2025年12月1日月曜日

トランプ氏 日中対立懸念 首相に安定的関係要請

 新潟日報に掲題の記事が載りました。
 トランプは24日、中国の習近平主席と約1時間電話会談を行い、会談後、米中関係は「極めて強固」とし、来年4月に中国を訪問する招待を受け入れたと明らかにしました。
 習主席は会談で「中国と米国はかつて肩を並べファシズムや軍国主義と戦った。今、第2次世界大戦の成果を守るために連携すべきだ」と伝え、台湾の「中国への復帰」が戦後国際秩序の重要な構成部分という中国の立場を明確に示しました
 トランプは「米中はG2」(世界最強の2国)という言い方をして、両国の良好な関係に満足の意をあらわしました。
 そして自身のSNSへの投稿で、ウクライナ紛争や合成麻薬フェンタニル、大豆やその他の農産品など、多くのテーマについて協議したと明らかにした上で、「われわれは偉大な農家のために良好かつ非常に重要な合意を結んだ。そしてこれはさらに良くなっていく。われわれと中国との関係は極めて強固だ!」と述べ、米国の大豆やその他の農産品を中国が大量に且つ恒常的に輸入する約束をしたことに大いに満足し、「中国との関係は極めて強固だ!今回の電話会談は3週間前に韓国で行った会談のフォローアップだ」と述べました。
 日本側の発表に拠れば、トランプは同日高市首相に電話をよこし、日米の良好な関係を確認したということで、台湾問題についての特別な言及はなかったとしましたが、普通に考えれば「台湾問題で中国ともめごとを起こして、米中関係を損なうようなことはしないように」と、「釘を刺した」であろうことは容易に想像されます。

 10月31日、高市首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した際に中国の習主席と会談しました。ところが高市氏同日、台湾林信義代表と会談しその旨をXに「日台の実務協力が深まることを期待する」などの言葉を添えて投稿しました。
 それに対して中国外務省は11月1日、高市首相がAPECに合わせて台湾当局者と会談し、その様子をSNSに投稿したことを巡り、「こうした行為は悪質で悪影響を及ぼす」、「中国は断固反対を表明し、日本側に厳正な申し入れと強烈な抗議を行った」と発表しました。
 中国側は習主席と就任後初めての首脳会談を行ったあと、台湾代表と会談を行い そのことをXで公表したことについて、中国側は「習主席の顔にドロを塗った」と受け止めたということです。中国は元々 面子を重視する国でした。

 その1週間後の11月7日に衆院の予算委で例の高市氏の「台湾有事」発言があり、そのマイナスの影響を解消すべく 10日に大串博志(立民)議員が敢えて長時間をかけて「発言取消」を要求しましたが高市氏は応じませんでした。それでついに中国の「堪忍袋の緒が切れてしまった」のでした。
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トランプ氏 日中対立懸念 首相に安定的関係要請
                        新潟日報 2025年11月28日
 トランプ米大統領が高市早苗首相との25日の電話会談で、日中両国の対立に懸念を示していたことが分かった。トランプ氏は対立のエスカレートを避けるよう要請。安定した日中関係を維持する重要性に言及した。日本政府関係者が27日明らかにした。台湾有事は存立危機事態になり得るとした首相の国会答弁をきっかけとした日中関係悪化に米国が注文を付けた形だ。
 日中対立が、2国間にとどまらず米国を巻き込む外交問題に発展した格好。トランプ氏は対中貿易交渉を重視し、日中の緊張が米中関係に波及する展開を警戒しているとみられる。首相は、中国側が求める答弁撤回に応じない姿勢を示しており、沈静化の道筋は見えていない。
 日米電話首脳会談は米側が呼びかけ、約20分間行われた。関係者によると、トランプ氏は日中関係に触れ「マネージ(管理)する必要性」に言及した。首相に対し国会答弁の撤回は求めなかった。
 電話会談後、首相は自らの国会答弁が話題に上ったかどうかについて記者団に明らかにしていなかった
 トランプ氏は日米電話首脳会談の前に、中国の習近平国家主席と約1時間にわたり電話会談し、半分を台湾問題に費やして協議した。中国側の発表によると習氏は、台湾は不可分の領土だとする中国の原則的立場を説明。トランプ氏は「中国にとっての重要性を理解している」と応じていた。
 トランプ氏は首相との電話会談について「大変素晴らしい会話だった」と記者団に話った。根拠は示さないまま、東アジア地域は「うまくいっている」と主張していた。


