マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
記事は、「トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的合意や安全保障条約の基礎とみなされるべきではない」と書き出されていますが、記事の結びの部分は「この泥沼状態から脱却しなければならないという現実的感覚が少なくともトランプには多少ある。だが欧州エリート連中は嘘とプロパガンダとロシア嫌いに囚われすぎて敗北の現実を直視し始めることさえできない。敵が手強いほど、その敗北もまた大きいのだ」となっていてトランプの関与を肯定しています。
日本の言論界ではNATOの論調に同調して、ウクライナ戦争に関しては「戦争を仕掛けたロシアが悪い」の一辺倒で、領土に関しては「開戦前に復する」以外の終戦はあり得ないという『正論』でほぼ統一されています。しかしそれではいつまで経っても停戦には至りません。
記事は「騎士道精神に則り欧米諸国が ロシアの侵略から民主的ウクライナを守っているという見方は現実を大胆に歪曲したものだ。欧米とNATO傭兵の支援があればウクライナは軍事的に勝利できるはずだという考えが何百万人ものウクライナ人の犠牲を伴う無益な戦争を煽ってきた」と指摘します。
そして開戦に至るNATO側の不正についても簡単に記述されています。そもそもウクライナ戦争はウクライナ(キエフ)クーデター以降、あるいはミンスク2議定書以降、バイデンとNATO側が周到に準備してきたものでした。
ゼレンスキーを筆頭とするウクライナ政権の恐るべき汚職・腐敗に目を瞑り、彼に継戦の判断を委ねていては この『不正な』戦争は終わりません。いい加減に『公正』ではあるけれども何の効力も有しない主張は止めて、ウクライナ側とロシア側の無辜の人たちの「無駄死に」を止めさせることに尽力すべきです。
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トランプ大統領の和平提案は、代理戦争の敗北を渋々認めたようなもの
マスコミに載らない海外記事 2025年12月 2日
Strategic Culture Foundation 2025年11月28日
トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的合意や安全保障条約の基礎とみなされるべきではない
四年近く経過して、アメリカは自ら作り出したウクライナの泥沼から抜け出そうとしている。ロシアの目的は依然合理的かつ正当で、実現可能だ。妥協の余地はない。
2014年、選挙で選ばれた大統領に対するCIA支援を受けたキーウでのクーデターに遡るこの紛争は、歴代アメリカ・ヨーロッパ政府が主導権を握っている。オバマ前大統領、トランプの第一期政権と、バイデン前大統領が、ヨーロッパのNATO加盟諸国と共に、ウクライナを砲弾の餌食にしてロシアを戦略的に打倒する代理戦争シナリオを推進したのだ。
2014年から2022年にかけて、ウクライナのロシア語圏の人々に対する大量虐殺的攻撃とともに挑発行為が続いた。アメリカ主導のNATO同盟は、殺人的背信行為にロシアが耐えきれなくなり、2022年2月に特別軍事作戦を開始するまで、汚れ仕事をさせるべくキーウのネオナチ政権を兵器化したのだ。ロシアの目的は正当だった。ロシア国民の保護、政権の非ナチ化と、数十年にわたるNATOの容赦ない攻撃を決定的に停止させることだった。
ウクライナ兵だけでなく、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、バルト諸国などから何千人もの兵士を秘密裏に派遣し、代理軍を武装すべく何千億ドルとユーロを費やしたにもかかわらず犯罪的戦争策略はロシアにより敗北させられた。
第二期政権で、この汚いゲームが終わりを迎えたのをドナルド・トランプ大統領は悟りつつある。中国を含むアジア太平洋地域や中東やアメリカが「裏庭」とみなす中南米のベネズエラなどの地域、至る所でアメリカ帝国主義は権益を狙っている。
ヨーロッパ戦線は金がかかる血みどろの混乱だ。ウクライナとNATO支援諸国は完敗したのだ。連中は兵力も武器も資金も尽きたのだ。自らの腐敗の重圧でキーウ政権が崩壊する中、これはロシア侵略から民主主義を守るための崇高な目的だったという欧米諸国の荒唐無稽な言説も崩壊しつつある。CIAが画策したネオナチ・クーデターから生まれた民主主義?
