3日、都議選の結果について聞かれた安倍首相は「大変厳しい審判が下された。自民党に対する厳しい叱咤と受け止め、深く反省しなければならない」「安倍政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろう。政権を奪還したときの初心に立ち返って全力を傾けていく」「国政には一時の停滞も許されない。身を引き締め、謙虚に丁寧に、前に進めなければならない」と述べましたが、具体的に何をどうするかには言及していません。勿論後から出てくるわけでもありません。
「謙虚に丁寧に」進めるという舌の根もまだ乾かないうちに、国民環視の中で加計問題についての閉会中審査から逃れる算段をしました。安倍首相はあらゆる場面において「その場がしのげればいい」のであって、一応殊勝に反省の弁を述べておけばあとは時間とともに支持率が回復する、という考え方なのでしょう。
しかし国民の怒りは激しくて、別掲記事のとおり読売新聞系の日本テレビの世論調査でも内閣支持率は32%と前月よりも8ポイントも下落しました。従来読売新聞・日本テレビの世論調査は他のメディアよりも常に高い数値を示していたので、今後出てくる他のメディアの調査では支持率が30%を切る可能性もあります。支持率が20%台になれば政権は危険水域に入るといわれています。
日曜日の9日夕方、東京・新宿、名古屋、大阪、福岡などで「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」が開催され、新宿のデモには8000人が集まりました。デモ終了後も参加者がどんどん膨れ上がり、新宿東口はそういう人たちで完全に埋め尽くされたということです。
さらに11日には、国会議員会館前と長野市、和歌山県新宮市などで共謀罪施行に反対するデモが予定されていて、都議選最終日に秋葉原で起きた“安倍辞めろコール”の怒りは加速度的に全国に拡散しようとしています。
この期に及んでも安倍首相は加計学園問題についての閉会中審査に出ようとはせずに、G20会議終了後も外遊を続ける予定を組んでいます。
5日には、ついに佐川前財務省理財局長が国税庁長官に就きましたが、これは国会の質疑で安倍首相を守り切った褒美にというものであまりにも国民と国会を無視した身勝手なものです。この人事に対しては、国税庁や全国の税務署に国民の苦情の声が殺到しているということです。
こうした自分たちのピント外れに対する修正能力を持っていない安倍政権は、この先もどんどん深みにはまっていくことでしょう。
Literaと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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内閣支持率31%に低下、安倍退陣を求める大規模デモ…
「こんな人たち」は左翼活動家じゃない、国民の怒りの声だ
Litera 2017年7月9日
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言にあれだけ批判が殺到しても、まったく反省のない安倍政権と安倍応援団。「安倍やめろコール」を選挙妨害と決めつけ、安倍首相や昭恵夫人にいたっては「こんな人たち」を「左翼活動家」だとするフェイスブックの投稿に「いいね!」をする始末だ。
しかし、連中がいくら自分たちを批判する国民のことを「左翼」「テロリスト」扱いして印象操作をはかろうとしても、国民の間に安倍政権への怒りが広がっている事実は隠せない。この週末、NNN(日本テレビ系)が実施した世論調査では、内閣支持率が前回調査より約8ポイントも落として31.9パーセントに。不支持は同じく8パーセント近くアップして49.2パーセントとなった。半分が安倍内閣を支持しないという意思を表明したということであり、支持率30パーセントを割り込むと政権は死に体になると言われていることを考えると、安倍政権は完全に危険水域に入ったと言えるだろう。
いや、支持率だけではない。きょう9日、東京・新宿、名古屋、大阪、福岡などで「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」が開催され、日曜夕方という時間にもかかわらず多くの人たちが集まった。