日中対立危機 トランプ氏介入 首相苦境 期待の後ろ盾、対中接近
                        新潟日報 2025年11月28日
 高市早苗首相がトランプ米大統領との電話会談で、台湾有事を巡る日中対立への懸念を伝えられていたことが判明した。対中国の「後ろ盾」と見込んでいたトランプ氏の介入により、首相は一層苦しい立場に置かれる形となった。実利を重視するトランプ氏のさらなる対中接近に危機感は募る。日中関係改善の妙手はなく、事態打開の見通しは立だない。
「中国を挑発しないよう助言との記述があるが、そのような事実はない点は明確にしておく」。木原稔官房長官は27の記者会見で、トランプ氏と首相の電話会談を伝えた米紙ウールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道内容の一を否定した。会談内容の詳細は「外交上のやりとりであり、答えは差し控える」と明かさなかった。
 台湾有事は「存立危機事態」になり得るとの首相答弁をきっかけに日中関係が悪化する中、25日に行われた電話会談。官邸幹部は「首相は自制を促されたわけではない。事態の沈静化に向けて協力していこうとのニュアンスだった」ご説明。トランプ氏の立ち位置はあくまで中立的だったと修正に躍起となった。
 沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入を繰り返すなど、覇権主義的な行動を強める中国に対峙するには「日米同盟の結束が欠かせない」(外務省幹部)。ましてや首相答弁後、中国は国際社会で日本への批判をエスカレートさせており、米国からの支援は重要度を増す一方だ。政府関係者は「トランプ氏が中国側に付いたとの見方が広がれば、日本の立場はますます悪くなる」と指摘。ダメージコントロールの必要性を訴えた。

■立ち位置
米中関係は非常に良好で、それは親密な同盟国である日本にとっても良いことだ。平和な状態を維持しよう」。トランプ氏はWSJの取材に対する声明で強調した。強固な関係を築きたい中国の習近平国家主席との間に「余計なもめ事を持ち込むな」とのメッセージとも受け取れる。
 米中間の緊張緩和が図られた10月下旬の習氏との対面会談直前にはG2(グループ・オブ・ツー)」と両国関係を表現した。「米中2極体制」とも訳され、両国が世界を仕切り、けん引するとの意味合いを持つ。
 トランプ氏が対中関係を重視するのは、習氏との会談で合意したとする米国産大豆の輸出再開が喫緊の課題であるからだ。主要生産地は自身の支持者が多い中西部。輸出が滞れば、来年
11月の中間選挙に影響を与えかねない。
 最悪のケースは、日中対立激化の板挟みになることだ。日中首脳との電話会談後、トランプ氏は記者団の質問に応じた際、東アジア地域は「うまくいっている」と一方的に主張。白中対立への見解を問われるのを避けるように取材を打ち切った。

■かじ取り
 日本にとって、トランプ氏が対中関係を重視するど、国際社会で孤立するスクが高まる。
 首相は日中関係を好転せる手だてを欠く。26日党首討論では台湾有事と存立危機事態の関係につい具体的に踏み込むことを避け、従来の政府見解を踏襲した。ただ中国は答弁の撤回を求めており、軌道修で攻勢が止まる保証はない。

 首相周辺は、日本の厳い立ち位置を不安視した。「米国が中国と話し合い、日本の将来を決めていくかのような事態だけは避けければいけない」 (東京、ワシントン共同)

テレ東 豊島晋作解説は零点(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 同氏は、一部の元外務官僚などが「高市政権を応援するための主張」をすることを批判してきました。
 それは1972年の日中共同声明「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持」を謳っているのは「台湾の変換先は『中華民国』であって『中華人民共和国』ではない」から、高市氏の主張は間違っていないなどとするる主張でした(「ポツダム宣言」当時は第二次世界大戦中であり「中国民国」が用いられました。それだけのことで現在は中国=「中華人民共和国」が世界の認識です)。

 逆にもしも「中華民国」が正当な継承国家であるなら、国連の常任理事国が「中華民国」から「中華人民共和国」に変わったことにも反対ということになり、世界の認識から大いに遊離してしまいます。逆に言えばこんな非常識まで犯さなければ高市首相の主張を弁護できないということです。

 本記事では23日のテレビ朝日に神田外語大学の興梠一郎氏が出演し、「台湾の中国帰属」問題に関する文言について「『理解して尊重』ですから『承認』してないんですよ。要するに承認って言ってないんですよ、法的に」と述べたことを紹介し、「メディアが正確な情報を提供せずに高市発言を擁護する歪んだ主張だけを流布するために国民は適正な判断を下せぬ状況に置かれている状況で、世論調査を行い、国民の多数は高市発言撤回必要なしとしているとの結果を得ても意味はない(要旨)」と断じます。

