都議選での自民党の惨敗は都民(=国民)の怒りの表れと評価されています。それはそのとおりですが、今回は自公の連携がなくて独自の選挙戦を行ったという点を見逃すことはできません。都議選を何よりも優先しているといわれる公明党が3月に小池知事の都民ファーストとの選挙協力を決めたとき、事態をよく認識していない安倍首相は「公明党抜きの単独で勝利するいい機会だ」と言い放ったということですが、その結果がこの有様でした。
政治評論家の五十嵐仁氏は「自民は公明票がないと勝てないことを見せつけられました。この結果ますます公明を大事にしなければならなくなった」と述べています(日刊ゲンダイ)。
このことはむしろ国政選挙で言われて来たことで、1999年に自公連立政権を組んで以降各小選挙区で平均2万票の固定票をもつといわれる公明党が自民候補を全面的に応援してきました。その結果もたらされたものが自民党が絶対多数を占める今日の国会状況であり、絶対多数に驕り高ぶった安倍政権が行ったのは、特定秘密保護法、集団的自衛権行使を可能にした安保法制(戦争法)、共謀罪法などを次々に成立させるという戦後史上空前の反動政治でした。
選挙という根源的なところでそれを支えてきた公明党の責任は免れません。
日々雑感氏は「福祉と平和の党の二枚看板はいずれも年金引き下げや『戦争法』により吹き飛んだ」と述べています。
以下に日刊ゲンダイとブログ:「日々雑感」の記事を紹介します。
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都議選惨敗で自ら露呈…自民党は“公明抜き”では戦えない
日刊ゲンダイ 2017年7月5日
「公明党抜きの単独で勝利するいい機会だ」――。今年3月、国政選挙で連携する公明が都民ファーストと選挙協力する都議選に向け、こう強気の発言をしていたのが安倍首相だった。憲法改正に慎重姿勢を示す公明よりも、ウマが合う維新との連携を念頭に啖呵を切ったのだ。ところが、いざフタを開けてみれば、都議会第1党死守どころか、ギリギリ第2党の屈辱的な結果となり、擁立した候補者全員が勝利した公明の底力をまざまざと見せつけられる結果となった。
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とりわけ自民が真っ青になったのが、北区の高木啓・都議会自民党幹事長の落選だ。北区が大半を占める衆院東京12区は、2003年以来、都内で唯一、自民が候補擁立を見送り、公明の太田昭宏前代表を支えてきた。いわば「自公連立」の象徴区だ。これまで都議会の北区は4人区で“自公共存”ができていたが、今回から定員が3人に減ったうえ、公明は都民ファーストと選挙協力し、状況は大きく変わった。
「公明は終盤、『自民の高木さんは当選圏内だが、ウチはまだまだ圏外だ』と支持者をあおり、投票を猛烈に訴えた。それが奏功し、公明は前回比6000票増で当選した一方、自民は4000票も減らす結果となったのです。自民支持者は『今後の国政選挙で公明とは協力しない』とカンカンで、自公連立の亀裂になるとの見方が広がっています」(永田町事情通)
自民の高木幹事長はもともと国政転身に意欲をみせていたといわれ、党内強硬派からは次期衆院選で太田前代表の対抗馬にぶつける、なんて話も出ている。しかし、都議選で明らかになったのは自民はしょせん、公明抜きの単独では戦えないということだ。
共同通信が都議選の票数を基に、衆院選の都内25小選挙区の結果を試算したところ、自公協力が解消された場合、都民ファーストは22議席、自民はわずか2議席になったという。仮に安倍首相の言うように「自民単独」で総選挙を戦えば、自民壊滅は必至だ。
政治評論家の五十嵐仁氏がこう言う。
「公明票がないと勝てないことを見せつけられました。落選した自民候補は“怒り心頭”かも知れませんが、むしろ公明をますます大事にしなければならなくなった」
「自公亀裂」の拡大を一番心配しているのは自民党だ。
野党連合の結集を急げ
日々雑感 2017年7月5日
公明党の山口那津男代表は5日の記者会見で、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正について「政権が取り組む課題ではない」と明言した。「政権の課題は経済再生だ。そこにひたすらまい進する」と語り、経済再生を優先すべきだとの考えを示した。山口氏の発言は改憲を優先課題に掲げる首相をけん制したもので、改憲論議や衆院解散戦略に影響を与える可能性がある。
山口氏は自民党内の改憲案作成に向けた動きに関しては「自民党内の様々な状況認識を含めて見守りたい」と述べるにとどめた。衆参両院の憲法審査会で各党の合意をつくり、国民の十分な理解を得ることが必要だと強調。「与党の枠組みはただちに憲法の議論につながるものではない」との認識を表明した。
首相は2020年の新憲法施行を目指し、年内の自民党改憲案のとりまとめ、来年通常国会での発議の段取りを描いているとみられる。公明党内には東京都議選での自民党の歴史的な惨敗を受け「局面が変わった。憲法改正を無理に進めたら失敗する」との声が強まっている
(以上「日経新聞」より引用)
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都議会選挙で公明票のゲタのない自民党はハリボテだと露呈した。つまり現在の衆参大多数を占める自民党議員も公明票のゲタの上に立っているに過ぎない。
だから急に公明党が強腰になった。安倍氏がこの秋にでも会見草案を国会に出すと自民党内の憲法草案の取り纏めをいそがせていたのに水を差した。
公明党は安倍自公売国政権の一翼を担ってきた。それで福祉と平和の党の二枚看板はいずれも年金引き下げや「戦争法」により吹き飛んだ。
公明党は自民党をチェックするどころか、自民党のゲタの雪「どこまでも着いて行きます」と揶揄されていた。しかし都議会議員線で公明のゲタを失った自民党候補が大惨敗を喫したのを目の当りにして、やっと公明党は気付いたようだ。反対に自民党は蒼褪めた。
神社関係の国民会議の自民党と創価学会の公明党が仲良くタッグを組んで、日本を根底から破壊してきた。「構造改革」路線と銘打って、郵政民営化の美名の下に国民財産を投機家たちに切り売りしてしまった。
今は「構造改革」の名の下に農協改革と銘打って主要穀物種子法をコッソリと廃止し、日本の農業を丸ごと米国のモンサント社に売り渡そうとしている。そして「構造改革」の名の下に派遣業法の野放図な緩和を行い、日本の労働者を労働力という細切れの「工数」に刻み、竹中氏が代表を務めるバソナなどのピンハネ業者の餌食にしている。そうした日本破壊と投機家への餌食化の一翼を公明党は担っている。まさしく売国政権の一翼だ。
野党連合が相手にするのはこうした醜悪な宗教団体に支配されている政党だ。都民ファーもどうやら政治理念なき小池教という新宗教のようだ。そうした相次ぐ目晦ましの登場に惑わされてはならない。「国民の生活が第一」という政治理念を持たない「自分が第一」の烏合の衆は所詮自民党の延命に手を貸すだけだ。