2017年7月8日土曜日

潔く投了すべき  安倍首相にいまさら初心に帰られても

 日刊ゲンダイに「日本経済一歩先の真相」を連載している高橋乗宣氏が、「潔く投了すべき 安倍首相に『初心』に帰られても困るのだ」とする手厳しい記事を載せました。
 高橋氏は、
 “都議選の大敗北は、「1強体制」にあぐらをかいた安倍政権のおごりたかぶりに対する有権者の怒りの発露であり、「安倍やめろ」という政権への退陣勧告である。有権者は「安倍やめろ」と退陣勧告を突き付けている。
 いくら口先だけの反省で取り繕おうとしてもムダであり、初心に立ち返ってイチから政権運営を始めるような発言はもってのほか。潔く投了すべきで、残された道は内閣総辞職しかない。
と述べています。

 日刊ゲンダイの「・・・安倍 清和会” 包囲網が自民内で着々」の記事も併せて紹介します。
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   「日本経済一歩先の真相
潔く投了すべき 安倍首相に「初心」に帰られても困るのだ
高橋乗宣 日刊ゲンダイ 2017年7月7日
 それにしてもブザマな結果となった。先の東京都議選で自民党は改選前の57議席から半分以上も減らし、過去最低の38議席をさらに15議席も下回って、わずか23議席にとどまった。

 歴史的な大敗北を受け、メディアは「自民惨敗」と伝えたが、有権者が突き付けたのは「安倍やめろ」という政権への退陣勧告だ。この一点こそが、自民惨敗の形でハッキリと示した都民の要求なのである。
 選挙期間中も「おごれる政権」からは失言、暴言、金銭スキャンダルが続出。身内の中谷元前防衛相でさえ、「THIS IS 大打撃」と皮肉っていた。
 Tは秘書への「このハゲーッ!」パワハラ暴行の豊田真由子衆院議員、Hは加計学園「官邸は絶対やる」文書疑惑の萩生田光一官房副長官、Iは自衛隊政治利用発言の稲田朋美防衛相、Sは加計学園からのヤミ献金疑惑の下村博文都連会長を指す。加えて、また“魔の2回生”である金子恵美総務政務官のスキャンダルが飛び出した。自分の子供の保育園送迎に公用車を私的利用していたというのだ。
 とにかく安倍政権の乱れようには開いた口がふさがらない。「タガが外れた」という言葉では言い尽くせないほどのありさまである。最側近といわれる安倍首相の「お友達」の失態や、魔の2回生ら安倍チルドレンの暴走も、本をただせば「1強体制」にあぐらをかいた安倍政権のおごりたかぶりに突き当たる

 明らかにツケ上がった政治姿勢が有権者の反感を喚起させ、都議選の自民惨敗を招いたのだ。つまりは自業自得というものである。
 歴史的な大惨敗を受け、安倍首相は「深く反省し、初心に立ち返る」旨を語っていたが、思い違いも甚だしい。有権者は「安倍やめろ」と退陣勧告を突き付けているのであって、いくら口先だけの反省で取り繕おうとしてもムダである。ましてや、初心に立ち返ってイチから政権運営を始めるような発言はもってのほかだ。有権者にとっては迷惑この上ない

 新たな経済政策を打ち出すサプライズで、国民の目をそらそうとしても、黒田日銀のマイナス金利導入の“禁じ手”を最後に、もはや打つ手なし。経済政策は完全に行き詰まっている。まさか、アベノミクスの「新々第3の矢」を放つわけにもいくまい。仮に第3段目の矢を放たれたら、この国の経済に新たな混乱を引き起こすだけだ。非常に困ったことになる。
 これだけ明白に有権者から退陣要求を突き付けられた政権は、もはや死んだのと同然である。もう安倍首相も悪あがきはやめることだ。14歳の藤井聡太四段を見習い、居住まいを正してから「参りました」と投了すべきだ。内閣総辞職しか残された道はないのである。

  高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。


戦犯4人も全員所属 安倍「清和会」包囲網が自民内で着々
日刊ゲンダイ 2017年7月7日
「魔の2回生」もとい「魔の清和会」と永田町で揶揄されている。都議選の戦犯を表す「THIS IS 敗因」のT(豊田真由子衆院議員)、H(萩生田光一官房副長官)、I(稲田朋美防衛相)、S(下村博文元文科相)は全員、「清和会」(細田派)所属。つまり、安倍首相が属する総裁派閥なのである。いま自民党内でこの清和会に対する不満が爆発寸前だ。その矛先は当然、安倍首相に向けられ、包囲網が形成されつつある

 4日、都内で「平成研究会」(額賀派)が前身の経世会創設から30年の会合を開いた。ここで「安倍1強から脱却し、党内で活発な議論を取り戻す必要がある」などと、安倍首相批判ともとれる発言があったという。
「平成研のこの会合は、当初マスコミにフルオープンの予定だったのに、一転、冒頭の額賀会長の挨拶までとなった。安倍政権への批判をマスコミに聞かれてはマズいという配慮があったようです」(担当記者)
 この前日の3日には、新麻生派「志公会」が総勢59人の党内第2派閥として発足したが、自民党内ではここへきて、派閥の権力闘争の動きが活発化している。

「自民党は森喜朗首相以来、もう15年以上、清和会の天下です。そんな中で、続出する不祥事や失言は清和会に所属する議員ばかりで、ついには都議選の歴史的大惨敗を招いた。さすがに『清和会よ、いい加減にしろ』という怒りが党内に蔓延しています。麻生派も額賀派も表向きには『安倍政権を支える』と言っていますが、本音は違う。もともと麻生派は宏池会から分裂した派閥ですし、額賀派は経世会。いずれもハト派で保守本流の気概が強い。タカ派の清和会こそ傍流と思っているのです」(自民党関係者)

■都議選敗北は「安倍NO」の号砲
 今後も最大派閥・清和会打倒を掛け声に、派閥の合従連衡が進む可能性がある。カギは宏池会(岸田派)だ。麻生大臣が岸田派に「大宏池会」構想を呼びかけている。第3派閥の額賀派と二階派が「大経世会」(二階幹事長は92年の竹下派分裂まで経世会)として一緒になるという話も囁かれている。この「大経世会」が岸田派と連携して、かつての「大角連合(田中角栄元首相と大平正芳元首相が連携)」の再来を描く向きもある。

 共同通信記者時代、長年にわたって清和会を担当してきた政治評論家の野上忠興氏はこう言う。
「都議選敗北は『安倍NO』の号砲になりました。これを好機と捉え、他派閥の動きが活発になるでしょう。清和会は最大派閥とはいえ、安倍さんの次が不在。先日、安倍さん自身が『四天王』などと下村さんらの名前を挙げていましたが、誰も本気にしていません。安倍さんの求心力が落ち、清和会に先が見えないとなると、1、2回生が危機感から動く可能性が出てきて、清和会が分裂する可能性すら出てくると思います」
 5日の党憲法改正推進本部の会議でも「丁寧な議論が必要だ」と首相を牽制する声が上がった。安倍1強は確実に揺らいでいる。今ごろ安倍首相は悲鳴を上げているんじゃないか。