2026年6月25日木曜日

25- ホルムズ開閉繰り返しで~油井を破壊/イスラエルがレバノン攻撃を継続~

「田中宇の国際ニュース解説」の記事:「ホルムズ開閉繰り返しで中東の油井を破壊する?」と、「櫻井ジャーナル」の記事:「イスラエルがレバノン攻撃を継続、イラン革命防衛隊はホルムズ海峡封鎖を宣言」を紹介します。

「田中宇の国際ニュース解説」の記事は、米国とイスラエルは今後定期的(断続的)にイランに攻撃を加えて、イランに頻繁にホルムズ海峡の閉鎖と開放を繰り返させることで、その都度採油を停止させ それによって油田地層を変化・変質させて最終的にイランの油田からの原油の採取が出来なくなることを狙う筈というものです。
 そうすれば米国・イスラエルが願う〝イラン滅亡″という目的は達成できますが、それによって世界中が原油入手困難の状態に陥ることが定常化します。この先一体世界の経済がどうなるのか予想もつきません。
 まさにこれ以上はない米国(とイスラエル)の独善性の発露でこんなことが許されていい筈がありません。

 一方「櫻井ジャーナル」の記事はそういう視点からではありませんが、現在もネタニヤフはレバノン南部を占領したまま攻撃を継続しているので、いつでも対イラン戦争を再開できる状況にあると述べます。
 トランプは11月に中間選挙があるので簡単には戦争を再開しないと思いますが、〝明日にもイラン攻撃を再開する″という「脅し」は止めよとしません。いずれにしてもガラス細工のように壊れやすい停戦合意です。
 記事はイスラエルの歴史の要点を記述しますが、イスラエルの身勝手さと何ともねじれた考え方は、普通の人間には到底理解できません。
 それなのに、そういう民族の居住地がキリストの再来の地になる、というのがハルマゲドン(新約聖書『ヨハネの黙示録』)の示すところです。
 信仰の自由は認めざるを得ないものの、そこにどんな正義があるのか納得もできないし許容することも出来ません。
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ホルムズ開閉繰り返しで中東の油井を破壊する?
                 田中宇の国際ニュース解説 2026年6月15日
米国とイランが6月15日、停戦と、ホルムズ海峡の自由航行再開、イランの核廃棄交渉の再開などに合意した。6月19日に覚書を締結し、2か月かけて核開発の廃絶を交渉する話になっている。
2月末の開戦とホルムズ閉鎖開始から4か月が過ぎ、サウジアラビアなどアラブ産油国は、輸出できない分の石油を貯める備蓄タンク群が満杯になっている。Pakistan Says US-Iran Deal 'Has Been Reached'

海峡閉鎖があと1か月続くと、アラブ産油国は油田(油井)を閉鎖して産油を止めざるを得なくなる。いったん油井を閉鎖すると、地下の石油ガスを含む地層の圧力状態が変化し、再び石油を出すのが大変になる再開に数か月を要し、産油量が減りうる
アラブ諸国は、イランと停戦合意してホルムズを再開してくれ(大金を払うから)とトランプに強く懇願し、トランプはイランと合意した。計画通りのホルムズ恒久閉鎖

イランの要求で、合意した停戦の範囲には、イスラエルとヒズボラ(イラン傘下の民兵団)が戦っているレバノンも含まれている。イスラエルは停戦を拒否してレバノンを攻撃し続けている
トランプはここ数日、イスラエルに対し、イランと停戦合意できないからレバノン攻撃をやめろと加圧していた。しかしイスラエルは攻撃を断続的に続けている
イランは怒っているが、トランプからイスラエルへの今後の加圧に期待して、とりあえず停戦に同意したようだ。ずっと続くイラン戦争

以下常識論)トランプは、ホルムズ閉鎖でエネルギー危機に直面している世界経済を助けるため、イランと交渉してホルムズ再開にこぎつけた。だがイスラエルは自国の安保を優先し、市民殺戮の人道犯罪的なヒズボラ潰しを続けている。これまで親密だったトランプとイスラエルの関係が(表向き)悪化している
イスラエルの傀儡だったトランプが、世界経済を優先して、イスラエル離れに転じている。イスラエルが孤立して弱体化し、イランが巻き返す。トランプは何とか停戦したもののイラン戦争が失敗だったのは明らかで、中間選挙で惨敗する。(常識論ここまで
・・・イスラエルとトランプを敵視してきた英国系(リベラル派やマスコミ)とかイスラム主義者たちが、そう期待している。Trump says agreement with Iran approved by all parties involved, including Israel, cancels strikes

私が見るところ、イスラエルは以前に増してどんどん米国(覇権の源泉である諜報界)を牛耳っている。米議会では、軍事と諜報の2面から、イスラエルが米国の機密や最高技術を自由にとっていける法案が審議され、可決に向かっている。
米イスラエルの軍事一体化は「2027年度防衛権限法案」(NDAA)の224条に盛り込まれ、米イスラエル諜報共有義務化は「2027年度諜報権限法案」(IAA)の622条に明記されている。
イスラエルはこれまで、裏からこっそり米国の軍事や諜報(や金融インサイダー)の情報と技術を盗んできたが、今後は合法的に大っぴらにやれる。米政府は、法的な義務として、イスラエルに軍事と諜報の最重要情報を出さねばならなくなる。Senate wants to force US to share sensitive intel with Israel