 そしてネット上で「テレビ東京の豊島晋作氏による解説が大反響」などとする提灯記事が流布されているが、これもまったく同類で」、「高市発言が日本のこれまでの政府見解、政府決定、外交実績と論理整合性を有していない暴言であったから批判されているのであって、豊島氏は歪んだ政府見解をなぞっているだけである(要旨)」と批判しました。
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テレ東豊島晋作解説は零点
             植草一秀の「知られざる真実」 2025年11月30日
11月28日のNHK「ニュースウォッチ9」にNHKが出演させた外務省元事務次官の藪中三十二氏は鳩山由紀夫内閣時代の事務次官で、鳩山総理の方針を潰すために駐日米国大使と連携していた人物である。
11月30日付ブログ記事 NHK登場藪中三十二の正体」 https://x.gd/HxXRJ
メルマガ記事「大政翼賛会と化すマスメディア」 https://foomii.com/00050

11月25日のテレビ朝日「報道ステーション」にテレビ朝日が出演させた元駐中国日本大使の垂秀夫氏は「高市発言を撤回すべきでない」と発言。
11月26日付ブログ記事 「政府御用番組のテレ朝「報ステ」」 https://x.gd/bt476
メルマガ記事「高市発言撤回せずが国益を毀損」 https://foomii.com/00050

テレビ朝日は垂氏の主張を把握した上で同氏を番組に出演させたと見られる。
垂氏は日中共同声明の「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持」に関して同第八項にある「カイロ宣言」が 「満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還すること」が対日戦争の目的の一つであると明記していること 
に示されているのは「中華民国」で「中華人民共和国」ではないと主張した。

しかし、日本は1972年の日中共同声明で 「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。」と明記しており、カイロ宣言の「中華民国」は「中華人民共和国」に置き換えられる。
こんな部分でまやかしの議論を用いる人物だ。

11月23日のテレビ朝日「有働Times」にテレビ朝日は神田外語大学の興梠一郎氏をインタビュー出演させた。
11月24日付ブログ記事 「御用発言者と御用メディア」 https://x.gd/PNiiu
メルマガ記事「誰が日本をダメにしているのか」 https://foomii.com/00050
興梠氏は日中共同声明における「台湾の中国帰属」問題に関する文言について 『理解して尊重』ですから『承認』してないんですよ。要するに承認って言ってないんですよ、法的に」
と述べた。

日中共同声明の文言は 「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」
興梠氏発言は日中共同声明のもっとも重要な部分を意図的に隠ぺいしたもので極めて不適切。
日中共同声明の交渉で日本が「理解して尊重する」と提案した際に中国が拒否したという重大事実が存在する。
結果として「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」が書き加えられて決着した。

ポツダム宣言第八項は「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルべク」というものであり、上記のカイロ宣言の内容を踏まえると「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」は、論理的に日本が台湾の中国帰属を認めるとの意味を有することになる。
「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」に言及せずに「理解し、尊重」だから「承認」ではないというのは日本政府が展開する「屁理屈」に過ぎない。

メディアが正確な情報を提供せずに高市発言を擁護する歪んだ主張だけを流布するために国民は適正な判断を下せぬ状況に置かれている。
この状況で世論調査を行い、国民の多数は高市発言撤回必要なしとしているとの結果を得ても意味はない。
ネット上には「テレビ東京の豊島晋作氏による解説が大反響」などとする提灯記事が流布されているが、これもまったく同類。https://x.gd/wkshV
高市発言は間違っていないとの全面擁護の主張を展開するが単なる日本政府見解の紹介に終わっている。

豊島氏は、高市発言批判は、1.抑止力を逆に低下させるから適切でない、2.高市発言が中国の強い反発を招いているから適切でない、3.中国の強硬姿勢によって日本が打撃を受けることになるから適切でない、との三つの理由から行われているとした上で、三つの論拠が正しくないと主張する。
まったくの見当違いの説明 
上記の三つの理由で高市発言が適切でないと主張されているのではない。
高市発言が日本のこれまでの政府見解、政府決定、外交実績と論理整合性を有していない暴言であったから批判されている。
その根本問題に豊島氏は何も答えていない。歪んだ政府見解をなぞっているだけである。

UIチャンネル第600回記念放送「混迷する日本政治と活路」https://x.gd/DafTc
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イスラエル、拷問が国家政策 対パレスチナ人 国連委が報告書

 国連の拷問禁止委員会は28日、イスラエルがパレスチナ人に対して「組織化され広範囲にわたる拷問と虐待の国家政策」をとっているとする報告書を公表しました。報告書はイスラエルに対し、独立した調査委員会の設置や実行犯の訴追・処罰を要求しています。
 今回の報告書は25日の会合で採択されました。
 報告書は、イスラエルがガザ地区への軍事侵攻を始めた202310月7日以降の状況に関して「深く困惑している」と表明。イスラエル軍が占頷下のガザ地区やヨルダン川西岸で拘束したパレスチナ人に行っていることは、「戦争犯罪、人道に反する罪にあたり、ジェノサイド(集団殺害)の一部をなしている」と批判しました。
 彼らが行う拷問の具体例は身の毛のよだつものばかりです。まことに恐るべき国家であり抑圧者です。

