2025年12月1日月曜日

イスラエル、拷問が国家政策 対パレスチナ人 国連委が報告書

 国連の拷問禁止委員会は28日、イスラエルがパレスチナ人に対して「組織化され広範囲にわたる拷問と虐待の国家政策」をとっているとする報告書を公表しました。報告書はイスラエルに対し、独立した調査委員会の設置や実行犯の訴追・処罰を要求しています。
 今回の報告書は25日の会合で採択されました。
 報告書は、イスラエルがガザ地区への軍事侵攻を始めた202310月7日以降の状況に関して「深く困惑している」と表明。イスラエル軍が占頷下のガザ地区やヨルダン川西岸で拘束したパレスチナ人に行っていることは、「戦争犯罪、人道に反する罪にあたり、ジェノサイド(集団殺害)の一部をなしている」と批判しました。
 彼らが行う拷問の具体例は身の毛のよだつものばかりです。まことに恐るべき国家であり抑圧者です。

 イスラエルとレバノンヒズボラの停戦発効から27日で年が経過しました。
 イスラエルは停戦後もレバノン南部への駐留を続け、レバノン全域を攻撃しています。この1年でイスラエル軍は「ヒズボラの再建」を阻止するためとして、レバノン全域を669回空爆しました。この1年でイスラエル軍の攻撃により少なくとも127人の民間人が殺されました。レバノン保健省(28日発表)によると、335人が死亡、973人が負傷しました。南部からの国内避難民は現在、6万人以上とみられます。

 イスラエル軍は28日、シリア南部ベイトジンを攻撃し、シリア外務省や国営シリア・アラブ通信によると、子ども2人を含む民間人13人を殺害、数十人を負傷させました。イスラエル軍は砲撃後、地上部隊を送り、住民を銃撃しました。

 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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イスラエル、拷問が国家政策 対パレスチナ人 国連委が報告書
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
 国連の拷問禁止委員会は28日、イスラエルがパレスチナ人に対して「組織化され広範囲にわたる拷問と虐待の国家政策」をとっているとする報告書を公表しました。報告書はイスラエルに対し、独立した調査委員会の設置や実行犯の訴追・処罰を要求しています。イスラエルは、1987年に発効した拷同等禁止条約の締約国です。
 拷問禁止委員会は同条約に基づいて設置されました。締約国政府、人権団体、個人などからの情報提供を受けて各国の条約履行状況について報告書を作成します。今回の報告書は25日の会合で採択されました。
 報告書は、イスラエルがガザ地区への軍事侵攻を始めた2023年10月7日以降の状況に関して「深く困惑している」と表明。イスラエル軍が占頷下のガザ地区やヨルダン川西岸で拘束したパレスチナ人に行っていることは、「戦争犯罪、人道に反する罪にあたり、ジェノサイド(集団殺害)の一部をなしている」と批判しました。
 具体的には、イスラエルは拘束者に対して、激しい殴打、犬をけしかける、電気ショック、水責め、長時間にわたりストレスがかかる体位を取らせる、性的暴行、本人や家族への脅迫、動物のようにふるまわせて尊厳を傷つける、尿をかける、治療を組織的に拒否する、衣類の略奪大音量の音楽や騒音にさらす、過剰な身体拘束-などを行っています。イスラエルは、パレスチナ人に対して無差別に、情報や自白を引き出す目的でこうした拷問をしかけています
 報告書は、イスラエル対し、▽公平で独立した調査委員会の設置と調査の実施 ▽拷問の実行者を訴追し、有罪が確定すれば、自らの行為の重大性にふさわしいレベルの処罰を受けさせること ▽イスラエルと占領地に国際的な人権監視団が入れるよう直ちに措置を取ること-などを要求しました。
 報告書は、イスラム組織ハマスによる23年10月7日の攻撃を「明確に非難する」と強調しています。一方で「この攻撃に対する締約国(イスラエル)の対応の非対称性についても委員会は深く懸念している」としました。
 欧米メディアによると、イスラエルは同報告書が指摘する拷問について否定しています。


レバノン停戦1年イスラエル軍’空爆圓回335人殺害
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
【カイロ=米沢博史イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦発効から27日で年が経過しました。
 停戦合意は、イスラエルとヒズボラ双方がレバノン南部のリタニ川以南から60日以内に撤退し、レバノ粂政府がヒズボラの武装解除を進める予定でした。しかし、イスラエルはレバノン南部への駐留を続け、レバノン全域を攻撃しています。ヒズボラは武装解除を拒んでいます。
 イスラエルの軍や情報機関の経験者を中心とする「アルマ研究教育センター」(27日発表)によると、この1年でイスラエル軍は「ヒズボラの再建」を阻止するためとして、レバノン全域を669回空爆しました
 国連人権員等弁務官事務所(25日発表)によると、この1年でイスラエル軍の攻撃により少なくとも127人の民間人が殺されました。レバノン保健省(28日発表)によると、335人が死亡、973人が負傷しました。南部からの国内避難民は現在、6万人以上とみられます。
 停戦監視を担う国連レバノン暫定軍(UNIFIL)はイスラエル軍のレバノン撤退を繰り返し求めています。イスラエルによるレバノンの主権・領土保全への侵害は国際法上許されません。イスラエルとヒズボラ双方は停戦合意と国際法に沿った解決を進めるべきです。平和構築にむけた国際社会の支援が求められています。


イスラエル軍が 13人殺害 シリア南部
                       しんぶん赤旗 2025年12月01日
【カイロ=米沢博史イスラエル軍は28日、シリア南部ベイトジンを攻撃し、シリア外務省や国営シリア・アラブ通信によると、子ども2人を含む民間人13人を殺害、数十人を負傷させました。イスラエル軍は砲撃後、地上部隊を送り、住民を銃撃しました
 イスラエル軍は、「テロ計画」阻止のため過激派を拘束する作戦を実施し、武装集団の銃撃で兵士6人が負傷したと発表しました。
 シリア政府はイスラエル軍の攻撃について民間人を狙った「紛れもない戦争犯罪」と非難しました。また、国連安保理やアラブ連盟に対し、攻撃の即時停止とシリアの主権・領土保全の尊重を確保するための緊急措置を求めました。6日に採択された国連安保理決議2799は、シリアの主権・独立・領土保全の支持を再確認しています
 イスラエルの今回の攻撃について、サウジアラビア、ヨルダン、カタール、トルコの各外務省やアラブ連盟と湾岸協力会議の各事務局長も、抗議声明を発表しました。
 イスラエルは昨年12月のアサド政権崩壊以降、シリア領土への空爆を数百回繰り返しています。さらに974年の両国の兵力引き離し協定を一方的に破棄し、国連管理下のゴラン高原緩衝地帯にも部隊を送り込み、占領を続けています