かつてウクライナ東部および南部の一部だった歴史的ロシア領の大部分、すなわちクリミア、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャをロシアは確保した。ハリコフ、ニコラエフ、オデーサ、スムイを含む残り領土確保に向けロシアは前進するだろう。
この紛争の間、(そして、それ以前から)欧米諸国の報道機関は終始嘘をつき続けている。騎士道精神に則り欧米諸国が侵略から民主的ウクライナを守っているという見方は現実を大胆に歪曲したものだ。欧米とNATO傭兵の支援があればウクライナは軍事的に勝利できるはずだという考えが何百万人ものウクライナ人の犠牲を伴う無益な戦争を煽ってきた。依然、戦場は「膠着状態」にあるかのように欧米メディアは報じているが実際はロシア軍がNATO軍を包囲している。今後数週間でウクライナ防衛線は急速に崩壊するだろう。
ロシアは決してウクライナ全土を占領するつもりなどなく、ましてヨーロッパ諸国を征服し続けるつもりなどない。欧米諸国の言説は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をヒトラーの生まれ変わりとして描く滑稽で幼稚な幻想だ。この幻想は、欧米諸国の経済と国民を途方もない規模で欺くために利用されてきた。
ロシアの目標は、常に国民と歴史的領土を守り、NATOとその代理組織ネオナチの脅威を根絶することだ。これはウクライナ全土を征服することなしに達成されつつある。
トランプの和平提案は、代理戦争計画が失敗したことを欧米諸国の一部がようやく認識したことを反映している。他の歴史的ロシア敵国が敗走したのと同様、残忍な策略でNATOは敗北したのだ。僅か80年前に、ナチス・ドイツの戦争機構がロシア国民に破壊された。だが、ファシズムは完全には破壊されなかった。民主主義国家を装う西欧諸国という形で地下に潜っただけだった。
トランプ大統領の提案に、将来の平和的解決の基盤となり得るとプーチン大統領は外交的に対応した。実に寛大だ。トランプ大統領の漠然とした提案の中には、ロシアの正当な要求を満たすものがほとんどないためだ。実際、ロシア人評論家スタニスラフ・クラピヴニクが痛烈なまでに明確に指摘している通り、アメリカ「計画」はロシアが求める厳しい条件を満たしていない。
アメリカを仲介役として提示するトランプの傲慢な思い上がりも軽蔑すべきものだ。アメリカはロシアとの戦争の主要立て役者だ。ヨーロッパの共犯者連中同様、アメリカの手は何百万人もの血で濡れている。
2014年-2015年のミンスク合意や、2022年3月のイスタンブール和平提案で、アメリカとNATO属国諸国は名誉ある合意に誓約する能力がないことを歴史が示している。更に、アメリカが一方的に破棄した軍備管理条約もいくつかある。
従って、ウクライナにおける敵の決定的軍事的敗北を通じて、ロシアは自らの条件でこの紛争を終わらせる権利と義務を有している。
トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的合意や安全保障条約の基礎とみなされるべきではない。
アメリカとヨーロッパの手先連中が見せている混乱の中、唯一明るい兆しは、彼らの戦争計画が挫折したのを暗黙のうちに認めていることだ。少なくとも今のところ。この勝利は欧米諸国の帝国主義者連中が二度と同じことを繰り返さないことを保証すべきだ。
たとえ無秩序な急ぎ足であれ、この泥沼状態から脱却しなければならないという現実的感覚が少なくともトランプには多少ある。だが欧州エリート連中は嘘とプロパガンダとロシア嫌いに囚われすぎて敗北の現実を直視し始めることさえできない。敵が手強いほど、その敗北もまた大きいのだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/28/trump-peace-overtures-reluctant-admission-of-proxy-war-defeat/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。