米政府内には、諜報界の監督者として諜報長官(DNI)がいるが、トランプはDNIの権限を縮小しようとしている。まっとうなDNIは、間もなく辞めるトルシ・ギャバードで終わる。
諜報界を握るイスラエルは、米政府に監視されず自由にやれるようになる。世界を運営する米諜報界は、すでに米国でなくイスラエルの機関になっているTrump directs interim US intelligence chief Bill Pulte to downsize agency

この新体制を進めているのはトランプ政権だ。トランプはイスラエル離れしていない。そんなことはできない。トランプはすでに、諜報界を支配するイスラエルに縛られている。
イスラエルは、米露(トランプとプーチン)を傘下に入れ、習近平の中共も脅されて自主的に覇権を放棄して傘下に入っている。米露資源同盟の台頭

トランプがイスラエルを見放してイランが勝つ。ホルムズが再開され、アラブとイランの中東産油国はエネルギー大国として復活する。 ・・・人々が現状をそのように見ているのなら、それはトランプとイスラエルが意図的に演じ、人々に軽信させているからだ。
米諜報界は、マスコミやネット言論を操作して人々を洗脳できる。トランプの共和党は選挙で負けない。野党の民主党は、左翼やリベラル全体主義者など過激派に握られ、ふつうの人々からの支持を失うように設定されているStop Destroying Civilization!米イスラエルが対立する演技

現実は、イスラエルがトランプを傀儡化し続ける。イスラエルは、中東のライバルであるサウジとイランが産油国として復活することを望まない
まず今回、無事にホルムズ再開に至るかどうかわからない。イランが濃縮したウランを米国に引き渡すのかどうかで停戦後の交渉が難航し、イランがホルムズの航行を制限するかもしれない。
いったん自由航行が再開されても、数か月とか1年以内ぐらいにイスラエルとイランが再び戦闘し、米国もそれに巻き込まれ、ホルムズが再閉鎖されうる。
アラブとイランの各地の油井が閉鎖と再開の繰り返しを余儀なくされると、地下の地層の状況が悪化し、石油ガスが出にくくなる傾向が増すTit-for-tat under ceasefire: Experts warn of new normal in Mideast conflict

アラブとイランは、石油ガスを出せなくなるほど資金力が失われ、相対的なイスラエルの優勢が増し、中東のイスラエル(極悪)覇権が確立していく。
中東の石油ガスの大産出地域でなくなると、世界の石油ガス大国は米国とロシアになる。すでに米露はイスラエルの傘下だ。
世界のエネルギー市場で中東がへこんで米露が主導役になると、世界的なイスラエル覇権(絶望体制)が安泰になる。
イスラエル敵視の英欧はエネルギーを買えなくなり、衰退が加速する。中国は、石油ガスの購入価格が上がって経済難が増す。中露関係は、中共優勢からロシア優勢に転換しつつある
BRICS覇権は失われている。金相場は抑止されたままになる。日本は高市化でイスラエル傘下に引き込まれ、意外に好調だ(絶望体制)。China's Oil Imports Plummet To Eight-Year Low米露イスラエル覇権の形成

イスラエルは、ホルムズ海峡の問題が解決することを望まず阻止する。イスラエルはむしろ、トランプとイランを動かして和解と対立を繰り返させ、ホルムズを開けたり閉めたりして、アラブとイランの油井が何度も閉鎖されて破壊されていくように仕向ける
イスラエルは、イランが切望するレバノン停戦を拒否し続けており、好きな時にイランとの戦争とホルムズ閉鎖を簡単に再演できるBackroom Detente: A Curious Lack Of Iranian Strikes On UAE, While Others Get Hit

今回のホルムズ再開は、アラブやイランやイスラエル敵視者(英国系)にとって「ぬか喜び」になる。それだけでなく、いずれ引き起こされる対立再開との抱き合わせで中東の油井の破壊が進み、喜びは絶望に変わる。Netanyahu’s party says he’ll run again despite Trump skepticism

好戦的な革命防衛隊が握るようになったイランは、イスラエルの扇動に乗って戦争を繰り返してくれる「都合の良い敵」だ。
今回の和平は、トランプの誘いに乗って、イラン政権内の現実派(権力劣勢組)が、好戦派の防衛隊(優勢組)の許可を得て交渉に出てきている。
和平がいずれ破綻して対立や戦争に戻ると、イラン政権上位の好戦派は、もう米国と交渉しても無駄だと見切りをつけ、下位の現実派に交渉を許さなくなる。ホルムズ海峡は閉まったままになり、アラブやイランの油井の破壊が進行するNeither Israel nor Iran can deliver a knockout, and Trump knows it

今回の米イラン和解でホルムズの自由航行が恒久的に再開され、二度と閉まらないなら、私の今回の予測は大外れになる。だが、イスラエルが米諜報界を支配する体制が米国の正式な法律になっていく流れの中で、イスラエルが好まないホルムズ恒久再開が具現化するとは思えない


