2017年7月26日水曜日

加計氏から供応 安倍首相に大臣規範抵触疑惑

 24・25日の閉会中審査は、予想された通り「記録がない」「記憶がない」「出所不明の怪文書」などのもう聞き飽きた弁解の羅列に終わりました。国民に納得してもらう筈ではなかったのでしょうか。
 その中でも安倍首相が新たに、「家計学園が今治市に獣医学部を新設する計画を持っていると知ったのは1月20日」と答弁したのには驚かされました。内閣府も、文科省も、獣医師会も、関係者は全て知っていたのに、加計氏と特別に親交がある安倍首相だけが1月20日まで知らなかったなどということはあり得ず、それを国民に理解させるなどは不可能です。
 ところでその日取りは政府関係者が集まって決めたものとも伝えられていますが、なぜそんな非常識な時期に設定するしかなかったのでしょうか。それは、安倍首相と加計理事長は獣医学部新設に関しては認可権者と申請者の関係にあるのに、頻繁に会食やゴルフを繰り返しその費用をお互におごり合ったとなると、加計氏が負担した分は「供応」とみなされるからで、そうした関係にあることを安倍首相が知らなかったとするためにそうするしかなかったということです。

 週刊文春4月27日号によると、加計氏は 「(安倍に)年間1億円ぐらい出しているんだよ。あっちに遊びに行こう、メシを食おうってさ」と豪語し、首相は、「加計さんは俺のビッグスポンサーなんだよ。学校経営者では一番の資産家だ」と語ったと伝えられています。話半分としても驚くべき金額です。

 ちなみに現代ビジネスは目下「学校経営を家業にした一族」として加計一族の物語を連載しているので、そのタイトルとURLを紹介ます(第三部は27日に掲載される予定)。
第一部 学園創立者・加計勉という男  加計学園とは何者か 特別長編レポート「学校経営を家業にした一族」(現代ビジネス 2017年7月17日)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52291 

シリーズ【加計学園とは何者か】第 加計学園「重要機関」の顧問に名前を連ねていた、あの大物政治家 (現代ビジネス 2017年7月24日)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52310 

 日刊ゲンダイが「加計氏から供応 安倍首相に “大臣規範抵触”・・・」と「追及にシドロモドロ 安倍首相“1月20日”虚偽の決定的証拠」の2本の記事を掲げましたので紹介します。
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加計氏から供応 安倍首相に“大臣規範抵触”ゴマカシ疑惑
日刊ゲンダイ 2017年7月25日
 安倍首相が学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を知ったのは「今年1月20日」 信じがたい答弁が飛び出した24日の閉会中審査。しかし、内閣府も、文科省も、獣医師会も、関係者は全て加計学園の獣医学部新設計画を知っていたのに、安倍首相だけが1月20日まで知らなかったなどということがあるのか。安倍首相が釈明すればするほど「加計ありき」の疑惑は深まるばかりである。やっぱり、加計孝太郎理事長本人に国会で説明してもらうしかないのではないか。

 第2次安倍政権発足以降、安倍首相は加計理事長と14回にわたり、ゴルフや食事を共にしている。特に獣医学部新設が「加計ありき」で進められた16年夏以降、安倍首相は計6回も加計理事長と会っている。30年来の“腹心の友”である加計理事長とこれほど頻繁に会いながら、獣医学部新設の話が全く出なかったのは、どう考えても不自然である。日刊ゲンダイは15年6月以降の安倍首相と加計理事長の接触記録と、獣医学部新設を巡る動きを別表(省略)にまとめた。いかに、2人が頻繁に会っていたかが、よく分かるはずだ。

 野党から「答弁が偽りなら、責任を取って辞任するか」と繰り返し問われると、「知っていようがいまいが、私が便宜を図ることはない」とムキになって否定していたから、やはり後ろめたいことがあるのだろう。

■大臣規範抵触の恐れあり
 見逃せないのは、安倍首相が、利害関係者である加計理事長と会食やゴルフをするだけでなく、供応まで受けていたことだ。本人が「先方が(代金を)支払うこともある」と認めている。「加計氏からの供応は大臣規範に抵触する可能性が高い」と指摘するのは、神戸学院大の上脇博之教授(憲法)だ。
 大臣規範は〈国務大臣等は、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行い、(中略)廉潔性を保持することとする〉と規定。関係業者から供応接待を受けることを禁じている。09年に平田耕一財務副大臣(当時)が、規範抵触で辞任している。
「安倍首相は、加計氏が学校法人の理事長であることを知らないはずがありません。『関係業者』であることは明白です。会食の回数が多いこともあり、相当な金額の供応を受けた可能性もある。大臣規範に抵触する恐れがあったからこそ、1月20日に初めて知ったとゴマカしたのかもしれません。いくら分の供応を受けたのか明らかにすべきでしょう」(上脇博之教授)