新宿のデモに取材に行ってみたが、デモの参加人数は、主催者発表で8000人。新宿中央公園から新宿駅南口、伊勢丹新宿店前を通り、東口のアルタ前へ向かったデモ隊は先頭から最後尾が通過するまで約30分もかかる大行列となり、沿道からも同じように「安倍はやめろ!」とコールする人も。この間、新宿中心部は「安倍はやめろ!」という怒りの声に包まれた。
また、デモの後はアルタ前で集会が開かれたが、どんどん参加者が膨れ上がり、新宿東口が完全に埋め尽くされる状態になった。
デモに参加していた「こんな人たち」は普通の人たちだった
プラカードのなかには、安倍首相を皮肉るかたちで「こんな人」と書かれたものや「特定の政党・団体とは関係ありません」というボードを持つ人もいたが、ここに集まっていた人たちのほとんどは安倍首相や安倍応援団が決めつけているような「テロリスト」でも「左翼活動家」でもない。参加者に話を聞いてみたが、ほとんどの人はごく普通に暮らしている一般市民ばかりだった。
たとえば、ひとりで参加していた20代の学生だという男性に、きょうデモに参加しようと思った動機を尋ねると、「政治に求められる誠実さがないこと、何も説明できず、まともに言葉を使わないことに怒っています」と静かに語ってくれた。この男性がデモに参加するようになったのは3.11以降で、「それまではデモに参加するような人を活動家だと自分も見ていた」と言う。安倍首相の「こんな人たち」発言に対しては、「そうやって分断し、フィクションの仮想敵をつくろうとしているのでは。こうやって怒りが起こっている現実を見ようとしていない」と冷静に話していた。
30代と40代の女性二人連れは姉妹。それまで政治とのかかわりは「選挙に行ったり、ニュースを見たり」する程度だったという。お姉さんのほうの女性は「共謀罪の荒すぎる審議といい、もう怒りが抑えきれなくて。(国会閉会後の)会見で『ていねいに説明する』と言いながら、まったく説明責任が果たされていない。こういう場で民意を表していかないといけないと思い、参加しました」と話し、「説明責任を果たせ」と書かれたプラカードを見せてくれた。
一方、会社に勤めながら子育ての真っ最中だという妹さんのほうは、「帰ったら会社から持ち帰った仕事もしなくちゃいけない。デモに参加する時間があれば、子どもとも遊んであげられる。でも、街に出て、こうやって反対してますと言わなければ」と語り、「普通の人がデモに参加して『おかしいよ』と表明しなくてもいい状態になってほしい」と話していた。
今回の東京のデモの呼びかけ人である男性(37歳)にも話を聞いたが、この男性もこれまで反原発や特定秘密保護法などのデモに参加したり、デモを主催したこともあるが、政党の党員でも、活動家でもない。今回のデモは「みんなと一緒にやるかたちがいいのでは」と考え、さまざまな団体が参加するかたちとなったと話してくれた。
それでも安倍応援団は「左翼活動家」とレッテルを貼るのか
もちろん、それでも安倍政権や安倍応援団メディアは、このデモのことも「左翼活動家」「共産党の動員」などとレッテルを貼って、攻撃するだろう。
しかし、安倍政権が自分たちにとって都合のいい国民を「一般市民」、反対する国民を「一般的じゃない市民」に分断して、弾圧しようという姿勢を強めても、この流れは止まらない。そのことは、これだけ多くの普通の市民が安倍政権退陣を求めるデモに集まり、世論調査で不支持の声がどんどん広がっていることが証明している。
こうした国民の声に応えるためにも、わたしたちはより一層、安倍政権のデタラメと危険性を追及していく必要がある。(編集部)
政府与党やる気なし 加計問題の閉会中審査は“前川氏圧勝”
日刊ゲンダイ 2017年7月7日
どんな新事実が飛び出すのか――。衆院文科委と参院文教科学委の理事懇談会が6日開かれ、加計学園問題について、10日に衆参両院で内閣委との連合審査会をそれぞれ開催し、閉会中審査を行うことを正式に決めた。