 イスラエルとレバノンヒズボラの停戦発効から27日で年が経過しました。
 イスラエルは停戦後もレバノン南部への駐留を続け、レバノン全域を攻撃しています。この1年でイスラエル軍は「ヒズボラの再建」を阻止するためとして、レバノン全域を669回空爆しました。この1年でイスラエル軍の攻撃により少なくとも127人の民間人が殺されました。レバノン保健省(28日発表)によると、335人が死亡、973人が負傷しました。南部からの国内避難民は現在、6万人以上とみられます。

 イスラエル軍は28日、シリア南部ベイトジンを攻撃し、シリア外務省や国営シリア・アラブ通信によると、子ども2人を含む民間人13人を殺害、数十人を負傷させました。イスラエル軍は砲撃後、地上部隊を送り、住民を銃撃しました。

 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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イスラエル、拷問が国家政策 対パレスチナ人 国連委が報告書
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
 国連の拷問禁止委員会は28日、イスラエルがパレスチナ人に対して「組織化され広範囲にわたる拷問と虐待の国家政策」をとっているとする報告書を公表しました。報告書はイスラエルに対し、独立した調査委員会の設置や実行犯の訴追・処罰を要求しています。イスラエルは、1987年に発効した拷同等禁止条約の締約国です。
 拷問禁止委員会は同条約に基づいて設置されました。締約国政府、人権団体、個人などからの情報提供を受けて各国の条約履行状況について報告書を作成します。今回の報告書は25日の会合で採択されました。
 報告書は、イスラエルがガザ地区への軍事侵攻を始めた2023年10月7日以降の状況に関して「深く困惑している」と表明。イスラエル軍が占頷下のガザ地区やヨルダン川西岸で拘束したパレスチナ人に行っていることは、「戦争犯罪、人道に反する罪にあたり、ジェノサイド(集団殺害)の一部をなしている」と批判しました。
 具体的には、イスラエルは拘束者に対して、激しい殴打、犬をけしかける、電気ショック、水責め、長時間にわたりストレスがかかる体位を取らせる、性的暴行、本人や家族への脅迫、動物のようにふるまわせて尊厳を傷つける、尿をかける、治療を組織的に拒否する、衣類の略奪大音量の音楽や騒音にさらす、過剰な身体拘束-などを行っています。イスラエルは、パレスチナ人に対して無差別に、情報や自白を引き出す目的でこうした拷問をしかけています
 報告書は、イスラエル対し、▽公平で独立した調査委員会の設置と調査の実施 ▽拷問の実行者を訴追し、有罪が確定すれば、自らの行為の重大性にふさわしいレベルの処罰を受けさせること ▽イスラエルと占領地に国際的な人権監視団が入れるよう直ちに措置を取ること-などを要求しました。
 報告書は、イスラム組織ハマスによる23年10月7日の攻撃を「明確に非難する」と強調しています。一方で「この攻撃に対する締約国(イスラエル)の対応の非対称性についても委員会は深く懸念している」としました。
 欧米メディアによると、イスラエルは同報告書が指摘する拷問について否定しています。


レバノン停戦1年イスラエル軍’空爆圓回335人殺害
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
【カイロ=米沢博史イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦発効から27日で年が経過しました。
 停戦合意は、イスラエルとヒズボラ双方がレバノン南部のリタニ川以南から60日以内に撤退し、レバノ粂政府がヒズボラの武装解除を進める予定でした。しかし、イスラエルはレバノン南部への駐留を続け、レバノン全域を攻撃しています。ヒズボラは武装解除を拒んでいます。
 イスラエルの軍や情報機関の経験者を中心とする「アルマ研究教育センター」(27日発表)によると、この1年でイスラエル軍は「ヒズボラの再建」を阻止するためとして、レバノン全域を669回空爆しました
 国連人権員等弁務官事務所(25日発表)によると、この1年でイスラエル軍の攻撃により少なくとも127人の民間人が殺されました。レバノン保健省(28日発表)によると、335人が死亡、973人が負傷しました。南部からの国内避難民は現在、6万人以上とみられます。
 停戦監視を担う国連レバノン暫定軍(UNIFIL)はイスラエル軍のレバノン撤退を繰り返し求めています。イスラエルによるレバノンの主権・領土保全への侵害は国際法上許されません。イスラエルとヒズボラ双方は停戦合意と国際法に沿った解決を進めるべきです。平和構築にむけた国際社会の支援が求められています。


