2017年7月14日金曜日

和歌山九条の会が 安倍首相の改憲発言についての声明を出しました

 和歌山県の九条の会関連の7団体が、安倍首相5月3日、唐突に憲法9条について「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」、「高等教育を無償化する」ことなどを内容とする憲法改正に言及したことに対して、厳しく糾弾する声明を発表しました。
    (関係記事)
5月12日 安倍首相の9条に自衛隊明記改憲案は日本会議幹部の発案
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安倍首相による改憲発言についての声明

 安倍首相は、2017年5月3日、唐突に憲法9条について「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」、「高等教育を無償化する」ことなどを内容とする憲法改正を実現し、2020年の施行を目指すと発言した。
  しかし、憲法尊重擁護義務を負っている内閣総理大臣が、主権者国民や唯一の憲法改正の発議機関である国会の意向や論議を無視し、期日を切った改憲提言をすること自体、そもそも許されない

 その上、その改憲提言の内容そのものが、問題の多いものである。まず、9条1項、2項をそのまま残しても、自衛隊の存在を憲法上に明記することは、現行憲法のもとで自衛隊にかけられている9条1項、2項による規範の縛りを無効化してしまうことになる。
  すなわち、現行憲法は、9条1項で武力の行使を禁じ、2項において軍隊及び「その他の戦力」を保持しないものと定めている。ここから、これまでの政府解釈によっても、自衛隊は「戦力」に該当しない「自衛の目的のために必要最小限の実力」の範囲でしか憲法上認められず、海外への武力行使目的での派遣や武力の行使は禁じられてきた。そのため、自衛隊が行えるのは武力行使に当たらない活動と例外的な自衛のために必要な活動に限定されるとされてきたが、憲法上に「自衛隊」を明記すると、それらの制約が解かれ、逆に9条2項の「戦力不保持」の規範が無効化することになると言わざるを得ない。
  従って、安倍首相の9条改憲案は、現行の縛りの中での制約された自衛隊をそのままの形で認めることではなく、現行の9条1項、2項の縛りを解く手段として機能することになる危険な内容を孕んでいるのである。

 また、安倍首相は、「高等教育の無償化」を憲法に明示するよう提言しているが、現行憲法のもとでも、財政措置さえ講じれば高等教育の無償化は可能であり、憲法改正をする必要はない。

 わたしたちは、安倍首相の上記改憲発言に抗議し、世界の宝である憲法9条の改悪を許さず、次の世代に引き継いでゆく決意を表明する。

                         2017年7月12日

憲法9条を守る和歌山弁護士の会
九条の会・わかやま
9条ネットわかやま
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま
憲法九条を守るわかやま県民の会
和歌山県平和フォーラム
平和と憲法を守りたい市民の声