならない。
 2001年にアメリカ大統領となったジョージ・W・ブッシュは、その翌年からチャベス政権を倒すための秘密工作を開始。その中心にはイラン・コントラ事件に登場したエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そして1981年から85年までのホンジュラス駐在大使を務め、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてイラク大使を務めたジョン・ネグロポンテがいた。
 ホンジュラス駐在大使時代、ネグロポンテはニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊(アメリカの巨大企業にとって都合の悪い人たちを暗殺する組織)にも関係している。クーデターが試みられた際、アメリカ海軍の艦船がベネズエラ沖に待機していた。ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画された

 アメリカの支配層はベネズエラの体制を転覆させるため、2007年に「2007年世代」を創設、09年には挑発的な反政府運動を行った。こうしたベネズエラの反政府組織に対し、NEDやUSAIDといったCIAの資金を流す組織は毎年40004万ドルから5000万ドルを提供していた
 その2年前、つまり2005年にアメリカの支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。そこにはCIAから資金の提供を受けているCANVASと呼ばれる組織が存在、そこで学生は体制転覆の訓練を受けている。このCANVASを生み出したのは1998年に組織されたオトポール!なる運動だ。
 この運動の背後にはCIAの別働隊であるIRIが存在した。このIRIは20名ほどのリーダーをブダペストのヒルトン・ホテルへ集め、レクチャーする。講師の中心的な存在だったのは元DIA(国防情報局)分析官のロバート・ヘルビー大佐だ。

 抗議活動はヒット・エンド・ラン方式が採用された。アメリカの政府機関がGPS衛星を使って対象国の治安部隊がどのように動いているかを監視、その情報を配下の活動家へ伝えている。このとき、アメリカは情報の収集や伝達などでIT技術を使う戦術をテスト、その後の「カラー革命」におけるSNSの利用にもつながった。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018)
 体制転覆の企てが成功しなかった理由のひとつはチャベスのカリスマ性にあったが、そのチャベスが2013年3月、58歳の若さで死亡する。その後継者が現大統領のニコラス・マドゥロだ。
 ベネズエラの確認石油埋蔵量は世界最大だと言われている。その石油は自分のものだとトランプは主張しているが、ほかのアメリカ大統領も同じように考えていたのだろう。その石油を手に入れると同時に、自立の道を歩いていたラテン・アメリカ諸国を再び植民地化することもアメリカ政府の目的だと考えられている。
 しかし、ベネズエラを空爆して大統領を拉致すればベネズエラの現体制は瓦解し、再植民地化するとアメリカ政府は考えているのかもしれないが、それほど容易ではないだろう。
 ウクライナでNATO軍はロシア軍に圧倒されているが、戦乱を世界へ広げることで戦況を逆転できると考えているのかもしれない。


マドゥロ拉致後、次のアメリカの行動は何か?
               マスコミに載らない海外記事 2026年1月 4日
                     Moon of Alabama 2026年1月3日
 昨夜、アメリカはベネズエラの複数の場所を爆撃した。爆撃は防空システムを狙ったものとみられる。だが標的となったのは、もっぱら行政機関施設で、ウゴ・チャベスの遺体が安置された霊廟もその一つだった
 防空軍の攻撃が失敗に終わったため、米軍特殊部隊はニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人の住居付近にヘリコプターで着陸した。二人は国外に拉致されたとされている。マドゥロ大統領は居住地を頻繁に変更することで知られていた。CIA情報筋が関与していたとニューヨーク・タイムズは報じているアーカイブ)。  
作戦について説明を受けた人物によると、ベネズエラ政府内のCIA情報筋は、ニコラス・マドゥロ大統領が米軍特殊部隊に捕らえられる数日前から直前まで同大統領の位置を監視していたという。
 関係者によると、アメリカ諜報機関は、ベネズエラの情報源から提供された情報に加え、ベネズエラ上空をほぼ常時監視するステルス・ドローン部隊でマドゥロ大統領の位置と動きを監視し、マドゥロ大統領の拘束につながる情報を得たという。

 人間が情報源の主張はもっともらしい。(ステルス・ドローン艦隊はそうではない。)
 だがマドゥロ大統領を24時間体制で守るはずだったボディーガードは一体どこにいたのか? なぜ米軍ヘリコプターは一機も撃墜されなかったのか? これは大失敗か反逆行為かのどちらかだ。軍に発砲を控えるよう命令したのは一体誰なのか
 マドゥロはアメリカに連行され投獄される。今のところ彼は表舞台から姿を消している。
 たが、ベネズエラでは依然チャベス派が支配している。ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領が大統領職を務め、ディオスダド・カベジョ国防相もその職に就いている。政府は厳しい声明を発表した  
この攻撃の狙いは、ベネズエラの戦略的資源、特に石油と鉱物資源を奪取し、国家の政治的独立を強制的に破壊すること以外にない。だが彼らは成功しないだろう。独立から200年以上が経った今も、国民とその正当な政府は、主権と自らの運命を決定する奪うことのできない権利を揺るぎなく守り続けている。ファシスト・オリガルヒと結託して共和制国家を破壊し「政権交代」を強制するため植民地戦争を仕掛けようとする試みは、これまでの試みと同様に失敗するだろう

 彼らは国民に国を守るよう呼びかけた。
 次にアメリカが一体どんな措置を取るつもりなのか疑問に思う。ベネズエラに侵攻する兵力はない。またベネズエラを封鎖しても政権転覆にはつながらない。国内革命が成功する可能性は低い
 アメリカの専門家連中が下着を盗んだ。次は第二段階だ。そして儲けだ。良い計画に思える。
 だが、今のところ第二段階が一体何かは誰も知らないようだ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/01/whats-the-u-s-follow-up-action-after-taking-maduro-out.html