イスラエル軍が 13人殺害 シリア南部
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
【カイロ=米沢博史イスラエル軍は28日、シリア南部ベイトジンを攻撃し、シリア外務省や国営シリア・アラブ通信によると、子ども2人を含む民間人13人を殺害、数十人を負傷させました。イスラエル軍は砲撃後、地上部隊を送り、住民を銃撃しました
 イスラエル軍は、「テロ計画」阻止のため過激派を拘束する作戦を実施し、武装集団の銃撃で兵士6人が負傷したと発表しました。
 シリア政府はイスラエル軍の攻撃について民間人を狙った「紛れもない戦争犯罪」と非難しました。また、国連安保理やアラブ連盟に対し、攻撃の即時停止とシリアの主権・領土保全の尊重を確保するための緊急措置を求めました。6日に採択された国連安保理決議2799は、シリアの主権・独立・領土保全の支持を再確認しています
 イスラエルの今回の攻撃について、サウジアラビア、ヨルダン、カタール、トルコの各外務省やアラブ連盟と湾岸協力会議の各事務局長も、抗議声明を発表しました。
 イスラエルは昨年12月のアサド政権崩壊以降、シリア領土への空爆を数百回繰り返しています。さらに974年の両国の兵力引き離し協定を一方的に破棄し、国連管理下のゴラン高原緩衝地帯にも部隊を送り込み、占領を続けています

台湾をめぐる日中緊張の激化、日本は自業自得としか言いようがない(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 高市氏が引き起こした「台湾有事」問題は、海外の人にとってどう映るのかを知るうえで参考になります。日本の高市ファンは是非一読すべき記事です。
 ところで高市首相や首相回りの人たちはこの記事(論文)に対して同等に反論できるのでしょうか。もしも出来ないのであれば、最早タイミングを失しましたが何とか取り消すか、それとも引責辞任をするべきです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
台湾をめぐる日中緊張の激化、日本は自業自得としか言いようがない
                 耕助のブログNo. 2731 2025年11月28日
China–Japan Tensions Over Taiwan Just Escalated and Japan Has No One to Blame But Itself   By James Wood

中国が突然「攻撃的」になったわけではない。
日本の新首相・高市早苗が一線を越え、公然と台湾海峡での日本の軍事行動を示唆した。
中国政府は主権が脅かされた時にどんな大国も取るであろう対応を取ったに過ぎない。この危機の根源は北京ではなく東京にある

日本のあやまちとは?
高市は単なる「懸念を表明した」だけではない。
彼女は公に台湾危機と日本軍派遣を結びつけた。これはこれまでの日本の指導者が決してやらなかったことである。彼女は日本が長年維持してきた「戦略的曖昧性」を破り、1972年に日本が受け入れた一つの中国という原則(日中共同声明)を無視し、この地域における日本の20世紀の軍国主義の記憶を呼び覚ましたのだ。
中国にとって、それは「通常の政策決定」ではない。
無謀で扇動的で、歴史的感覚に欠ける行為である。
高市はその後、発言を撤回せず、むしろ強硬姿勢を貫き、中国の反応は「根拠がない」ふりをした。

中国は何をしているのか? そしてなぜそれは理にかなっているのか?

中国の対応は論理的で計算され、法的な根拠に基づいている:
– いかなる日本の軍事介入も侵略であると宣言する国連書簡
– その地域の日本の戦争の記録を想起させる「狼戦士外交」の復活
– 対象を絞った対抗措置(渡航警告、水産物輸入禁止、映画上映停止)
– 日本に侵略された国々(フィリピン、インドネシア等)へのメッセージ発信
– 日本に対して、国際連合憲章に第二次大戦「敵国」条項が存続していることを指摘
– 尖閣諸島(釣魚島)周辺での海上保安庁巡視
– 東京による地域安全保障規範の再定義を拒否

中国が発信するメッセージは一つ:
「台湾を軍事化させるな。歴史を繰り返すな」
また日本の過去の軍国主義を強調することで、戦略的に国際世論を再構築している。これは日本が未だに正直に向き合えていない問題である。
そして忘れてはならない:
台湾海峡の平和と安定は、外部の関与者が状況を軍事化するのを助長することではなく、それを止めることにかかっている。

なぜ中国の立場が論争で勝っているのか?

北京は重要なチャンネルを的確に打っている:
– 東南アジア(戦争の深い傷跡を持つ国)
– 国連のプラットフォーム
– グローバルサウス(途上国)のメディア
– 西側諸国のX/Twitter空間に事実・歴史・法的論拠をたくさん流す

一方、日本は:
– 自国の政策に混乱している
– 国内で分裂している
– 防御的で反応的
– 米国の圧力と地域の現実の狭間で立ち往生している

高市はG20に1時間も遅れて現れた。中国メディアは大喜びでその件を報じた。

これは「中国vs日本」ではない。「日本vs日本の過去」だ。
北京は台湾政策を変えていない。日本が変えた。
日本の首相が台湾海峡での武力行使を示唆した瞬間の、中国の反応は必然だった。米国を含むどんな主要国でも、もし隣国が自国の核心的主権問題で軍事行動をほのめかしたなら、もっと強硬な対応を取っただろう。

