植草一秀氏が掲題の記事(2つ)を載せました。
米国が3日、ベネズエラに軍事侵攻し大統領夫妻を拉致・監禁したことは「法の支配」とは無縁の「力による支配」そのものです。
高市首相は5日の会見で、「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。~ G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」と述べましたが、米国の行動に対しては一切言及しませんでした。
メディアも首相や米国の批判はタブーとでも思っているのか、首相に対して「法の支配と米国の行為との関係をどう見ているのか」を問うことはしませんでした。
高市首相が「米国の行為について何も論評出来ない」のであれば、一国の宰相として失格ですし、メディアも政権の監視役が務まらないのであれば同様に失格です。
高市首相は中国を激怒させたまま、円安起因のインフレ対策や米価高騰の対策などには何も取り組んでいません。国民の困窮や危機感が共有できていないのでしょう。
そして高市政権に迎合しているだけのメディアからは適正な批判が出されていません。
これでは日本はこの先も「泥沼から脱する」ことはできません。
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無能と見なされる論評ナシ
植草一秀の「知られざる真実」 2026年1月 6日
米国によるとこれに対するメディアの対応は現代社会が欺瞞に満ち溢れていることを鮮明に浮かび上がらせる。
自由、人権、民主主義、法の支配とはよく言ったものだ。
主権国家に対して国際法に違反して軍事侵攻して大量の殺戮を実行し、国家元首を拉致・監禁する行為のどこに「法の支配」があるのだろうか。あるのは「法の支配」ではなく「力による支配」だけだ。武力によって領土・権益を拡張する「帝国主義」に他ならない。
財宝を抱える企業に侵入して経営トップを拉致・監禁し、副代表に銃を突き付けて服従を命じる。副代表が命令に服従すれば強奪犯は正当化されるのか。
メディアは「ベネズエラ 米に協力意向」と伝えるが、生命の危険に晒されて発した意向が正当な意向であるわけがない。主権国家に対する武力の行使、武力による威嚇を肯定する視点でなければこうした報道はできない。
米国の横暴は今に始まったことではない。
第二次世界大戦後の世界で傍若無人の横暴を繰り返してきた突出した悪徳国家が米国である。
中国、ロシアを非難する向きが多いが、主権国家に対する侵略と武力行使で米国に匹敵する存在はない。
「力による現状変更は許されない」と叫んできた人々はいま何をしているのか。
唯一、小野寺政調会長だけが「力による現状変更は許されない」とのメッセージを発した。
高市首相は何も言わない。昨日の会見で述べたのは
「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。
日本政府はこうした一貫した我が国の立場に基づいてG7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」と述べて、米国の行動に対して一切言及しない。
そもそも「法の支配」と米国の行為との関係をどう見ているのか。メディアはなぜこの点を問わない。
一国がどのような政治体制を採るかはその国に委ねられている。
戦後の世界秩序の根幹は「武力の不行使」と「内政不干渉」である。政治体制については「民族自決の原則」が尊重されている。
さまざまな政治体制が存在し、それぞれの個人はそれぞれの理想を描く。しかし、主権国家に対して他国が特定の政治体制を強要することはできない。
中国の周恩来首相とインドのネルー首相が1954年4月29日にチベット問題で協議して両国関係の5原則で合意した。5原則とは
「領土・主権の相互尊重」「相互不可侵」「内政不干渉」「平等互恵」「平和共存」
これらが冷戦下の国際社会において第三世界の連帯の基礎となった。アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で採択された「平和十原則」にも影響を与え、現代でも外交の基本原則として尊重されている。
1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約にも明記されている。
「平和共存」のための5原則である。
米国の行為は「領土・主権の相互尊重」、「相互不可侵」、「内政不干渉」に明白に反する。
高市首相は「力による現状変更」を認めるということか。
日本政府は「一つの中国」と「台湾の中国帰属」を認めている。
仮に中国が力で台湾の統一を実行する場合には、これを認めるという立場であるのか。
米国の「力による現状変更」は認めるが、中国の「力による現状変更」は認めないというロジックは成り立たない。
高市首相は日本政府を代表して米国の行為に対する見解を表明するべきだ。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4300号
「平和共存から新帝国主義へ」 でご高読下さい。
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(後 略)
米国の侵略論評できない首相
植草一秀の「知られざる真実」 2026年1月 5日
2026年に日本の主権者は自分の頭でものを考える習慣を身に付けるべきだ。
米国がベネズエラに軍事侵攻してベネズエラの大統領夫妻を拘束。身柄を米国のニューヨークに拉致した。
新聞が大きく報じたが取り扱いに大きな落差がある。通常の記事並みの取り扱いをした新聞社は米国の支配下にある社であると言える。
同じことをロシアが実行したらメディアはどう取り扱うか。同じことを中国が実行したらメディアはどう取り扱うか。
高市首相は1月5日の会見で次のように述べた。
「邦人の安全確保を最優先としつつ、関係国と緊密に連携しつつ対応にあたっている」
「ベネズエラについては、これまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきた」
「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。
日本政府はこうした一貫した我が国の立場に基づいてG7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」
米国の行為について何も論評していない。一国の宰相として失格である。
「自由・民主主義・法の支配」を強調するのはいいが、米国の行為は「法の支配」の観点から見てどうなのか。首相としての見解を述べる必要がある。何も語ることができないなら、直ちに首相を辞任すべきだ。
重大な国際問題が発生したときに確固たる見解を持つことができない。見解を堂々と述べることができない。それで首相が務まるわけがない。同種の行為をロシアや中国が実行した場合にも同じ姿勢を貫くのか。この点をはっきりさせるべきだ。
他国に軍事侵攻して国家元首を拉致することを高市首相がどのように評価するのかを明らかにする必要がある。
私たちが気付くべきことは、この状況に対してメディアが高市首相を問い詰めないこと。
「御用」報道しか行わないなら「報道機関」を名乗るのをやめるべきだ。
「御用機関」であることを明らかにすることがせめてもの市民に対する誠意である。
問題は、こうした状況について主権者である国民一人一人が自分の頭でものを考えて、自分独自の判断を持つこと。
高市首相が「台湾有事で存立危機事態」と述べたのは中国による台湾統一の行動に対して日本が米国とともに中国と戦うという方針の表明だった。
その背後にあるのは中国による台湾統一を許さないという判断なのではないのか。
産経新聞は関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)が1月5日に大阪市内で開かれた会合で、台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁について
「(大阪・関西)万博中にあのコメントがあったら(と思うと)、私はぞっとした」
と述べたことを報じた。https://x.gd/tPiUl
記事は松本会長について「中国当局に人脈を持つ松本氏は〝知中派〟として知られる。」
と表現。〝媚中派〟という言葉が類推されるように〝知中派〟という言葉を用いたのだと推察される。
記事は次の一文で締めくくられている。
「高市首相は国会で昨年11月7日、中国が武力侵攻する台湾有事をめぐり、集団的自衛権の行使ができる「存立危機事態」に該当する可能性があると表明していた。」
産経新聞の悪質さが鮮明に浮かび上がる。
台湾有事を「中国が武力侵攻する」と定義する不正確さを看過できない。
台湾独立をめぐる中国と台湾の武力衝突等の事態を「台湾有事」と呼ぶのであって、「台湾有事」を「中国が武力侵攻する」と表現するのは不正確な「偏向表現」である。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4299号
「御用報道で洗脳される国民」 でご高読下さい。
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。