衆院は午前9時から4時間、参院は午後2時から3時間ずつ連合審査会を開催。参考人として前川喜平前文科次官に加え、衆院は国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の原英史委員、参院は加戸守行前愛媛県知事を招致することも決定した。
「私の知る限りは申し上げたい」。5日に福島市で開かれた講演で、こう話した前川前次官。「特定の法人に特定のチャンスを与えた。規制緩和というより特権を与えたことが問題」と指摘し、あらためて政府対応を批判したが、参考人招致はどう転んでも「前川圧勝」で、安倍首相が出席する予算委集中審議を求める声はさらに強まるのは間違いない。
元文科省審議官の寺脇研氏(京都造形芸術大教授)がこう言う。
「与党側はWG委員を呼んで『正式な手続きで一点の曇りもない』『(獣医学部新設に慎重だった文科省に)挙証責任があった』と説明させるのでしょうが、挙証責任も何も(獣医学部新設で満たすべき条件である)石破4条件は閣議決定されているのだから、文科省が勝手に解釈していいわけがない。この問題は、なぜ、4条件が守られなかったのか。突然、加計ありきの文言が付け加えられたのはなぜなのか ― という行政プロセスの不自然さです。政府・与党は小細工し過ぎてワケが分からなくなっているのではないでしょうか」
その通りだ。だいたい加戸前愛媛県知事といえば、今治市が国家戦略特区に選ばれる際に「商工会議所特別顧問」の肩書で交渉役を担った人物。いわば疑惑の当事者だ。しかも、知事時代には、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を県内の中高一貫校に採択させ、安倍政権下で発足した「教育再生実行会議」の委員も務めた。そんな“アベ友”が「加計ありきでした」と言うハズがないし、何よりも真相に迫れるはずがない。
与党が本気で疑惑を解明したいのであれば、萩生田官房副長官や特区担当だった藤原豊前内閣府審議官を参考人招致するべきだろう。
要するに閉会中審査は政府、与党のポーズであって、ハナから加計問題に取り組む気などサラサラないのだ。
閉会中審査を単なるイベントに終わらせたらダメだ。
佐川新国税庁長官に世論の怒り 苦情殺到で税務署員困惑?
日刊ゲンダイ 2017年7月8日
「もう税金払わないよっ」 ―。5日付で国税庁長官に就いた佐川宣寿前財務省理財局長(59)に対し、国税庁や全国の税務署に苦情の声が殺到しているという。
森友問題をめぐる国会答弁で野党側の追及をノラリクラリはぐらかし、事実確認や記録の提出を一切拒否してきた佐川新長官。「適正・公平」を何よりも求められる課税庁のトップとしてふさわしくない――と世論批判が爆発しているのだ。
現場のマジメな税務署員はタマッタもんじゃないだろう。いったいどのくらいの苦情が寄せられているのか国税庁に聞くと、担当者はこう答えた。
「日々、納税者の方々からさまざまなご意見をいただく中で、長官就任に関するご意見があることは承知しております」(広報)
う~ん。持って回った言い方だが、やはり困惑しているようだ。渦中の佐川新長官は今のところ、メディアの取材に一切応じていないが、いつまでも黙ってはいられない。長官就任会見があるからだ。
「国税庁長官は就任会見を行うのが恒例です。挨拶はだいたい決まっていて、『適正課税』や『納税者の信頼を得たい』などと言うのですが、佐川新長官が果たして何を言うのかが注目です。当然、記者からは今回の人事をどう考えているのかや、『納税者の信頼は得られると思うか』といった厳しい質問が出るのは間違いない。例のごとくノラリクラリ逃げたら国民の怒りはさらに炎上です」(財務省担当記者)
新長官会見の予定日時は今のところ決まっていないというが、これも異例の事態だろう。
一般国民には大ヒンシュクを買っている佐川新長官だが、風俗店やヤミ金業者のウケはいい。
「だって税務調査されても知らぬ存ぜぬを貫けばいいんだろ。トップが国会で身をもって教えてくれたじゃないか」
ニンマリ顔で話す歌舞伎町の風俗店経営者は、税務署員に記録の不備を指摘された場合の“逃げ口上”を自信タップリにこう明かした。
「短期間で自動的に消去されて復元できないシステムなんです」
あらためてメチャクチャな人事である。