防衛省は来年度予算の概算要求でも安倍首相の再登板以来連続の前年度比増を維持し、その額は5兆円超の過去最大となる見通しです。
自衛隊は、国には国民の「幸福追求権」(憲法第13条)を保障する義務があることから、急迫不正の侵略に対して個別自衛権を行使する組織として認められているもので、その保有できる「実力」はいうまでもなく専守防衛に適う範囲に限定されています。
ところが自衛隊の実力はとうに世界ランキングでベスト10に入っていて、ベスト5にも入るという見方すらされています。憲法9条の規制がある中でも現実はここまで来ているわけですが、だから9条を現実に合わせて変えなければならないというのは全くの誤りです。9条があったからこそいまのレベルに抑えられてきたというのが実態です。
もしも安倍首相が目指す9条の改悪(自衛隊の明記=2項の無力化)が実現されたならば、その先は軍事費がどれほど拡大されることになるのか測り知れません。
日刊ゲンダイによると、来年度の兵器購入計画でもアメリカが強要するがままに、専守防衛を逸脱し、しかもほとんど役に立たなくて価格だけが高価な米兵器の購入が沢山含まれているということです。
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防衛費また過去最高へ ムダな兵器を軍事専門家がチェック
日刊ゲンダイ 2017年7月18日
安倍政権がまたぞろ防衛費を増やそうとしている。防衛省は来年度予算の概算要求で5兆円超を計上する方針。安倍首相の再登板から6年連続の前年度比増となり、過去最大となる見通しだ。
「日本の防衛予算が増え続けている背景には、北朝鮮の核ミサイル開発や中国の海洋進出といった安全保障環境の変化があります。ただ、よく調べてみるとベラボーに高い兵器や、不要としか思えない兵器を毎年のように購入している。日本は米国の対日貿易赤字を縮小するために米国製の防衛装備品を購入している面があります」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)
今月、ドイツ北部ハンブルクで行われた日米首脳会談でも、安倍首相はトランプ大統領に日米の貿易不均衡を改めて指摘され、戦闘機などの購入を強く求められる場面があったらしい。トランプによる兵器の“押し売り”によって今後、日本の防衛費はますますかさみそうだ。
防衛省は来年度予算で、弾道ミサイル防衛(BMD)強化のため、地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の研究調査費の増額を予定している。いざ調達となれば、日本全域をカバーするには2基で1600億円程度かかるとみられている。
さらに、新型輸送機オスプレイの取得費用も来年度予算に盛り込まれる。最近、指摘され始めたのがオスプレイの護衛問題だ。の取得費用
「同伴飛行するにあたり、ヘリでは遅すぎるし、戦闘機では速すぎる。そこで機体外部にミサイル装備などを備えた“武装オスプレイ”導入の計画が浮上しています。1機の値段はオスプレイの2倍、400億円近くするといわれています」(防衛関係者)
上空から離れた地上の敵を攻撃できる“空対地ミサイル”の導入も来年度予算で検討されている。
「飛行速度がマッハ3以上の対艦ミサイル『ASM―3』と、射程約300キロの対地・対艦ミサイル『JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)』の関連経費が来年度予算に計上されます。今後、問題になりそうなのがJSM。最新鋭ステルス戦闘機F35に搭載でき、射程も長い。その気になれば北朝鮮の核施設に打撃を与えることもできてしまう。“専守防衛”に反しないかが問われることになると思います」(世良光弘氏)
防衛省は毎年批判されている米国製の水陸両用装甲車「AAV7」を来年度も購入する予定だ。
「旧型のAAV7は最大速度が時速13キロと遅く、現代の戦場ではほぼ役に立ちません。最終的に52両を調達しますが1台が7億円もします。これぞ税金のムダです」(世良光弘氏)
トランプとの“義理”で憲法違反や不要な兵器を買い漁るなんて言語道断だ。