中国の動きは慎重だ。日本の動きは衝動的だ。
そして歴史、特にアジアにおける歴史は、今も重要である。

結論:
火をつけたのは日本である。中国はそれに対して、外交、国連への申し立て、貿易対抗措置、統一されたメッセージで応じた。
「中国が攻撃的」なのではない。
中国は1972年に日本が合意したレッドラインを強制しているに過ぎない。
日本は「普通の軍事大国」になりたがっているが、前回それを試みた時の記憶を世界に思い起こさせたくはない。しかし、
アジアは覚えている。
中国は覚えている。
そして今、全世界も覚えているのだ。

https://x.com/commiepommie/status/1992478114400677911

日中間の最近の対立(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する耕助のブログに掲題の記事が載りました。
 高市首相の不用意な発言によって生じた「日中間の最近の対立」(正確には「中国側の怒り」と呼ぶべきですが)について、海外ではどう見られているのでしょうか。
 高市発言から既に20日以上が経ちました。中国側にはまだまだたくさんの対抗上のカードがありますが、対して日本側にはそんなものは1枚もないのが実態です。この先き待っているのは深まりゆく日本の経済的困窮です。
 高市氏は以前 経済安全保障相を担当しましたが、その対象はひたすら中国でした。
 その時高市氏は、中国にはどんな対抗手段があるのかについては何も考えなかったのでしょうか。
 そんな雑な考え方しかできないのであれば日本のタメに早く身を引くべきでしょう。
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日中間の最近の対立
                耕助のブログNo. 2732 2025年11月29日
   The latest flare-up between China and Japan Zhai Xiang
過去14日間、世界の多くの国が中国と日本の新たな対立を報じた。なぜ中国がこれほど激怒したのか疑問に思う人も多いだろう。スタンフォード大学で日米中関係を深く研究した者として、この問題を可能な限り簡潔かつ公平に説明してみようと思う。

今回の論争の火種は、11月7日の国会審議における高市首相の発言だ。元副総理兼外相の議員の質問に対し、彼女は「台湾で武力行使を伴う緊急事態が発生した場合、日本の安全保障関連法上、日本の『存立危機事態』に該当し得る」と答弁した。
80年前に第二次世界大戦が終結した。戦後の責務として、日本は憲法を制定し「日本国民は、正義と秩序に基づく国際平和を追求し、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇又は武力の行使を放棄する」と宣言した。
一部の日本の政治家にとって、戦争を行う権利を行使できない国は「普通の国」ではなく、したがって日本は再び「立ち上がる」必要があるという。彼らが見落としているのは単純な事実だ。日本はこの数十年間で世界でも最も成功した経済国の一つとなり、世界最高水準の生活水準を確立している。歴史的な後悔や劣等感を抱く理由はほとんどない。

それでも一部の政治家はこの方向へ進むことを選んだ。2015年、安倍晋三は激しい市民抗議の中、「存立危機事態」が存在すると判断された場合、日本が直接攻撃を受けていなくても集団的自衛権を行使できるという法律を強行採決したのである。そのため高市氏の発言は、台湾有事のシナリオにおける日本の軍事介入を示唆するものとして、即座に広く解釈された。
これは、30年間国会議員を務めてきた強硬派のベテラン議員で首相就任から1カ月も経っていない高市が、台湾問題に関して北京のレッドラインを越えた初めての事例ではない。10月31日、APEC会議出席中に、Xに写真とともに「APEC首脳会議前に、控室で台湾の林信義 総統府資政(Senior Adviser to Taiwan’s Office of the President‘.)と挨拶を交わしました」と投稿したのだ。
同じ日の朝、習近平国家主席との会談では「日本は1972年の日中国家関係共同コミュニケにおける台湾問題に関する立場を堅持する」と改めて表明していた。このコミュニケは台湾が中国の一部であることを日本が認識していることを確認するものである。詳細は過去のツイートで詳述した通りだ。https://x.com/ZhaiXiang5/status/1984298421906522515

この二つの発言の対比は鮮明だった。
高市氏のツイートは直ちに中国外務省の厳しい抗議を招いた。しかしわずか1週間後に、彼女は再び台湾問題で衝撃的な発言をし、ここ数年で最も激しい中国当局と世論による日本批判の波を引き起こすとは誰も予想していなかった。
11月13日、中国外交部副部長は「指示に基づき」在中日本大使を召喚し、高市の発言について厳重に抗議した。
この動きは極めて異例である。北京が前回日本大使を召喚したのは、福島の廃水海洋放出決定を巡り2023年8月のことで、2年以上前のことだ。今回の件で特に注目すべきは、外務省声明に「指示に基づき召喚」という表現が用いられたことだ。これは通常の外交抗議ではなく、中国最高指導部の直接の指示による行動であることを示している。