「週刊文春」4月27日号によると、加計理事長はかつて「(安倍首相に)年間1億くらい出しているんだよ。あっちに遊びに行こう、飯を食べに行こうってさ」と周囲に話していたという。2人は14回も会いながら、本当に獣医学部について一言も話さなかったのか。加計理事長を国会に呼んで一つ一つ説明してもらうしかない。


追及にシドロモドロ 安倍首相“1月20日”虚偽の決定的証拠
日刊ゲンダイ 2017年7月25日
 加計疑惑を追及する国会の閉会中審査2日目。参院に舞台を移した25日午前中の審議で、安倍首相の決定的なウソが明らかになった。安倍首相は完全にアウトだ。

 24日までの殊勝な態度が崩れ、安倍首相がシドロモドロの答弁で論理破綻をきたしたのは、民進党の蓮舫代表の質問の時だった。
 24日、安倍首相は、加計学園が国家戦略特区の獣医学部新設に関わっていることを知ったのは、今治市とともに行った申請が決定された「今年1月20日」だったと答弁していた。しかし、これについて、「過去の答弁との矛盾がある」と蓮舫代表が問いただしたのだ。

 実際、今年6月16日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂議員が質問した際、安倍首相は「構造改革特区で申請されたことについては承知していた。その後に、私が議長を務める国家戦略特区に申請するとすれば、私の知り得るところになる」と答えている。また、6月5日の参院決算委員会で民進党の平山佐知子議員の質問の際には、「国家戦略特区になって今治市が申請した時に知った」という趣旨の答弁をしている。つまり「1月20日」よりずっと前から知っていたことになるのである。

 ここを突かれると、安倍首相は「(あの時は)急な質問だったので混同した」と驚くべき答弁をし、否定したのだが、平山議員は質問通告もし、文書も提出している。「急な質問だったから」という言い逃れは通用しない。

 さらに、決定的だったのは、蓮舫代表の後の民進党・桜井充議員の質問。福島瑞穂議員が「首相は加計学園が今治市に獣医学部を新設したい意向を知ったのはいつか」と主語を「首相」とし、「加計」の文字をハッキリ書いた質問主意書を出していたことも追及。これに対し政府は、「第2次安倍政権の2013年、14年、15年の構造改革特区申請に書かれている」と答えていて、これは閣議決定されている。2013年には、安倍首相は加計の計画を知っていたという動かぬ証拠()である。
 これを突き付けられると安倍首相は、「過去の事実をお答えに代える場合もある」と、自分が知っていたのではなく、「政府が把握していた事実」というすり替えで逃れようとしたが、どう考えてもムリ筋だ。
 1月20日まで「加計の計画は一切知らなかった」という安倍首相の立場は完全に崩れ去った。
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 ※ 以下事務局追記分
加計学園の獣医学部新設に関する質問主意書
  平成二十九年四月十
福島みずほ
一 安倍首相は、学校法人加計学園の加計孝太郎理事長が今治市に獣医学部を作りたいと考えていることを二〇一六年十一月九日以前に知っていたか。知っていたのであれば、いつから知っていたのか。
(後 略)
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参議院議員福島みずほ君提出加計学園の獣医学部新設に関する質問に対する答弁書
  平成二十九年四月二十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生 太郎
一について
 獣医学部の新設については、平成十九年十一月の愛媛県今治市等からの構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第三条第三項に規定されている提案に係る説明資料において、学校法人加計学園がその候補となる者である旨記載されており、こうした提案を受けて、安倍内閣総理大臣を本部長とする構造改革特別区域推進本部において、平成二十五年十月十一日、平成二十六年五月十九日及び平成二十七年八月二十五日に構造改革特別区域の提案等に対する政府の対応方針を決定するとともに、平成二十七年六月三十日に「「日本再興戦略」改訂二一五」を閣議決定したところである。
(後 略)