7月に入って内閣支持率が急激に下がったことで、ネトウヨ(ネット右翼)の間でパニックが起きているということです。この4年余り、短期間の下落を除いてほぼ50%(以上)が維持されてきたのですから無理もありませんが、大幅に下落したことは極めて正常なことでその理由も明白です。
それよりもこれまで何故異常な高止まりを維持できたのかを調べる方がはるかに政治学的に価値がありそうです。
しかしいま必要なことはそんな分析ではなく、支持率をさらに25%前後まで落とすことだといわれています。そうなれば安倍内閣の退場が現実の問題になってきます。まずはNHKが口火を切るといわれている8月の内閣支持率がどうなるのか注目されます。
もう一つ重要なのは各種の地方選や補選での成績で、その勝率が低ければ党の顔にはならないとして、早晩党首の座から引き下ろされます。
いま戦われている仙台市長選は7月23日に投票が行われ、続いて30日には菅官房長官の地盤で行われる横浜市長選の投票が行われます。
仙台市長選はスタート時点で自公の候補と野党4党の推す候補が既に並んでおり、野党候補が有利に進めているということです。ここでも加計学園問題の影響が大きく、ビラ配りをする自民党員が罵声を浴びせられることもあると伝えられています(高野孟氏)。
仙台市長選で野党側が勝利し その勢いも借りて横浜市長選でも勝利すれば、自民党は大きなダメージを受けます。
そして10月には、加計問題の舞台となっている愛媛県3区での衆院補選があります。
昨夏の参院愛媛選挙区では野党統一候補が自民党の候補に8000票余りまで迫ったことから、再び野党候補が一本化されれば、今度は勝敗が逆転する可能性が高いと見られています。この国政選挙で敗北すれば安倍内閣は死命を制されると日刊ゲンダイは述べています。
日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。
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永田町の裏を読む
仙台&横浜 都議選での自民大敗が地方都市にも波及するか
高野孟 日刊ゲンダイ 2017年7月20日
安倍「一強」政治がダッチロール状態に陥るきっかけとなったのは、都議選での自民大敗だが、この傾向が他の地方都市にも広がっていくと、いよいよ大変なことになる。その意味で注目されるのが、7月23日投開票の仙台市長選と30日の横浜市長選である。
仙台は事実上、民進と社民が支持し共産と自由が支援する前衆議院議員の郡和子と、自公が支持する会社社長の菅原裕典との対決になる。市政そのものに特に争点があるわけではない中で、昨年の参院選でしっかり共闘を組んで民進党の桜井充を当選させた野党4党が、ここでも勝って、次の衆院選にまでつなげていけるかどうかが見どころとなる。現地の民進党幹部に聞くと「宮城、仙台が、政策合意の面でも選挙活動の面でも、野党共闘のモデルといわれるようにしたい」と張り切っていた。
対する自公候補は、15日に応援に入った菅義偉官房長官が演説の中で「残念ながら知名度がない。陣営もひとつになりきれていないが、手を伸ばせば届くところまで来た」と、追う立場であることを認めていたほどで、地元紙記者によると「もちろん本人の知名度の問題もあるけれども、やはり加計学園事件の影響が大きく、ビラ配りをする自民党員が罵声を浴びせられることもある」という。
横浜は、現職の林文子が自公の支持、菅官房長官の後ろ盾で3選を目指すのに対して、前民進党市議の伊藤大貴が挑戦する。争点は2つで、カジノ誘致の是非と、全国の政令都市で横浜だけがやっていない中学校の給食を実施するかどうか。地元の民進党は割れてしまって、旧民主系は林を推し、江田憲司民進党代表代行はじめ旧維新系は伊藤を支持し、それを共産、自由、市民連合が支援する。伊藤は日経BP社員から07年に市議となった江田の子飼いで、カジノ反対、給食実施の立場。もう1人、元民主党衆議院議員の長島一由もカジノ反対を掲げて立候補しており、反対票が分散しそうなことが伊藤の悩みである。林は、以前はカジノ誘致に前向きだったが、市民の8割が反対であることを考慮して、選挙戦ではそれに触れないようにしていて、反対陣営からは争点隠しと批判されている。給食については「家庭の弁当が基本」という持論にこだわりを見せている。
それぞれに事情も構図も異なるけれども、次の総選挙で安倍自民党を追い詰めていく市民的なパワーが地方の草の根からどのように形成されつつあるのかに着目したい。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
愛媛3区補選がトドメ…安倍首相の退陣Xデーは「10・22」か
日刊ゲンダイ 2017年7月20日
「首相を信用できない」――。支持率が3割を切った安倍政権に対する世論調査で、最も高かった不支持理由がこの回答だ。国民は安倍の政治姿勢に強い憤りを感じているワケだが、この状況は第1次安倍内閣の最後と同じ。あの時も突然、政権の「ブン投げ辞任」を表明した安倍に対し、世論調査では「無責任過ぎる」との回答が7割にも上った。もはや「総退陣」は時間の問題になりつつあるが、ささやかれている注目のXデーがズバリ、「10・22」だ。
■加計問題の舞台で与野党激突
自民、民進両党の国対委員長は18日、安倍が出席する衆参両院予算委の閉会中審査の日程を協議し、24日を軸に開催する方向で調整することを確認した。与党側は「首相自らが丁寧に説明する」とか言いながら、ウラでは野党側の質問時間を削減しろ――と迫っているというから、まったくフザケている。今以上に国民の怒りが炎上するのは確実で、都議選に続いて仙台市長選(23日投開票)や横浜市長選(30日投開票)でも与党の敗北必至。とりわけ安倍政権にトドメを刺す選挙とみられているのが、10月10日告示、同22日投開票の衆院愛媛3区補選だ。
「自民の白石徹氏の死去に伴う愛媛3区補選は、内閣改造後初の国政選挙です。自民が徹氏の次男・寛樹氏を公認候補で擁立したのに対し、野党は民進の元職・白石洋一氏と共産の新人・国田睦氏が名乗りを上げているのですが、昨夏の参院愛媛選挙区では野党統一候補が山本順三参院議院運営委員長に8000票余りまで迫ったことから、再び共闘を模索。野党候補が一本化されれば、今度は勝敗が逆転する可能性が高い。そして、何と言ってもこの選挙区が注目されているのは、加計問題の“舞台”だということ。昨夏の参院選では、今治市で開かれた山本議員の応援に安倍首相の妻・昭恵氏が夫人付職員を同行して駆け付け、今治市長も勝利のエールを送っていた。加計問題で“怪しい動き”をしていたとされる人物の影がいろいろな所でチラついているワケです。選挙になれば必ず、加計問題が争点になるでしょう」(政治ジャーナリスト)
8月下旬には文科省の大学設置審議会が加計学園獣医学部の設置認可の最終判断を下す。政府・与党がどんなに沈静化を図ろうとしても、再び話題になるのは間違いない。「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表はこう言う。
「地元では『3区補選は野党が何が何でも勝たなければならない戦い』と言われていて、我々も盛り上げようと懸命です。おそらく民進党候補に一本化されると思いますが、民進党もこの選挙区で敗れるようであれば将来はない。野党にとっても土俵際の戦いなのです」
安倍政権には退陣以外に選択肢はない。