2017年7月29日土曜日

蓮舫代表が辞任 枝野と前原が争う民進党代表選の不毛

 民進党の蓮舫代表は野田幹事長引責辞任後も続投する意欲を見せていましたが、肝心の幹事長の引き受け手が見つからないために、ついに代表の座を投げ出さざるを得ませんでした。最初に岡田前代表に幹事長就任を依頼して断られたと伝えられましたが、実際には岡田氏は何も相談を受けていなかったようです。
 いずれ蓮舫氏は辞任すべきであったにしても、国民の支持を大幅に失った安倍政権をさらに追い詰めるべきこのタイミングで、民進党代表選の空騒ぎをしばらく見せつけられるのは情けないことです。

 その代表選に早くも枝野氏と前原氏が名乗りをあげたということです。メディアは9月の代表選はそれで決まったかのような扱いをしていますが、どちらが選ばれるにせよ、民進党がさらに国民から見放され、没落の度合いを深めるのは明らかです。
 それにしてもこれほど不毛な争いもなく、これほど空気が読めなくても議員が務まるのかと唖然とさせられます。一体彼らの『再登場』を望む国民がどれほどいると思っているのでしょうか。国民は彼らが政権の座に就いた時の振る舞いを決して忘れはしません。

 枝野氏は、民主党政権を築いた最大の功績者である小沢一郎氏の引きずり下ろす急先鋒を務めましたが、その結果出来た菅政権の内閣官房長時代に一体何をやったのでしょうか。彼は福島原発事故で放出される放射能について「直ちには健康に影響はない」をひたすら繰り返しました。そう述べる彼の姿がテレビに映るたびに民心は民主党政権を離れていきました。
 被爆量20mSv/年以上を避難地域に指定し、それ以下の地域から逃れた人たちを「自主避難者」と区別する基準は今日もなお生きていますが、それを決めたのも彼らでした。
 チェルノブイリ原発事故に関しては既に1991年に「避難の権利(年間1mSv以下では居住可能、1~5mSvは各人が判断、5mSv以上は強制避難=補償付き)」が確立されていたにも係らず、なんという非人道的な仕切りをしたのでしょうか。到底許されません。

 前原氏は最近離党した長島昭久氏と並ぶ超右派であり、日本会議のメンバーです。当然憲法9条改憲論者で、アーミテージなどのジャパン・ハンドラーズから重宝され、彼らが来日すると長島氏とともミーティングに呼ばれて日本側の報告者を務めたりしています。
 当時群馬県で進められていた「八ッ場ダム」の建設を中止することが、民主党が政権奪取時に掲げた重要な公約でした。政権ができると前原氏は担当の国交相として現地に乗り込みましたが、現地の猛烈な反発に逢うと説得することができずにスゴスゴと引き下がり、その件はそれっきりうやむやになりました。「口先男」と呼ばれる所以です。
 尖閣諸島で中国漁船が日本の巡視船と衝突した際に中国船の船長を逮捕したのも前原外相のときでした。動画で見る限り巡視船が漁船の進路を妨害したために衝突したのですが、船長を逮捕すればどんなことになるのかの配慮は全くなかったようです。この問題は当時の仙谷官房長官によって政治的に解決されましたが、前後の見境なく過激なことをしてしまうのは前原氏の「小児病的対応」というしかありません。

 そんな人間が代表選のたびに登場すること自体が、民進党が国民から全く信用されない原因になっているという自覚は彼らにはないようです。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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ついに空中分解 蓮舫代表を引きずり降ろした民進のお粗末
日刊ゲンダイ 2017年7月28日
 党勢衰退に歯止めがかからない民進党が、ついに空中分解だ。都議選惨敗による野田幹事長の引責辞任を受け、新執行部人事を練っていたはずの蓮舫代表が27日、辞意を電撃発表した。疑惑まみれで弱り切った安倍政権を追い込んでいるこのタイミングで、野党第1党の党首が辞めるなんて間が悪すぎる。

「野田幹事長の辞任で都議選の責任問題にケリをつけ、蓮舫代表自身は続投する気マンマンでした。ところが、後任の幹事長の引き受け手が見つからなかった。野党共闘をはじめ、スタンスの定まらない蓮舫代表に対する党内の風当たりは強く、岡田前代表には断られ、枝野元官房長官、前原元外相、安住代表代行に袖にされた。玄葉元外相ならと踏んだようなのですが、海外にいたとかで意思疎通が取れなかったようです」(民進党関係者)

■敵失を生かすどころか塩を送ってどうする
 蓮舫代表は会見で「遠心力を働かせてしまった。求心力にどう持っていけるか考えた結果、引くという判断につながった」などと説明したが、幹事長が決まらなければ、他の人事も進まない。事実上、引きずり降ろされたようなものなのだ。都議選の総括で6回開いたブロック会議は大荒れで、両院議員懇談会では激しい突き上げを食らった。

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は言う。
「政権転落の戦犯である野田元首相を幹事長に据えた時点で、蓮舫代表の限界は見えていました。蓮舫執行部が立ち上がった当初から、党内には不信感が渦巻き、蓮舫降ろしが始まるのは時間の問題だった。野党共闘、原発政策、支援団体の連合との距離感も定まらず、あっちにフラフラこっちにフラフラしたのもまずかった。選挙に強いという一点で担がれたのに、補選は2連敗。都議選も敗北。党内の不満が爆発する決定打になってしまった。とはいえ、安倍政権をまさに追い詰めようという時に辞める方も辞めさせた方もお粗末ですよ」

 敵失をモノにするどころか、塩を送る体たらく。後任代表には枝野氏、前原氏、玉木雄一郎幹事長代理らの名前が挙がっているが、こんなメンツが代表じゃ民進党自体がもたない。いっそ所属議員が総辞職して、イチから出直した方がいい。