中国と日本は記録に残る歴史のほぼ二千年にわたり緊密な接触を保ってきた。摩擦はあったものの、全体としては比較的友好的な交流が主流だった。19世紀、両国とも西洋列強に虐げられ、改革と西洋からの学びを通じて国力を強化しようとした。しかし結果は大きく分かれた。
中国の恭親王(Prince Gong、1833年–1898年)は、非常に優れた改革の支持者だったが決して皇位に就くことはなかった。彼の兄である咸豊帝(Emperor Xianfeng)とその妻で後に慈禧太后(Empress Dowager Cixi)となる義姉は、恭親王の才能を資産とは見ず、むしろ脅威と捉えた。そのため彼は何度も政治的に疎外され、最終的には権力から追い出された。この結果、中国の19世紀の改革努力は根本的に停滞してしまった
一方、日本では明治天皇(1852–1912)が政治的ライバルを徐々に排除し、権力を掌握して抜本的な改革を成功させた。日本が力を増すにつれ、1879年には中国と日本双方に歴史的つながりを持つ属国である琉球王国(現在の沖縄)を併合した。中国がほとんど抵抗しなかったことを見た日本は、すぐに野心を抱いて沖縄からそう遠くない中国領の台湾に目を向けた。
1894年、日本は運命的な決断を下した。当時アジア最強とされた中国北洋艦隊への奇襲攻撃を仕掛けたのだ。日清戦争における中国の壊滅的な敗北は、深刻な結果をもたらした。戦後、日本は2億両の賠償金を要求した。これは現在の銀の価値で約95億米ドルに相当する。日本はこの賠償金の大半を軍備拡張に充て、間もなくロシアを打ち破り、その後数十年にわたり中国への侵略を続けた。中国の省であった台湾も、1895年に日本に強制的に割譲された。
台湾島は日本によって半世紀にわたり植民地化された。第二次世界大戦中、中国はアメリカ、イギリス、ソ連を含む連合国と共に戦い、ファシスト勢力の拡大を阻止するために多大な犠牲を払い最終的に勝利を収めた。主要な連合国として中国が参加して確立された戦後の国際秩序は、カイロ宣言とポツダム宣言で明確に示されていた。日本が中国から奪った領土、すなわち台湾を含む地域は中国に返還されなければならないと。

1945年に台湾が中国に返還された後、中国内戦の影響で両岸関係は政治的膠着状態に陥った。しかし中国の主権と領土の完全性は決して分断されたことはなく、今後も分断を許すことはないだろう。
こうした理由から、台湾問題は中国国民の間で深い感情的な重みを持つ。日本が台湾について発言する時、それは中国の集団的歴史記憶の深く敏感な層に触れる。この感情は、第二次世界大戦終結80周年という節目を迎えた今、一層際立っている。
加えて、麻生太郎副首相や安倍晋三元首相らも過去に同様の明確な発言をしてきたが、高市氏の発言は根本的に異なる意義を持つ
1945年の日本の敗戦以来、現職の日本の政府首脳が公式の場で「台湾有事は日本有事である」という概念を推進し、集団的自衛権の行使と明確に結びつけたのはこれが初めてである。また、日本の指導者が台湾問題への軍事介入の野心を表明したのも初めてであり、1945年以来、日本が中国に対して直接的な武力行使の脅威を発したのも初めてである。
歴史的に日本は繰り返し自国の「安全保障」と「国家存亡」を口実に海外への先制戦争を仕掛けてきた。第二次世界大戦の前哨戦となる1931年の中国東北部侵攻前には、東京は存亡の危機を煽るプロパガンダを展開した。同様に1941年の真珠湾攻撃前にも、日本は「差し迫った国家危機」というレトリックを流布していた

 北京の反応はこうした広範な歴史的文脈で捉えるべきである。そして高市首相が戦後体制からの脱却を目指す右派政治家として長年活動してきたことを踏まえれば、情報通の観察者が彼女の発言の意図に結びつけたり警戒感を抱いたりするのは難くない。
同様に危険なのは、彼女の発言が直接的に米国を巻き込み、ワシントンを東京の戦略的主張に縛り付けようとしている点だ。米国にとってこれは、自国の核心的利益に合致しない潜在的紛争へ引きずり込まれるだけでなく、東アジアにおける重大な誤算の可能性を高めることを意味する。
 その含意をより明確に理解するには、7日に高市氏がどのように論拠を構築したかを検証すると有用だ。彼女は次のように述べた:
「台湾に対する中国の封鎖を打破するために派遣された米軍艦艇への攻撃は、日本が自国と同盟国を守るために軍事介入を必要とする事態を招きかねない」