イスラエルがレバノン攻撃を継続、イラン革命防衛隊はホルムズ海峡封鎖を宣言
                         櫻井ジャーナル 2026.06.22
 イラン革命防衛隊(IRGC)が船舶の航行許可証の発行を当面停止、ホルムズ海峡は閉鎖されたと伝えられている。イランとアメリカは6月18日に遠隔で合意文書(MoU)に署名したが、イスラエルがレバノンに対する攻撃をやめず、軍を撤退させてもいないからだ。
 アメリカとイスラエルは2月28日にイランを騙し討ち攻撃し、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む指導部を一気に暗殺して始まった戦争でアメリカとイスラエルは事実上、負けた。攻撃用のミサイルやドローン、そして防衛用ミサイルが枯渇してしまったのだ。その間にイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺を攻撃し、アメリカ軍が西アジアに駐留している基地、例えばカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが破壊されている
 アメリカとイスラエルはこの奇襲攻撃でイランの体制を転覆、親イスラエル体制を樹立するつもりだったのだろうが、逆に敗北、ホルムズ海峡封鎖という事態になり、アメリカだけでなく世界の経済が危機的な状態になった
 少なからぬ人が指摘していることで、本ブログでも書いたことだが、アメリカが保有している戦略石油備蓄(SPR)の減少が激しいニューズウィーク誌はEIA(エネルギー情報局)が公表した統計に基づき、5月中旬にSPRを含む総貯蔵量はほぼ1年ぶりの低水準まで落ち込んだと指摘5月下旬には3億7200万バレル、6月12日までの週には3億4025万まで減少していた。また夏には東アジアや欧州諸国で「在庫が底をつく」状態となるため、アメリカからの輸入需要がさらに高まるともしている。

 SPRの地下貯蔵庫の石油レベルが貯蔵容量の約20%を切ると貯蔵庫の構造的健全性が損なわれる可能性があると言われているが、SPRの設計貯蔵容量約7億2,700万バレルであり、1億4500万バレルが危機ラインだと言える。6月12日までの週に3億4025万バレルだったので、余裕は約1億9500万バレルということになる。アメリカでは1日に2000万バレルを消費するとされているので、10日弱。SPRだけを消費すると仮定すると10日分にもならない。
 それだけ逼迫しているわけで、だからこそドナルド・トランプ米大統領はイランに「降伏」したのだが、これはホルムズ海峡の航行を復活させることが目的だったと推測されている。
 イスラエルはイギリスを支配する私的権力がサウジアラビアの後に作り上げた国であり、イギリスもアメリカも「航空母艦」として使っている。イスラエルを運営しているカルト集団もいるが、この集団が主人であるわけではない。アメリカやイギリスがその気になればイスラエルは存在しえない

 パレスチナにイスラエルを「建国」しようというシオニストが生まれたのはエリザベス1世の時代(1593年から1603年)のイングランド。当時、スペインやポルトガルは南アメリカを侵略し始め、アステカ王国やインカ帝国を倒して金、銀、宝石などを略奪、先住民を酷使して鉱山開発も行った。
 そうした鉱山の象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。この銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。
 そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイングランド。エリザベス1世が雇った海賊にはジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーがいる。人身売買にも手を出してた海賊にはナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020)
 こうしたイングランドの支配集団から「ブリティッシュ・イスラエル主義」が出現、これがシオニズムになる
 最初のキリスト教シオニストは16世紀に生きた司祭のギヨーム・ポステルだとも言われている。彼はフランス国王に聖地の再征服、ローマ教皇制の腐敗の終焉、そして黄金のモスクの跡地に第三神殿の再建を求めた。それが実現すれば、すべての隠された事柄が明らかになり、世界にはカバラという一つの宗教だけが存在するようになるというのだ。
 当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった

 19世紀のイギリスには世界侵略を推進する政治家がいた。反ロシアで有名だったヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)だ。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで彼は首相を務めている。ビクトリア女王に対し、アヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継ぐ。
 アングロ・サクソンが世界を征服するべきだと主張したセシル・ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした。
 ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会した後、『信仰告白』を書いたが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張し、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」と主張、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」としている。
 キャロル・クィグリーによると、1901年まで「選民秘密協会」を支配していたのはローズ。彼以降はアルフレッド・ミルナーを中心に活動した。ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を創設した人物としても有名で、「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」も彼を中心に組織されたという。アメリカのCFR(外交問題評議会)はRIIAの姉妹組織だ。
 アメリカ、イギリス、イスラエルはヨーロッパの属国を率いてロシアに戦争を仕掛け、西アジア全域の支配を目指し、アルバニアやアゼルバイジャンの政府はイスラエルに乗っ取られ、キプロスの半分はイスラエルの植民地と化し、アルゼンチンもイスラエルに支配されつつある。

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は根が深く、和平の実現は至難の業。アメリカやイギリスの私的権力が彼らの長期戦略を放棄しない限り、無理だ。アメリカやオーストラリアの先住民が大量虐殺されたのも、そうした長期戦略に基づいている