2017年7月28日金曜日

28- 安倍首相の「1月20日に初めて知った」は国民を愚弄するもの

「私の友人が関わることですから、国民の皆さまから疑惑の目を向けられるのは、もっともなことだと思います」
 そんな首相の殊勝なセリフで始まった24、25日の衆参予算委でしたが、そこに登場したのは「今年の1月20日まで、加計学園が今治市に獣医学部を新設したいという意志を持っていたのを知らなかった」という驚くべき発言でした。
 それは到底信じられない話で、これまで安倍首相が語ってきたこととも矛盾するものでしたが、ナント「これまでの説明は間違っていて今回の発言が真実だ(要旨)」と語って譲りませんでした。
 重大な訂正を行う場合には誰もが納得できる理由がなければならない筈なのに、ただ「それは間違いでした」だけで済ませようという訳です。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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安倍首相「1月20日知った」のペテン答弁は国民への愚弄
日刊ゲンダイ 2017年7月27日
 閉会中審査。野党側は24日の衆院予算委で、安倍首相が加計学園の獣医学部新設計画を「1月20日の国家戦略特区諮問会議で初めて承知した」とした答弁の真偽を追及。安倍首相は「獣医学部新設の提案者は今治市であり、加計学園ではない。事業主体が誰か、今治市から説明はなかった」とシラを切っていたが、国民を愚弄するにもホドがある。

 今治市は2007年から計15回にわたって構造改革特区で獣医学部新設を要望してきた。当時の「提案申請説明資料」には、〈当該規制の特例措置の適用を受けようとする者の名称〉として〈学校法人加計学園〉とハッキリ明示されている。予算委で、その点を指摘された安倍首相は「知り得る立場」だったことは認めたものの、「数十ある申請をいちいち全部説明を受けているわけでもない。実際には今治市の提案について全く認識をしていなかった」と言っていた。加計どころか、今治市の獣医学部新設提案についても知らなかった、とスッとぼけたワケだが、これは大ウソだ。
 安倍首相は3月28日の参院決算委で加計問題を問われた際、〈今治市の獣医学部誘致は、平成19年、これ福田政権ですね、また構造改革特区に最初の提案があって以来(略)福田政権、麻生政権、自民党政権下では対応不可とされていました。これが民主党政権下で、平成22年度中を目途に速やかに検討と、これ前向きに格上げされたことを指摘しておきたい〉などと、過去の細かな経緯を把握していたことを明かしていたからだ。

■今治市の提案書はずっと「加計学園」
 構造改革特区で「今治・加計」の名前は出ていたが、国家戦略特区は別モノ――。安倍首相はこう言いたいようだが、苦し紛れの言い訳だ。実際、今治市の議会議事録(16年6月定例会)には、菅良二市長のこんな発言が出てくる。

〈昨年、構造改革特区と国家戦略特区の提案が一本化されたため、6月に国家戦略特区として、国際水準の獣医学教育特区の提案を愛媛県と共同で行い(略)本年1月、正式に国家戦略特区の指定と区域方針が決定された〉〈国家戦略特区に関しましては、安倍総理の強いリーダーシップにより進められており、今治市が指定を受けたことは非常に意義がある〉
 つまり、今治市にとって国家戦略特区は、それまでの構造改革特区と「一本化」して“衣替え”した程度の認識であって、構造改革特区だろうが国家戦略特区だろうが、事業主体は変わらず「加計学園」と考えるのが常識的な感覚だ。しかも、特区指定を受けた首長が議会で、背後に安倍首相の強いリーダーシップがあった――と認めていたワケで、どんなに安倍首相が「加計も今治も知らん」と言ったところで、信じる国民は誰もいない

「そもそも国家戦略特区は安倍政権の地方創生の看板政策だったはず。その重要政策について、特区諮問会議の議長を務める総理大臣が、指定ギリギリまで『何も知らなかった』わけがないでしょう。仮に本当だとすれば、看板政策は何だったのかということです」(政治評論家の山口朝雄氏)
 ここまでウソを重ねると、国民をよっぽどバカにしているのか、虚言癖かのどちらか。もうウンザリだ。