米国側はこの挑発に乗らなかったようだ。AP通信やニューヨーク・タイムズからウォール・ストリート・ジャーナル、CNN、ワシントン・ポストに至るまで、過去1週間の報道は概ね日中間の歴史的緊張、高市の発言、北京の反応に焦点を当てつつ、顕著な慎重な距離感を示していた。これらのメディアは高市の発言をほぼ一切支持せず、日中紛争を米国が日本に追随すべき安全保障問題として位置づけることもなかった。
中国側の反応を論じたNBCニュースだけが鋭い観察を示した:
「こうしたことは高市にとってさほど重要ではないかもしれない。彼女は台湾問題などで北京と対立するだろうと予想されていたから
この抑制的なメディア姿勢は、ワシントンの公式見解のトーンと概ね一致している。
12日、国務省報道官は次のようにコメントした:
「我々は台湾海峡全域における平和と安定の維持の重要性を強調し、現状を変更しようとするいかなる一方的な試み、特に武力や威圧によるものには反対する。建設的な対話を通じた海峡両岸問題の平和的解決を促す」
11月10日、トランプ大統領はフォックスニュースのローラ・イングラハム司会者とのインタビューで、高市首相による「存立危機事態」発言と中国外交官の反応について問われた。イングラハムは「中国は我々の友人ではないですよね、大統領?」と詰め寄った。
これに対しトランプはこう答えた:「我々の同盟国の多くも友人ではない。同盟国は中国以上に貿易で我々を利用してきたし、中国も大いに利用した」
こうした発言から判断すると、米国はまだ日本の政治的衝動を支持する準備が整っておらず、台湾海峡の緊張激化において主導権を東京に委ねるつもりもない。
実際、高市の計算はアメリカのシンクタンクのアナリストたちの注目も集めた。
クインシー研究所の非居住フェローであるマイク・モチズキは、高市が東京の台湾との安全保障の関与を強化し、ワシントンに対して軍事的抑止力を強化し、台湾との防衛関係を強化するよう促す場合、「北京は台湾周辺での威圧的行動をエスカレートさせ、軍事力の増強を加速させる可能性が高い」と述べた。
そしてこう付け加えた。「この負の連鎖は最終的に中国指導部を追い詰め、平和的統一の可能性が消滅したと結論づけさせる。軍事力行使が唯一の選択肢となり、紛争は急速にエスカレートし、日本の民間人の生命と生活が危険に晒されるだろう」
たとえ主要な同盟国の明確な支持がなくても、日本は中国の初期の反応を軽視しているように見えた。

NHKによると、11月14日に北京が日本の大使を召喚したことについて尋ねられた際、日本の外務大臣である茂木敏充は、大使が再び高市の発言の意味を中国側に説明し、中国の抗議に対して明確に異議を唱えたと述べた。茂木大臣はまた、その発言は国際法に違反していないため、撤回する必要はないとも言った。
 同日、日本の外務副大臣も中国大使を召喚し、強く抗議した。
日本の対応は紛れもなく状況を悪化させる方向に導いたのだ。

11月14日、中国外交部と在日中国大使館・総領事館は、「在留中国人の安全環境が継続的に悪化している」ことを理由に、中国国民に対し「近い将来の日本への渡航を避けるよう」注意喚起を発表した。
11月15日には、中国の主要航空会社が、12月31日以前に発行された日本行き・日本発の航空券について、無料で変更または払い戻しが可能とする通知を発表した。11月19日現在、54万3000枚以上の航空券がキャンセルされている。今年1月から9月にかけて、約750万人の中国人観光客が日本を訪れ、この期間における中国人観光客の訪問国・地域の中で日本は首位となった。
 観光業は日本GDPの約7.5%を占め、中国人観光客は訪日外国人全体の約5分の1を占める。したがって中国人旅行者の訪日意欲減退は、日本経済に目に見える悪影響を与えると予想される。
11月17日、中国は首相が今後のG20サミット期間中に高市と会談する予定はないと発表した。
同日、中国メディアは複数の日本映画が中国での公開を延期すると報じた。
11月19日、中国は日本産水産物の輸入停止を通告した。中国は2023年、福島第一原発の汚染水放出を受けて日本産水産物の輸入を全面禁止していた。2025年6月には37県の輸入を再開したが、福島を含む10の被災県は除外されたままだった。
11月17日、日本の外務省アジア大洋州局長が北京に到着し、高市による台湾有事に関する発言について中国側と協議したが、発言の撤回は拒否した。
今後数ヶ月間、北京と東京は互いの政治的意図を試す動きを続けるだろう。この一件が一時的な摩擦に終わるか、長期的な亀裂となるかは、高市の今後の対応だけでなく、日本が台湾問題を冷静な自制心と歴史的認識をもって扱う意思があるかどうかにかかっている。
高市の発言は単なる外交上の失態ではなく、東アジアが数十年にわたり癒そうとしてきた傷口を再び開いたのである。
今や東京には、自らの発言の重みを理解していることを示す責任が課せられている。
https://x.com/zhaixiang5/status/1991904097537241474